新チーム「カンザスシティ・カレント」②

カンザスシティ・カレントは、クラブ名・ロゴの発表とともに、同クラブ専用のスタジアムを建設する計画も発表した。

アメリカの女子サッカークラブが専用スタジアムを持てば、史上初である。

カレントは、すでにスタジアム建設地のリース(50年契約)を確保し、設計・施工の担当企業も決定している。

新スタジアムは11,000席、建設費用は約7000万ドル(約80億円)になる予定で、オーナーグループが全額を出資するという。

建設スケジュールに関して公式な発表はなかったが、報道によれば2022年春か夏に着工し、2024年の完成を目指しているという。

共同オーナーであるアンジー・ロング氏は、「ワールドクラスの施設は、プロスポーツが変革するための『触媒』となります」とコメント。

「特に、女子スポーツは今、凄まじい勢いを持っています。このような大規模スタジアムを建設することによって、女子サッカーおよび地元地域が恩恵を受けられるよう、主要な役割を果たせることをとても誇りに思います」。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/kansas-city-nwsl-new-stadium-womens-football/

新チーム「カンザスシティ・カレント」①

女子サッカーのプロリーグNWSLは、現在クラブ数を拡大中である。今年2クラブが新規参入を果たし、来年にも新たに2クラブが加わる予定だ。

新規参入クラブの一つであるカンザスシティは、今年5月からすでにリーグ戦を戦っているが、つい数週間前まで正式なクラブ名が存在しなかった。

リーグ戦も終盤に差し掛かった10月30日、同クラブはついに「カンザスシティ・カレント(Kansas City Current)」という正式名称を発表した。

クラブオーナー曰く、この「カレント(Current)」という名前は、水やエネルギー、動きの力強い「流れ」をイメージしたものだという。

「ファンや選手、住民の方々の意見に耳を傾けたところ、様々な方々から『野心的』『激しい』『力強い』『先見性がある』『インクルーシブ』といった言葉を聞きました。その瞬間、スタッフ全員が水面下でうごめく止められない力のビジョンを思い浮かべたんです。ミズーリ川沿いにトレーニング施設とスタジアムの建設地が決まったとき、クラブ名は『カンザスシティ・カレント』でなければならない、と全員が確信しました」(クリス・ロング共同オーナー)

この「流れ」のイメージはクラブのロゴにも描かれている。カンザスシティを意味する「KC」の後ろの三本線がそれだ。

また「KC」の右横にある二つの星は、カンザスシティが二つの州(カンザス州とミズーリ州)にまたがる都市であることを表している。

今回のクラブ名・ロゴ発表に合わせて、同クラブは史上初となるある計画を発表したのだが、それはまた次回。

参考文献:
https://equalizersoccer.com/2021/10/30/kansas-city-current-nwsl-team-permanent-name-brand-unveiled/
https://www.kansascity.com/sports/mls/fc-kansas-city/article255355636.html

エンジェルシティFC、チケット売上の一部を選手に直接還元

The Angel City Football Club’s stadium | CREDIT: ANGEL CITY FOOTBALL CLUB

女子プロサッカーのNWSLに新規参入するエンジェルシティFCは、チケット売上の一部を直接選手に還元する計画を明らかにした。

この新基金への参加を希望する選手には、ホームゲームのチケット総売上の1%が均等に配分される。

その代わりに、参加選手には、SNSを活用してチケット情報を宣伝する義務が生まれる。

ちなみに、エンジェルシティFCはすでに1万1000枚以上のシーズンチケットを販売している。したがって、現時点ですでに数千ドルの還元が確定している。

エンジェルシティFCのジュリー・アーマン社長は、同クラブの目指すものの一つとして、「女子スポーツおよび女子選手の報酬に対する貢献」を上げ、以下のように語った。

「この基金は、ファンの皆さんに、私たちと一緒に真の変革をもたらす力を与えるものです。エンジェルシティは、ファンのために素晴らしい雰囲気を作り、エキサイティングで多様性に富んだチームを作るだけでなく、選手一人ひとりに直接利益をもたらすつもりです。私たちは、あらゆるスポーツ(特に女子スポーツ)のチームが、このモデルの採用を検討することを期待しています」。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/angel-city-nwsl-ticketing-revenue-percentage-nil/

