Facebook、主要スポーツ局と次々に契約

先月下旬、FacebookはESPNと業務提携を結んだ。

この契約によって、ESPNが制作したスポーツコンテンツが、Facebookが管理する動画サービスFacebook Watchに投稿される。

Facebookは、ここ数年、スポーツとの関わりを強めてきた

たとえば、昨年からMLBの公式戦をネット中継しており、アメリカ国外では、カンボジア、ラオス、そしてベトナムで、プレミアリーグの試合をネット中継している。

今回のESPNとの契約によって、同社が持つスポーツコンテンツに、カレッジスポーツや総合格闘技といったスポーツが加わる。

さらにその数週間後、Facebookはもう一つの主要スポーツ局、Fox Sportsとも同様の契約を結んだ。

Fox Sportsは、NFL、NASCAR、ボクシング、そしてギャンブルに関するコンテンツをFacebookに提供する。

これらの相次ぐ契約はFacebookからスポーツ局へのメッセージともとれる。

つまり、Facebookは、同社が主要スポーツ局にとって「競合」ではなく「パートナー」であることを示したのである。

これらの契約に関してFacebookのRob Shaw氏は「Facebook Watchをスポーツファンの集まる場所にする、というのがコンセプトです。今後もこういった契約を結び、すべての主要メディア、すべてのスポーツリーグと関係を築いていきたいと考えています」と語る。

参考文献:
https://finance.yahoo.com/news/facebook-espn-partnership-intensifies-sports-150003911.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/10/14/Media/Sports-media.aspx

ESPN、「Dog Day」を放送

8月24日、ESPNは「Dog Day」という特番を組み、犬のアジリティやプール飛び込みの大会を放送した。このような犬のイベントをESPNが中継するのは初めて。

この大会は、コネチカット州ブリストルにあるESPNの巨大スポーツ施設で開催され、その模様はESPN2(テレビ中継)とESPN App(ネット中継)で中継された。

試合中継に加え、ESPNの名物コーナー「SportsCenter Top 10」のパロディーコーナーも設け、犬の珍プレー・好プレーをランキング形式で発表した。

この企画をESPNに持ち込んだのは、犬の血統書を発行しているAmerican Kennel Club(AKC)という団体。ここで働くRon Furman 氏は、以前NFLの放映権やスポンサーシップの営業をしており、経験と人脈があった。

Furman氏が今年3月ESPNに企画を持ち込んだ際に強調したのは以下の数点。
・犬を飼っている人は全米で延べ7200万人。これはスポーツファンの数よりも多い(四大リーグの熱狂的なファンは全米で2500万人)。
・AKCは500万人以上のSNSフォロワーがおり、昨年にはネット中継のプラットフォームAKC.TVも立ち上げた。
・AKCが主催するイベント参加者の65%は女性。女性はESPNが注力するマーケットの一つ。
・これらから、Dog DayはESPNに顧客ベース拡大の機会を与える。

ESPNのCliff Shoemaker氏は「社内で話をするたびに支持者は広がっていきました。これが犬の力なのでしょう」と言う(ちなみに本人は犬アレルギー持ち)。

広告代理店CSM社の Charlie Severn氏は「スポーツと違い、特定のチームを応援するわけではありません。みんな犬が大好き。これはマーケティング上重要なことです」。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/16/Marketing-and-Sponsorship/Marketing-and-Sponsorship.aspx
https://www.espnfrontrow.com/2018/06/enjoy-a-birds-eye-tour-of-espns-bristol-campus/

ESPN、リトルリーグ・ワールドシリーズの中継方法を改革

ESPNは、リトルリーグ・ワールドシリーズを長年にわたって中継してきたが、その中継方法は年々変わってきている。

今年は、大きく2つの改革があった。

1つは、選手を360度あらゆる角度から撮ったリプレー映像の導入。これはプロスポーツの中継ではすでに活用されている技術だが、リトルリーグ・ワールドシリーズの中継に使われるのは初めてである。

