NBA、スポンサーシップによる収益拡大①

Getty Images

プレーオフが佳境を迎えているNBA。そのビジネスに関する興味深いデータが発表された。

スポンサーシップ・コンサルティング会社のIEGによれば、NBAは2021/22年シーズンのスポンサーシップ収入が16億4000万ドル(約2142億円)となり、前年比で12.5%増を記録したという。

そのなかでもテクノロジー関連企業(Googleなど)の存在感は大きく、スポンサー料の産業別比較では、銀行、通信、アパレルなどを抑えて、テクノロジーが最大となっている。

個別の企業では、Nike、Microsoft、Anheuser-Busch InBev、Peps、AT&Tなどが年間5000万ドル以上を投資している。

スポンサー契約の数で言うと、保険、ビール、小売、ベッティング、自動車といったカテゴリーが大きく、契約数は5カテゴリー合わせて70を超える。

特に、Anheuser-Busch InBev、Pepsi、Socios、State Farm、Toyota、Verizonといった企業は、それぞれが現在20以上のスポンサーシップ契約をNBAおよびNBAチームと結んでいる。

しかし今回の収益拡大に最も貢献したと言われるのは、保険でも自動車でもなく、暗号通貨の企業である。

その点に関しては、次回の投稿で詳しく説明します。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nba-teams-sponsorship-revenue-income-2021-22-cryptocurrency/

スポーツ界に広がるメタバース活用②NFLの事例

NFL

NFLとRoblox社は、2022年のスーパーボウルのわずか数日前に「NFLタイクーン」というメタバースのゲームを発表した。

(ちなみに「タイクーン(Tycoon)」は「大物・実力者」という意味で、日本語の「大君」が語源だそうです)

Robloxは主に子ども向けの仮想空間を運営しており、現在5000万人以上のアクティブユーザーを抱えている。

NFL以外にも、バルセロナが新ユニフォームの発表をRoblox上で行ったり、ナイキが「Nikeland」という専用のゲームエリアを立ち上げたりしている。

NFLタイクーンのプレイヤーは、Robloxが運営する仮想空間のなかで、バーチャルスタジアムの建設や、選手のカード収集・交換、他のプレイヤーとゲーム対決などができる。

さらに、NFLタイクーンは実世界と連動したイベントも開催される。

その第一弾は、スーパーボウルで放映されたテレビCMとタイアップした「デストラクション・ハウス」。

このCMのなかでNFL有名選手たちのアバターたちが家のなかで大暴れするが、デストラクション・ハウスでも同様にRobloxのプレイヤーたちが仮想空間で近所の家を破壊しまくる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nfl-roblox-metaverse-video-game-super-bowl/

新疆綿問題②中国消費者による不買運動

中国の新疆ウイグル地区で生産されている「新疆綿(Xinjiang Cotton)」は、世界中のアパレル企業の製品に使用されてきた。

しかし昨年、この新疆綿の収穫のためにウイグル人が強制労働させられていると報道された。

これを受けて、大手アパレル企業が次々に懸念を表明。一部企業は、新疆綿の使用の取り止めを決定した。

たとえばナイキは、以下のようなコメントを発表している。

「ナイキは倫理的で責任を持った製造に努めており、労働に関する国際水準を順守しています。新疆ウイグル地区における強制労働の報道に関して、我々は懸念しています。ナイキは新疆ウイグル地区で生産されたものは使用していませんし、生地の供給元にもすでに連絡を取り、繊維などを同地区から取り寄せていないことを確認済みです」

こうした声明文は、社会問題に関心のある海外消費者の支持を得たが、一方で中国国内の消費者の反感を買うことになった。

一部の中国消費者が不買運動を始め、それにインフルエンサーや有名人も参加していった。そして、この不買運動は中国で社会現象となった。

ナイキやアディダスといった海外スポーツブランドが中国で売上を大きく落としているのは、この不買運動の結果だったのである。

参考文献:
https://www.nbcnews.com/news/world/western-brands-tested-china-amid-forced-labor-allegation-backlash-n1262707
https://purpose.nike.com/statement-on-xinjiang

