セブンティシクサーズ、13億ドルの新アリーナを民間資金で建設へ

NBA

フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、新アリーナの建設計画を発表した。

現在の本拠地であるウェルズ・ファーゴ・センターの賃貸契約が2031年に終了するため、それまでに新アリーナを完成させる計画だ。

「76プレイス」と名付けられたこのスポーツ・エンターテインメント施設の建設費は13億ドル(約1770億円)に上る。

セブンティシクサーズは自治体からの資金援助は一切受けず、地元実業家からの投資を中心とした民間資金で建設する予定だという。

従来アメリカでは、プロスポーツチームがスタジアム・アリーナを建設する際に、地元自治体からの資金援助を受けることが一般的だった。

しかし近年、そのような税金の使い方に批判的な声も多く、民間資金のみで建設するケースも出てきている。

新アリーナの建設地は、現在の本拠地よりもフィラデルフィアの中心部に近くなるため、セブンティシクサーズは周辺コミュニティやビジネスとの繋がりを強化できると期待している。

チームによれば、新アリーナは、建設期間中に19億ドル、開場後は年間4億ドルの経済効果をもたらし、フィラデルフィアの長期的な経済成長に寄与するという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/philadelphia-76ers-new-arena-fashion-district-wells-fargo-center-nba/

DraftKings、事業拡大中

Photo Credit: AP

米国のスポーツベッティング大手DraftKings社は、2022年第1四半期に4億1700万ドル(約543億円)の収益を上げ、前年同期比で34%増を記録した。

一方で、同期の営業費用は9億3300万ドル(約1216億円)に達し、こちらは前年同期比46%増となった。

これらの収支増加の背景には、同社の事業が全米17州に拡大したことがある。

アメリカでは現在スポーツベッティング(ギャンブル)を合法化した州が半数を超えており、その数は今後も増えていく見通しだ。

それに伴い、スポーツチーム・リーグや放送局もギャンブルの要素を加えた新たなスポーツの楽しみ方を積極的に提示しており、それを受け入れるファンも増えている。

実際、DraftKingsも顧客を増やしており、現在200万人の顧客が同社のサービスを毎月利用している。これは前年同期比で39%増である。

一方で、スポーツベッティングという新興産業での立ち位置を確たるものにすべく、DraftKingsは人気リーグ・チームとのスポンサーシップ契約に積極的に投資している。

また、複数の州ではカジノ等の店頭での賭けのみを認めており(オンラインの賭けはNG)、その場合、店舗の運営・管理費もかかる。

その結果、2022年第1四半期の営業・マーケティング費用は3億2140万ドル(約419億円)、一般管理費は2億1660万ドル(約282億円)に上った。

しかしこれはあくまで事業を拡大していく上での必要経費であり、長期的には健全な財務状況を達成できると同社は見ている。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/draftkings-q1-2022-revenue-financials-sports-betting-us/

グリーンベイ・パッカーズ、株式公開で6580万ドル調達

Getty Images

北米プロスポーツチームの多くは資産家やその一族によって所有されているが、グリーンベイ・パッカーズは異なる。

パッカーズは、北米メジャーリーグでは唯一、財務状況を開示し株式を売却することで資金を調達している。

そのパッカーズが2011年以来6回目となる株式公開で6580万ドル(約77億円)を調達した。

2021年11月16日に始まったこの株式公開では、1株が300ドルで取引され、20万株近くが売却された。

今回パッカーズは17万6160人の株主を新たに獲得し、合計株主数は53万7000人以上となった。

株式購入者の内訳は、地元ウィスコンシン州のファンが約17%、カリフォルニア州が8%、テキサス州とイリノイ州が各5%、フロリダ州が4%、ニューヨーク州が3%となっている。また、カナダからも約3500株の購入があった。

なお、今回の調達された資金はスタジアムの改修(新しい大型ビジョンの導入、コンコースの改良など)に充てられるという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/green-bay-packers-stock-offering-shareholders-ownership/

「バイデン大統領」は米スポーツ界にどのような影響を及ぼすか②

前回の投稿では、アメリカ大統領選の結果がプロスポーツチーム売却に影響を及ぼす理由について解説した。

実際、今年10月末にユタ・ジャズが売却された際、多くの専門家はこれを「バイデン氏勝利の可能性を考慮した上での売却」と推察した。

ジャズ新オーナーのライアン・スミス氏(Photo Credit: Getty Images)

ジャズ前オーナーのラリー・ミラー氏は、1980年代に総額2400万ドルで同チームを買収した。それからチームの価値は上がり続け、現在ジャズの価値は16.6億ドルと算出されている。

実際にジャズがいくらで売却されたのかは明らかになっていないが、ミラー氏はかなりの資本利得(Capital Gain)を手にしたはずだ。

Sports Business Journalによれば、資本利得にかかる税金として、ミラー氏は3億ドルほどを国に納めたと見られる。

仮にバイデン氏が提言している税率を用いた場合、この額は6億ドルほどになる。言い換えれば、ミラー氏はトランプ氏が大統領であるうちにチームを売却したことで、3億ドルを節税したのである。

