デビルズとプルデンシャル社による前例のない取り組み

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ニュージャージー・デビルズと保険大手のプルデンシャル・ファイナンシャル社は、他に類を見ないユニークな取り組みを始める。

両者は2020年12月にヘルメットスポンサー契約を結び、それ以来、デビルズのヘルメットにはプルデンシャル社のロゴがついている。

今週プルデンシャル社は、そのロゴスペースを黒人が経営する地元企業に寄付すると発表した。

現在申請を募っており、見事採用された企業は、2021/22年シーズンの13試合において、デビルズのヘルメットに無料でロゴを掲載することができる。

これに加えて、プルデンシャル社による財務状況のカウンセリング、マーケティングやビジネスに関するコンサルティング、広告の露出、人脈を広げる機会なども約束された。

この取り組みは、ニュージャージー州の黒人起業家を支援し、ビジネスチャンスを拡大することを目的とした「Buy Black」というプログラムの一環として行われる。

デビルズのジェイク・レイノルズ社長は「プルデンシャル・ファイナンシャル社とのパートナーシップは、スポーツとエンターテイメントの力を増幅させ、私たちのコミュニティに意味のある変化をもたらすものです」と語った。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/new-jersey-devils-prudential-helmet-sponsorship-black-businesses-nhl/

NBAが開発資金を提供したコロナウイルス検査薬、認可される

今月、イェール大学が開発した唾液を使ったコロナウイルス検査薬がアメリカ食品医薬品局によって認可された。

実はこの検査薬、NBAが開発資金を提供して出来上がったものである。

今年4月、イェール大学の研究者の知り合いであったNBAのスポーツサイエンス委員会のメンバーが、NBAとNBA選手会にこの研究のことを紹介した。

リーグを再開するためには大量の検査薬が必要になるということを把握しているときだったこともあり、NBAは研究費50万ドル(約5300万円)の出資を決めた。

さらにNBAは、選手やスタッフから採取した約3000人分のサンプルを研究チームに提供。検査薬の開発に貢献した。

今回認可された検査薬「SaliveDirect」は、安価でかつ迅速にコロナウイルスの検査ができる。値段は15~20ドルになる見通しだ。

しかし、SaliveDirectはテストキットにはなっておらず、採取した唾液を分析するための研究施設が必要となる。したがって、利用するのは一般消費者ではなく、研究施設を持っている団体、もしくは、研究機関の協力が得られる団体に絞られる。

たとえば、NBAには他のスポーツリーグから問い合わせが来ているという。

なお、NBAはすでに既存の検査薬を用いた検査体制を確立しているため、SaliveDirectの導入は来シーズン以降になるという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/08/24/Sports-and-Society/NBA-tests.aspx

マイケル・ジョーダン氏、病院を新設

先週木曜日、NBAのレジェンドで現在はシャーロット・ホーネッツのオーナーを務めるマイケル・ジョーダン氏がシャーロットに病院を開設した。

ジョーダン氏は、この病院のために、700万ドル(およそ7億6000万円)を寄付したとされる。

シャーロット出身のジョーダン氏は会見で「私を何年にも渡って支えてくれたコミュニティに恩返しできることは、私にとって感極まるものがあります」と涙ながらに語った。

同院は、シャーロット市内の低所得層が多く住む地域に建てられた。この地域に住む人々のなかには、医療保険を持たず、高い医療費を払えない人も多い。そういった人々に必要な医療を提供するのが同院の目的だ。

医療が受けられないと、仕事を満足にこなすことが難しくなり、給料が上がらず、社会的地位を向上することも困難になる。

2014年の研究によれば、シャーロットはアメリカにある50の大都市のなかで、最も社会的地位を向上することが難しい場所とされる。貧しい家庭に生まれた人は、貧しさから脱却することができないまま人生を終える可能性が高い。

今回新設された病院の経営陣は、「我々が提供する医療は、直接身体的健康を改善するだけでなく、食、居住、教育、職業などさまざまな側面に好影響を与えます」と語る。

今後5年間に少なくとも3万5000人が同院のサービスを受けると算出されている。

参考文献:
https://www.cbsnews.com/news/michael-jordan-health-clinic-novant-health-charlotte-north-carolina-medicine/
https://www.cbssports.com/nba/news/hornets-owner-michael-jordan-unveils-new-medical-clinic-in-charlotte/

ヤンキースの「HOPE」、発足10周年

ニューヨーク・ヤンキースのHOPE WeekというPRキャンペーンが今年で発足10周年を迎える。

HOPEはHelping Others Persevere and Excelの頭文字をとったもので、地元コミュニティの発展や問題解決に尽力した個人・グループにスポットライトを当てることを目的としたキャンペーンである。

毎年5組の個人・団体が選出され、この5組には、ヤンキースの選手・コーチが直接会いに行くというサプライズをもって受賞が伝えられる。

そして、受賞者たちはHOPE Weekに開催されるヤンキースのホームゲームに招待され、そこで大勢の観客にそれぞれの取り組みを紹介され、大きな祝福を受ける。

また、地元・大手メディアに受賞者の取り組みを紹介してもらうのもHOPE Weekの重要なポイントである。

たとえばESPNは、2018年HOPE Week受賞者のCassidy Warnerちゃんに焦点を当てた映像を制作した。10歳のCassidyちゃんは、いじめを受けている自身の経験を伝える映像をソーシャルメディアに投稿し、いじめ問題に対する人々の意識を変えたとして受賞を受けた。

2011年には、前年に起こったハイチ大地震の際にニューヨークに来た難民の学生たちがHOPE Weekを受賞した。この話はCNNで取り上げられた。

こういったメディア露出は、地域に貢献する個人・団体の認知度を高め、彼ら・彼女らの活動資金となる寄付金の拡大に貢献する。

今年は発足10周年を記念して、過去の受賞者を改めて紹介する予定だという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/17/Franchises/Yankees-HOPE.aspx

#WhatsYourGoal(あなたの夢は?)

