UEFA、ロシア・ウクライナ紛争に関して「状況を注視する」

Photo Source: https://www.palco23.com/competiciones/la-uefa-renueva-su-alianza-con-gazprom-hasta-2024

UEFAチャンピオンズリーグの主要スポンサーの一つにGazpromがある。

同社はロシアのエネルギー会社で1シーズンあたり4000万ユーロ(約51億円)をUEFAに支払っている。

現在ロシアはウクライナで軍事行動を展開しているが、UEFAチャンピオンズリーグの中継ではGazpromの広告が放送される契約になっている。

同大会のイギリスでの放映権を保有するBT Sportは以前、Gazpromの広告を流すことに対する懸念を表明していたが、今回改めて「UEFAとの契約上、UEFAから提供されたUEFAチャンピオンズリーグの広告を放送に含めることが義務付けられている」と発表した。

同様に、ドイツ、オーストリア、カナダでUEFAチャンピオンズリーグの放映権を持つDAZNも、試合中継で流れる広告はコントロールできないと説明した。

一方で、UEFAの広報担当者は「引き続き状況を注意深く監視していく」と述べている。

これはGazpromの広告に限った問題ではない。

それというのも、今シーズンのチャンピオンズリーグ決勝はロシア西部に位置するサンクトペテルブルクのGazprom Arenaで開催される予定だからだ。

今週初め、イギリスのトラス外務大臣は、イングランドのクラブがロシアで行われるチャンピオンズリーグ決勝に進出した場合、ボイコットするべきだと発言。

また、ジョンソン首相も「主権国家を侵略するロシアでサッカートーナメントを開催することはあり得ない」と発言した。

一部報道によれば、UEFAは決勝戦の開催地変更をすでに決定しているという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/uefa-champions-league-gazprom-sponsorship-russia-ukraine-bt-sport-dazn/

ファン・コントロールド・フットボール、45億円超の資金調達

2021年にスタートしたファン・コントロールド・フットボール(Fan Controlled Football:FCF)は、第2シーズンを前に4000万ドル(約45.7億円)の資金調達を行った。

FCFは、室内で行われる7対7のプロフットボールリーグである。

その名の通り、ファンが様々な決定(チーム名、リーグのルール、フィールドでの個々のプレーなど)をコントロールできる。

たとえば、「クォーターバックはパスかランのどちらを選択するべきか」、「パスであればレシーバーはどのように動くべきか」といったファン投票が毎プレー前に行われ、そのt投票結果がすぐさまフィールド上に反映される。

この相互性が話題となり、昨シーズンの開幕戦では、ファンの投票が25万回を超え、ストリーミングサイトTwitchで1000万回以上の視聴回数を確保した。

4月に始まる2022年シーズンは、チーム数が4から8に倍増し、DAZNでの試合中継も始まる。

レギュラーシーズンおよびプレーオフの全試合が200以上の国と地域で配信される予定だ。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fcf-series-a-funding-nft-bored-ape-gutter-cat-gang-delphi-animoca/
https://www.fcf.io/how-it-works

カネロ、DAZNとGolden Boy Promotionsを提訴

今週火曜日、サウル・アルバレス選手(通称カネロ)がDAZNとGolden Boy Promotions(およびオスカー・デラホーヤ会長)を提訴した。

カネロは「現役最強ボクサー」との呼び声高い世界4階級チャンピオンで、Golden Boy Promotionsが彼のプロモーター(マッチメイクや放映権契約などを行う興行主)を務めている。

またカネロは、2018年にDAZNと5年11試合3億6500万ドルの独占契約を結んでおり、現在彼の試合はDAZNが独占中継することになっている。

しかしカネロは2019年11月を最後に試合をしていない。5月に予定されていた試合もコロナウイルスの影響で流れていた。

カネロによれば、DAZNは次戦が決まるまでのひと先ずの支払いとして契約金の一部(4000万ドル)と同社の株式を提示したが、これには納得がいかず、プロモーターであるGolden Boy Promotionsに別の可能性を探るように要求したが、こちらも納得のいく回答は得られなかったという。

今回の訴訟で、カネロはDAZNとGolden Boy Promotionsに対して2億8000万ドルの損害賠償を要求した。

参考文献:
https://www.espn.com/boxing/story/_/id/29842347/canelo-alvarez-files-suit-vs-golden-boy-oscar-de-la-hoya-dazn-record-deal

ロイヤルズ売却③ 経済的価値

前回の投稿で説明した通り、今回のロイヤルズ買収は社会的価値に依るところが大きいと考えられる。

しかし、社会的価値だけがチームの価値ではない。今回は「経済的価値」を検討したい。

プロスポーツチームの収入源は、チケット収入、放映権収入、スポンサー収入、グッズ収入の4つに大別される。これらの収入が拡大し、チーム全体の収益が向上すれば経済的価値が大きくなる。