同様に、ニューヨーク・メッツも売却がほぼ成立している(売却額:24.2億ドル)。仮にすべての手続きが今年中に終われば、4億ドルほどの節税につながる。

他にも、バイデン氏は相続税の増税にも言及しており、これは特に高齢化が顕著なNFLのオーナーにチーム売却を考えるきっかけを与えそうである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/11/09/Law-and-Politics/Election-teams.aspx

「バイデン大統領」は米スポーツ界にどのような影響を及ぼすか①

Photo Source: BBC.com

報道によれば、アメリカ大統領選挙は、バイデン氏の当選が確実となった。この結果はスポーツ界にどのような影響を及ぼすのだろうか。

一部関係者によれば、バイデン大統領誕生までに、プロチームの売却が頻発する可能性があるという。それはなぜか。

民主党に所属するバイデン氏は、富裕層への課税強化を推進すると見られる。

たとえば、資本利得(Capital Gain)に対する税率を最大20%から39.6%まで引き上げることを提案している。

資本利得というのは、購入した資産(株式や不動産など)の価値が上昇することによって生まれる利益である。単純化すれば、資産の購入価格と売却価格の差が資本利益となる。

そしてこの資産にはスポーツチームも含まれる。しかも、スポーツチームはかなり優秀な資産である。

Forbesの査定によれば、プロチームの年平均成長率(CAGR)は、NBAが約19%、MLBが約14.2%、NFLが約11.6%だという。これだけ成長率の高い資産はなかなかない。

つまり、長年所有していたチームを売却するときには、大きな資本利得が生まれるということである。

しかし問題はそれにかかる税金である。これが20%か39.6%によって、何百、何千億円という差が生まれかねない。

「そうなる前にチームを売却しよう」。そう考えるオーナーも少なくないのではないか。これが、「プロチーム売却が頻発する」と予想する根拠である。

(次回は具体的な事例を見ていきます)

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/11/09/Law-and-Politics/Election-teams.aspx

見直される競技団体のオフィス利用方法

コロナウイルスや東京オリンピックの延期は、多くの競技団体に多大な影響を及ぼしている。日々厳しくなる資金繰りのなかで、多くの競技団体がコスト削減の方法を模索している。

そこで見直されているのが、オフィスの利用方法である。

たとえば、アメリカ重量挙げ協会は、全職員を無期限の在宅勤務にしており、今年度のリース契約が切れ次第、オフィススペースを大幅に削減するという。

同団体会長のフィル・アンドリュー氏曰く、オフィススペースの削減はコスト削減以上のメリットがあるという。

「職員の働き方がより柔軟になります。最小限のオフィスをコロラド・スプリングスに残しつつ、職員は全国に点在する。そういった形をつくることができるからです」

さらには、余ったオフィススペースを貸し出すことで新たな収入源をつくろうとする競技団体も出てきている。

たとえば、アメリカサイクリング協会は、オフィスビルを所有しているが、これまでは複数のオフィススペースを使用していた。それを一か所に集約することで空きオフィスをつくり、それを別の競技団体に貸しだそうとしている。

同団体会長のロブ・ディマティーニ氏曰く、少なくとも3つの競技団体が興味を示しているという。

同様に、アメリカバレーボール協会もオフィスビルを所有しており、余ったオフィススペースをアーチェリー協会、フェンシング協会、そして卓球協会に貸し出している。

アメリカでは50を超える競技団体がコロラド・スプリングにオフィスを構えているが、今後、より多くの競技団体がオフィスビルを共有するようになるかもしれない。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/08/03/Olympics/NGB-office-space.aspx

MiLBの収入激減

Photo by Mark Brown/Getty Images

MLBは、今月23日に2020年シーズンを開幕するが、マイナーリーグ(MiLB)はすでに全試合中止を発表している。

テレビ放映やスポンサーシップから多くの収入を得ているMLBと異なり、MiLBは収入のほとんどを試合会場で得ている(チケット、飲食、グッズ、駐車場など)。

全試合が中止になるというのは、そういった収入を上げる機会が奪われることを意味する。

もちろんスポンサーシップ収入もあるが、MiLBの場合、地元の中小企業と小規模のスポンサー契約を結んでいることが多く、その場合、スポンサー企業のほうもコロナウイルスの影響を受けており、スポンサー料が払えなくなるケースもある。

チームによっては、大学野球の試合や少年野球の合宿、さらには結婚式といったイベント用にスタジアムを貸し出すことで臨時収入を得ているが、その規模は限られている。

一方で、多くのMiLBチームは、連邦政府から救済支援ローンを受け取ることが認められた。これによりリーグ全体で5515人の職が守られるというが、その効果も夏いっぱいで尽きると見られている。