もう1つは、代替放送の導入。代替放送とは、ある放送局が運営する複数のチャンネルを使って同じ試合を中継すること。試合自体は同じだが番組の構成や提供される情報はまったく別物になる。

日本では副音声が一般的だが、代替放送ではチャンネル自体を変えて、音声以外の要素も明確に差別化される。

これは、放送局が運営するチャンネル(ネット中継プラットフォームも含め)が増加するなかで、近年広まっている概念である。

代替放送の最たる例がESPNのMegacastである。Megacastとは、ESPNが持つチャンネルをフルに活用して一つのスポーツコンテンツを放送する手法で、たとえば、今年のカレッジフットボールの全米選手権決勝は、12以上のチャンネルで中継された。

また、2018年のMLBホームランダービーは、ESPN、ESPN2、ESPNewsの3チャンネルで放送され、その視聴数者はそれぞれ560万、85万、33万であった。

今回のリトルリーグ・ワールドシリーズでは、ESPNで従来型の試合中継をしながら、ESPN2で「kidscast」という番組を放送した。これは、16歳の子ども2人がレポーターとなって様々な情報を伝えるというものである。

「頑張っている子どもたちを親目線で見る」という従来の楽しみ方ではなく、「活躍する同世代を友達目線で見る」という新たな観戦の仕方を提示する。

ESPNのMark Gross氏によれば、スポーツの代替放送は今後さらに成長していくという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/19/Leagues-and-Governing-Bodies/Little-League.aspx

銃乱射事件、eスポーツ業界への影響

アメリカでは、今月に入ってから、エルパソ(テキサス州)やデイトン(オハイオ州)といった土地で銃乱射事件が相次いでいる。

今月5日に開かれた会見で、トランプ大統領は、銃を使うテレビゲームが人々の暴力行為を助長している可能性について言及した。

その翌日、ESPNは予定されていたeスポーツ大会の放送を自粛した。その理由として、ESPNは、エルパソとデイトンで起こった銃乱射事件をあげた。

また、Walmartは銃を使ったテレビゲームを販売する店舗に出していた広告をすべて撤去した。

これらの一連の出来事は、銃乱射事件がeスポーツ業界に与える影響の大きさを物語っている。

eスポーツで使われるゲームには、銃などの武器で対戦相手を殺すものが多い。

「暴力描写の多いゲームをプレーすることが実社会における暴力に直結する」という可能性については、多くの研究者によってすでに否定されている。

それでも、その可能性を信じる消費者や企業は多く、銃乱射事件が起こるたびにeスポーツから距離を取る動きが現れる。

eスポーツに詳しいコンサルタントのRod Breslau氏は、「ESPNがあれほど素早く放送延期を決断したのを見ると、銃乱射はeスポーツ業界に影響を及ぼすと言わざるを得ません」と言う。

では、eスポーツ業界はこの現状をどのように変えればいいのか。

Complexity GamingのJason Lake氏は、eスポーツ関係者はもっと声を上げるべきだと指摘する。Lake氏は「関係者のなかには、その話題に触れないようにする人もいますが、私はゲーム業界として取り組む問題だと思います」と語る。

参考文献:
https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/fact-check-trump-suggests-video-games-blame-mass-shootings-n1039411
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/19/Esports/Esports-violence.aspx

NFL、Sunday Ticketの放映権を巡る駆け引き

「Sunday Ticket」とは、日曜日に放送されるNFL中継の番組名で、番組制作はFoxとCBSが担当し、放映はDirecTVが行っている。

Sunday Ticketは「Out-of-market」と呼ばれる、地域外に住む人々を対象にした番組である。

たとえば、ニューヨークに住むダラス・カウボーイのファンは、ダラスに住む地元ファン向けの試合中継は観戦できないが、DirecTVと契約することで同じ試合の観戦が可能になる。

このSunday Ticketの放映権を巡る動きが活発になっている。

先述したように、現在、Sunday Ticketの放映権はDirecTVが独占的に保有している。言い換えれば、Sunday Ticketを見るためにはDirecTVに加入することが必須である。

