アンハイザー・ブッシュ、スーパーボウルの独占スポンサー契約を手放す

Source: Anheuser-Busch.com

ビール大手でバドワイザーやバドライトを製造しているアンハイザー・ブッシュが、スーパーボウルの独占スポンサー契約を更新しないことが明らかになった。

同社は1989年からスーパーボウルのスポンサーを務めてきたが、2023年以降は他のビール会社にその機会が与えられることになる。

今回の決定にはスーパーボウルの開催時期(2月)が関係している。

冬場の広告費を抑えることで、ビール消費が多くなる夏場に向けて、より自由なマーケティング活動を行えるようにする。これが狙いだという。

アンハイザー・ブッシュのスペンサー・ゴードン副社長は「スーパーボウルは消費者にとって大きな山場ですが、ビール業界にとって重要な消費の瞬間とは必ずしも一致しません」、「正しい消費者に、正しい商品を、正しいタイミング・場所で、正しいメッセージを使って提供していく。そのために我々の投資の仕方も進化しているのです」とコメントした。

なお、スーパーボウルの独占スポンサー権は手放すが、NFLとのスポンサー契約は引き続き有効だ。

アンハイザー・ブッシュは、2021年12月にNFLとの契約を更新しており、CNBCによれば、その契約金は年間2億5000万ドルを超えるという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/categories/finance-investment/investment/cleveland-guardians-minority-sale-david-blitzer-mlb/

NBA、スポンサーシップによる収益拡大①

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プレーオフが佳境を迎えているNBA。そのビジネスに関する興味深いデータが発表された。

スポンサーシップ・コンサルティング会社のIEGによれば、NBAは2021/22年シーズンのスポンサーシップ収入が16億4000万ドル(約2142億円)となり、前年比で12.5%増を記録したという。

そのなかでもテクノロジー関連企業(Googleなど)の存在感は大きく、スポンサー料の産業別比較では、銀行、通信、アパレルなどを抑えて、テクノロジーが最大となっている。

個別の企業では、Nike、Microsoft、Anheuser-Busch InBev、Peps、AT&Tなどが年間5000万ドル以上を投資している。

スポンサー契約の数で言うと、保険、ビール、小売、ベッティング、自動車といったカテゴリーが大きく、契約数は5カテゴリー合わせて70を超える。

特に、Anheuser-Busch InBev、Pepsi、Socios、State Farm、Toyota、Verizonといった企業は、それぞれが現在20以上のスポンサーシップ契約をNBAおよびNBAチームと結んでいる。

しかし今回の収益拡大に最も貢献したと言われるのは、保険でも自動車でもなく、暗号通貨の企業である。

その点に関しては、次回の投稿で詳しく説明します。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nba-teams-sponsorship-revenue-income-2021-22-cryptocurrency/

NBA、バドワイザーとネット中継契約

先週、NBAはバドワイザーとストリーミングに関するユニークな契約を結んだ。

バドワイザーと言えば、NBAを初め数多くのスポーツリーグ・チームとスポンサー契約を結んでいるが、今回の契約はストリーミングに関する契約である。

具体的には、バドワイザーのプラットフォーム(YouTubeやSNS等)上でNBAの試合を中継することが合意された(ただしブラジル国内でのみ視聴可能)。

早速、先週のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ対ダラス・マーベリックスがバドワイザーのYouTubeチャンネルで中継された。

今後バドワイザーは、ポルトガル語での中継やブラジルの有名人を起用した番組作りなどを行っていく方針だという。

NBAラテンアメリカ担当者は「普通のNBA中継とは全く違った雰囲気になります。『ファンを我々のところに惹きつける』のではなく『ファンがいる場所に我々が行く』というイメージです」と言う。

今回の契約で認められるのはブラジル国内の視聴のみだが、同担当者によれば、メキシコ、アルゼンチン、チリなどでも同様の契約に興味を示す企業があると言う。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nba-budweiser-brazil-live-stream-games

