ドジャースファン、アストロズにブーイングするためエンゼルス戦へ

ヒューストン・アストロズのサイン盗みが取り沙汰された際、最も怒りを露にしたのが、2017年のワールドシリーズでアストロズに敗れて世界一を逃したロサンゼルス・ドジャースのファンであった。

こういった場合、アメリカのスポーツファンは、スタジアムで容赦ないブーイングを浴びせることで気を晴らすものだが、2020年シーズンにドジャースとアストロズの試合は1試合もない。

そこで、Pantone 294というドジャースのファングループが現在ある計画を進めている。

それが、同じロサンゼルスに本拠地を置くエンゼルスの試合に行ってブーイングをするというもの。

これに関して、エンゼルス側は「野球ファンはいつでも歓迎します」と受け入れる方針。

Pantone 294と連絡を取り、4月3日のエンゼルス対アストロズ戦のチケット約800枚を同グループに販売することを約束したという。

度を越えた行動は慎むようにお願いしているとはいうが、異様な雰囲気に包まれることは間違いないだろう。

参考文献:
https://www.latimes.com/sports/dodgers/story/2020-01-25/dodgers-astros-angels-cheating-anthony-rendon-pantone

ドジャース、ベンチャー企業に投資

2018年1月、ロサンゼルス・ドジャースは同チームが運営する投資プログラム「Dodgers Accelerator」の拡大を発表した。

Dodgers Acceleratorは、2015年にドジャースが広告代理店のR/GA社と共同で立ち上げたプログラムで、その内容は、スポーツ・エンターテインメント関連のベンチャー企業に活動資金を投資するというものである(12万ドルを投資し、6%ほどの株主資本を得る)。

このプログラムはこれまで15のベンチャー企業を支援し、アメリカのスポーツ界で最も成功を収めた投資プログラムの一つとなった。

今回ドジャースは、このプログラムの名称を「Global Sports Venture Studio」に改め、その内容を大幅に変更すると発表した。

まず、8月から11月までの期間限定であったプログラムを、年間を通じて運営するものにする。そして投資対象も拡大し、よりグローバルなプログラムにする。

この変更に伴い、同プログラムはドジャースの本拠地であるロサンゼルスだけでなく、ニューヨーク、ロンドンにもオフィスを構え、投資先を探す方針であるという。

このプログラムを通してドジャースは投資家としての利益(投資先のベンチャー企業が成功を収めれば、保有する株主資本の価値も上がる)を得る一方、同チームのビジネスに応用できそうな新技術に関する情報をいち早く得ることもできる。

参考文献:
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/01/08/Franchises/Dodgers.aspx
https://www.globalsportsventurestudio.com/
https://www.mlb.com/dodgers/news/dodgers-accelerator-program-hosts-demo-day/c-157045580

ロボットシェフ

カリフォルニアのベンチャー企業Miso Roboticsは、スタジアムのコンセッションで働くロボットを開発している。同社が開発したFlippyというロボットは、鉄板のバーガーをひっくり返したり、焼きあがったものをパンの上に乗せたりすることができる。

AI技術に基づき開発されたFlippyは、内蔵されたカメラで撮影された映像を分析することで自らの経験から学習することまでできる。バーガーの厚みや鉄板の温度が変わっても、バーガーをひっくり返すタイミングを逃さない。

Flippyは、2018年にロサンゼルス・ドジャースが本拠地のドジャースタジアムに取り入れた。ドジャースタジアムは、MLBの球場の中でも最も座席数が多く(56,000人収容)、チームもリーグ屈指の人気であるため、コンセッションはとても忙しい。しかし、Flippyは疲れることなくバーガーを作り続けるので、素早く一貫したクオリティで商品を提供できる。また、こういった単純作業は従業員のけがにつながるケースが多く、そのリスクを抑える効果もある。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/03/05/Technology/Robots.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/05/Facilities/Dodgers.aspx

チケットビジネスの動向③ セカンダリー・マーケット

セカンダリー・マーケット(二次市場)とは、すでに購入されたチケットを再び売買する市場を指し、アメリカではTicket MasterやStubHub、SeatGeekといった企業がその運営を担っている。