ちなみに、北米メジャーリーグの場合、最も大きな収入源は放映権収入である。

テレビ中継には全国中継と地方中継があり、MLBの場合、全国中継の放映権はリーグが契約を結び、その契約料を30球団に分配する。

つまり、たとえ自チームが低迷していても、リーグが大きな契約を結べば、ある程度の放映権収入が確保できるのだ。

実際、MLBの全国中継放映権料は増加傾向にある。たとえば、Foxとは昨年7年51億ドルの契約を結んだ。これは前回の契約(8年42億ドル)から大きな成長だ。

さらに、MLBはネット中継にも積極的で、昨年DAZNと3年3億ドルの契約を結んだ。これは以前にはなかった全く新しい収入源だ。

もう一つ言及すべきは、スポンサー収入。

数か月前、MLBがユニフォームスポンサーシップの導入を検討していることが明らかになった。これが実現されれば、チームにとって巨大な収入源が新たに生まれることになる。

これらの事柄を総合すると、ロイヤルズがいかに低迷し、チケット・グッズの売れ行きが悪くなっても、チームの収入自体は拡大する可能性が大いにあることがわかる。

したがって、Sherman氏はロイヤルズの経済的価値も高く評価していたのではないかと推測される。

参考文献:
https://www.pwc.com/us/en/industry/entertainment-media/assets/2018-sports-outlook.pdf
https://www.nytimes.com/2018/11/15/sports/mlb-fox-tv-deal.html
https://www.forbes.com/sites/maurybrown/2019/01/30/espn-in-negotiations-to-extend-mlb-media-rights/#569d8b506e61
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/19/Media/MLB-DAZN.aspx

NFL、Sunday Ticketの放映権を巡る駆け引き

「Sunday Ticket」とは、日曜日に放送されるNFL中継の番組名で、番組制作はFoxとCBSが担当し、放映はDirecTVが行っている。

Sunday Ticketは「Out-of-market」と呼ばれる、地域外に住む人々を対象にした番組である。

たとえば、ニューヨークに住むダラス・カウボーイのファンは、ダラスに住む地元ファン向けの試合中継は観戦できないが、DirecTVと契約することで同じ試合の観戦が可能になる。

このSunday Ticketの放映権を巡る動きが活発になっている。

先述したように、現在、Sunday Ticketの放映権はDirecTVが独占的に保有している。言い換えれば、Sunday Ticketを見るためにはDirecTVに加入することが必須である。

DirecTVはNFLと8年契約を結んでおり、その契約金は年間およそ15億ドルにも及ぶ。

この契約は2022年まで有効だが、NFLはそれより前に契約を切る権利を持っており、その権利を行使する期限が今年の9月に迫っている。

NFLにとってDirecTVとの契約は、多額の放映権収入が保証されるというメリットがある反面、他の放映方法を探る機会を放棄することを意味する。

たとえば、若年層のファン拡大を狙うのであれば、ネット中継を試すというのも手である。実際、カナダではSunday TicketはDAZNが配信を行っている。

Amazon、DAZN、ESPNはSunday Ticketをネット中継することに興味を示しているものの「独占的配信権」を得るつもりはないという。独占的配信権となればそれだけ放映権料も巨額になるからだ。

NFLが巨額の放映権収入を見込める独占的配信権にこだわるのか、あるいは独占を諦め、より規模の小さな契約を複数社と結ぶのか。

契約の相手はDirecTVか、他のケーブルテレビ業者か、あるいはネット中継業者か。

今後の動向に注目である。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/17/Media/Sunday-Ticket.aspx

DAZNのユニークなボクシングビジネス

2019年5月18日に開催された井上尚弥対エマニュエル・ロドリゲスのWBSS準決勝は、アメリカではDAZNがネット中継した。

DAZNは、ボクシングのコンテンツが充実したネット中継プラットフォームとして知られている。

たとえば、5月4日には、カネロ・アルバレス対ダニエル・ジェイコブスのミドル級タイトルマッチを中継しており、この一戦は120万人もの人が観戦した。100万人以上がDAZNのスポーツ中継を観戦したのは、この一戦が初めてである。

アルバレスに関して、もう一つ興味深いのは、彼がDAZNと独占契約を結んでいることだ。

従来、ボクシングの試合は、試合が決定してからその試合の放映権を放送局に販売していた。

ところがアルバレスは、2018年10月、DAZNと5年11試合3億6500万ドルの契約を結んだ。この契約によって、今後5年間、彼の試合(11試合)はDAZNが独占中継することになった。

