UCLA・USC脱退の余波

Aug 31, 2018; Madison, WI, USA; Big Ten logo on yardage markers during warmups prior to the game betwee the Western Kentucky Hilltoppers and Wisconsin Badgers at Camp Randall Stadium. Mandatory Credit: Jeff Hanisch-USA TODAY Sports

前回の投稿で説明した通り、UCLAとUSCが2024年にPac-12から脱退し、Big Tenに加入することが明らかになった。

これが関係各所に影響を与えている。

一部報道によれば、名門2校の脱退を受けて、Pac-12に所属する他の大学も他カンファレンスへの移籍を検討しているという。さらに、近い将来、Pac-12自体が解散する可能性まで指摘されている。

一方のBig Tenは所属校が16校に増え、地理的な範囲も大きく広がった。これは同カンファレンスのビジネスに好影響を及ぼす。

たとえば、現在Big Tenは、2023年以降の放映権契約を交渉している。

最終的には3社との契約になる見通しで、FoxとCBSはほぼ確定、残り一枠をESPN、Amazon、NBCが争っているという。

これらすべての契約金を合わせた放映権収入は年間10億ドルに達すると見られている(現行の契約はFoxとESPNとの契約で、年間4.4億ドル)。

さらに、UCLA・USCの加入を受けて、AppleがBig Tenのストリーミング放映権に興味を示していると報じられている。

現在、収益面では、Big TenとSECが二大カンファレンスであり、Pac-12、ACC、Big 12がそれを追う形になっているが、その差はさらに拡大していく可能性が高い。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/big-ten-conference-usc-ucla-apple-broadcast-rights-pac-12-college-sports/

NHL、保険会社を提訴

2021年6月、NHLとその20チームは、保険会社5社を相手取り訴訟を起こした。

原告は、保険会社がコロナ禍によって生じた損害(10億ドル以上)の弁済を拒否しており、これが契約違反にあたると主張している。

たとえば、Factory Mutual社との契約には「伝染病がアリーナ内の空気や表面を物理的に変化させ、本来の用途に適さない状態にした場合」が補償の対象として明記されているという。

他にも「伝染病に関する損失」に対する特別な補償がNHLとの契約には含まれているがその支払いがない。これがNHL側の主張だ。

2021年11月、Factory Mutual側は「補償の対象となるのは、リーグ・チームの所有物に対する物理的損害である」と述べた上で、NHLが請求している損害は契約の範囲を超えており、訴えは棄却されるべきだと主張した。

2021年12月、NHL側は更なる反論を展開。

リーグ・チームの所有物が物理的損失を受けたかどうかに拘わらず、政府命令によってアリーナへのアクセスが制限された結果失われた収益(チケット収入等)は補償されるべきだと主張した。

この裁判は現在も続いており、最終的な判決に注目が集まっている。なお、同様の訴訟はMLBやNBAでも起こっている。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nhl-insurers-lawsuit-factory-mutual-covid-19-losses/

アンダーアーマー、シンシナティ大学との契約を破棄

Getty Images

アンダーアーマーがシンシナティ大学と結んでいた10年総額5000万ドル(約52億円)のスポンサー契約を破棄することが明らかになった。

この契約は2015年に締結されたもので、アンダーアーマーはシンシナティ大学に毎年100万ドルのスポンサー料と300万ドル相当の用具を提供することになっていた。

近年アンダーアーマーの財務状態は厳しく、様々なコストカットを試みている。

たとえば、今年6月にはUCLAとのスポンサー契約も破棄し、これに対してはUCLAが訴訟を起こしている

Baltimore Business Journalによれば、アンダーアーマーとシンシナティ大学は契約破棄に関して対立はしておらず、元々の契約に含まれていた契約破棄に関する合意に従うことになるという。

具体的には、「2021年末まで365万ドル相当の用具を提供し続ける」、「解約手数料として975万ドルを2022年4月まで支払うこと」という2点がアンダーアーマーに義務づけられるという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/under-armour-university-of-cincinnati-college-sport-sponsorship

カネロ、DAZNとGolden Boy Promotionsを提訴

今週火曜日、サウル・アルバレス選手(通称カネロ)がDAZNとGolden Boy Promotions(およびオスカー・デラホーヤ会長)を提訴した。

カネロは「現役最強ボクサー」との呼び声高い世界4階級チャンピオンで、Golden Boy Promotionsが彼のプロモーター(マッチメイクや放映権契約などを行う興行主)を務めている。

