FanaticsがIOCと業務提携、「常設オンラインストア」の設立を目指す

Photo Source: https://www.sportico.com/business/commerce/2021/fanatics-olympics-shop-1234645099/

IOCはFanaticsと業務提携を結び、オリンピック関連グッズを販売する常設オンラインストアの設立を目指すと発表した。

従来、オリンピックの公式オンラインストアは、各オリンピック組織委員会によって設立され、大会終了とともに閉鎖されてきた。

しかしこのような一時的なグッズ販売では、利用者層に限りがあり、知識の共有もなく、顧客データの活用も限定的にならざるを得なかった。

今回初めてIOCが責任者となり、Fanaticsとともに常設のオンラインストアを設立することでこれらの課題解決を目指す。

その第一段階としてFanaticsは、2024年パリ大会、2026年ミラノ・コルティナ大会、2028年ロサンゼルス大会のネット販売の統合に取り組むという。

なお、今回の契約に伴い、Fanaticsは上記の3大会および過去のオリンピック大会の関連グッズを制作する権利も獲得している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-ioc-paris-2024-olympics-ecommerce-platform-merchandise/

パリ五輪、会場計画を変更

Photo Source: Olympic.org

2024年に開催されるパリ五輪の組織委員会は、会場計画の変更を発表した。

新計画の肝は「一つの会場で複数競技を行うこと」で、たとえば、パラ水泳とパラテコンドーの試合は同じ会場で行われる。

今回の変更によって、建設が予定されていた複数の仮設会場が不要になり、32競技のうち24が選手村から10km以内で実施されることになるという。

パリ五輪組織委員会は、コロナウイルスの影響による大幅な収益減を想定して、現在4億ユーロ(約500億円)規模のコストカットを試みている。今回の会場計画変更もその一部である。

また、今回の計画変更により、環境や地元コミュニティへの影響も改善されるという。

今回発表された新計画は、今後IOC、IPC、そして各種競技団体の承認を得る段取りになっている。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/paris-2024-olympics-paralympics-venue-plan-cost-budget

IOCの放映権収入減少

東京オリンピックの延期によって、アメリカ大手テレビ局のNBCからIOCに支払われるはずであった放映権料が減少することがわかった。

1988年に初めて放映権契約を結んで以来、NBCとIOCは長期的な関係を築いており、NBCとの契約は現在IOCにとって最大の収入源となっている。

現在の放映権契約は、2011年に結ばれたもので、有効期限は2020年まで。契約金の総額は43.8億ドル(約4600億円)である。なお、この契約は2014年にすでに延長が決定されており、総額77.5億ドル(約8100億円)で2032年まで有効な契約となっている。

東京オリンピックの延期によって、この契約に含まれていた「削減条項」が適用され、支払額が減少することになった。なお、どの程度の減額になるかは明らかになっていない。

関係者によれば、東京オリンピックの放映権料については、2021年に実際に開催が実現してから改めて交渉することになるという。

ちなみに、NBCとIOCの放映権契約には「中止条項」も含まれており、東京オリンピック延期によって、契約を完全に中止することも可能であったが、この権利は行使されなかった。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ioc-nbc-broadcast-negotiations-tokyo-2020-tv-deal-coronavirus

ソルトレークシティ、2034年五輪を誘致か

ソルトレークシティ(ユタ州)が2034年冬季五輪に立候補する可能性が出てきた。同市は当初2030年大会の誘致を検討していたが、計画を変更するかもしれない。

アメリカと五輪といえば、2028年にロサンゼルスが夏季五輪を開催することが決定している。

その2年後に再びアメリカで五輪を開催することは、2つの観点から現実的ではない。

1つは、「世界各地の色々な地域で五輪を開催するべき」というIOCの方針にそぐわない、という点。

実際、2030年大会には札幌が立候補しており、そちらのほうが現実的だと関係者は見ている。

もう1つは、国内企業とのスポンサー契約が難航する可能性がある、という点。

アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会は、2028年のロサンゼルス五輪を中心に巨大なスポンサー契約を結ぼうとしている。

そこで多くの広告費を使った企業が、2年後の五輪で再び大きな予算を組めるとは限らない。

ユタ州の見積もりによれば、ソルトレークシティでの五輪開催には約14億ドル(約1500億円)の予算が必要になるという。

それだけの予算を使うのであれば、収益が最大化できるタイミング、つまり2034年まで待つべきだろう、というのが一部関係者の見立てだ。

参考文献:
https://www.nbcchicago.com/news/sports/salt-lake-city-eyes-2034-olympics-after-sapporo-bid-for-2030/2218368/

