Triller、会員制サービスを創設

先週の投稿で、TrillerがBig3のネット放映権を獲得したことについて触れた。

そこで解説した通り、Trillerはここ数年スポーツ(特にボクシング)のネット中継に力を入れており、Big3との契約は同社のコンテンツ拡充を意味する。

そのTrillerが「TrillerPass」という会員制のイベント観戦サービスを販売することを発表した。

会費は年間約300ドル(もしくは月額約30ドル)。会員はTrillerが主催する各種イベント(音楽、ファッション、スポーツ)およびイベント前日のコンサート、イベント前のディナー、そしてイベント後のパーティにVIPとして招待される。

対象となるスポーツイベントは、ティオフィモ・ロペス対ジョージ・カンボソスを始めとするボクシングの試合、そしてBig3の試合が主になる。

他にも、Trillerが過去に開催したイベント(マイクタイソン対ロイ・ジョーンズ等)の映像を楽しむこともできる。

Trillerのマヒ・デ・シルバ氏は「TrillerPassはNetflixのライブイベント版のようなイメージです。それも最もエキサイティングなイベントを、非常に魅力的な価格帯で楽しむことができるのです」と説明した。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/triller-pass-live-event-subscription-service-fight-club-boxing-ppv

UFC「グローバル会員特典制度」を発足

総合格闘技のUFCは、「グローバル会員特典制度」を立ち上げることを発表した。ロンドンのIT企業Fabacus社がシステム設計を担当する。

消費者は、UFC関連製品を購入する際に貯めたポイントを、限定のグッズ、コンテンツ、サービスと交換することができる。

UFCのアパレルを製作するVenumや、UFCの音響を担当するAcoustixなども会員特典の提供に協力する。

Fabacusの創設者アンドリュー・ゼニ氏は「複数の企業、カテゴリー、そして地域をまたがって、世界中のUFCファン一人一人に合わせた経験を提供する。こんなユニークなキャンペーンをグローバルに展開するのは世界でも初めてではないでしょうか」とコメントした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ufc-fan-rewards-programme-fabacus-technology-platform

NHL「ユース・アドバイザリー・ボード」を募集中

NHLは、アメリカ・カナダに住む13歳から17歳の少年少女から「ユース・アドバイザリー・ボード」のメンバーを募集すると発表した。

20人の少年少女がメンバーに選ばれ、リーグの改善点を一年間に渡って議論する。

会議は複数回開かれる予定で、議論する内容もルール、マーケティング、地域貢献活動、イベント、SNSなど多岐に及ぶ。

これは昨年から始まった「NHL Power Players」というプロジェクトで、17歳以下のファン層を拡大することを目的としている。

2019年にShelf社が行った調査によれば、NHLは北米プロリーグでも特に「ミレニアム世代(80年代前半から90年代後半生まれ)」のファンが多く、ファン全体の3分の1は18歳から38歳であった。

NHL Power Playersは、この下の世代のファンを育てる試みなのである。

NHLマーケティング担当のヘイディ・ブローニング氏は「昨年のNHL Power Playersは成功でした。若いホッケーファンをNHLに惹きつけるため、このプログラムが2年目を迎えることができ、大変うれしく思います」とコメントした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nhl-power-players-young-fans-marketing-social-content
https://www.nhl.com/news/nhl-accepting-applications-for-power-players-youth-advisory-board/c-318746334

誕生日プロモーション

ミネソタ・ティンバーウルブスは、「Birthday Club」という新たなファンクラブを立ち上げた。

これに登録できるのは本拠地Target Centerの半径150マイル以内に住んでいるファンのみ。登録には、本名、住所、メールアドレス、生年月日が必要になる。

登録者にメリットが生じるのは、その人の誕生日。無料チケット2枚とチームグッズ25%オフ券が手に入る。

無料チケットの有効期限は誕生日の月とその次の月いっぱい。オフシーズン中に誕生日を迎えるファンは、翌シーズンの10-12月の間に観戦できる。なお、チケットの転売は禁止されている。

これまでもファンの誕生日に関連したプロモーション(チケットやグッズの値下げ等)は数々あったが、このように無料チケットを配布したNBAチームは過去にいなかったという。