これまで多くのスポーツ組織が様々なソーシャルメディアキャンペーンを企画してきたが、そのなかで大きな成功を収めたものの一つが、シカゴ・ブラックホークスの「#WhatsYourGoal」というキャンペーンである。

このキャンペーンでは、まず、ファンが自身の夢を#WhatsYourGoalというハッシュタグとともにソーシャルメディアに投稿する。

ブラックホークスは投稿された夢をいくつか選び、それを選手・コーチが叶える。

生まれつき歩くことも話すこともできないCammyちゃんの夢は「憧れのDuncan Keith選手と一緒にゴールを決めること」。

5歳のAlexisちゃんの夢は「ガールスカウトのクッキーを憧れのJonathan Toews選手に渡すこと」。

デイケアセンターで働くJennyさんの夢は「利用者の方々がブラックホークスのコーチと一緒にホッケーをすること」。

このように、ファンの夢が叶えられる様子はドキュメンタリーとなり、チームのウェブサイトおよびソーシャルメディア上で公開された。そしてその映像は多くのファンによってシェアされた。

4600万人がFacebook上でこのキャンペーンに触れ、450万人がTwitter上でこのキャンペーンに関してつぶやいたという。

参考文献:
https://shortyawards.com/8th/chicago-blackhawks-whatsyourgoal-campaign
http://socialnsport.com/blackhawks-whatsyourgoal/
https://thehockeywriters.com/best-of-the-chicago-blackhawks-whatsyourgoal-campaign/

#StompOutCancer(ガンを踏みつぶせ!)

オレゴン州に本社を置くNikeは、同州ポートランドにあるDoernbecher Children’s Hospital(DCH)という病院と10年以上に渡って関係を築いてきた。

たとえば、DCHに入院するガン患者と一緒に新しいシューズをデザインし、その売上1700万ドルを同院に寄付している。

そんなNikeがDCHと、そしてNikeの「発祥の地」であるオレゴン大学と共同で展開したのが「#StompOutCancer(ガンを踏みつぶせ)」というキャンペーンである。

このキャンペーンでは、まず、オレゴン大学アメフトチームのユニフォームに、特別なロゴがあしらわれた。

チームマスコットがCancer(ガン)という文字を踏みつける様子が描かれている。このユニフォームは、ガン闘病を経験した10代の3名がデザインしたものである。

同チームは、この3名がガン闘病をしていた当時の様子や、ロゴをデザインしている姿などをまとめた動画を#StompOutCancerというハッシュタグとともに投稿した。

また、試合会場ではチームマスコットがCancerという文字を踏みつけるパフォーマンスが行われ、これも#StompOutCancerととともに投稿された。

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#StompOutCancer

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その他にも、ロゴデザインをした3名が選手に祝福される動画なども投稿された。

このキャンペーンは大きな反響を呼び、同チームのTwitterフォロワー数は113,000から509,000に急増し、また多くのファンが#StompOutCancerを使って様々なコメントを投稿した。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/10/09/In-Depth/Oregon.aspx

チェルシーFCの反ユダヤ主義撲滅運動

チェルシーFCは、2018年1月から「Say No To Antisemitism(反ユダヤ主義にノーと言おう)」というキャンペーンを実施している。

2017年9月、チェルシーFC対トッテナムの試合で、チェルシーFCのサポーターが反ユダヤ的なチャントを合唱するという事件が起きた。これは多くのユダヤ系サポーターを抱えるトッテナムに対して向けられたものである。

残念ながら、サポーターがこのような人種差別的なメッセージを選手や他の観客に向ける事件は珍しくない。そのような場合、クラブはそのサポーターをスタジアムから追放するのが通例である。

ところが、クラブオーナーをはじめユダヤ系スタッフが多く働くチェルシーFCは異なるアプローチをとった。それが「Say No To Antisemitism」キャンペーンの導入である。このキャンペーンでは、人種差別的な行動を見せたサポーターに様々な教育プログラムを提供する。

チェルシーFCチェアマンのBruce Buck氏はこう語る。
「我々は従来、人種差別的な行動をしたサポーターに対して最大3年の追放という罰則を与えてきました。しかし、スタジアムから追放されただけでは人は決して変わりません。サポーターが自分の行った過ちに気付き、行動を改める機会を与える。それが今回始めたキャンペーンの意図です」。

一方で「Say No To Antisemitism」は、人種差別的な行動を見せたサポーターだけに向けられたものではない。これは人種差別に関する社会的関心を集め、多くの人に教育プログラムを提供することを目的としている。

実際、チェルシーFCは、選手やコーチ、スタッフ、そしてサポーターグループ向けに「ホロコースト経験者の講演会」や「アウシュヴィッツ強制収容所の見学ツアー」といった教育プログラムを提供している。

参考文献:
https://www.chelseafc.com/en/foundation/say-no-to-antisemitism
https://www.thesun.co.uk/sport/football/7465363/chelsea-racist-fans-auschwitz/