エンジェルシティFC、学生アスリート2名と業務提携

Angel City FC

エンジェルシティFCは、地元の女性アスリート4名とエンドースメント契約を締結した。

その内2名は学生アスリート(UCLAの体操選手ジョーダン・チャイルズと、南カリフォルニア大学のゴルフ選手アマリ・エイブリー)で、あとの2名は車椅子バスケットボール選手のルイス・スカイとスケートボード選手のブライス・ウェットスタイン。

4選手はエンジェルシティFCのアンバサダーとして、同クラブに関するコンテンツを制作しInstagramやTikTokなどに投稿するほか、同クラブが開催する地域イベントにも参加する。

アメリカでは昨今、学生アスリートがプロスポーツチームと提携し、広報活動に参加する動きが広がりつつある。

たとえば、昨年、アトランタ・ブレーブスが地元大学の体操選手・アメフト選手と今回と同様の契約を結んでいる。

今回の契約に関して、エンジェルシティFCのジュリー・ウアマン社長は以下のようにコメントしている。

「南カリフォルニアのスポーツ界は私たちを受け入れてくれました。私たちはそのお返しとして、素晴らしい若い女性アスリートにスポットライトを当てたいと考えています。それぞれのスポーツでトップに立つ若い女性たちとの提携を通して、彼女たちはブランド・肖像権の価値を高めるために我々のプラットフォームを活用できますし、我々は彼女たちのクラブ・選手に対する応援から利益を得ることができるのです」

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/angel-city-nil-deals-ncaa-athletes-nwsl-usc-ucla-jordan-chiles-amari-avery/

NIL収益スポーツ別比較:女子バスケットボールが全体2位

Image Source: Opendorse

アメリカでは現在マーチ・マッドネスが佳境を迎えている。

女子の決勝は先ほど終了し、サウスカロライナ大が優勝を決めた。男子の決勝は明日行われる。

そんななか、女子バスケットボールに関する興味深い調査結果が報告された。

Opendorse社が2021年7月から2022年2月末までのNIL契約を追跡調査したところ、スポーツ別の収益比較で、女子バスケットボールが全体2位にランクインしたのである。

添付表にある通り、女子バスケットボールはNIL契約で発生した収益の18.5%を占めた。これは男子アメリカンフットボールに次ぐ数字である。

アメリカのカレッジスポーツでは、アメリカンフットボールとバスケットボールが二大スポーツで、バスケットボールに関してはマーチ・マッドネスがキラーコンテンツとして多くのスポンサー企業を惹きつけている。

マーチ・マッドネスというと男子バスケットボールのイメージが強いが、昨今は男子と女子をまとめた広告戦略が展開されており、女子バスケットボールへの注目度も年々増している。

また、男女平等の観点から女子学生アスリートを支援する企業も増えている。

以前、H&R Block社の事例を紹介したが、同社はその後も契約を増やしており、約20名の女子学生アスリートとエンドースメント契約を結んでいる。

なお、このOpendorse社の調査では他にも興味深い結果が報告されている。ご興味のある方は、同社HPをご覧ください。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-womens-basketball-college-nil-endorsement-opendorse-march-madness/
https://opendorse.com/nil-insights/

アディダス、巨大NILプログラムを発足:5万人以上の学生アスリートに収益機会

Adidas

先週23日、アディダスは、同社が提携するNCAAディビジョン1の109校に所属する5万人以上の学生アスリートを対象にした新NILプログラムを発表した。

*NILとは、名前(Name)、イメージ(Image)、肖像(Likeness)の略で、現在、特にカレッジスポーツ業界で最も重要な用語の一つである。

このプログラムに参加することで、学生アスリートはアディダスの宣伝活動(SNSでの情報発信など)を行い、その効果に応じた収益を手にすることができる。

NCAAが学生アスリートのビジネス活動を解禁して以来、企業(H&R Block等)や実業家(ダン・ランバート氏等)、そしてスポーツチーム(アトランタ・ブレーブス等)が特定の選手とエンドースメント契約を結んできた。

一方で、アディダス担当者のジム・マーフィー氏によれば、同社は「個々のエンドースメント契約だけでなく、より大きなスケールで何かできないかと考え始めました」と語っている。

また同氏によれば、この取り組みは学生に金銭的な報酬を提供すること自体が目的ではなく、それによってより公平で多種多様な人が活躍できるスポーツ界をつくることが最終目標だと強調した。

たとえば、このプログラムは段階的に拡大される予定だが、最も早く参加が許されるのは人気の高い5つのカンファレンス(いわゆるPower Fiveカンファレンス)とHBCU(歴史的に黒人の多い大学)になる。

また、今年は「タイトルIX」(教育機関における男女の機会均等を定めた法律)の成立50周年にあたる年であり、アディダスはスポーツ界における男女平等を訴える種々の取り組みを展開している。