新疆綿問題①ナイキ・アディダス、中国で売上激減

©GETTY IMAGES/ALEX TAI/SOPA IMAGES/LIGHTROCKET

ナイキとアディダスの中国における売上が激減している。

アリババが管理するネット市場「Tmall」での4月の売上は、前年同月比でそれぞれ59%減(ナイキ)と78%減(アディダス)。

中国は両ブランドにとって最も重要な市場の一つであり、ここでの苦戦は大きな痛手だ。

一方で、国内ブランドのリーニンとアンタは売上が激増。たとえば、リーニンのTmallでの売上は前年同月比800%だったという。

なぜ中国人消費者は海外ブランドから国内ブランドへシフトしていっているのであろうか。

その背景には「新疆綿」の問題が存在する。

今週は、この問題とスポーツ業界への影響に焦点を当てていく。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/adidas-nike-sales-china-xinjiang-boycott-2021

コロナウイルスの影響:リバプールのユニフォーム契約

今週、リバプールはユニフォームプロバイダーであるNew Balanceとの契約を今シーズン終了まで延長することを発表した。

当初リバプールは、New Balanceとの契約が満了する5月31日をもって同社との関係を解消し、6月1日からはナイキ製のユニフォームを使用する予定であった。

ところが、コロナウイルスの影響でプレミアリーグの試合予定が大きく変わり、シーズン終了が7月31日にずれ込んだ。

そこで、リバプールは7月31日まではNew Balance製のユニフォームを使い続けることに決めた。New Balanceとナイキもこの決定に合意している。

この決定は特にNew Balanceにとって重要な意味を持つ。

現在リバプールはリーグ首位を独走している。このままリバプールが優勝した場合、トロフィーを掲げる選手たちの姿は大きく報じられるだろう。

その際に選手の胸にプリントされているのが、自社のロゴか、それとも競合他社のロゴか。これは大きな問題であったはずだ。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/liverpool-new-balance-kit-nike-contract-delay

サッカーワールドカップにおける男女の差②

アメリカ対オランダの決勝戦から遡ること4か月、「国際女性デー」の3月8日、アメリカ女子サッカー代表の28名はアメリカサッカー連盟を相手に訴訟を起こした。

選手たちは「連盟は女子選手を不当に扱っている。連盟は女子選手に対して男子選手と同等の賃金、遠征費、その他の労働環境(ピッチの芝など)を提供するべきだ」と主張した。

この主張に対して連盟側は「男女の代表チームでは選手に求められているものが異なり、生まれる収益にも差がある」と反論した。

加えて、労使協定の違いについても言及した。男子選手と女子選手は別々に連盟と労使協定を結んでおり、連盟はそれに則って給与を決定している。男子が歩合制で出場試合数などに応じた給与が支払われる一方、女子はパフォーマンスに拘わらず給与が保証されている。

これらの違いによって給与が決められるため額に差はあるが、それをもって「連盟が女子選手を不当に扱っている」とは言えないと連盟側は主張した。

両者それぞれに言い分はあるが、男子チームと女子チームがアメリカサッカー界にもたらす貢献度に関しては興味深いデータがある。

まず、女子代表はこれまで4回のワールドカップ優勝、6回のオリンピック優勝を果たしている一方、男子代表はどちらの大会でも優勝経験はない。前回のワールドカップに関しては出場することもできなかった。

ビジネス面においても女子代表チームの貢献は大きい。Nikeによれば、女子代表チームのユニフォームは、男子代表チームのものよりも人気で、サッカーのユニフォーム部門で最も売れている商品だという。また、Wall Street Journalの調査によれば、女子チームが生む収益は男子チームのそれよりも大きいという。

