ATPとWTA、テニスの2協会が新アプリ共同開発

男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)が、「ATP WTA Live」という新アプリを発表した。

このアプリでは、結果速報、公式スコア、ランキング、スタッツ、そして大会の舞台裏を捉えた写真や映像を提供する。さらに、ストリーミングやゲームといった機能を今後追加することも検討しているという。

ATPとWTAは四大大会(通称グランドスラム)を初め、多くのテニス大会を主催している。それらの情報を一つにまとめることで、あらゆるテニスファンが集う場所をつくる。これが新アプリ開発の目的である。

同じプラットフォームで、同じ機能を使って、様々な大会の情報を得られる。この一貫性や使いやすさは、ファンの興味を維持するために重要である。

また、特定の選手や大会を追っているファンが、他の選手や大会の情報に触れる機会を増やすことにもつながる。

男子・女子スポーツ組織による協働という点で言えば、ヨーロッパのサッカークラブ(バルセロナ等)において、男子チームと女子チームをまとめてプロモーションすることで両チームを応援するサポーターを増やすという試みが近年よく見られる。

ATPとWTA両協会のブランディング・マーケティングを統括するダン・ジンジャー氏は、「私たちは同じファンを持つひとつのスポーツです」と語り、組織の垣根を越えて一貫性の高いサービスを提供することの重要性を説いた。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/categories/technology/atp-wta-live-mobile-app-tennis/

コロナウイルスの影響:テニス業界のケース

テニスは、スポーツ業界のなかでも色々な面で特殊である。そして、その特殊性ゆえに、コロナウイルスの影響も他のスポーツ組織とは異なる。

たとえば、テニス界には主要団体が3つあり(ATP、WTA、ITF)、それぞれが独自に大会を運営している。加えて、全仏オープンや全米オープンなどは独自の主催者がいる。

その結果、大会によってコロナウイルスへの対処法が異なり、関係者に混乱をもたらしている。

また、NBAやMLBは試合中止に備えて保険に加入しているが、ATPなどのテニス団体は、大会中止用の保険に加入していないことが多い。

その結果、損失の埋め合わせができず、経済的な影響が大きくなってしまっている。

選手にも特異な点がある。

まず、テニス選手は大会に合わせて世界中から集まるため、運営側は選手の管理が難しい。選手によっては入国制限がかかっている場合もある。そういった問題を個別に対応していくのは手間がかかる。

また、巨額のエンドースメント契約を結んでいるトップ選手を除けば、ほとんどの選手は大会賞金を主な収入源としている。そういった選手にとって、試合中止は収入ゼロを意味する。

チームと雇用契約を結び、固定給をもらうNBAやMLBの選手とは、試合中止の意味合いが異なるのである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/16/Leagues-and-Governing-Bodies/Tennis.aspx

米中貿易戦争、スポーツ界への影響

「米中貿易戦争」と呼ばれるアメリカと中国の政治的対立は様々な産業に影響を与えているが、それがスポーツ業界にも及びつつある。

2019年1月、テニスのWTAはスポンサー契約合意間近であった中国企業との交渉決裂を発表した。

中国ではあらゆる契約に政府の署名が必要であり、この署名を得るのが現状難しいと判断した上での決定ではないかと関係者は見ている。

WTA会長のMicky Lawler氏は「国際的な政治情勢を鑑みて交渉は中断することになった」として、米中貿易戦争の直接的な影響については明言しなかった。

しかしある関係者によれば、合意間近であった交渉が急転したのは中国企業のファーウェイのCFOがカナダで逮捕された翌日であったという(ファーウェイのCFOは、米国の対イラン貿易制裁に違反した疑いで逮捕された)。

スポーツビジネスコンサルタントのMarc Ganis氏は、今回の交渉中断は全く驚きではないという。中国でのビジネスにも携わる同氏曰く「中国政府はほぼすべてのことに関与してくる」と言う。「WTAのスポンサー契約ともなれば国際的な注目も浴びる。これは中国では慎重に扱うべき問題です。これほど大きなスポンサー契約を締結するためには政治的な問題が解決される必要があるでしょう」。

WTAは5社のスポンサー企業を抱えるが、WTAはさらに包括的なトップスポンサーを2012年から探していた。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/01/28/Marketing-and-Sponsorship/WTA-China.aspx