その後DAZNは、同じくミドル級のゲンナジー・ゴロフキンとも3年6試合の独占契約を締結。独自のボクシングビジネスを展開している。

世界中にファンを拡大している井上選手も今後同様の独占契約を結ぶ日がくるかもしれない。

参考文献:
https://www.fiercevideo.com/video/dazn-counts-more-than-4-million-subs-for-sports-streaming
https://www.worldboxingnews.net/2019/05/09/canelo-jacobs-dazn-numbers-success/
https://www.forbes.com/sites/peterkahn/2019/05/09/dazn-delivers-a-big-punch-for-sponsors-over-1-2-million-people-watched-canelo-vs-jacobs-stream/#3df3925e10e2
http://www.espn.com/boxing/story/_/id/25003974/canelo-alvarez-signs-5-year-11-fight-deal-worth-365-million-dazn
https://www.cbssports.com/boxing/news/ggg-signs-with-dazn-canelo-alvarez-trilogy-and-more-fights-to-make-for-gennady-golovkin/

ネット中継の未来

2019年4月3-4日、World Congress of Sportsというスポーツビジネスに関するイベントが開催された。

そこで参加者の注目を集めたのが、ネット中継の今後に関する識者のパネルディスカッションである。

これには、ESPNのJustin Connolly氏やDAZNのJohn Skipper氏らがパネラーとして参加した。

アメリカでは、コード・カッティングの流れを受けて、ネット中継がスポーツファンの間に一気に浸透した。

一方で、2018年4月にESPN+が登場したように、ネット中継市場では、新たなネット中継プラットフォームが次々に生まれており、少ないコンテンツを多くの企業が取り合う状態になりつつある。

ネット中継の現状に関してDAZNのSkipper氏は、「『このサービスに登録しよう。あ、これも登録しよう』と気が付けばたくさんのネット中継サービスに登録している、というのが消費者の現状だと思います」と言う。

「ところが、ネット観戦のために3つも4つも違うサービスに登録するというのは誰もが避けたいはずです。したがって、私は今後3年の間で、ネット中継市場は競争が激化すると予想します。現在ネット中継を提供している企業が8-10社あるとすれば、そのうち生き残るのは3-4社でしょう」。

ESPNのConnolly氏は「ESPN+は、我々にとって今一番重きを置いているところです」と言う。「ESPNは『伝統的なメディア』なんて呼ばれることもありますが、この見方は重要な流れを見落としています」。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/08/World-Congress-of-Sports/Streaming.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Conferences-Events/2019/WCOS.aspx

スポーツ中継の動向③ MLBのネット中継戦略

2017年7月、Discovery CommunicationsのDavid Zaslav氏は北米四大スポーツリーグのコミッショナーにインタビューを行った。

インタビューの中で、Zaslav氏は「人々がどのように映像コンテンツを楽しむかが変わってきている。彼らの行動パターンが変わり、利用するプラットフォームが変わってきている。これが四大スポーツリーグがこれから直面する問題である」と問題提起をした。

これに対して、MLBコミッショナーのRob Manfred氏は「従来のケーブルテレビはこれから先もなくなることはない。同じ規模で残ることはないかもしれない。それでも、なくなることは決してない」とした上で「MLBをあらゆるプラットフォームで視聴できるようにしなくてはならない」と語った。

他リーグのコミッショナーもほぼ同じ意見で、簡単にまとめれば「ケーブルテレビビジネスはこれからも大事。しかしそれ以外のスポーツ中継方法も積極的に探っていく」という結論であった。

ここで重要になるのが「テレビ以外の中継方法」が具体的に何を指すか、という点である。これはもちろんネット中継を指すのだが、ネットと言っても様々である。

たとえばMLBは、自らが運営するMLB.TVで2002年からネット中継を行ってきた。このMLB.TVでは、顧客から会費(年18~25ドル)を徴収することで利益を上げている。Netflixと同じようなビジネスモデルである。

これに加え、2017年5月からはFacebookとTwitterと契約を結び、公式戦を中継し始めた。MLB.TVと異なり、Facebook・Twitter上での中継はすべての人に無料で公開されている。その代わり、MLBはFacebookとTwitterから放映権料を徴収している。従来の放映権ビジネスに似たビジネスモデルであると言えるだろう。

さらにMLBは2018年11月、動画配信会社のDAZNとの契約を発表した。2016年設立のDAZNは、日本ではJリーグのネット中継を行っているが、北米では「格闘技のネット中継チャンネル」というイメージが強かった。今回のMLBとの契約は、DAZNが格闘技に留まらず、北米スポーツ業界で存在感を強めていこうとする姿勢の表れととれる。

一方で、MLBは、より多くの方法で試合を中継できるようになる。契約に際してManfred氏は「この度の契約は、MLBをすべてのプラットフォームで視聴できるようにするという取り組みの一環である」と述べた。

参考文献
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/07/31/Media/Sports-media.aspx
https://www.mlb.com/live-stream-games
https://www.forbes.com/sites/maurybrown/2017/05/25/live-mlb-games-begin-streaming-to-twitter-on-tuesdays-comes-on-heels-of-facebook-deal/#3433619b5f0d
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/102400053/012000014/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/19/Media/MLB-DAZN.aspx