DirecTVはNFLと8年契約を結んでおり、その契約金は年間およそ15億ドルにも及ぶ。

この契約は2022年まで有効だが、NFLはそれより前に契約を切る権利を持っており、その権利を行使する期限が今年の9月に迫っている。

NFLにとってDirecTVとの契約は、多額の放映権収入が保証されるというメリットがある反面、他の放映方法を探る機会を放棄することを意味する。

たとえば、若年層のファン拡大を狙うのであれば、ネット中継を試すというのも手である。実際、カナダではSunday TicketはDAZNが配信を行っている。

Amazon、DAZN、ESPNはSunday Ticketをネット中継することに興味を示しているものの「独占的配信権」を得るつもりはないという。独占的配信権となればそれだけ放映権料も巨額になるからだ。

NFLが巨額の放映権収入を見込める独占的配信権にこだわるのか、あるいは独占を諦め、より規模の小さな契約を複数社と結ぶのか。

契約の相手はDirecTVか、他のケーブルテレビ業者か、あるいはネット中継業者か。

今後の動向に注目である。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/17/Media/Sunday-Ticket.aspx

NHLの放映権争奪戦

NHLは、2004-05年シーズンのロックアウト(選手のボイコットによる全試合中止)以来、全国放送の試合中継はNBCがすべて行ってきた。

一つのテレビ局が独占放映権を持つのは、北米四大スポーツリーグでは珍しいことである。

他リーグでは、NFLが4局、MLBが3局、NBAが2局と全国中継の放映権契約を結んでいる。

MLBを例にとれば、ESPNが日・月・水曜日のナイター、Fox Sportsが土曜日のデーゲームおよびナイター、TBSが日曜日のデーゲームを中継している。

このように複数のテレビ局と契約を結ぶことで収入源が増え、また、各局が抱える独自の視聴者層にアプローチすることができる。

一方NHLは、前述したロックアウトが原因で、複数局と好条件で契約することが困難になり、NBCとの独占契約を結ぶことになった。

そのNBCとの契約が2020-21年シーズン後に切れる。

関係者によれば、NHLはNBCと契約延長はせず、複数のテレビ局と契約することを検討しているという。

まだ交渉は始まっていないが、すでにESPN、Fox Sports、Turner Sportsといった大手スポーツ局、そしてAmazonやTwitterも放映権獲得に興味を示しているという。

週末の試合はESPNでテレビ中継、平日のデーゲームはTwitterでネット中継というようなこともあるかもしれない。

今後、NHLの放映権契約に関するニュースを目にしたとき、どこのテレビ局(あるいはネット中継プラットフォーム)との契約なのかだけでなく、何曜日の試合なのか、プレーオフは含まれるのか、なども注目すると理解が深まるだろう。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/05/27/Media/Sports-media.aspx

二大スポーツメディアのスポーツ賭博ビジネス

2018年の最高裁判決後、スポーツ賭博を合法化する州は増加している

ESPNとFox Sportsというアメリカの二大スポーツメディアは、どのようにスポーツ賭博に携わるのだろうか。各社のスポーツ賭博に関する戦略が明らかになった。

まずESPNは、2019年3月にESPNの姉妹チャンネルESPNewsで「Daily Wager」という番組を開始し、スポーツ賭博に関する情報を提供している。

さらにESPNはスポーツ賭博に関する新番組を制作する予定で、その新番組を活用して広告収入の拡大を狙う。

新番組は、Caesars社がスポンサーとなり、オッズに関する情報を提供することで番組をサポートする一方、CMを通じて同社の宣伝も行う予定だ。

一方、Fox Sportsは、さらに革新的な戦略を持つ。

同社は、昨秋から「Lock it In」というスポーツ賭博に関する番組を放送しているが、今後は、The Stars Groupと共同でFox Betという携帯アプリ制作に取り組む。

Fox Betの用途は、単なるスポーツ賭博情報の発信ではない。人々は、このアプリを使って、実際に賭けができるようになるのである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/05/20/Media/ESPN-Fox-gambling.aspx