このように、アディダスは新NILプログラムを人種・男女平等に貢献する取り組みとして位置付けているのである。

参考文献:
https://www.si.com/college/2022/03/23/adidas-name-image-likeness-network

Pac-12 Networks、学生アスリートに映像提供

Pac-12が運営するテレビ局Pac-12 Networksは、学生アスリートがビジネス目的で同局の映像を使用することを許可した。

今年7月にNCAAがNIL規則を変更したことを受け、現在、多くの企業が学生アスリートとの業務提携に興味を示している。

裏を返せば、学生アスリートが積極的に企業に働きかけて、ビジネス機会を広げることも可能である。

学生アスリートがそうした「営業活動」をするにあたって、テレビ局が撮影した自身の映像が自由に使えると便利だろう。

これがPac-12 Networksの立ち上げた新プログラムの背景である。

Pac-12 Networksは、全国ネットの放送局と6つの地方放送局、そして「Pac-12 Insider」を初めとする種々のネット放送局を運営しており、これらの局が保有しているすべての映像が今後自由にアクセスできるようになる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/pac-12-networks-nil-college-athlete-licensing-programme
https://pac-12.com/article/2021/08/30/pac-12-networks-announces-launch-new-nil-licensing-program-partnership-veritone

ブレーブス、学生アスリートと業務提携

ATLANTA, GEORGIA – MARCH 26: A general view of The Battery Atlanta connected to Truist Park, home of the Atlanta Braves, on March 26, 2020 in Atlanta, Georgia. Major League Baseball has postponed the start of its season indefinitely due to the coronavirus (COVID-19) outbreak. (Photo by Kevin C. Cox/Getty Images)

アトランタ・ブレーブスは、レイチェル・バウマン(ジョージア大学、体操部)とジョーダン・イェーツ(ジョージア工科大学、アメフト部)と業務提携を結んだ。

今後、両選手は、ブレーブスの試合を観戦する様子をSNSに投稿する等の広報活動を行う。

先月7日にNCAAがNIL規則を変更し、学生アスリートのエンドースメント契約が解禁されると、ブレーブスはInstagramで学生アスリートに提携を呼びかけた。

応募条件は、地元の大学に通う学生アスリートであること、ブレーブスのファンであること、そしてSNSをよく使っていること。

この投稿には2000件以上のコメントが寄せられ、約500人の応募者の中から最終的にバウマン選手とイェーツ選手が選ばれた。

MLBチームがこのような契約を学生アスリートと結ぶのはこれが初。

今月初めには、フロリダ・パンサーズ(NHL)が、マイアミ大学アメフト部のデリック・キング選手との業務提携を発表している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/atlanta-braves-mlb-ncaa-nil-deals-rachel-baumann-jordan-yates-georgia-tech

ミシガン大学、同校アメフト選手と提携し新グッズ販売

Photo Credit: RACHEL SCHRAUBEN

今月17日、ミシガン大学体育局の公式グッズストア「The M Den」は、同校のアメフト選手と提携し、彼らの名前と背番号を入れたカスタムユニフォームを販売することを発表した。

以前までのNCAA規則では、現役選手の名前が入ったユニフォームを販売することは禁止されていたが、今月発表された新NIL規則によってそれも可能になった。

ここで注意したいのは、今回の契約が「カスタムユニフォーム」に限られているという点だ。

現時点では、ミシガン大学は、同校アメフトチームが自ら商品に選手の名前や背番号を入れて販売することを認めていない。

たとえば、A選手のファンが彼の名前が入ったユニフォームを買おうと公式ストアに行っても、そのような商品は店頭には並んでいない。

A選手のユニフォームを購入するためには、公式ストアのウェブサイトにアクセスし、そこにある選手リストのなかからA選手を選択する。これによってそのユニフォームは名目上「カスタムユニフォーム」となる。

これが今回認められた選手名入りユニフォームの購入方法だ。

かなり抜け道的な手法ではあるが、売り上げの一部は各選手に還元されることになっている。

マージンは全選手一律。選手への支払いは四半期ごとになる。

この契約には、現時点でおよそ60人の選手が合意しており、その人数は今後さらに増えていくと見られる。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story/_/id/31834394/michigan-athletics-official-retail-store-partners-players-sell-jerseys-names-back

マイアミ大学アメフト選手にエンドースメント契約のオファー

Photo Source: CaneSport.com

今月6日、総合格闘技ジム「アメリカン・トップ・チーム(ATT)」のオーナーであるダン・ランバート氏は、マイアミ大学アメリカンフットボール部の中心選手(計90名)にエンドースメント契約の提案をした。

ATTは堀口恭司選手を含め、多くのトップファイターを輩出した名門ジム。ランバート氏はマイアミ大学の大ファンとしても知られている。

この契約が成立すれば、各選手はSNSなどを通じて同ジムを宣伝し、月々500ドルを受け取ることができる。

学生アスリートのエンドースメント契約は、先々週にNCAAが解禁を発表したばかり。早速大きな契約の話が浮上し、話題を呼んでいる。

この契約を提案した理由についてランバート氏は「学生の手助けをしたいのです。彼らの努力に報いたいし、よりよいチームになってもらいたい」と説明した。

また同氏は「NILに関する新たな規則は、企業やファンが選手やチームに直接影響を与えることができる素晴らしい機会です」とコメント。

ランバート氏は当初、何人かの選手とのみ契約を結ぶ予定だったが、より大きな役割を果たすために多くの選手と契約することを決めたという。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story/_/id/31771563/dan-lambert-plans-500-month-endorsement-deal-every-miami-hurricanes-football-player-scholarship
https://www.cbssports.com/college-football/news/why-college-football-playoff-expansion-is-a-complicated-task-with-the-potential-for-significant-fallout/

