コロナウイルスの影響:テニス業界のケース

テニスは、スポーツ業界のなかでも色々な面で特殊である。そして、その特殊性ゆえに、コロナウイルスの影響も他のスポーツ組織とは異なる。

たとえば、テニス界には主要団体が3つあり(ATP、WTA、ITF)、それぞれが独自に大会を運営している。加えて、全仏オープンや全米オープンなどは独自の主催者がいる。

その結果、大会によってコロナウイルスへの対処法が異なり、関係者に混乱をもたらしている。

また、NBAやMLBは試合中止に備えて保険に加入しているが、ATPなどのテニス団体は、大会中止用の保険に加入していないことが多い。

その結果、損失の埋め合わせができず、経済的な影響が大きくなってしまっている。

選手にも特異な点がある。

まず、テニス選手は大会に合わせて世界中から集まるため、運営側は選手の管理が難しい。選手によっては入国制限がかかっている場合もある。そういった問題を個別に対応していくのは手間がかかる。

また、巨額のエンドースメント契約を結んでいるトップ選手を除けば、ほとんどの選手は大会賞金を主な収入源としている。そういった選手にとって、試合中止は収入ゼロを意味する。

チームと雇用契約を結び、固定給をもらうNBAやMLBの選手とは、試合中止の意味合いが異なるのである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/16/Leagues-and-Governing-Bodies/Tennis.aspx

ピケが変えるデビスカップ

男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ」は、1900年から続く伝統ある大会である。2019年、そのルールが一人のサッカー選手によって変えられる。

FCバルセロナに所属するジェラール・ピケは、2017年にKosmos Tennisというベンチャー企業を設立した。

31歳のピケはトップアスリートでありながら、起業家精神があり、他にもKosmos Studiosという映像制作会社を立ち上げている。

Kosmos Tennisの他の創設者は、音楽プロデューサーのNullah Sarker氏、Timbaland ProductionsのMike Evans氏、中国の大手代理店SecaのEdmund Chu氏、そして楽天の三木谷氏である。興味深いことに、テニス関係者は一人もいない。

2018年、Kosmos Tennisはデビスカップを主催するInternational Tennis Federation(ITF)と業務提携を結んだ。ITFの発表によれば、契約は25年30億ドル。

同年8月、ピケはFCバルセロナの練習を休み、フロリダ州オーランドで行われたITFの会議に参加した。そこで、207の加盟国を前に、Kosmos Tennisの計画をプレゼンした。その結果、加盟国の70%以上がこの計画を支持し、デビスカップのルール変更が公式に認められた。

Kosmos Tennisの計画によって、最も大きく変わるのが大会スケジュールだ。従来のデビスカップは、一回戦(2月)と二回戦(4月)、二回戦と準決勝(9月)、準決勝と決勝(11月)の間にそれぞれ数ヶ月のギャップがあった。これを、新ルールでは、全試合を11月の1週間に一気に行う。

この形式のほうが、スポンサー獲得や放映権販売が容易になるとKosmos Tennisは見ている。

しかしKosmos Tennisのビジョンは、大会の収益拡大に留まらない。同社のSarker氏は、2018年のインタビューの中で、ITFともう一つの国際的なテニス団体であるAssociation of Tennis Professionals(ATP)の統合に言及した。

「我々は2団体の統合を期待しています。我々がやろうとしているのは、テニスコミュニティを一つにすることなのです。それは選手だけではなく、組織も。それができたら素敵ですよね。全力を尽くして、あらゆる誤解を解いていたいと思います」。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/17/Events-and-Attractions/Kosmos.aspx
https://www.daviscup.com/news/281842.aspx
https://www.kosmosholding.com/#about
https://www.kosmostennis.com/