NWSL・MLSによる初のダブルヘッダー、観客動員記録更新

Photo courtesy of Jane Gershovich/Sounders FC

8月29日に開催されたOLレイン対ポートランド・ソーンズの一戦は、2万7248人の観客を集め、アメリカの女子プロサッカーリーグNWSLの観客動員記録を更新した。

今回の試合はNWSLとMLSによる異例のダブルヘッダーとして注目されていた。

レイン対ソーンズの試合終了後、同じピッチ上でシアトル・サウンダーズとポートランド・ティンバーズの試合が行われたのだ。

レイン(NWSL)とサウンダーズ(MLS)はともにワシントン州のチーム。ソーンズ(NWSL)とティンバーズ(MLS)はともにポートランドのチーム。

つまり、町のプライドをかけた二番勝負という見方もできる構成だったのである。

この初めての試みも今回の観客動員記録更新に貢献したかもしれない。

レインのジェス・フィッシュロック選手は「これは一つの始まりです。この取り組みは今後何年もかけて、もっともっと多く、そしてもっともっと良いものになるはずです。そして(MLSとNWSLの)ファンベースが融合してくれれば素晴らしいですね」とコメントした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ol-reign-portland-thorns-nwsl-record-attendance-lumen-field-megan-rapinoe
https://www.mlssoccer.com/news/sounders-ol-reign-hope-sunday-s-doubleheader-will-spark-new-tradition-this-is-th

サッカーワールドカップにおける男女の差④

2019年7月7日、BudweiserはNWSLと複数年のスポンサー契約を結んだ。NWSLがビール会社とスポンサー契約を結ぶのはこれが初めてである。

今回の契約で、Budweiserは同リーグのプレーオフ、チャンピオンシップ、MVPのネーミングライツをすべて手に入れた。

また、同社の経営幹部がNWSLの選手を対象にしたスポーツビジネストレーニングを提供することも契約に盛り込まれた。

契約金等の詳細は明らかになっていないが、NWSLがこれまでに結んだスポンサー契約のなかで最大級のものになるという。

この契約に関してBudweiserのMonica Rustgi氏は「Budweiserは30年間、アメリカ女子代表をサポートしてきました。しかし我々にできることはもっとあると気づいたのです。4年に一度だけ代表チームをサポートするのではなく、女子サッカーを日々サポートする。その一つの方法が今回のスポンサーシップだったのです」と語る。

そしてBudweiserは、今回のスポンサー契約を発表する日、New York Timesの広告スペースを一面買い取り、人々にメッセージを発信した。

以下はその全文の訳(意訳)である。

「4年に一度、女子サッカー代表チームは世界を相手に戦い、国に希望を与えます。私たちは彼女のために叫び、歌い、そして見守ってきました。しかし、ワールドカップが終わると、私たちはぱったり見ることを止めてしまいます。

明日、代表選手たちはそれぞれのクラブチームに戻っていきます。多くの人々は、彼女たちがガラガラのスタジアムでプレーしている現状を知りません。最も優れたサッカー選手がプレーしているにもかかわらず。

行こうと思えばすぐ行けるのに、私たちは女子サッカーを見続けようとはしませんでした。女子サッカーそのものを応援せずして、代表選手を応援することなどできるのでしょうか。

本日、BudweiserはNWSLのスポンサーとなりました。私たちは女子サッカーを応援します。女子サッカー選手を応援します。4年に一度ではなく、毎日。

私たちは見続けます。」

一連のEqual Payムーブメントのなかで「女子サッカーをサポートしたい」という気持ちを持った人は少なくない。Budweiserが発したメッセージはそういった人々を意識したものである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Opinion/FORUM.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Media/ESPN-NWSL.aspx
https://www.usatoday.com/story/sports/soccer/2019/07/07/budweiser-becomes-sponsor-of-nwsl/39661001/
https://www.foxsports.com/soccer/story/budweiser-becomes-sponsor-of-nwsl-070719

サッカーワールドカップにおける男女の差③

先週11日、サッカー女子アメリカ代表のAlex Morgan選手は、最優秀女性アスリート賞を受賞した。

そこで彼女は「ワールドカップが終わった今、私たちは国内リーグを成長・拡大させていかなくてはなりません」と語った。

現在、アメリカのプロリーグNational Women’s Soccer League(NWSL)は、人々の興味を集めているとは言いづらい状況にある。

今シーズンの平均観客数は6,069人。9チーム中7チームは観客数を前年から落とした。

「ワールドカップの盛り上がりを国内リーグに生かさなければならない」という意見は日本でもよく聞くが、それと同じことをNWSLの各チームも考えている。

たとえば、ポートランド・ソーンズFCは、各国の代表メンバーに選ばれた同チームの選手に注目した限定グッズを販売した。

ソーンズFCにKatie Simons氏によれば、新発売のスカーフとTシャツは最も人気のグッズで、その売上はMLSのポートランド・ティンバーズの人気グッズよりも大きいという。

