新チーム「カンザスシティ・カレント」②

カンザスシティ・カレントは、クラブ名・ロゴの発表とともに、同クラブ専用のスタジアムを建設する計画も発表した。

アメリカの女子サッカークラブが専用スタジアムを持てば、史上初である。

カレントは、すでにスタジアム建設地のリース(50年契約)を確保し、設計・施工の担当企業も決定している。

新スタジアムは11,000席、建設費用は約7000万ドル(約80億円)になる予定で、オーナーグループが全額を出資するという。

建設スケジュールに関して公式な発表はなかったが、報道によれば2022年春か夏に着工し、2024年の完成を目指しているという。

共同オーナーであるアンジー・ロング氏は、「ワールドクラスの施設は、プロスポーツが変革するための『触媒』となります」とコメント。

「特に、女子スポーツは今、凄まじい勢いを持っています。このような大規模スタジアムを建設することによって、女子サッカーおよび地元地域が恩恵を受けられるよう、主要な役割を果たせることをとても誇りに思います」。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/kansas-city-nwsl-new-stadium-womens-football/

エンジェルシティFC、チケット売上の一部を選手に直接還元

The Angel City Football Club’s stadium | CREDIT: ANGEL CITY FOOTBALL CLUB

女子プロサッカーのNWSLに新規参入するエンジェルシティFCは、チケット売上の一部を直接選手に還元する計画を明らかにした。

この新基金への参加を希望する選手には、ホームゲームのチケット総売上の1%が均等に配分される。

その代わりに、参加選手には、SNSを活用してチケット情報を宣伝する義務が生まれる。

ちなみに、エンジェルシティFCはすでに1万1000枚以上のシーズンチケットを販売している。したがって、現時点ですでに数千ドルの還元が確定している。

エンジェルシティFCのジュリー・アーマン社長は、同クラブの目指すものの一つとして、「女子スポーツおよび女子選手の報酬に対する貢献」を上げ、以下のように語った。

「この基金は、ファンの皆さんに、私たちと一緒に真の変革をもたらす力を与えるものです。エンジェルシティは、ファンのために素晴らしい雰囲気を作り、エキサイティングで多様性に富んだチームを作るだけでなく、選手一人ひとりに直接利益をもたらすつもりです。私たちは、あらゆるスポーツ(特に女子スポーツ)のチームが、このモデルの採用を検討することを期待しています」。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/angel-city-nwsl-ticketing-revenue-percentage-nil/

「女子スポーツのファン」と「男子スポーツのファン」、どう違う?

Photo Credit: MATT SLOCUM | AP

スポーツマーケティング代理店のThe Space Between社は、興味深い調査結果を発表した。

このなかで同社は、女子スポーツと男子スポーツのファンを比較している。
*なお、「女子スポーツ」「男子スポーツ」はアスリートの性別を示しており、ファンの性別は関係ない。

主な調査結果は以下の通り。

・女子スポーツのファンは、スポンサー企業を正しく記憶している割合が、男子スポーツのファンよりも2倍高い。
・女子スポーツのファンは、男子スポーツのファンに比べて、スポンサー製品を購入する傾向が25%高い。
・「スポンサー企業は社会をよりよくするために取り組むべきだ」という文言に対して、女子スポーツのファンは50%が「強い同意」を示した一方、男子スポーツのファンで「強い同意」を示したのは20%であった。
・女子スポーツのファンの40%は、スポンサー企業が自分の価値観を反映していることが非常に重要であると考えているのに対し、男子スポーツのファンは20%がそのように考えていた。
・女子スポーツのファンは、男子スポーツのファンよりもテクノロジーに精通している。
・女子スポーツのファンは、男子スポーツのファンよりも環境問題に関心が高い。

これらの結果を踏まえ、The Space Betweenのアダム・レインコック氏は「ファンがそのスポーツとどのように接するのかということに関して、女子スポーツと男子スポーツで根本的な違いがあります」と説明した。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/womens-sport-study-space-between-audience-fans-sponsorship/

WBSS、女子トーナメントを開催

World Boxing Super Series(WBSS)が女子トーナメントを開催することを発表した。

2017年に始まったWBSSは、特定の階級に属するトップボクサー8人がトーナメント形式で戦う大会で、「ボクシングのワールドカップ」とも呼ばれる。

第1回大会(2017-18年)はクルーザー級とスーパーミドル級が、第2回大会(2018-19年)はスーパーライト級、バンタム級、そしてクルーザー級が対象になった。

バンタム級トーナメントで井上尚弥選手が優勝したことはまだ記憶に新しい。

そして今回、第3回大会が女子のスーパーフェザー級トーナメントとなることが明らかにされた。

発表に際して、WBSS最高責任者のアンドレアス・ベンツ氏は以下のように語った。

「前回、前々回大会では、男子ボクシングで最高のトーナメントを開催しました。しかし我々が常々抱いていた夢は、男子ボクシングで最高のトーナメントを開催するだけでなく、女子ボクシングにもふさわしい舞台を用意して、素晴らしい選手たちをサポートすることでした。今こそ、それを実現するときです」