またカネロは、2018年にDAZNと5年11試合3億6500万ドルの独占契約を結んでおり、現在彼の試合はDAZNが独占中継することになっている。

しかしカネロは2019年11月を最後に試合をしていない。5月に予定されていた試合もコロナウイルスの影響で流れていた。

カネロによれば、DAZNは次戦が決まるまでのひと先ずの支払いとして契約金の一部(4000万ドル)と同社の株式を提示したが、これには納得がいかず、プロモーターであるGolden Boy Promotionsに別の可能性を探るように要求したが、こちらも納得のいく回答は得られなかったという。

今回の訴訟で、カネロはDAZNとGolden Boy Promotionsに対して2億8000万ドルの損害賠償を要求した。

参考文献:
https://www.espn.com/boxing/story/_/id/29842347/canelo-alvarez-files-suit-vs-golden-boy-oscar-de-la-hoya-dazn-record-deal

プレミアリーグ、中国放送局との契約破棄

プレミアリーグは、中国放送局のPPTVと結んでいた総額5億2300万ポンド(約733億円)の放映権契約を破棄した。

報道によれば、イギリスと中国の政治的緊張の高まりが影響しているという。

イギリスでは、今年7月に政府がファーウェイ社の5G製品を排除することを発表。またジョンソン首相は、香港市民300万人がイギリス市民権を獲得できるよう道を示した。

こうしたことが二国間の緊張を高めており、それがスポーツ界を含む各所に影響を及ぼしている。

プレミアリーグでは他にもサウサンプトンFCが主要スポンサーであった中国企業のLDスポーツとの契約を途中で解約している。

コロナウイルスの影響で収益が減少し、かつ新シーズンが9月12日に始まるこの時期に、巨大な放映権契約を破棄することはプレミアリーグにとって大きなリスクだが、新シーズン開幕までに新たな放映権契約を結べるよう最善を尽くすという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/premier-league-china-tv-rights-pptv-suning

ジョコビッチ、男子プロテニス選手会の新設を発表

先週、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチは「Professional Tennis Players Association(PTPA;プロテニス選手会)」の設立を発表した。

男子のプロテニス選手を代表し、大会のルール、賞金、年金、そして健康保険などに関する意見を発信することを目的とする。

他のメジャースポーツと異なり、テニスには労働組合が存在しない。選手個々が「個人事業主」として大会に参加し、その他ビジネスを展開する。

結果として、選手が一つの集団として意見を形成し、大会運営等に変化をもたらすことが難しかった。

Association of Tennis Professionals(ATP)がそういった役割を担ってきたはずだったが、ATPは自ら大会も主催しており、純粋な選手会とは異なる性質を持っている。

実際、ATP選手評議会のメンバーであったバセク・ポシュピシルは「現在のATPの組織構造では、選手が大会運営に重要な影響を与えることは極めて難しいことを痛感した」と話している。

選手会の新設にあたり、ジョコビッチは「これは労働組合ではなく、あくまで選手会です。ボイコットを呼びかけるようなことはしません。独自の大会を始めることもありません」と説明し、また、ATP選手評議会との共存も明言している。

しかし、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、そしてアンディ・マリーといったトップ選手を初め、この動きに反対する選手も少なくない。

ナダルは「テニス界が一つになることで、大きなことを達成できます。選手、大会運営、そして競技団体が協調しなくてはいけません」とコメント。またマリーは、新選手会に女子選手が関わっていないことも大きな懸念材料だとした。

果たして、新団体の設立はテニス界にどのような変化を生むのだろうか。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/novak-djokovic-mens-player-association-ptpa-nadal-federer-murray-us-open
https://www.washingtonpost.com/sports/2020/08/30/novak-djokovics-new-players-association-proposal-divides-tennis-difficult-time/

UCLA、アンダーアーマーを提訴

Daily Bruin

UCLAは、スポンサー契約を一方的に破棄したとしてアンダーアーマーを提訴した。

問題となっている契約は2016年に締結されたもので、15年総額2億8000万ドル(約300億円)。これは当時アメリカのカレッジスポーツの歴史で最大のスポンサー契約であった。

しかし今年6月、アンダーアーマーは契約の破棄を通知。

コロナウイルスの影響で、多くのカレッジスポーツイベントが中止になり、約束されていたベネフィットが得られないことが理由だと説明した。

これに対してUCLAのマリー・オサコ氏は「アンダーアーマーが、2016年に結んだ契約から逃れるために世界的なパンデミックを利用していることを残念に思う。契約には予定通りに試合を行う義務などは記されておらず、UCLA側は責任を果たしている」と反論。

