スポーツチームは、トロフィーやバナーなど様々な記念品を保有しているが、その多くは倉庫に眠っていたり、薄暗い博物館でホコリをかぶっていたりする。
現在、そういった記念品をスタジアムデザインに生かそうとする取り組みが盛んになりつつある。
ミシガン州立大学は、2000年に全米選手権を制したときのバスケットボールコートの一部分を壁にかけた。
「ほとんどの人はコートの近くに来る機会なんてないからね」と言うのは建築会社RossettiのMatt Taylor氏。「歴史的な記念品を一つの部屋に押し込んでホコリまみれにしとくのはもったいないでしょ」と話す。
ロサンゼルス・ドジャースのJanet Marie Smith氏は「私たちはファンにインスタ映えする場所を提供したいんだ。歴史的な記念品だからといって、そのすべてが厳かである必要はないんだよ」と言う。ドジャースは、それまで倉庫に保管されていた古いサイン色紙などをスタジアム内に展示した。
アリゾナ・ダイアモンドバックスは、チーム創設20周年に合わせて本拠地のChase Field内に展示スペースをオープンした。さまざまな記念品が展示される中、550個のサインボールの展示は特に目を引く。この展示のためにダイアモンドバックスは、2011年からサインボールを収集していたという。
これらの取り組みに共通しているのは、収益を第一目的としていない点である。ダイアモンドバックスの展示スペースも、それ自体は入場無料である。もちろん、記念品を展示したことで、ファンがチームにより強い愛着を感じたり、自撮り写真をソーシャルメディアに投稿したりすれば、それが間接的に観客動員に好影響を与えることはあるかもしれない。しかし、目的はあくまで観戦経験をよりユニークなものにすることである。
前出のRossetti社のJon Disbrowは「スタジアムを忘れられないものにしなくてはならない。歴史やレガシーに触れる機会を与えることは、その一つの方法だ」と語る。
参考文献:https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/10/Facilities/History.aspx