Facebook、スポーツ放映権を2つ手放す

Facebookは以下の2つの放映権を手放すことを決めた。

1. ラテンアメリカにおけるUEFAチャンピオンズリーグの放映権
2. インドにおけるLa Ligaの放映権

どちらの契約も2018年に締結されたもので、当時Facebookがスポーツ中継という分野に本格参入することを示す象徴的な契約であった。

しかしそれから3年後、Facebookはどちらの契約も延長しない方針を発表した。

同社のスポーツリーグ・メディア担当者のロブ・ショー氏は以下のように説明する。

「我々はどちらのリーグとも素晴らしい関係を築いています。しかし現実を見ると、こういった旧式の放映権契約は、現在我々が推進している映像ビジネスモデルとは相容れないのです。」

またFacebookがこれまで行ってきた無料ストリーミングについて同氏は、「スポーツリーグにとっては、大きな放映権を得るというよりは消費者との関係性を築くという意味において可能性の大きなビジネスモデルだと思う」と話した。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/facebook-champions-league-la-liga-rights-live-streaming

Facebook、主要スポーツ局と次々に契約

先月下旬、FacebookはESPNと業務提携を結んだ。

この契約によって、ESPNが制作したスポーツコンテンツが、Facebookが管理する動画サービスFacebook Watchに投稿される。

Facebookは、ここ数年、スポーツとの関わりを強めてきた

たとえば、昨年からMLBの公式戦をネット中継しており、アメリカ国外では、カンボジア、ラオス、そしてベトナムで、プレミアリーグの試合をネット中継している。

今回のESPNとの契約によって、同社が持つスポーツコンテンツに、カレッジスポーツや総合格闘技といったスポーツが加わる。

さらにその数週間後、Facebookはもう一つの主要スポーツ局、Fox Sportsとも同様の契約を結んだ。

Fox Sportsは、NFL、NASCAR、ボクシング、そしてギャンブルに関するコンテンツをFacebookに提供する。

これらの相次ぐ契約はFacebookからスポーツ局へのメッセージともとれる。

つまり、Facebookは、同社が主要スポーツ局にとって「競合」ではなく「パートナー」であることを示したのである。

これらの契約に関してFacebookのRob Shaw氏は「Facebook Watchをスポーツファンの集まる場所にする、というのがコンセプトです。今後もこういった契約を結び、すべての主要メディア、すべてのスポーツリーグと関係を築いていきたいと考えています」と語る。

参考文献:
https://finance.yahoo.com/news/facebook-espn-partnership-intensifies-sports-150003911.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/10/14/Media/Sports-media.aspx

World Surf Leagueの放映権ビジネス

2018年1月、サーフィンのプロリーグWorld Surf League(WSL)はFacebookと2年間の独占放映権契約を結んだ。

この契約によってWSLの試合はすべてFacebook上でネット中継されることになった。

WSLファンの平均年齢は32歳。一方、Facebookユーザーの3分の2は35歳以下。そして、サーフィンは世界中で観戦されているスポーツである。

ここから、WSLはFacebookがファン拡大のために最も有効なプラットフォームと考えたのである。

また、独占放映権を与えたことでWSLはFacebookから同リーグ過去最大の放映権収入を得ることに成功した。

ところが、それから一年余り、WSLはFacebookとの契約の「独占放映」という部分を解除し、(Facebook上での中継も続けながら)他の中継方法を模索し始めた。

たとえば、アメリカでは大手テレビ局Fox Sportsと契約を結び、テレビで試合を中継した。

WSLのCEO、Sophie Goldschmidt氏は「これだけ大手のテレビ局で放送してもらえるのは我々にとって非常に重要です。そしてFacebookを使ったネット中継をうまく補ってくれます」と話す。

今回のWSLの決定は、ネット中継(特にソーシャルメディア上での中継)のみを行うことの限界とテレビとネットをうまく組み合わせた試合中継戦略の重要性を示す事例の一つと言えるだろう。

2019年、WSLの試合中継視聴者は前年比で25%増であった。

参考文献:
https://www.forbes.com/sites/kurtbadenhausen/2018/01/24/facebook-and-world-surf-league-announce-exclusive-partnership/#7cdb94995560
https://digiday.com/media/world-surf-leagues-live-viewership-grown-removing-exclusivity-facebook-live-deal/
https://www.worldsurfleague.com/

スポーツ中継の動向⑩ Amazon、Twitter

以前の投稿で紹介したように、Amazonは2017年にNFLと1年契約を結び「Thursday Night Football」のネット中継放映権を獲得した。その後AmazonはNFLと2年1億3000万ドルの契約結び「Thursday Night Football」の放映権を2シーズン分更新した。また、Amazonが2014年に買収したTwitchは、eスポーツのネット中継プラットフォームとして絶大な人気を誇る。

Twitterは、NFL、MLB、NHL、MLSといったスポーツをネット中継してきた。

このように、ここ数年、Facebook、Amazon、Twitterといった企業が次々にスポーツ中継ビジネスに参入している。しかしこれらの企業にとって、今はまだスポーツ中継のコンテンツとしての価値を見極めている段階である。

TwitterのTJ Adeshola氏は「我々が2016年にNFLを中継した際に学んだことは、ライブで人気コンテンツを放映するとTwitterユーザーはより没頭するということ。より長い時間滞在し、ツイートする。我々にとってはそれこそが最も重要なことです」と話す。

FacebookのPeter Hutton氏は「我々は色々な国で、色々なスポーツを、色々な形で試してきました。様々な可能性を探って、我々にとって最も相性の良いものを見極めることが重要です。結論を急ぐことは簡単。でもそれは我々の望むところではありません」と語る。