さらに、アンダーアーマーが契約を破棄した本当の理由は、同社に支払い能力がないからだと主張した。

実は、アンダーアーマーがスポンサー契約を破棄するのはこれが初めてではない。2016年にMLBと10年のスポンサー契約を結んだが、2020年の開始前に契約を破棄している。

今回の訴訟で、UCLAはアンダーアーマーに対し、2億ドルの支払いを要求している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ucla-under-armour-contract-termination-lawsuit
https://bleacherreport.com/articles/2897938-under-armour-reportedly-trying-to-terminate-record-280m-contract-with-ucla

IOCの放映権収入減少

東京オリンピックの延期によって、アメリカ大手テレビ局のNBCからIOCに支払われるはずであった放映権料が減少することがわかった。

1988年に初めて放映権契約を結んで以来、NBCとIOCは長期的な関係を築いており、NBCとの契約は現在IOCにとって最大の収入源となっている。

現在の放映権契約は、2011年に結ばれたもので、有効期限は2020年まで。契約金の総額は43.8億ドル(約4600億円)である。なお、この契約は2014年にすでに延長が決定されており、総額77.5億ドル(約8100億円)で2032年まで有効な契約となっている。

東京オリンピックの延期によって、この契約に含まれていた「削減条項」が適用され、支払額が減少することになった。なお、どの程度の減額になるかは明らかになっていない。

関係者によれば、東京オリンピックの放映権料については、2021年に実際に開催が実現してから改めて交渉することになるという。

ちなみに、NBCとIOCの放映権契約には「中止条項」も含まれており、東京オリンピック延期によって、契約を完全に中止することも可能であったが、この権利は行使されなかった。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ioc-nbc-broadcast-negotiations-tokyo-2020-tv-deal-coronavirus

MLBによるマイナーリーグ改革、進展なし

MLBがマイナーリーグ(MiLB)の抜本的な構造改革を検討していると報道されてから約4か月が過ぎた。

これまでMLBとMiLBは話し合いを繰り返してきたが、未だ合意には至っていない。

当初報道された改革案には「40チーム以上を廃部にする」「ドラフトで指名できる人数を半減させる」といった内容が含まれていたが、その内容は変わりつつあるという。

この件に関しては、スポーツ関係者だけでなく政治家も積極的に意見を発しており、それが良くも悪くもMLBにプレッシャーを与えている。

つい先週も、4人の国会議員が、MiLBチームの廃部を思い直すようにMLBに懇願している。

MLBはこのような政治的プレッシャーは円滑な交渉を妨げると不快感を示している。

また、この政治的プレッシャーによって、MLB30球団のオーナーたちが当初よりもリーグの改革に協力的ではなくなっているという報道もある。

MLBとMiLBの関係を定める契約は今年9月に失効する。双方はそれまでには何らかの合意ができると前向きに考えている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/02/03/Leagues-and-Governing-Bodies/Baseball.aspx

WNBAの新労使協定、女子スポーツ界に大きな影響

1月14日、WNBAのリーグと選手会が新たな労使協定に合意した。この新協定の内容が大きな反響を呼んでいる。

新協定では、選手の給与や手当が大幅に改善された。たとえば、最大給与額は従来の11万7500ドル(約1300万円)から21万5000ドル(約2400万円)に引き上げられた。実に83%増である。

また、産休中に給与の全額が受け取れる権利も新たに与えられることとなった。

この新協定がもたらす影響は、バスケットボール界に留まらない。

現在、世界各国のスポーツ界で、女性アスリートが労働環境や待遇の改善を求めて動いている。

アメリカ女子サッカー代表によるサッカー協会提訴スペイン女子サッカー選手によるストライキなどはその例である。

またサッカー以外にもテニス、アイスホッケー、そして陸上などで同様の声が上がっている。

今回の新労使協定は、変化を求めるアスリートの声が反映されたケースとして、他の女子アスリートにも希望を与えるだろう。

WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバート氏は、「我々は、このリーグの可能性に、女性の可能性に大きく賭けました」と、新協定の意義を説明した。

一方で、選手の待遇を手厚くするということは、その分コストが拡大することを意味する。

WNBAはここ数年ビジネス面で苦戦しており、拡大するコストをカバーするだけの収入を上げることができるかが今後の課題となる。

エンゲルバート氏が「大きな賭け」という表現を用いたのにはそういった背景がある。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2020/01/14/sports/basketball/wnba-contract-collective-bargaining-agreement.html