ESPN、eスポーツの大学選手権を初開催

2019年5月10-12日、College Esports Championship(CEC)の決勝ラウンドがヒューストンで開催された。

CECは、その名の通り、eスポーツの全米選手権で、2019年にESPNが創設した。今回が初開催である。

大会では、5つの競技(Overwatch、Hearthstone、Star Craft II、Heroes of the Storm、Street Fighter V)が採用され、予選には北米中から100を超える大学eスポーツチームが参加した。

他のスポーツと異なり、eスポーツは統括団体が存在しないため、ESPNはそれぞれのゲームの開発者と契約を結ばなくてはいけなかった。これは、eスポーツ特有の課題である。

CECに関してESPNのJohn Lasker氏は「各大学がeスポーツチームを成長させていくなかで、才能溢れる選手たちに活躍の場を与え、国中の注目を集める場所を提供できることを嬉しく思います」と語る。

参考文献:
http://www.espn.com/esports/story//id/26242781/espn-announces-creation-college-esports-championship http://www.espn.com/esports/story//id/26725145/utah-overwatch-team-hopes-prove-college-esports-worth-investment
https://www.houstonpress.com/news/flood-watch-for-southeast-texas-through-saturday-night-11290211

ネット中継の未来

2019年4月3-4日、World Congress of Sportsというスポーツビジネスに関するイベントが開催された。

そこで参加者の注目を集めたのが、ネット中継の今後に関する識者のパネルディスカッションである。

これには、ESPNのJustin Connolly氏やDAZNのJohn Skipper氏らがパネラーとして参加した。

アメリカでは、コード・カッティングの流れを受けて、ネット中継がスポーツファンの間に一気に浸透した。

一方で、2018年4月にESPN+が登場したように、ネット中継市場では、新たなネット中継プラットフォームが次々に生まれており、少ないコンテンツを多くの企業が取り合う状態になりつつある。

ネット中継の現状に関してDAZNのSkipper氏は、「『このサービスに登録しよう。あ、これも登録しよう』と気が付けばたくさんのネット中継サービスに登録している、というのが消費者の現状だと思います」と言う。

「ところが、ネット観戦のために3つも4つも違うサービスに登録するというのは誰もが避けたいはずです。したがって、私は今後3年の間で、ネット中継市場は競争が激化すると予想します。現在ネット中継を提供している企業が8-10社あるとすれば、そのうち生き残るのは3-4社でしょう」。

ESPNのConnolly氏は「ESPN+は、我々にとって今一番重きを置いているところです」と言う。「ESPNは『伝統的なメディア』なんて呼ばれることもありますが、この見方は重要な流れを見落としています」。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/08/World-Congress-of-Sports/Streaming.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Conferences-Events/2019/WCOS.aspx

ヤンキース、YES Networkを買収

2019年3月、「ニューヨーク・ヤンキースが複数企業と共同でYES Networkを買収する」と報じられた。これはNew York Timesが行った関係者への取材で明らかになったものである。

ヤンキースによるYES Networkの買収は、2018年末にYahooニュースで取り上げられたことで日本でも話題となり、その際に本ブログでも解説した。

今回の買収では、ヤンキースを筆頭に、Amazon、Sinclair Broadcasting、そしてRedbird Capitalといった複数企業がオーナーグループを形成する。
買収金額は35億ドル程度だと見られる。

オーナーグループに参加するAmazonは、NFLの「Thursday Night Football」をAmazon Prime上でネット中継するなど、昨今スポーツ業界で存在感を強めている。

一方で、最近発表された調査結果によると、Amazon Primeの会員数は頭打ち状態にあるという。

今回のAmazonによる地方テレビ局獲得の動きは、「スポーツ放映に関する更なるノウハウの獲得」と「新たな収益源の探索」という二つの意味合いがある。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2019/03/08/business/media/amazon-yankees-yes-network.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/08/Opinion/Russo.aspx