マスターズ、アメリカでの視聴率

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松山英樹選手の優勝で幕を閉じた2021年マスターズ・トーナメント。日本では大きな話題を呼んだが、アメリカでの視聴率はどうだったのだろうか。

CBSが中継を担当したトーナメント最終日の平均視聴率は5.5%。約945万人が視聴したという。

これは2020年大会の3.4%(559万人)よりも高く、また、今シーズン中継されたどのゴルフイベントよりも高い数字であった。

さらに、Sports Media Watch社によれば、松山選手が優勝を決めた瞬間の視聴率は、コロナ禍に開催されたスポーツイベントのなかで6番目に高い数字だったという(ただし、アメリカンフットボールの試合は除く)。

一方で、マスターズの歴史を振り返れば高い数字というわけでもない。

コロナ禍の影響で開催時期が不規則であった2020年大会を除けば、今回は最も視聴者が少なかった大会に分類される。

たとえば、タイガー・ウッズが優勝した2019年大会の平均視聴者数は1080万人、最高視聴者数は1830万人であった。

とはいえ、1000万人近くの視聴者を惹きつけたというのはマスターズという大会のブランド力の賜物であり、松山選手にとっては、アメリカにおける知名度を一気に押し上げるこれ以上ない機会となったと言えるだろう。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/the-masters-2021-cbs-espn-tv-ratings-final-round-hideki-matsuyama

「大麻」新たなスポンサーシップカテゴリー

2019年5月、大麻関連商品を販売するPure Spectrumがトライアスロン協会とスポンサー契約の合意間近であると伝えられた。

同社はすでに100人以上のアスリートとエンドースメント契約を結んでいる他、PGA Tourなどともスポンサー契約の交渉中であるという。

総合格闘技のUFCも大麻関連商品を販売するAurora Cannabisと先週スポンサー契約を結んだばかりだ。

アメリカでは、大麻の使用を合法化する州が増加しており、それに伴い大麻関連商品を扱う企業のスポンサーシップビジネスへの参入が顕著になりつつある。
現在、アメリカで大麻の使用が完全に合法なのは、カリフォルニア州を初め9州。これらの州には計115のプロスポーツチームが本拠地を置く。

今後、NFLやMLBなどの四大スポーツも大麻関連企業とのスポンサー契約が結ばれるかが注目される。

実際、NFLは選手会と共同で、身体の痛みを和らげる医療目的での大麻使用に関する勉強会の開催をすでに決定している。

NHLの元選手たちは、 Canopy Growthという大麻関連企業と共同で、脳震とう後の神経障害に大麻が及ぼす影響に関する調査を実施した。

ネガティブなイメージも根強い大麻関連企業にとって、スポーツチームやアスリートとのコラボレーションはイメージ向上のための手段として有効である。

また、アスリートが負った身体へのダメージを軽減する効果を実証できれば、スポーツチーム・選手にとっても朗報である。そして大麻関連商品の宣伝にもなる。

大麻というスポンサーシップカテゴリーが今後どのように発展していくのか、注目である。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/05/27/In-Depth/Main.aspx

Discoveryのゴルフビジネス

2018年、テレビ局のDiscovery(ディスカバリーチャンネルで有名)はゴルフ関連でいくつかの重要な動きを見せた。

一つは、ゴルフのネット中継を行うGOLFTVをPGA Tourと共同で立ち上げたこと。DiscoveryはPGA Tourと12年20億ドルの契約を結んでおり、GOLFTVではPGA Tourの大会が中継される。その他にも、様々なゴルフ関連の映像コンテンツが提供される。

もう一つは、タイガー・ウッズと独占契約を結んだこと。この契約で、Discoveryは、ウッズの練習風景、大会前の調整、そして彼の私生活を撮影する権利を獲得した。

そして現在、Discoveryは、これらのアセットを生かしたユニークなゴルフ番組を企画している。

たとえば、主催者が選んだゴルファーとウッズが一対一で対決するという新番組を企画しているという。通常のゴルフ大会よりも選手の人間性や対決のドラマ性が強調された内容になる。この新番組は、先述のGOLFTVで放送されることになる。