バド・ライト、現役NFL選手と初のエンドースメント契約

カンザスシティ・チーフスのエリック・フィッシャー選手は、1月、ある理由でNFLから罰金を科された。

その理由というのが、「タッチダウンの喜びを表すために、ファンの持っていたビールを奪って浴びた」というもの。これが「非スポーツマン行為」と見なされた。

フィッシャー選手はこれにより1.4万ドルを払うことになったが、それが数か月後に思わぬ形で“実を結んだ”。

今週、バド・ライトはフィッシャー選手を含むNFLの3選手とエンドースメント契約を結んだことを発表した。

バド・ライトそしてその製造元のアンハイザー・ブッシュが現役のNFL選手とエンドースメント契約を結ぶのはこれが初となる。

NFLは2019年5月にアルコール飲料のエンドースメント契約に関する規約を変更しており、今回の契約が実現した(それ以前は、現役のNFL選手がビールの広告に出演することは禁止されていた)。

ちなみに、今回契約を結んだ他の2選手は、フィッシャー選手と同様の行動で処分を受けたマーカス・ピータース選手と、ビールを一気飲みする動画が話題となったゴールデン・テイト選手。

どちらも「ビール男」として知られる選手だ。

参考文献:
https://www.cbssports.com/nfl/news/marcus-peters-eric-fisher-sign-bud-light-endorsement-deals-after-beer-chugging-celebrations-last-season/
https://finance.yahoo.com/news/bud-light-signs-3-nfl-234631785.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAB56_CbM6mqjmzHOrpmClx4a2pRYKILapCPb4MtmzCoxmfJIvDdmcamBpYdfGsQKFO3nqgoRpxfmHnA3KOX4o5dUEV37t6R0XUWZMfewTT55SSKk7n5aqFbdhI3P0NKIYIPbLkt_lV7AWoBrbQLKBf3M_iL1oxcNJNvmuy7pvHA6

アンハイザー・ブッシュのアクティベーション戦略

NFLの王者を決めるスーパーボウルは、2月2日にマイアミのハードロック・スタジアムで開催される。

NFLのスポンサーであるアンハイザー・ブッシュ(バドワイザーの製造元)は、このイベントのために新たなアクティベーション戦略を立てた。

アンハイザー・ブッシュは様々な商品を販売しているが、以前は、バドライトの広告に注力していた。

バドライトはパッケージデザインにNFLチームのロゴを使用するなど、NFLとの結びつきが強いからだ。

しかし、今回からは複数の商品を宣伝する。具体的には、先週発売したばかりのバドライト・ハード・セルツァー、ベイブローズ、ステラ・アルトワなどが対象となる。

たとえば、ステラ・アルトワは商品名を冠したイベントスペースを観光地のサウスビーチに設置する。スタジアムの外に新設されたゴンドラを使った広告や、商品サンプルの配布も行う。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/01/13/Marketing-and-Sponsorship/A-B-Super-Bowl.aspx

Big 12のハード・セルツァースポンサーシップ

以前の投稿で解説したが、現在アメリカで急成長しているアルコール飲料がハード・セルツァーである。

プロスポーツでは、NHLが最近ハード・セルツァーの生産会社とスポンサー契約を結んだが、カレッジスポーツでも同様の契約が結ばれた。

カレッジスポーツで最も人気のあるカンファレンスの一つであるBig 12がアンハイザー・ブッシュとスポンサー契約を締結。同社が販売する「Natural Light Seltzer」を同カンファレンスのオフィシャル・ハード・セルツァーとすることを発表した。

このように、ハード・セルツァーが独立したスポンサーカテゴリーとして扱われるのは、カレッジスポーツでは初めてである。

アンハイザー・ブッシュのリカルド・マーケス氏は「ハード・セルツァーは2019年に前代未聞の急成長を遂げ、その勢いは全く落ちていません。私たちはハード・セルツァーのブームはまだ序盤だと見ています。まだまだ知名度も上がります」と語る。

参考文献:
https://www.forbes.com/sites/kristidosh/2019/09/25/hard-seltzer-moves-into-college-sports-sponsorship-market/#717e044b28f8
https://big12sports.com/news/2019/9/25/natural-light-seltzer-becomes-the-official-hard-seltzer-of-the-big-12-conference.aspx