IOC、政治的メッセージに関する新基準を発表

先週木曜日、IOCは新たな基準を発表した。新基準の目的は、オリンピック期間中にアスリートが政治的なメッセージを発信することを厳格に取り締まること。東京オリンピックから適用される。

アスリートが政治的なメッセージを発信すること自体は、オリンピック憲章50条によって禁止されてきたが「どういった言動が政治的と見なされるか」に関しては明確な基準がなかった。

今回発表された基準では、「膝をつくこと」「アームバンドに政治的なメッセージを書き込むこと」「メダル授賞式を妨げること」「拳を突き上げるような手を使ったジェスチャー」などが禁止事項として挙げられた。

一方で、新基準はアスリートが自由に意見を発信できる場も明確にした。

たとえば、インタビュー、プレスカンファレンス、SNSなどでは、メッセージを自由に発信することが認められた。

新基準を違反した場合の罰則に関しては、IOCではなく各国のオリンピック委員会(日本の場合はJOC)に一任するとも発表された。

IOCが罰則を与えない以上、メダルはく奪のような重い罰則は与えられないとも推測される。

たとえば、昨年8月、ペルーで開催された国際大会においてハンマー投げのウェン・ベリー選手が国歌斉唱中に拳を突き上げた。

アメリカオリンピック委員会は、これを政治的な行動と見なし、「12か月の保護観察」という罰則を科している。

さて、東京オリンピックでは、禁止された行動を強行するアスリートは現れるのか。現れた場合、どのような罰則が与えられるのか。SNSではどのようなメッセージが発信されるのか。注目である。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2020/01/09/sports/olympics/olympics-protests-politics.html
https://www.olympic.org/-/media/document%20library/olympicorg/news/2020/01/rule-50-guidelines-tokyo-2020.pdf

Rule 40とは何か?③

今年2月、ドイツの連邦カルテル庁は「Rule 40はアスリートの権利を不当に制限している」という決定を下した。

これを受けて、IOCは、Rule 40の運用を各国のオリンピック委員会に委ねると発表した。「世界中のアスリートを一律に管理するのは難しいので、各国で臨機応変にやってください」ということだ。

そして、今週8日、アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、Rule 40に関する独自の新基準を発表した。

これによれば、アメリカ代表選手は、オリンピック期間中でも、個人スポンサーに対する御礼コメントをSNSに投稿することが許され、また、スポンサー側もアスリートを祝福するコメントを投稿することができるようになるという。

ロンドンオリンピックで抗議行動を起こしたアスリートたちの願いが叶った瞬間である。

しかし、そのようなSNSの使い方をする場合、アスリートは予めUSOPCに申告し、スポンサー企業はUSOPCが作成した誓約書に署名することが義務付けられる。

誓約書の詳細は明らかになっていないが、オフィシャルスポンサーの権利を侵害しないよう、禁止事項が細かに定められるという。

すべてを契約ベースにすることでグレーゾーンをなくす、というのはアメリカらしいと言えるかもしれない。

新ルールが適用されるのは、2020年東京オリンピック開幕の10日前から。ルール違反が見つかった場合、その選手のオリンピック出場権が剥奪される可能性もあるという。

今回の決定について、USOPCのCEOであるSarah Hirshland氏は「Rule 40を尊重し、オフィシャルスポンサーの価値も守りつつ、アスリートたちにより多くのマーケティング機会を提供する。そのようなルールをつくることを心掛けました」と語る。

今後、JOCを初め、他国のオリンピック委員会が同様の決定を下すか、注目である。

参考文献:
https://www.insidethegames.biz/articles/1076055/german-decision-scales-back-powers-of-iocs-rule-40
https://www.wsj.com/articles/u-s-olympic-leaders-relax-marketing-rules-for-athletes-11570550581

Rule 40とは何か?②

2016年のリオオリンピックから、Rule 40の内容が一部変わり、アスリートにより大きな自由が与えられた。

最も大きな変更は、大会期間中でも企業の広告に出演することが許可されたことだ。

たとえば、錦織圭選手は日清食品とエンドースメント契約を結んでいるので、オリンピック開催中にカップヌードルのCMに出演することができる(以前は禁止されていた)。

実際、アンダーアーマーは体操アメリカ代表選手を起用したCMをリオオリンピック開催中に放送した。

しかし、これらの広告には、「オリンピックと関連のある表現は使ってはいけない」という但し書きもついた。たとえば、「オリンピック」「リオ」「メダル」「金・銀・銅」といった言葉の使用は禁止された。