実際、放映権を購入したことがニュースになりがちだが、各社が放映権獲得を見送るケースも多い。たとえば、PGA Tour(ゴルフ)やWWE(プロレス)、Formula One(オートレース)といったスポーツの放映権が販売された際に、Amazon、Facebook、Twitterといった企業は興味は示したが本気で放映権を獲得しようとはしなかった。

AmazonなどはESPN+と違い「スポーツ中継プラットフォーム」としてブランディングをしているわけではない。スポーツは、ユーザーを引きつけるための一コンテンツに過ぎない。極端な話、Thursday Night Footballのみ放映し続ける可能性もある。

Amazon、Facebook、Twitterといった企業が今後どの程度スポーツ放映権を獲得しにいくかはまだまだ不透明である。

参考文献:
https://techcrunch.com/2017/05/11/twitter-announces-a-new-deal-for-year-round-nfl-content-that-includes-live-video-but-no-games/
https://techcrunch.com/2018/03/12/twitter-snags-the-major-league-soccer-live-streaming-deal-from-facebook/
https://www.nhl.com/news/nhl-games-to-stream-live-on-twitter/c-281227666
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/15/In-Depth/Main.aspx

スポーツ中継の動向⑨ Facebook

ここまで数回に渡ってBAMTechとESPN+について解説してきた。これらはどちらも長年スポーツ業界にいた組織(MLBとESPN)が立ち上げたものである。

一方で、昨今、これまでスポーツ業界にいなかった企業もスポーツネット中継ビジネスに参入している。

たとえばFacebookは、2018年にMLBと契約を結び、平日のデーゲーム25試合のネット放映権を獲得した。この契約にFacebookは3000万ドルを費やした。

それに続いて、カレッジスポーツのカンファレンスの一つであるConference USAのネット放映権も購入。こちらは契約金100万ドル。

Facebookがスポーツ中継のためにこれだけの額をつぎ込むことはこれまでなく、今回の相次ぐ大型契約は、同社がスポーツ中継に本腰を入れ始めたことを示唆している。

また、これらの契約の前、FacebookはEurosportからPeter Hutton氏をヘッドハンティングしていた。以前の投稿で言及した通り、Eurosportはオリンピックの放映権を持つヨーロッパで有力なメディアで、BAMTechがヨーロッパに進出した際に最初に業務提携を結んだ会社である。つまり、スポーツ中継に関する高い専門性を有した人材をFacebookは獲得したわけである。ここからもFacebookの本気度がうかがえる。

一方で、Facebookが今後どれほどスポーツ中継ビジネスを拡大していくかは不透明である。今回中継したMLBの試合は25試合のみで、しかもコンテンツとしての価値が極めて低い平日デーゲーム。Conference USAもカレッジスポーツのなかでは最も人気のあるカンファレンスとは言い難い。

ある関係者は「Facebookが今回得たのはただの”余り物”だ」と言う。また、スポーツメディアコンサルトのEd Desser氏は「Facebookは存在感を強めてはいるが、たとえばNFLのネット放映権のために20億ドル払うかというと、現時点でそれはないと思う」と話す。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/03/19/Media/Streaming.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/08/20/Media/Sports-Media.aspx

スポーツ中継の動向③ MLBのネット中継戦略

2017年7月、Discovery CommunicationsのDavid Zaslav氏は北米四大スポーツリーグのコミッショナーにインタビューを行った。

インタビューの中で、Zaslav氏は「人々がどのように映像コンテンツを楽しむかが変わってきている。彼らの行動パターンが変わり、利用するプラットフォームが変わってきている。これが四大スポーツリーグがこれから直面する問題である」と問題提起をした。

これに対して、MLBコミッショナーのRob Manfred氏は「従来のケーブルテレビはこれから先もなくなることはない。同じ規模で残ることはないかもしれない。それでも、なくなることは決してない」とした上で「MLBをあらゆるプラットフォームで視聴できるようにしなくてはならない」と語った。

他リーグのコミッショナーもほぼ同じ意見で、簡単にまとめれば「ケーブルテレビビジネスはこれからも大事。しかしそれ以外のスポーツ中継方法も積極的に探っていく」という結論であった。

ここで重要になるのが「テレビ以外の中継方法」が具体的に何を指すか、という点である。これはもちろんネット中継を指すのだが、ネットと言っても様々である。

たとえばMLBは、自らが運営するMLB.TVで2002年からネット中継を行ってきた。このMLB.TVでは、顧客から会費(年18~25ドル)を徴収することで利益を上げている。Netflixと同じようなビジネスモデルである。

これに加え、2017年5月からはFacebookとTwitterと契約を結び、公式戦を中継し始めた。MLB.TVと異なり、Facebook・Twitter上での中継はすべての人に無料で公開されている。その代わり、MLBはFacebookとTwitterから放映権料を徴収している。従来の放映権ビジネスに似たビジネスモデルであると言えるだろう。

さらにMLBは2018年11月、動画配信会社のDAZNとの契約を発表した。2016年設立のDAZNは、日本ではJリーグのネット中継を行っているが、北米では「格闘技のネット中継チャンネル」というイメージが強かった。今回のMLBとの契約は、DAZNが格闘技に留まらず、北米スポーツ業界で存在感を強めていこうとする姿勢の表れととれる。

一方で、MLBは、より多くの方法で試合を中継できるようになる。契約に際してManfred氏は「この度の契約は、MLBをすべてのプラットフォームで視聴できるようにするという取り組みの一環である」と述べた。

参考文献
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/31/Media/Sports-media.aspx
https://www.mlb.com/live-stream-games
https://www.forbes.com/sites/maurybrown/2017/05/25/live-mlb-games-begin-streaming-to-twitter-on-tuesdays-comes-on-heels-of-facebook-deal/#3433619b5f0d
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/102400053/012000014/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/19/Media/MLB-DAZN.aspx