ハード・セルツァーは次のスポンサーカテゴリーとなるか

ここ数年、アメリカでは「ハード・セルツァー(hard-seltzer)」というアルコール入りの炭酸飲料がブームとなっている。

ビールに比べ、アルコール度数、カロリー、そして糖質が低く、健康志向の消費者を中心に人気を拡大している。

2019年の国内売上高はすでに10億ドルに達し、前年比150~170%の成長が見込まれている。

一方で、その知名度は未だ低く、アメリカ人の約半数がその存在を知らないと見積もられている。まだ伸びしろのある産業と言えるだろう。

大手ビール会社Anheuser-Busch InBevのChelsea Phillips氏は「ハード・セルツァーは長期的な成長を期待できるでしょう。ライトビールが出てきたときと同程度のインパクトだと見ています」と言う(ちなみに、現在アメリカ国内で最も売れているビール上位3位は、Bud Light、Miller Lite、Coors Lightで、ライトビールが独占している)。

今後、ハード・セルツァーの産業規模が拡大するにつれ、その関連企業がスポーツ業界にスポンサーとして参入してくることが考えられる。

実際、先月23日、NHLはBoston Beer Companyとスポンサー契約を結び、同社が製造するTruly Hard SeltzerをNHLの「オフィシャル・ハード・セルツァー」にすることを発表している。

今後他のスポーツリーグ・チームも同様の契約を結ぶ可能性があるが、その際に問題になってくるのがビール会社との兼ね合いである。

「オフィシャル・ハード・セルツァー」という類似カテゴリーが生まれれば、「オフィシャル・ビール」の価値は下がりかねない。

実際、大手ビール会社は、ハード・セルツァーを独立したスポンサーカテゴリーにしないよう、スポーツ組織に働きかけているとの報道もある。

今後、スポーツ組織がハード・セルツァーを独自のスポンサーカテゴリーとするのか、またそれがビール会社との契約にどのような影響を与えるのか、注目である。

参考文献:
https://www.realsimple.com/food-recipes/shopping-storing/beverages/hard-seltzer
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/30/Marketing-and-Sponsorship/Marketing-and-Sponsorship.aspx
https://finance.yahoo.com/news/boston-beer-company-nhl-announce-130000783.html

2019年はブラウンズのシーズン?

クリーブランド・ブラウンズは長らくNFLの最弱チームであった。2016年シーズンは1勝15敗。2017年シーズンはなんと0勝16敗。そのブラウンズが、現在、最も注目を集めるNFLチームの一つとなっている。

ブラウンズは、昨シーズン7勝を上げ、定位置の最下位を脱出した。チームの躍進を支えたのは、新人王を獲得したBaker Mayfieldを初めとする若手選手。ブラウンズのファンたちは、さらなる成長を遂げた若手選手がチームの順位を押し上げると期待している。

地元のバーを営むCorey May氏は、「レブロン・ジェームスがクリーブランドに帰ってきたときのような盛り上がりです」と言う。

この盛り上がりは、チームのビジネスにも好影響を与えている。

たとえば、ブラウンズはすでに6万枚以上のシーズンチケットを売り上げている(本拠地のキャパシティは6万8000)。これは前年比20%増。そして各試合の個別チケットも完売済みだ。

ゴールデンタイムのテレビ中継も、4試合組まれている。ブラウンズの試合がゴールデンタイムに3試合以上中継されるのは、2008年以来初めてだ。

Fox SportsのMike Mulvihill氏は「NFLで一番話題になるチームはいつもカウボーイズでした。今年のブラウンズは、それに次ぐ話題性を持っています」と言う。

スポンサーシップに関しては、Anheuser-Busch InBev(ABI)のNick Kelly氏曰く、ブラウンズは同社が最も力を入れるチームだと言う。ABIと言えば、昨年「ビクトリー冷蔵庫」というユニークなキャンペーンで大きな話題を呼んだが、今年はその発展版を企画しているそうだ。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/12/Franchises/Browns.aspx