ちなみに、この新番組はシリーズ化が検討されており、その第一回は東京で開催される予定だという。Discoveryは、開催地出身のゴルファーとウッズを対決させる可能性も示唆しており、第一回のウッズの対戦相手は日本人選手になるかもしれない。

一連の動きに関して、DiscoveryのDavid Zaslav氏は「我々が試みているのはゴルフ版Netflixを作ることなんです」と言う。「世界中のゴルフ好きが携帯などを使って視聴できるシステムの構築です」。

参考文献:
https://www.cnbc.com/2018/11/30/discovery-looks-to-create-a-golf-netflix-with-tiger-woods-on-board.html
https://corporate.discovery.com/discovery-newsroom/discovery-pga-tour-unveil-golftv-to-unite-global-golf-fan-community/
https://variety.com/2018/tv/news/discovery-unveils-golftv-streaming-brand-1202987918/
https://www.golfdigest.com/story/tiger-woods-phil-mickelson-to-bring-back-the-match-for-2019-2020-after-two-golfers-sign-three-year-deal
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/08/World-Congress-of-Sports/Discovery-Tiger.aspx

PGA、スポーツ賭博関連業者とのスポンサー契約を解禁

ゴルフのPGA Tourは、従来禁止されていた「スポーツ賭博関連業者とのスポンサー契約」を解禁した。この結果、PGAの各種大会も選手個人もカジノなどとスポンサー契約を結ぶことが可能になった。なお、ブックメーカーは対象外である。

「PGA Tourは慎重な組織です。彼らは長期間の調査を経て、この決断に至りました。どういった企業と契約をしたいか明確な考えがあるはずです」とMKTGのDave Grant氏は言う。「2か月も経たないうちに大きな契約が発表されても驚きませんよ」。

以前の投稿で詳しく説明した通り、アメリカではすでにNBAなどのスポーツリーグがスポーツ賭博関連業者とのスポンサー契約を認めている。だが、今回のPGA Tourがしたように選手個人にスポンサー契約を認めるのは異例である。

選手個人が賭博業者と契約する場合、賭博業者が選手に八百長を持ち掛ける可能性がある。このような懸念からスポーツ賭博業者とのスポンサー契約は、チームや大会レベルに限るのが一般的だ。

この点について、PGA TourのAndy氏は「我々が今回選手に許可したのは、(カジノ)リゾートとの契約のみです」と強調した。ブックメーカーとの契約を認めていない以上、八百長の心配はないという意味である。また、Levinson氏は、大会へのスポンサーよりも選手へのスポンサーのほうが早く決まると予測している。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/03/04/Marketing-and-Sponsorship/PGA-Tour.aspx

スポーツ中継の動向⑧ ESPN+

2018年4月、DisneyによるBAMTechの買収から一年弱、ESPNが満を持して、ネット中継プラットフォーム「ESPN+」を立ち上げた。

そのコンテンツは、MLB、MLS、PGA Tour。そして注目すべきは(前回説明した通り)NHLである。

カレッジスポーツも中継される。カレッジスポーツは、地域によっていくつものカンファレンスがあるが、人気カンファレンスの試合はESPNでテレビ中継される一方、人気の劣る小・中規模カンファレンスの試合はESPN+でネット中継される。

さらに、海外スポーツコンテンツも充実している。たとえば、テニス四大大会のウィンブルドンや全豪オープン、サッカーではセリエAやFAカップが中継されている。

日本に関係のあるところでは、2018年5月に開催された井上尚弥対ジェイミー・マクドネルのWBA世界バンタム級タイトルマッチが、ESPN+で中継された。当時は「井上尚弥の試合が異例のアメリカ生中継」と報道されたので、アメリカのテレビで全国中継されるかのように感じた人もいるかもしれないが、実際はESPN+でのネット中継であった。