「この大会は、単に女子ボクシング最高峰の大会というだけではありません。草の根・エリートの両方のレベルにおいて女子ボクシングが広まっていくように、戦略的に支援していくつもりです。才能溢れる選手や注目を集める選手が育っていき、将来の世代にもいい影響が生まれるような環境を開発する計画です」

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/world-boxing-super-series-womens-tournament-season-three-kalle-sauerland

2023年FIFA女子ワールドカップのスタジアム発表

Getty Images

FIFAは、2023年に開催される女子ワールドカップで使用されるスタジアムを発表した。オーストラリア・ニュージーランドの全9都市、10スタジアムが舞台となる。

女子ワールドカップが複数国による共催となるのも、参加チームが32か国になるのも、今回が初である。

開幕戦はオークランドのエデン・パーク、決勝戦はシドニーのスタジアム・オーストラリアで行われる。

2019年にフランスで行われた前回大会では、アメリカ代表チームを中心に「Equal Pay」運動が注目を集めた。

FIFA会長のジャンニ・インファンティーノ氏は「2019年フランス大会は、ピッチ内外で大きな成功を収めました。2023年大会は世界最高峰の選手たちを見せるだけでなく、人々を一つにし、勇気を与え、人生を変える機会を与えます。そしてオーストラリア・ニュージーランドはもとより、世界中の女子サッカーに持続的なレガシーを残すでしょう」とコメントした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fifa-2023-womens-world-cup-host-cities-stadiums

スポーツの垣根を超えたプロジェクト「Women’s Elite Sport Partnership」

今週8日、「国際女性デー」のこの日、イギリスに本拠地を置く5つの女子スポーツチームが「Women’s Elite Sport Partnership」というプロジェクトを立ち上げた。

参加チームは以下の通り。

1. ウェストハム・ユナイテッド(サッカー)
2. ロンドン・パルス(ネットボール)
3. ロンドン・ライオンズ(バスケットボール)
4. エセックス・レベルズ(バスケットボール)
5. サンライザーズ(クリケット)

このプロジェクトは「女性のスポーツ参加向上」と「エリート選手への道筋確立」を主な目的としている。

女性スポーツの裾野拡大・パフォーマンス向上だけでなく、女性アスリートの経済活動に関する取り組みも展開していくという。

たとえば、チケット販売の方法や試合観戦をより価値の高いものにする手段などを横断的に議論し、各チームの収益拡大に寄与する。

ウェストハム・ユナイテッドの最高責任者であるジャック・サリバン氏は以下のように語る。

「世界中のスポーツ関係者にとって2020年は本当に大変な一年でした。そのなかでも女子サッカーは大きな勢いを持って進んでいます。2021年、この勢いをさらに大きくするのが、今回結ばれた素晴らしいパートナーシップです」

また同氏は「将来的には、イギリス国内のトップチームにどんどん参加してほしいです」ともコメントしている。

参考文献:
https://insidersport.com/2021/03/09/five-clubs-combine-to-establish-womens-elite-sport-partnership/

NWHL、新シーズン開幕へ

Dunkin' Donuts skates in as the first corporate sponsor of the National Women's Hockey League (PRNewsFoto/Dunkin' Donuts)

今週土曜日、女子アイスホッケーリーグのNational Women’s Hockey League(NWHL)が新シーズン(6シーズン目)を開幕する。

全6チームがニューヨーク州レークプラシッドに集まり、すべての試合を1つの会場で行う、いわゆる「バブル」という形式を採用する(全日程が2週間で終了する)。

選手の給与や宿泊費、コロナウイルスの検査薬などを合わせた費用は数百万ドル(数億円)になる見込みで、収入で賄えない分は8人のリーグ理事が負担するという。

昨年コミッショナーに就任したばかりのタイラー・トゥミニア氏は、大きな赤字を生むことになるとしても「新シーズン開幕はリーグの存在感を保つためには不可欠だった」と言う。

試合はすべて無観客となるため、チケットや飲食の収入はなくなる。主な収入源は放映権収入とスポンサー収入だ。

たとえば、2月4・5日に行われるリーグ優勝決定戦と準決勝はNBC Sports Networkが全国中継する。女子プロアイスホッケーの試合がキー局で全国中継されるのはこれが初めてである。

トゥミニア氏によれば、開催地がもつ歴史的な意味が「いいストーリー」をつくり、放映権契約の交渉に生きたという。

開催地となるレークプラシッドは、冬季オリンピックを二度誘致した町として知られており(1932年と1980年)、特に1980年大会はアイスホッケーのアメリカ代表がソビエト連邦代表を下して金メダルと獲得したことで大きな注目を集めた。この勝利は「氷上の奇跡(Miracle on Ice)」として今も語り継がれている。

また、NBCの副社長が個人的に女子ホッケーのファンであることも有利に働いたという。

「アメリカのスポーツビジネス」というとすべてが合理的に動いているようなイメージがあるかもしれないが、実はこのように個人的な情熱が重要な役割を果たすケースが多く見られる。