これらのデータに基づいて「男子が生み出す収益が女子よりも大きいから給与も男子のほうが多くて当然だ」という主張に異議を唱えるジャーナリストも少なくない。

ちなみに、ワールドカップ終了後、訴訟を起こした選手と連盟は、示談によって問題を解決する意思を示した。示談の結果がどのようなものになるか、注目である。

参考文献:
https://abcnews.go.com/Sports/world-cup-us-women-gender-discrimination-fight/story?id=64109603
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-us-womens-soccer-team-has-more-than-earned-equal-pay/2019/07/08/7a5bcd04-a19e-11e9-bd56-eac6bb02d01d_story.html?noredirect=on&utm_term=.9a38eca40743
https://www.nytimes.com/2019/03/08/sports/womens-soccer-team-lawsuit-gender-discrimination.html
https://www.cbsnews.com/news/60-minutes-women-soccer-team-usa-gender-discrimination-equal-pay-2019-07-10/
https://www.forbes.com/sites/niallmccarthy/2019/06/11/the-gender-pay-gap-at-the-fifa-world-cup-is-370-million-infographic
https://www.theguardian.com/football/ng-interactive/2019/jun/28/revealed-the-731003-gender-pay-gap-in-us-world-cup-bonuses

#StompOutCancer(ガンを踏みつぶせ!)

オレゴン州に本社を置くNikeは、同州ポートランドにあるDoernbecher Children’s Hospital(DCH)という病院と10年以上に渡って関係を築いてきた。

たとえば、DCHに入院するガン患者と一緒に新しいシューズをデザインし、その売上1700万ドルを同院に寄付している。

そんなNikeがDCHと、そしてNikeの「発祥の地」であるオレゴン大学と共同で展開したのが「#StompOutCancer(ガンを踏みつぶせ)」というキャンペーンである。

このキャンペーンでは、まず、オレゴン大学アメフトチームのユニフォームに、特別なロゴがあしらわれた。

チームマスコットがCancer(ガン)という文字を踏みつける様子が描かれている。このユニフォームは、ガン闘病を経験した10代の3名がデザインしたものである。

同チームは、この3名がガン闘病をしていた当時の様子や、ロゴをデザインしている姿などをまとめた動画を#StompOutCancerというハッシュタグとともに投稿した。

また、試合会場ではチームマスコットがCancerという文字を踏みつけるパフォーマンスが行われ、これも#StompOutCancerととともに投稿された。

View this post on Instagram

#StompOutCancer

A post shared by Oregon Ducks (@goducks) on

その他にも、ロゴデザインをした3名が選手に祝福される動画なども投稿された。

このキャンペーンは大きな反響を呼び、同チームのTwitterフォロワー数は113,000から509,000に急増し、また多くのファンが#StompOutCancerを使って様々なコメントを投稿した。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/10/09/In-Depth/Oregon.aspx

NBAのユニフォームスポンサー⑤ ユニフォームスポンサーシップの成果と今後

2017年に始まったユニフォームスポンサーシップを、NBAはどのように評価しているのだろうか。

一言で表せば、「大成功」だ。チーム、リーグ、そしてスポンサー企業も当初の予想をはるかに上回る成果に驚いているという。

Navigate Researchの調査によれば、試合中継の際、ユニフォームにつけられたスポンサーロゴは10~15分は画面上に大きく映されるため、メディア露出の効果は絶大だという。

数チームのユニフォームスポンサーシップの契約に携わったExcel Sports ManagementのEmilio Collins氏は「スポンサーシップの価値がぐんぐん伸びていることをデータが示しています。驚くべき伸びです」と言う。

では、NBAのユニフォームスポンサーシップは今後どうなっていくのか。

ここまでの投稿で再三言及している通り、今回のユニフォームスポンサーシップは「最終テスト」という位置づけであり、2020年4月にすべての契約が一度終了する段取りになっている。その後、オーナー会議が開かれ、スポンサーシップのルールに関して改めて議論し、最終的な結論を出す。

議論の対象になりそうなのがスポンサーロゴのサイズだが、これに関しては変更の必要性を訴えるような声は今のところ上がっていない。当初はファンの反発も懸念されていたが、「ファンは皆見慣れたようです」とオーランド・マジックのAlex Martins氏は言う。

意見が分かれそうなのが、「ファン向けに販売するユニフォームにスポンサーロゴをつけるべきか」という点である。正規ユニフォームのライセンシーであるNikeはロゴをつけることに否定的だが、複数のチームは「ファンは選手が着ているのとまったく同じものを欲している」と主張する。

