スポーツ業界の未来とAI

今年1月、ダラス・マーベリックスのオーナーで実業家としても知られるマーク・キューバン氏は起業家が集まるイベントに参加し、AIの重要性について語った。

キューバン氏は、今AIを活用していないのは「1999年に『インターネットとやらができてるらしいけど、俺はどうでもいいわ』と言っているようなもの」とし、AIを活用しているか否かが今後大きな差を生むと熱弁した。

それから3か月。コロナウイルスの影響で、AIの重要性はさらに増したと言われる。

長らくESPNで活躍した投資家のジョン・コズナー氏は「コロナウイルス以前、AIを初めとする新技術はスポーツを脅かす存在でした」と言う。

「しかし今後、それらはスポーツ経験に取り入れられる、欠かせない存在となるでしょう」

最先端のスタッツ、消費者一人一人に合わせたハイライト映像、そしてVR映像などの新しいコンテンツを創造することでスポーツ組織は失ったチケット収入を埋め合わせることになるとコズナー氏は語る。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/04/13/In-Depth/Tech-AI.aspx

ファン対応用のAI開発

コロナウイルスの影響で試合の中止や延期が相次ぐなか、スポーツチームにはファンからの問い合わせが押し寄せている。

会場は安全なのか、チケットの払い戻しはあるのか、どの日に延期されるのか。

各チームは限られたスタッフで、そういった問い合わせに対応しなくてはならない。

その労力を少しでも軽減するために、Satisfi Labs社はファン対応用のAIを開発している。

Satisfi Labs社は同社が開発するAIに、何百というコロナウイルス関連の質問を読み込み、ファンからの問い合わせに自動で対応できるようにした。

Satisfi Labs社は、MLBを初め、100を超えるスポーツ組織と業務提携を結んでおり、スポーツの現場への導入が現在検討されている。

同社CEOのドン・ホワイト氏は「NBAなどが試合を中止し、これから払い戻しに関する質問が押し寄せてくると思います」と言う。「『いつ再開するのか』、『手元にあるチケットはどうすればいいのか』そういった質問が何千と来るでしょう」。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/23/In-Depth/Satisfi.aspx
https://satisfilabs.com/

AIで選手強化

近年、スポーツビジネスの現場でAIが活用され始めている。

たとえばゴルフのPGAは、観客の歓声や選手のリアクションなどのデータをもとにハイライト映像を編集するAIを導入している。

現在、全米テニス協会(USTA)は、AIを選手強化のために活用している。

2018年夏、USTAのハイパフォーマンス・コーチング部は、それまで撮り貯めておいた何千時間という膨大な資料映像をAIに読み込ませた。AIは、そのデータを用いて選手のパフォーマンスを分析する。協会はその分析結果をもとに、ジュニア選手からトップ選手まで、個々の選手にあったトレーニングレポートを作成している。

たとえば、ある選手がミスをしたあとに、それがパフォーマンスに好影響を与えるのか、悪影響を与えるのか、それともまったく影響はないのか、という情報がコーチに渡される。コーチはそういった傾向を知ることで、その選手の特性を理解することができ、より効果的なコーチングが可能になるという。

担当者のElizabeth O’Brien氏は「私たちはビデオを豊富なデータ源と捉えています」と話す。「人間がビデオを見るだけでは気が付かないようなこともすべてデータとして取り込めます」。

AIの導入前、選手の動きなどは手作業で入力しなくてはならなかった。当時2時間かけて行っていた作業は、現在2分で片付くという。

参考文献:https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/17/Leagues-and-Governing-Bodies/USTA-AI.aspx