また、企業は事前に各国のオリンピック委員会(日本の場合はJOC)に広告の内容を伝え、許可をもらうことが義務付けられた。

アスリートによるSNSの使用に関しては、引き続き、企業の広告ととれるような投稿をすることは禁止された。

しかし、ここにはグレーゾーンが存在する。

たとえば、寝具メーカーのCMに出演するアスリートが「今日もよく眠れました!金メダル獲ってきます!」とツイートすれば、その寝具メーカーとオリンピックの関連性を消費者の頭のなかに作り出すことができてしまう。

このように、Rule 40の改定によって、アスリートがより積極的に、エンドースメントの価値向上に貢献することができるようになった。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2015/05/18/Opinion/Grady-McKelvey.aspx

オリンピック開催地の決定方法変更へ

2019年6月26日、IOCのメンバーは、オリンピック開催地の決定方法を変更することで合意した。

従来は、オリンピックを開催したい都市が立候補し、誘致キャンペーンを展開し、最終的にIOCメンバーが投票することによって開催地が決定していた。

ところが近年は「立候補する都市が少ない」、「誘致キャンペーン中に不正が行われる」、「地元住民が誘致に反対する」といった問題が表面化し、開催地決定方法の見直しが叫ばれていた。

新制度では、IOCスタッフと誘致委員会が、自らオリンピックを開催できそうな都市を見つけ、交渉にあたる。

開催計画も、以前は誘致都市が作成し、IOCはそれを評価する立場だったが、今後はIOCと誘致都市が協力して作成する。

複数都市が同時期の開催を希望した場合は、実現可能性を考慮し、必要であれば開催時期をずらすよう(あるいは開催自体を断念するよう)助言する。

最終的にはIOCメンバーの承認が必要となるため、複数都市が競い、決戦投票によって開催都市が決まる可能性もなくはないが、それは限りなく低いと専門家は見ている。

この投票式から交渉式への変更は、誘致都市により大きな発言権・決定権を与え(従来はIOCの決めたことを誘致都市は受け入れるしかなかった)、その都市のニーズや能力に合った大会運営が可能になると期待される。

一方で、これまで多くの注目を集めてきた決選投票がなくなることで、オリンピックへの関心が薄れることを懸念する声もある。

ちなみに、このような投票式から交渉式への変更はIOCだけでなく、IAAFやNFLといったスポーツ組織も行っている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/08/Olympics/Olympics.aspx

IOC、「クリーン・ベニュー」を緩和

従来IOCは、競技施設を使ったスポンサーシップ活動を一切禁止してきた。

たとえば、FIFAワールドカップではピッチの横にスポンサーロゴが並んでおり、観戦者や視聴者の目に触れるようになっているが、オリンピックではそのような広告は一切排除されている。

このルールは「クリーン・ベニュー(Clean Venue:「きれいな会場」の意味)」と呼ばれ、長らくオリンピックにおけるスポンサーシップの原理となってきた。

2019年3月、IOCのChristian Voigt氏は、同団体がクリーン・ベニューに一部変更を加えることを認めた。同氏によれば、スポンサーロゴがついていることが不自然でない場合に限って、スポンサーはロゴをつけることが認められるという。

たとえば、IOCのオフィシャルスポンサーであるOmegaは、競泳のタイムを測定するためのシステムを提供している。この場合、選手がゴールでタッチする「壁」はOmegaが提供している測定システムの一部なので、同社のロゴがついていても不自然ではない。

競泳選手がゴール後にタイムを確認する姿はテレビ画面に大きく映され、ハイライトやニュースなどでもよく使われる。その映像に自社のロゴが映されるというのは、Omegaにとっては大きな利益となる。

一方で、そこにCoca ColaやToyotaのロゴがあることは「不自然」であるので、引き続き禁止される。

今回のルール変更に関して前出のVoigt氏は「我々は、クリーン・ベニューという原理を尊重しつつ、スポンサー企業の投資に見合った成果を提供したいと考えています。可能な限り、各企業の要望に柔軟に対応したいと考えています」と説明した。

IOCはスポンサーシップの契約金を拡大することを一つの目標としており、今回のルール変更はそのための施策であると考えられる。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/03/11/Olympics/Olympics.aspx