これらの充実したコンテンツに拘わらず、ESPN+の会費は月額5ドル。これは他のネット中継サービスと比較しても非常に安い。ケーブルテレビの料金高騰により多くの顧客を失ったESPNが、その離れた顧客を再度獲得することを意識して設定した価格と言えるだろう。

参考文献:
https://watch.espnplus.com/sports/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/01/15/Colleges/CFP-Atlanta.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/08/13/Media/Sports-Media.aspx
https://www.nikkansports.com/battle/news/201805240000328.html

PGA、データを賭け屋に提供

2018年11月、PGA TourはIMG Arenaと業務提携を結んだ。この契約に基づいて、PGA Tourは、ショットの軌道などのデータをリアルタイムでブックメーカー(賭け屋)に提供する。IMG ArenaはPGA Tourの代理店として、契約するブックメーカーを選定し、契約の調整を行う。

日本ではあまりなじみがないが、オーストラリアやイギリスではゴルフが賭けの対象になっている。ファンはどのゴルファーが勝つかを予想して賭ける。賭けに勝った場合にどのくらいの配当金がもらえるかは、ブックメーカーが決定するオッズに依る。そのため、ファンがギャンブルを楽しむ上でオッズを決定するブックメーカーの役割は大きい。

そのブックメーカーにとって、オッズを決定するのに役立つデータがリアルタイムで入ってくることは重要である。特にそれが大会の主催者から提供される場合、データの信頼性は高く、値打ちも高い。実際、ブックメーカーがデータを獲得するためにスポーツ組織に支払う金額は近年急速に高騰している。

したがって、PGA Tourがリアルタイムでデータを提供するとなった場合、多くのブックメーカーが契約に乗り出すことが予想される。

一方、PGA Tour側の負担はそれほどない。なぜならPGA Tourが提供するデータは、同社が2005年に導入した「ShotLink」というシステムが自動的に記録してくれるからである。これまで、ShotLinkが収集したデータは主にテレビ・ネット中継のために活用されてきたが、今後その使い道が広がることになる。

ちなみに、PGA Tourが業務提携を結んだIMG Arenaは、2018年11月にIMG Mediaから独立したばかりの組織。もともとの母体であったIMG Mediaは、テニスのATP TourとWTAと提携しており、両組織がブックメーカーに提供するデータの流通を任されている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/19/Leagues-and-Governing-Bodies/PGA-Tour.aspx
https://calvinayre.com/2018/11/12/press-releases/img-debuts-img-arena-focus-fan-first-digital-innovation/
https://www.chicagotribune.com/sports/golf/ct-masters-pga-tour-gambling-20160407-story.html

カブス、ゴルフ大会を主催

シカゴ・カブスは、2020年3月、PGA Tour Championsの大会を主催する。

開催地はカブスを含むMLB15球団が春季キャンプを行うアリゾナ。開催期間は春季キャンプの真っ最中だ。大会はプロ・アマ戦で、現役のプロゴルファーと引退したMLB選手が参加する予定。

今回の大会では、春季キャンプを見に来る野球ファンとゴルフを見に来るゴルフファンを同時に引き付けることで、両スポーツのファンベース拡大を狙う。

Marquee Sports & EntertainmentのAndy Blackburn氏は「ゴルフと野球、両スポーツのレジェンドをそれぞれのファンに披露するまたとない機会になる」と意気込む。

大会の運営はWestern Golf Associationが担当し、スポンサーシップ営業や広報などはカブス側が行う。また、大会に参加する元MLB選手の手配などはMLB選手会が協力する。MLB選手会のTim Slavin氏は「選手会にとって、選手とファンの距離を縮めることは非常に重要。それに加えこの大会はチャリティーという側面もある。とても説得力のあるアイデアでした」と語る。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/29/Events-and-Attractions/Cubs-golf-event.aspx