ワシントン・スピリッツは、今回のワールドカップだけでなく来年の東京オリンピックでの活躍も見越した戦略を立てており、同チームの目標はシーズン・チケットの売上、スポンサーシップ、そして観客動員を現在の3倍にすることだという。

その手始めとして、スピリッツは、同じワシントンDCに拠点を置くNFL、WNBA、MLSのチームとのクロス・プロモーションを企画している。
また、スポンサー企業のソーシャルメディアを用いたチケット販売なども行い、潜在的なファンにアプローチしている。

ノースカロライナ・カレッジは、7月21日のホームゲームを「ワールドカップおかえり試合」と名付け、チケットの値下げを含むプロモーションを行う。

参考文献:
https://www.usatoday.com/story/sports/ftw/2019/07/11/alex-morgan-joke-espys-female-athlete/39673407/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Leagues-and-Governing-Bodies/NWSL.aspx

FCバルセロナ、アメリカの女子サッカーリーグ参入を検討中

FCバルセロナは現在、アメリカのNational Women’s Soccer League(NWSL)に参入するために女子チームを新設することを検討している。NWSLはアメリカサッカー協会が運営する女子のプロリーグで、日本人では川澄奈穂美選手がプレーするシアトル・レインFCが同リーグに属する。

FCバルセロナはスペインで17のスポーツチーム(バスケットボールやハンドボールなど)を運営しており、その中には女子サッカーチームもあるが、今回検討しているのは「アメリカでの女子チーム新設」である。

FCバルセロナの経営陣によれば、その主な目的は「女子スポーツとサッカーを盛り上げるため」そして「アメリカにおける同クラブのブランド強化のため」である。

FCバルセロナは2016年9月からニューヨークにオフィスを構えており、今回の計画は主にそのニューヨークオフィスが推進している。

FCバルセロナは当初、新チームの本拠地としてカリフォルニア州を考えていた。その証拠に、同クラブはMLSのLAFCとサンノゼ・アースクエイクスに共同での女子チーム設立を持ち掛けている。FCバルセロナからすれば、MLSクラブはすでにスタジアムを持っており、パートナーとすることが得策なのである。

しかし関係者によれば、バルセロナ側には譲れない条件があり、それが交渉を難航させているという。

その条件は「新チームが『FCバルセロナ』という名前を冠すること」そして「ユニフォームはFCバルセロナのパートナーであるナイキが製作すること」である。

あくまで同クラブの宣伝をしたいFCバルセロナの姿勢に、サンノゼ・アースクエイクスはすでに交渉を打ち切っている。

交渉の難航を受けて、FCバルセロナは本拠地候補としてフロリダ州マイアミを検討し始めた。マイアミといえば、元イングランド代表のデビッド・ベッカム氏がオーナーを務めるインター・マイアミCFが2020年にMLSに参入することが決定している。

しかし多くの関係者はこの交渉も難しくなると見込んでいる。それと言うのも、NWSLはMLSと同様、シングルエンティティ(Single Entity)というシステムを採用しており、各クラブの裁量権が限られているからである。

たとえば、現在NWSLはたまたまナイキにユニフォームの製作を任せているが、この契約は2022年に切れる。その際に、FCバルセロナが「ナイキとの契約を更新しろ!」と言っても、より大きな権限を持つリーグ側が他のブランドと契約を結ぶ可能性もある。反対に、FCバルセロナのパートナーが他ブランドに変わっても、NWSLはナイキとの関係を継続する可能性もある。

ユニフォームに限らず、FCバルセロナとNWSLの利害が対立するケースはいくらでもある。その際に、頑固なFCバルセロナと大きな権限を持つNWSLの相性は悪く、新クラブの運営にはリスクがつきまとうのである。

MLSクラブを説得するためには、これまでの条件を取り下げて柔軟な姿勢をアピールするか、リスクを超えるメリットを提示する必要があるだろう。

FCバルセロナは当初2018年の新チーム設立を目指していたが、実現は早くても2020年にずれ込むと見られている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/10/Franchises/Soccer.aspx