もともとセカンダリー・マーケットは、スポーツリーグ・チームから完全に独立して運営されていた。しかし、あまりに多くの消費者がそこでチケットを購入するため、スポーツリーグ・チームがセカンダリー・マーケットの運営会社と業務提携を結ぶケースが増えている。

契約内容は様々だが、一般的には、売上の数%と顧客データがリーグ・チームに提供される。

象徴的なケースがある。2017年のワールドシリーズで戦ったロサンゼルス・ドジャースとヒューストン・アストロズは全く異なるチケット戦略を持っていた。

ドジャースは放任主義。セカンダリー・マーケットに介入せず、相当数いたダフ屋も黙認していた。一方、アストロズは、Eventellectというチケット会社と業務提携を結び、セカンダリー・マーケットを管理していた。

2017年ワールドシリーズのチケットは、セカンダリー・マーケット上で1100~1300ドルまで高騰した。その結果、ドジャースのホームゲームで、ダフ屋の儲けは計1500万ドルにも達したと伝えられている。しかし、そのうち1銭もドジャースには還元されない。

一方、アストロズのホームゲームに関しては、Eventellect社がセカンダリー・マーケットを管理していたため、その売り上げの一部がアストロズに共有されたと見られる。

そのワールドシリーズから数か月後の2018年2月、ドジャースは放任主義から方針転換。Eventellect社との業務提携を発表した。

拡大を続けるセカンダリー・マーケット。収入増加と顧客情報獲得のために、自らセカンダリー・マーケットを設立・運営するチームも現れている。

ボストン・レッドソックスは、Red Sox Replayを創設し2016年からサービスを提供している。Red Sox Replayでは、チケットの売り手がチケット価格を設定できるが、売り上げの10%が手数料としてレッドソックスに徴収される(シーズンチケット所有者の手数料は5%)。一方で、利用者はレッドソックスが管理するセカンダリー・マーケットで、より信頼性の高いサービスを受けることができる。2016年シーズンは、85,000以上のチケットがRed Sox Replayで売買された。

参考文献:
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/10/30/Events-and-Attractions/World-Series.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/02/12/Franchises/Dodgers-Eventellect.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/11/21/Franchises/Red-Sox-Replay.aspx

ヒストリー・マーケティング

スポーツチームは、トロフィーやバナーなど様々な記念品を保有しているが、その多くは倉庫に眠っていたり、薄暗い博物館でホコリをかぶっていたりする。

現在、そういった記念品をスタジアムデザインに生かそうとする取り組みが盛んになりつつある。

ミシガン州立大学は、2000年に全米選手権を制したときのバスケットボールコートの一部分を壁にかけた。

「ほとんどの人はコートの近くに来る機会なんてないからね」と言うのは建築会社RossettiのMatt Taylor氏。「歴史的な記念品を一つの部屋に押し込んでホコリまみれにしとくのはもったいないでしょ」と話す。

ロサンゼルス・ドジャースのJanet Marie Smith氏は「私たちはファンにインスタ映えする場所を提供したいんだ。歴史的な記念品だからといって、そのすべてが厳かである必要はないんだよ」と言う。ドジャースは、それまで倉庫に保管されていた古いサイン色紙などをスタジアム内に展示した。

アリゾナ・ダイアモンドバックスは、チーム創設20周年に合わせて本拠地のChase Field内に展示スペースをオープンした。さまざまな記念品が展示される中、550個のサインボールの展示は特に目を引く。この展示のためにダイアモンドバックスは、2011年からサインボールを収集していたという。

これらの取り組みに共通しているのは、収益を第一目的としていない点である。ダイアモンドバックスの展示スペースも、それ自体は入場無料である。もちろん、記念品を展示したことで、ファンがチームにより強い愛着を感じたり、自撮り写真をソーシャルメディアに投稿したりすれば、それが間接的に観客動員に好影響を与えることはあるかもしれない。しかし、目的はあくまで観戦経験をよりユニークなものにすることである。

前出のRossetti社のJon Disbrowは「スタジアムを忘れられないものにしなくてはならない。歴史やレガシーに触れる機会を与えることは、その一つの方法だ」と語る。

参考文献:https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/10/Facilities/History.aspx