NCAA、NILに関する規則の変更を発表

今週水曜日、NCAA理事会は、学生アスリートが自らの名前や画像、肖像権(NIL:Name, Image, Likeness)を活用して収益を上げることを禁止する規則を停止すると発表した。

これに基づき、NCAAに所属する全ての学生アスリートは、今週木曜日から以下のような事業を通じて収入を得ることが可能になった。また、エンドースメント契約などのために代理人と契約することも認められた。

【主な事業例】
・有料イベント(サイン会、キャンプ、レッスン)の開催
・ソーシャルメディアアカウント(YouTube等)の収益化
・自身のビジネスの設立
・エンドースメント契約および企業広告活動

なお、アメリカでは各州が州法を持つため、これがビジネス展開に制限をかかるケースもある。

たとえば、一部の州法では、スポーツ選手がアルコール、タバコ、ギャンブル関連ブランドを宣伝することを禁止している。したがって、それらの州でプレーする学生アスリートにも同様の法律が適応される。

また(本ページで再三指摘している通り)、今回の決定はNILのビジネス活用を認めるものであって、大学が学生アスリートに給与を支払うことを許可したものではない。

大学から学生に直接与えられる便益は、Title IX(タイトルナイン)との兼ね合いもあるため、簡単には実現しないだろう。

参考文献:
https://www.espn.com/college-sports/story/_/id/31737039/ncaa-clears-student-athletes-pursue-name-image-likeness-deals

TwitterとOpendorseが業務提携:学生アスリートのビジネス機会創造

以前の投稿で解説した通り、現在アメリカでは、学生アスリートが自らの名前や肖像を活用して収益を上げることを認める流れが生まれている。

複数の州で、そのような権利を保障する法律が成立し、NCAAも規則の変更に取り組んでいる。

同時に、学生アスリートのビジネス展開を支援しようと計画する企業や団体も動いている。

先週明らかになったTwitterとOpendorseの業務提携も、そのような動きの一つである。具体的な内容は以下の通り。

まず、学生アスリートを広告に使用したい企業が企画案を発表する(「人気バスケットボール選手による筋トレアドバイス」など)。

それに興味を持った学生アスリートは、企画案に沿ったコンテンツをOpendorseのプラットフォーム「Opendorse Deals」上に投稿する。

企業は、投稿されたコンテンツおよびそれに対する消費者の反応を簡単に閲覧でき、そこで評価・採用されたコンテンツはその企業の広告に取り入れられる。

こうしてできた企業広告はTwitter上で流され、その閲覧数などに応じて出演した学生アスリートに報酬が支払われる。

Twitter Sportsのデビット・ハーマン氏は「我々はずっとアスリートたちにコンテンツを制作するように、そして規則が変わり次第、報酬を受け取れるように働きかけてきました。Opendorseとの提携は、カレッジスポーツのあらゆる種目において、様々な機会をアスリートに提供します」とコメントした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/twitter-opendorse-student-athletes-video-content-monetisation
https://www.si.com/college/2021/06/03/twitter-opendorse-ncaa-athletes-video-sponsorships

NIL問題と最高裁の判断③

ウエストバージニア大学時代のショーン・アルストン氏

2014年に元カレッジフットボール選手のショーン・アルストン氏が起こした、いわゆる「アルストン訴訟」では、学生アスリートが大学から受け取ることのできる便益が争点となった。

それまでNCAAが認めていたのは奨学金とその他の受講料のみ。

これに関して原告側は「NCAAの規則は独占禁止法に違反している。どのような便益を学生アスリートに与えるかは各大学が自由に決定できるはずだ」と主張した。

2019年3月、カリフォルニア州の地方裁判所は、原告側の主張を概ね支持。

学生アスリートに与えられる便益を大学教育に関係する品々(コンピューター、科学器具、楽器など)まで拡大するべきという判決を下した。

NCAAはこの判決を不服として控訴したが、2020年5月、控訴審が第一審の判決を支持した。

ここまではオバノン訴訟と同じ流れだが、違うのはここから。

控訴審の判決にも納得のいかないNCAAが上告をしたところ、最高裁がこれを審議すると発表したのである。

オバノン訴訟ではNCAAの上告を棄却した最高裁が、なぜ今回は受け入れたのか。そこにはどのような意図があるのだろうか。

つづく。

参考文献:
https://www.si.com/college/2018/09/04/alston-v-ncaa-trial-news-updates-ncaa-cost-attendance
https://www.espn.com/college-sports/story/_/id/29191519/appeals-court-upholds-ruling-colleges-pay-all-ncaa-athletes-education-expenses