ちなみに全国中継のない試合はTwitchを通じてネット中継をする予定である。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2021/01/18/Leagues-and-Governing-Bodies/NWHL.aspx

女子クリケット、8万人を超える観客動員

コロナウイルスの影響は、世界中のスポーツ界に及んでいる。

オーストラリアもその例外ではなく、先週金曜日に予定されていたフォーミュラワンは中止に、オーストラリアン・フットボール・リーグは無観客試合を発表した。

その一方で、今月8日、オーストラリアのメルボルン・クリケット・グラウンドには8万6174人もの観客が押し寄せた。

お目当ては、ICC(国際クリケット評議会)が主催する女子T20ワールドカップの決勝戦。

T20(正式名称:トゥエンティ20)とは、クリケットの試合形式の一つで、通常のクリケットよりも試合時間が短い(通常は3~5日かかるが、T20は3時間弱で終わる)。

2003年、下火になりつつあったクリケット人気を再燃させるためにイギリスで誕生した。

日曜日の試合は、オーストラリア国内で開催された女子スポーツイベントで歴代最大の観客動員となった(ちなみに世界記録は1999年のFIFA女子ワールドカップ、アメリカ対中国で、9万185人)。

観客動員だけでなく、試合中継でも歴史的な数字をたたき出した。

フォックス・スポーツとナイン・ネットワークが中継したオーストラリア代表の初戦は、約45万人が視聴し、ICCが管理するネット中継の視聴数は7億を超えた。

大きな成功の裏には様々な要因があるだろうが、ICCが展開する「100%クリケット」というキャンペーンはその一つだと考えられる。

明日の投稿では、その具体的な内容について紹介します。

参考文献:
https://www.theguardian.com/sport/2020/mar/13/postponed-cancelled-or-business-as-usual-a-guide-to-australias-sport-events-during-coronavirus
https://www.sportspromedia.com/news/womens-t20-world-cup-womens-cricket-record-attendance
https://www.sportspromedia.com/opinion/womens-t20-final-record-mcg-australia-india-uswnt-lawsuit

アメリカ女子サッカー代表選手、連盟に6700万ドル支払いを要求

昨年、アメリカ女子サッカー代表選手は、アメリカサッカー連盟を相手に訴訟を起こした。不当な賃金や労働環境がその理由だ。

この件に関して、先週20日、連盟側と選手側がそれぞれ新たな動きを見せた。

まず連盟側は、選手の訴えを直ちに棄却し、裁判を終了するよう裁判長に要求。

一方、選手側も略式判決による早期解決を要求。しかしこちらはその条件として「連盟から選手側に総額約6700万ドル(約75億円)の給与および賠償金を支払うこと」を要求した。

これは、賃金問題に関する両者の認識が依然として大きく食い違っていることを表す出来事となった。

今後の動きとしては、3月30日、ゲイリー・クラウスナー裁判長が両者の意見を検討する。どちらかの要求を受け入れることも可能だが、どちらの要求も拒否しこれまで通り裁判を継続することもできる。

クラウスナー裁判官はこれまで選手たちの意見に一定の理解を示しているが、この件に関しては、どちらの要求にも応じず裁判を継続するのではないかと見られている。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2020/02/21/sports/soccer/uswnt-equal-pay-lawsuit.html
https://www.si.com/soccer/2020/02/21/uswnt-us-soccer-lawsuit-filings-strike-analysis-damages

WNBAの新労使協定、女子スポーツ界に大きな影響

1月14日、WNBAのリーグと選手会が新たな労使協定に合意した。この新協定の内容が大きな反響を呼んでいる。

新協定では、選手の給与や手当が大幅に改善された。たとえば、最大給与額は従来の11万7500ドル(約1300万円)から21万5000ドル(約2400万円)に引き上げられた。実に83%増である。

また、産休中に給与の全額が受け取れる権利も新たに与えられることとなった。

この新協定がもたらす影響は、バスケットボール界に留まらない。

現在、世界各国のスポーツ界で、女性アスリートが労働環境や待遇の改善を求めて動いている。

アメリカ女子サッカー代表によるサッカー協会提訴スペイン女子サッカー選手によるストライキなどはその例である。

またサッカー以外にもテニス、アイスホッケー、そして陸上などで同様の声が上がっている。

今回の新労使協定は、変化を求めるアスリートの声が反映されたケースとして、他の女子アスリートにも希望を与えるだろう。

WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバート氏は、「我々は、このリーグの可能性に、女性の可能性に大きく賭けました」と、新協定の意義を説明した。

一方で、選手の待遇を手厚くするということは、その分コストが拡大することを意味する。

WNBAはここ数年ビジネス面で苦戦しており、拡大するコストをカバーするだけの収入を上げることができるかが今後の課題となる。

エンゲルバート氏が「大きな賭け」という表現を用いたのにはそういった背景がある。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2020/01/14/sports/basketball/wnba-contract-collective-bargaining-agreement.html