2020年にNBAがどのような決断を下すのか。今後の動向に注目である。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/02/25/Leagues-and-Governing-Bodies/NBA-patches.aspx

ナイキ、エンドースメント契約の方針を変更

これまでナイキは、エンドースメント契約を結んだアスリートにある制約を課してきた。それは「ナイキのウェアにはナイキ以外の企業ロゴをつけてはいけない」というもの。

たとえば、錦織圭選手はユニクロのウェアを使用しているが、そのウェアには日清食品のロゴもついている。一方で、ナイキのエンドーサーであるセリーナ・ウィリアムズ選手のウェアにはナイキのロゴしかついていない。

このルールが適応されなかった唯一の例外は、中国のリー・ナ選手。同選手が2011年に全仏オープンを制覇した際、ナイキは彼女との契約を他社に奪われることを恐れて、この制約を解除した。

その結果、リー・ナ選手はメルセデスベンツと巨額のエンドースメント契約を結ぶことに成功し、その後は同社のロゴをナイキのウェアにつけてプレーした。

この度ナイキは、これまで厳格に適応してきたこのルールを緩和させる方針を示した。

たとえば、ナイキが最近契約を結んだ2人の中国人テニス選手は、SAPとGanten(中国のミネラルウォーターブランド)のロゴをウェアに掲載することになっている。

IMGのMax Eisenbud氏によれば、これらの契約によって2選手は、10万ドル以上の契約金を手にしたという。

ナイキとしては、他社のロゴがついていないほうがアスリートとの関係性を強調することができるが、アスリートとしてはこの制約があるせいで逃しているビジネスチャンスもある。

ナイキの今回の決断は、選手により大きな自由を与えることで他社に乗り換えられるリスクを減らす狙いがあると考えられる。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/02/18/Marketing-and-Sponsorship/Nike-China.aspx

Fanatics② 顧客第一の姿勢

現在Fanaticsは、NFL、NBA、MLB、NHLといったメジャーリーグとライセンシング契約を結んでいる。

NBAの場合、正規ユニフォームのライセンシーはNikeで、レプリカユニフォームのライセンシーがFanaticsである。Nikeが提供する正規ユニフォームは200ドルするが、 Fanaticsが提供するレプリカユニフォームは70ドル程度。NBAのユニフォームの売り上げは、95%以上がレプリカユニフォームであり、 Fanaticsはこのマーケットを獲得したことになる。

FanaticsはNHLのレプリカユニフォームのライセンシーでもある。2015年にNHLと16年間契約を結んだFanaticsは、まず数ヶ月をかけて顧客調査を行った。

同社のRaphael Peck氏は「当時販売されていたユニフォームは、選手が着ているのと全く同じものか、ちょっとだけ安くしたものしかありませんでした。グッズの製作段階でファンの意見が全く取り込まれていなかったんです」と言う。「まずは、ユニフォームのどの要素がファンにとって最も重要かを調べました。その結果、ファンはもう少し軽くて洗濯できるものを求めていることがわかりました。ごわごわしていない、直に着たとしても着心地がいいようなもの。その意見に基づいて、柔軟性の高い新素材を使うことにしました」。

さらに、Peck氏は「ファンにとって今欲しいものがすぐに手元に届かないのは最悪でしょう」と言い、流通経路の拡大も課題に挙げた。「数年前NBAでジェレミー・リンがフィーバーとなったときのように、だれか流行の選手が現れると、多くの人は今すぐにその選手のユニフォームが欲しくなる。そのニーズに応えるためには、24時間年中無休で商品を販売する必要がある。従来の流通方法ではそれが不可能でした」。

これらの発言から、Fanaticsが顧客第一に徹していることがわかる。そしてそれを実際のビジネスに反映できているのは、Fanaticsが縦型生産モデルを拡大してきたからに他ならない。

Fanaticsは2020年からMLBのレプリカユニフォームの製造も開始する見込みであり、同社がどのようなデザインでどのように販売するのか注目される。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/01/16/Marketing-and-Sponsorship/Fanatics.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/10/Marketing-and-Sponsorship/Fanatics.aspx