この苦しい状況のなか、MiLBチームの運営をさらに複雑にしているのがMLBとの関係である。

以前の投稿で解説した通り、現在MLBはMiLBの構造改革を検討しており、場合によっては40以上のMiLBチームが消滅することになる。

コロナウイルスの影響でこの件は現在保留となっているが、MiLBチームのオーナーやスポンサーの頭の片隅には常に存在し、意思決定に影響を与えている。

たとえ、「今が踏ん張りどころ。コロナが収束したら元通りになるはず」と前向きに考えようとしても、その先に待っているのはチーム消滅かもしれない。それならば、いっそ今すぐ破産申請してしまうべきか。

MiLBチームは難しい選択を迫られている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/07/13/Ratings-and-Research/MiLB-revenue.aspx

MLB、今年はレベニューシェアなし?

MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は先週木曜日、CNNの取材に答え、今シーズンが仮に開幕できなかった場合の損失は40億ドルに達しかねないと答えた。

このシナリオを回避するためにMLBは様々な案を模索しているが、オーナーおよび選手会から合意を得ることに苦戦している。

そんななか、仮にMLBが開幕できたとしても球団間のレベニューシェアは行われない見込みだとThe Athleticが報じた。

通常MLBは、30球団がそれぞれ上げた「地方収益(チケット販売などから得た収益)」の48%を徴収し、それを全球団に再分配している。

これは、ニューヨークのような巨大マーケットとカンザスシティのような小さなマーケットの間に生じる格差を是正することが目的だが、今年はそもそも地方収益がほとんど得られていない。そのような状況ではレベニューシェアもできない、というわけだ。

地方収益が激減すること自体の影響が大きいのは巨大マーケットのチームだが、レベニューシェアがなくなることの影響が大きいのは小規模マーケットのチームだ。

たとえば、マイアミ・マーリンズはレベニューシェアを通じて約7000億ドルの恩恵を受けているが、それがなくなることになる。

参考文献:
https://theathletic.com/1816056/2020/05/15/with-no-fans-revenue-sharing-among-rich-and-poor-teams-will-be-unlikely-in-2020/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Daily/Issues/2020/05/15/Coronavirus-and-Sports/MLB-Main.aspx

XFL、破産申請

今週13日、XFLが破産申請をした。

XFLは、今年2月に始まったばかりのプロアメフトリーグで、ここまでは観客動員など概ね好調であったが、コロナウイルスの影響で試合を開催することができず今回の決定に至った。

XFLは以下のようにコメントしている。

「XFLはアメリカンフットボールを愛する何百万人の心を掴むことができましたが、我々のような新規企業にとって、コロナウイルスが引き起こした経済的影響や不確実性は無視できないものでした」

XFLは2001年に1シーズンだけ活動した過去があるが、またしても2シーズン目を迎える前に終焉を迎えることになった。

なお、XFLは、職員に4月12日までの給料と有給休暇を保障し、ファンにはチケットの払い戻しをするという。

参考文献:
https://www.espn.com/xfl/story/_/id/29030763/xfl-files-chapter-11-bankruptcy-suspending-operations

学生アスリートの卒業延期に関する規則と意思決定②

先週9日、ウィスコンシン大学は、学生の大会参加期間に関する特別措置を申請しないと発表した。

これによって、同大学に所属する5年目の学生アスリートは、2021年シーズンに参加することができなくなった。

体育局長のバリー・アルバレス氏は、出演したラジオで「NCAAの特例には多くの問題が伴います」と語った。

「問題は複雑です。来年になれば、新入生が入ってきます。ここに卒業予定だった学生がもう一年残るとなると、部員数はどうなるのでしょう。部員数が増えれば、経済的負担も膨らみます」

ウィスコンシン大学は、コロナウイルスの影響で既に400万ドル(約4.3億円)以上の収益を失っている。

仮に、9月に開幕予定のアメリカンフットボールまで中止となれば、さらに数100万ドル規模の収益減が見込まれる。

「そういったところまで準備しておかなくてはいけないのです。先々までを考えているのです」

現在、他の大学も慎重に状況を整理している。

アイオワ大学は、25~35名の学生が大会参加期間の延長を希望しているという。仮に35名が2021年シーズンまで残ることになれば、50万ドル(約5400万円)ほどの奨学金が必要になる。

オハイオ州立大学は、31~70名の学生が残留希望。およそ63万ドル(約6800万円)の奨学金が必要となるという。

参考文献:
https://www.espn.com/college-sports/story/_/id/29017965/wisconsin-bring-back-seniors-spring-sports-next-year
https://madison.com/wsj/sports/college/wisconsin-badgers-seniors-wont-return-to-spring-sports-in-2021-athletic-department-says/article_32a85306-19dc-5969-9a61-d6608992eea4.html