ティンバーウルブスは、昨シーズン、平均観客数が1万5306人にとどまり(NBAの30チーム中28位)、観客数増加が課題となっている。

同チームのMike Grahl氏は「一番の目的は、多くの方々にアリーナに足を運んでもらい、ウルブスのバスケを体感してもらうことです」と言う。「一方で、ビジネス的には、顧客データを獲得し、ファンを理解し、愛着を強めてもらうことも重要です」。

これまでに約2万人がBirthday Clubに登録しているという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/16/Franchises/TWolves.aspx
https://www.nba.com/timberwolves/birthday

StubHub、ロイヤリティプログラム「StubHub Beyond」開始

2019年6月、チケットの二次市場業者StubHubは、一部の優良顧客を対象にしたロイヤリティプログラム「StubHub Beyond」を創設した。

新プログラムの内容は、マスターズやUS Open、MLBといったスポーツイベントにVIPとして招待し、貴重な体験を提供するというもの。

StubHub Beyondの対象者は、これまでに10,000ドル以上をStubHubのサービスに使ってきた顧客。将来的には、顧客の貢献度に基づいて、より詳細なカテゴリーをつくることも検討している。

また、当面はアメリカ在住に限定するが、ゆくゆくは全世界に広げる予定であるという。

StubHubは、2011年から2016年までFan Rewardsというポイント制のロイヤリティプログラムを運営していたが、今回新設されたプログラムは、最も優良な顧客のみを対象にしている点で以前のプログラムとは異なる。

お気に入りのチームや選手のあるスポーツファンはたくさんいるが、「お気に入りのチケット二次市場業者」を持つスポーツファンは限られている。

スポーツ観戦で得られた感動や忘れられない体験は、ファンとチームの心理的なつながりを強くするが、それが消費者とチケット二次市場業者との間に心理的つながりを生むことは珍しい。

StubHub Beyondでは、StubHubが主体的に貴重な経験を提供することで、従来は生まれにくかった心理的なつながりを顧客との間に築くことが期待される。

新プログラム創設に際して、StubHubのOliver Ropars氏は「この業界は非常に競争が激しく、競合はたくさんいます。そのなかで我々は、顧客にとって意味のある存在でありたいのです」と語った。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/24/Marketing-and-Sponsorship/StubHub.aspx

Dr. Sandersonインタビュー④ ソーシャルメディアとチケットセールス

Q. チケットセールスに結びつくようなソーシャルメディアの使い方はありますか?

A. チケットセールスだけにフォーカスしたキャンペーンとなると難しいですね。ソーシャルメディア戦略を立てる際には、そういった特定の結果を直接的に生み出そうとするのではなく、「売り上げは結果としてついてくるもの」と考えたほうがいいでしょう。

では、ソーシャルメディアを使う際には何を念頭に置くべきか。

多くのスポーツチームは、ソーシャルメディアが持つ「ストーリー・テリング機能(story telling function)」に注目しています。

スポーツの現場は、様々な物語で溢れています。

挫折を味わった選手が成長していく物語、個性の強い選手たちをまとめ上げる監督の物語、重病を患ったファンがチームを応援し続ける物語。

こういった、他のメディアが提供できないような興味深い物語を、スポーツチームはソーシャルメディアを通じて提供することができます。

そして物語に触れた人々は、その物語に登場する選手・監督・ファンに感情移入し、その結果、チームとの間に心理的・感情的なつながりを形成するのです。

これがソーシャルメディアのユニークな機能です。

先ほど、多くのスポーツチームがマーケティング的な目的でソーシャルメディアを使っていると言いましたが、それは「そこまで見通して使っている」という意味で、直接的に収益を上げようとしているわけではありません。

結局のところ、ソーシャルメディアは関係を築くツールなのです。

「買ってください!」「見に来てください!」と直接的に訴えかける手法は今の消費者には通じません。

良好な関係性を構築し、心理的なつながりを強化し、その結果として「自然に」チケットを買うようになる。

言い換えれば、「買ってください」とお願いしなくても買ってもらえるような関係づくり、それをソーシャルメディア戦略の目標に据えることが重要です。