
今週土曜日、女子アイスホッケーリーグのNational Women’s Hockey League(NWHL)が新シーズン(6シーズン目)を開幕する。
全6チームがニューヨーク州レークプラシッドに集まり、すべての試合を1つの会場で行う、いわゆる「バブル」という形式を採用する(全日程が2週間で終了する)。
選手の給与や宿泊費、コロナウイルスの検査薬などを合わせた費用は数百万ドル(数億円)になる見込みで、収入で賄えない分は8人のリーグ理事が負担するという。
昨年コミッショナーに就任したばかりのタイラー・トゥミニア氏は、大きな赤字を生むことになるとしても「新シーズン開幕はリーグの存在感を保つためには不可欠だった」と言う。
試合はすべて無観客となるため、チケットや飲食の収入はなくなる。主な収入源は放映権収入とスポンサー収入だ。
たとえば、2月4・5日に行われるリーグ優勝決定戦と準決勝はNBC Sports Networkが全国中継する。女子プロアイスホッケーの試合がキー局で全国中継されるのはこれが初めてである。
トゥミニア氏によれば、開催地がもつ歴史的な意味が「いいストーリー」をつくり、放映権契約の交渉に生きたという。
開催地となるレークプラシッドは、冬季オリンピックを二度誘致した町として知られており(1932年と1980年)、特に1980年大会はアイスホッケーのアメリカ代表がソビエト連邦代表を下して金メダルと獲得したことで大きな注目を集めた。この勝利は「氷上の奇跡(Miracle on Ice)」として今も語り継がれている。
また、NBCの副社長が個人的に女子ホッケーのファンであることも有利に働いたという。
「アメリカのスポーツビジネス」というとすべてが合理的に動いているようなイメージがあるかもしれないが、実はこのように個人的な情熱が重要な役割を果たすケースが多く見られる。
ちなみに全国中継のない試合はTwitchを通じてネット中継をする予定である。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2021/01/18/Leagues-and-Governing-Bodies/NWHL.aspx