コロナウイルスの影響:リトルリーグのケース

コロナウイルスの影響は、プロ・カレッジスポーツだけでなくユーススポーツにも及んでいる。

ユーススポーツの筆頭とも言える野球のリトルリーグは、世界84か国に、6500ものリーグが存在する。これらをまとめれば何千という試合が中止になっていることになる。

長きに渡ってリトルリーグの会長を務めているスティーブ・キーナー氏は「ずっと雨天延期になっているようなものだと考えるように心掛けています」と言う。

他のスポーツリーグと同様に、キーナー氏も「この日までに延期か完全中止かを決断する」と言う期限は設けていないという。

「皆さんと同様に、『いつ、何をするか』『もしこうなったらどうするか』という計画を立てていますが、現時点では不確定要素が多すぎて…」。

リトルリーグはESPNが放送する「リトルリーグ・ワールドシリーズ」の放映権料(年間約8億円)が大きな収入源となっている。

通常であれば8月に開催される大会だが、これが中止となれば、放映権収入にも影響が及ぶ。

加えて、応援に来る親や地域の人々が大会期間中に行う消費もなくなる。これは大会主催者だけでなく、大会が開催されるウィリアムズポートという小さな町にとっても大きな損失だ。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/30/Marketing-and-Sponsorship/Marketing-and-Sponsorship.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2013/08/26/Media/LLWS.aspx

Dr. McLeodインタビュー⑪アメリカのラグビー市場

Q. 話を戻すと、Dr. McLeodは、アメリカで設立予定であった4リーグの経営陣にインタビュー調査をされましたよね。どのような知見が得られたのでしょうか。

A. 設立の経緯やルールなど大きく異なる4リーグですが、いくつかの共通点がありました。

まずは、リーグ設立時の目標が「ラグビーを人気にしたい」という非常にざっくりとしたものだったということ。

これは、これからビジネスを始めようとする組織の目標としてはあまり良いものではないですよね。

一般的に言って、新しくビジネスを始めるのであれば、収益率や持続可能性を考えた具体的な目標が必要です。彼らにはそれがなかった。これは非常に興味深い点でした。

そこで、さらに話を掘り下げていくと、そもそも彼らは自分たちの力だけで成功を収められると思っていないことがわかりました。

「プロリーグが成功するためには、ユースや高校、大学、社会人といったあらゆるレベルのラグビー組織の貢献が必要である。またプロリーグ側もそういったアマチュアラグビーの成功に貢献する」。そういった考えを持っていたのです。

アメリカには、長らくプロラグビーリーグが存在しませんでした。そのため、たとえ有望な選手であっても、将来ラグビーを職業にして大金を稼ぐというイメージが湧かなかった。先ほど私が説明した言葉を使うなら、「時間差の報酬」を期待することができなかったわけです。

目標を失った選手は、アメリカンフットボールのようなスポーツに流れてしまいます。

プロリーグが成立すれば、アマチュアの選手にとって目指すべき場所が明確になり、選手の流出が食い止められ、アマチュアリーグの競技力維持に繋がります。

そして、アマチュアリーグが高い競技力を維持し、優秀な選手を育成すれば、それがプロリーグの競技力向上にも繋がります。

この相互の影響こそが、アメリカのラグビー市場を理解するポイントで、4リーグが共通して「プロリーグの成功にはアマチュアリーグの貢献が不可欠だ」と考えていた理由です。

2019年、北米スポーツ業界の動向⑤

5日間に渡って紹介してきたSports Business Journal読者アンケートの結果、最終日です。今日はユーススポーツ・スタジアム編。

Q. 自分の子どもがスポーツをやるとしたら、いくつのスポーツをやらせたい?

  1. 1つ(24%)
  2. 2つ(41%)
  3. 3つ(26%)
  4. 4つ以上(9%)
    *昨今アメリカでも早い段階でスポーツを絞るいわゆる「専門化」が問題視されている。

Q. 自分の子どもがタックル・フットボールをやりたいと言ったら?

  1. やらせる(32%)
  2. やらせたくない(68%)
    *タックル・フットボールは大人がプレーするアメフトに近いタックルありのスポーツ。タックルなしのフラッグ・フットボールと比べると脳震とうのリスクが高い。

Q. 新設・改修されたスタジアムのなかで一番行ってみたいのは?

  1. アレジアント・スタジアム(ラスベガス・レイダースの本拠地:26%)
  2. ソフィ・スタジアム(ロサンゼルス・チャージャーズとロサンゼルス・ラムズの本拠地:24%)
  3. グローブ・ライフ・フィールド(テキサス・レンジャーズの本拠地:20%)
  4. チェイス・センター(ゴールデンステート・ウォーリアーズの本拠地:18%)
  5. トッテナム・ホットスパー・スタジアム(ロンドンにあるサッカー専用スタジアム:10%)
    *トッテナムのスタジアムは、NFLがヨーロッパ興行をする際に使用されている。

Q. スタジアムでの観戦経験を向上させる要因を一つ挙げるとしたら?

  1. 価格(43%)
  2. スタジアム内のエンターテインメント(27%)
  3. スタジアム内のアクセス・移動しやすさ(25%)
  4. プレミア席の充実(5%)
    *メルセデス・ベンツ・スタジアムでは、飲食の価格を従来よりも低く設定する「ファン・ファースト・プライシング」によって観戦価値が向上されたと言われている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/25/Reader-Survey/Best-of-rest.aspx