サッカーワールドカップにおける男女の差④

2019年7月7日、BudweiserはNWSLと複数年のスポンサー契約を結んだ。NWSLがビール会社とスポンサー契約を結ぶのはこれが初めてである。

今回の契約で、Budweiserは同リーグのプレーオフ、チャンピオンシップ、MVPのネーミングライツをすべて手に入れた。

また、同社の経営幹部がNWSLの選手を対象にしたスポーツビジネストレーニングを提供することも契約に盛り込まれた。

契約金等の詳細は明らかになっていないが、NWSLがこれまでに結んだスポンサー契約のなかで最大級のものになるという。

この契約に関してBudweiserのMonica Rustgi氏は「Budweiserは30年間、アメリカ女子代表をサポートしてきました。しかし我々にできることはもっとあると気づいたのです。4年に一度だけ代表チームをサポートするのではなく、女子サッカーを日々サポートする。その一つの方法が今回のスポンサーシップだったのです」と語る。

そしてBudweiserは、今回のスポンサー契約を発表する日、New York Timesの広告スペースを一面買い取り、人々にメッセージを発信した。

以下はその全文の訳(意訳)である。

「4年に一度、女子サッカー代表チームは世界を相手に戦い、国に希望を与えます。私たちは彼女のために叫び、歌い、そして見守ってきました。しかし、ワールドカップが終わると、私たちはぱったり見ることを止めてしまいます。

明日、代表選手たちはそれぞれのクラブチームに戻っていきます。多くの人々は、彼女たちがガラガラのスタジアムでプレーしている現状を知りません。最も優れたサッカー選手がプレーしているにもかかわらず。

行こうと思えばすぐ行けるのに、私たちは女子サッカーを見続けようとはしませんでした。女子サッカーそのものを応援せずして、代表選手を応援することなどできるのでしょうか。

本日、BudweiserはNWSLのスポンサーとなりました。私たちは女子サッカーを応援します。女子サッカー選手を応援します。4年に一度ではなく、毎日。

私たちは見続けます。」

一連のEqual Payムーブメントのなかで「女子サッカーをサポートしたい」という気持ちを持った人は少なくない。Budweiserが発したメッセージはそういった人々を意識したものである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Opinion/FORUM.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Media/ESPN-NWSL.aspx
https://www.usatoday.com/story/sports/soccer/2019/07/07/budweiser-becomes-sponsor-of-nwsl/39661001/
https://www.foxsports.com/soccer/story/budweiser-becomes-sponsor-of-nwsl-070719

ビクトリー冷蔵庫

クリーブランド・ブラウンズは弱小チームとして有名だ。2016年シーズンは1勝15敗。2017年シーズンはなんと0勝16敗であった。

スポーツ関連のおもしろ動画を配信しているThe Kickerは、「Hardest Jobs in Sports」というYouTubeシリーズの中で、ブラウンズのチアリーダーがスポーツ界で最も大変な仕事だと皮肉っている。

そんなブラウンズのスポンサーであるAnheuser-Busch InBev(ABI)は、それを逆手にとったユニークなキャンペーンを実施した。

その名も「Victory Fridge(ビクトリー冷蔵庫)」。

これは、同社の製品であるBud Lightがぎっしりと入った冷蔵庫なのだが、鍵がかかっており開けることができない。もしブラウンズが勝てば、ABIから信号が送られ、開く仕組みになっている。

ABIはこれをブラウンズの本拠地であるファーストエナジー・スタジアムと周辺のバーに設置し、2018年シーズンを迎えた。

そして迎えた第3戦。ブラウンズはニューヨーク・ジェッツを下し、2016年以来の勝利をあげた。ファンたちはまるで優勝を決めたかのように大騒ぎ。ビクトリー冷蔵庫の鍵が開くと、その盛り上がりは最高潮に達した。

試合後、ソーシャルメディア上には、ビクトリー冷蔵庫の鍵が開く様子や、ビクトリー冷蔵庫の前にできた長蛇の列など、ブラウンズファンの投稿した写真や映像があふれ、ソーシャルメディア上でもお祭り状態であった。

同社が目指す「ファンエンゲージメントを強めるユニークなスポンサーシップ」の成功例と言えるだろう。

参考文献:
https://www.brewbound.com/news/anheuser-buschs-victory-fridge-will-dispense-free-bud-light-cleveland-browns-win-first-game-2018-season