ESPN、リトルリーグ・ワールドシリーズの中継方法を改革

ESPNは、リトルリーグ・ワールドシリーズを長年にわたって中継してきたが、その中継方法は年々変わってきている。

今年は、大きく2つの改革があった。

1つは、選手を360度あらゆる角度から撮ったリプレー映像の導入。これはプロスポーツの中継ではすでに活用されている技術だが、リトルリーグ・ワールドシリーズの中継に使われるのは初めてである。

もう1つは、代替放送の導入。代替放送とは、ある放送局が運営する複数のチャンネルを使って同じ試合を中継すること。試合自体は同じだが番組の構成や提供される情報はまったく別物になる。

日本では副音声が一般的だが、代替放送ではチャンネル自体を変えて、音声以外の要素も明確に差別化される。

これは、放送局が運営するチャンネル(ネット中継プラットフォームも含め)が増加するなかで、近年広まっている概念である。

代替放送の最たる例がESPNのMegacastである。Megacastとは、ESPNが持つチャンネルをフルに活用して一つのスポーツコンテンツを放送する手法で、たとえば、今年のカレッジフットボールの全米選手権決勝は、12以上のチャンネルで中継された。

また、2018年のMLBホームランダービーは、ESPN、ESPN2、ESPNewsの3チャンネルで放送され、その視聴数者はそれぞれ560万、85万、33万であった。

今回のリトルリーグ・ワールドシリーズでは、ESPNで従来型の試合中継をしながら、ESPN2で「kidscast」という番組を放送した。これは、16歳の子ども2人がレポーターとなって様々な情報を伝えるというものである。

「頑張っている子どもたちを親目線で見る」という従来の楽しみ方ではなく、「活躍する同世代を友達目線で見る」という新たな観戦の仕方を提示する。

ESPNのMark Gross氏によれば、スポーツの代替放送は今後さらに成長していくという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/19/Leagues-and-Governing-Bodies/Little-League.aspx

Jr. NBA、ビジネス拡大中

NBAが主催する少年・少女バスケットボールの世界大会であるJr. NBAが先週、フロリダ州オーランドで開催された。

同大会には、計32チームが参加。その半分はアメリカ国内の地域選抜チーム、もう半分は海外の選抜チームである。

日本人では内藤英真選手と福王伶奈選手が、アジア太平洋代表チームの一員として参加した。

なお、同大会はNBAのほかに、アメリカバスケットボール協会と国際バスケットボール連盟も協力している。

同大会の放映権はFoxが保持しており(2018年から3年契約)、Fox、FS1、FS2で計16試合がテレビ中継された。また、同時に、FoxSports.comとFox Sportsのモバイルアプリ上でもストリーミング中継された。

スポンサー企業も、初開催となった2018年大会から倍増した。初年度から引き続きスポンサーとなったのは、Fanatics、Gatorade、Kaiser Permanente、そしてSpalding。今年から新たにスポンサーとなったのは、AT&T、Beats by Dre、EA、HomeCourt、そしてTencentである。

NBAのDavid Krichavsky氏は「昨年から今年にかけて我々が最も注力したのは、大会の規模と知名度を拡大することです」と言う。「バスケットボール協会の協力を頂きながら、今年は予選大会も行うことができました」。

ちなみに、男子の決勝はアメリカ国内の部で勝ち上がったチームウエストと、海外の部で勝ち上がったチームアフリカの対決で、チームウエストが優勝した。

女子の決勝は、チームセントラル(アメリカ国内の部)対チームカナダ(海外の部)で、チームセントラルが優勝した。

参考文献:
https://jrnbagc.nba.com/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/05/Events-and-Attractions/Jr-NBA.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/04/23/Media/Fox-Jr-NBA.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/12/18/Leagues-and-Governing-Bodies/NBA.aspx

Dr. Sandersonインタビュー③ スポーツセクター別のソーシャルメディア戦略

Q. プロスポーツ、カレッジスポーツ、そしてユーススポーツの間でソーシャルメディアの使い方の違いはありますか?

A. プロスポーツと多くのカレッジスポーツの場合、ソーシャルメディアはマーケティング的な機能を果たしています。

いかに多くの人の興味を引き、試合に来てもらうか、そしてスポンサーシップの販売に役立てるか。そういったことを念頭において、ソーシャルメディアを使っています。

それと言うのも、今日、消費者たちに最も効率よくアプローチできるのがソーシャルメディアだからです。

ソーシャルメディアを用いて、ファンと心理的・感情的なつながりを強化・維持することが、様々な消費行動を引き起こす種となります。

ユーススポーツの場合、そういった目的を持つ場合もありますが、一般的にはもう少し情報提供の場として利用しています。たとえば、多くの高校スポーツチームは「次の試合は、○○グラウンドで××時に試合開始です」といった情報を投稿しています。あまりマーケティング的な要素はありません。

とはいえ、ユーススポーツの場合は、様々な組織がありますので、皆がそのような使い方をしているとは言えません。たとえばPerfect Gameという巨大な高校野球組織は、マーケティングのツールとしてソーシャルメディアを使っている印象です。

Q. アマチュアスポーツ組織にも、ソーシャルメディア専門のスタッフがいるのですか?

A. 大学スポーツの場合、全チームのソーシャルメディアを統括するシニアスタッフがいて、そして各チームに帯同するSID(Sports Information Directorの略)スタッフがいます。日々の投稿はこのSIDスタッフが行います。シニアスタッフが投稿することもありますが、彼らの一番の仕事は、より包括的なソーシャルメディア戦略を立てることです。

高校の場合、ソーシャルメディアに特化したポジションはありません。多くの場合、生徒、その他のボランティア、あるいは体育局長がソーシャルメディアに投稿しています。