WBSS、女子トーナメントを開催

World Boxing Super Series(WBSS)が女子トーナメントを開催することを発表した。

2017年に始まったWBSSは、特定の階級に属するトップボクサー8人がトーナメント形式で戦う大会で、「ボクシングのワールドカップ」とも呼ばれる。

第1回大会(2017-18年)はクルーザー級とスーパーミドル級が、第2回大会(2018-19年)はスーパーライト級、バンタム級、そしてクルーザー級が対象になった。

バンタム級トーナメントで井上尚弥選手が優勝したことはまだ記憶に新しい。

そして今回、第3回大会が女子のスーパーフェザー級トーナメントとなることが明らかにされた。

発表に際して、WBSS最高責任者のアンドレアス・ベンツ氏は以下のように語った。

「前回、前々回大会では、男子ボクシングで最高のトーナメントを開催しました。しかし我々が常々抱いていた夢は、男子ボクシングで最高のトーナメントを開催するだけでなく、女子ボクシングにもふさわしい舞台を用意して、素晴らしい選手たちをサポートすることでした。今こそ、それを実現するときです」

「この大会は、単に女子ボクシング最高峰の大会というだけではありません。草の根・エリートの両方のレベルにおいて女子ボクシングが広まっていくように、戦略的に支援していくつもりです。才能溢れる選手や注目を集める選手が育っていき、将来の世代にもいい影響が生まれるような環境を開発する計画です」

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/world-boxing-super-series-womens-tournament-season-three-kalle-sauerland

カネロ、DAZNとGolden Boy Promotionsを提訴

今週火曜日、サウル・アルバレス選手(通称カネロ)がDAZNとGolden Boy Promotions(およびオスカー・デラホーヤ会長)を提訴した。

カネロは「現役最強ボクサー」との呼び声高い世界4階級チャンピオンで、Golden Boy Promotionsが彼のプロモーター(マッチメイクや放映権契約などを行う興行主)を務めている。

またカネロは、2018年にDAZNと5年11試合3億6500万ドルの独占契約を結んでおり、現在彼の試合はDAZNが独占中継することになっている。

しかしカネロは2019年11月を最後に試合をしていない。5月に予定されていた試合もコロナウイルスの影響で流れていた。

カネロによれば、DAZNは次戦が決まるまでのひと先ずの支払いとして契約金の一部(4000万ドル)と同社の株式を提示したが、これには納得がいかず、プロモーターであるGolden Boy Promotionsに別の可能性を探るように要求したが、こちらも納得のいく回答は得られなかったという。

今回の訴訟で、カネロはDAZNとGolden Boy Promotionsに対して2億8000万ドルの損害賠償を要求した。

参考文献:
https://www.espn.com/boxing/story/_/id/29842347/canelo-alvarez-files-suit-vs-golden-boy-oscar-de-la-hoya-dazn-record-deal

井上尚弥選手、WBCのダイアモンドベルトを拒否③

昨日の投稿で、「WBCはダイアモンドベルトを贈呈することで加盟料を徴収しようとしているかもしれない」ということを書いた。

今日は、この「加盟料」というものが一体何なのかを説明したい。

まず、ボクシングの世界戦を開催するためには、会場確保や告知、放映権の交渉など様々な準備が必要になるが、これらは全てプロモーターが行う(たとえば、井上選手がこの度契約を発表したトップランク社は大手のプロモーターだ)。

こういった興行のやり繰りに、WBCやWBAといったボクシング団体は一切関与しない。対戦カードを決めるのもファイトマネーを支払うのもプロモーターだ。

では、ボクシング団体の役割は何かと言うと、「これは世界戦です」「勝者は世界チャンピオンです」と認めること。実質的な役割はかなり限られているのだ。

一方で、興行が大きな成功を収めたとしても、その収益はプロモーターの懐に入るため、ボクシング団体に直接還元されるわけではない。

そんなボクシング団体が収益を上げる方法、それが加盟料である。

世界戦の勝者が正式に世界チャンピオンとして認められるためには、その団体に一定の金額を支払うことが義務付けられている。逆に言えば、たとえ試合に勝ったとしてもこれを払わなければ世界チャンピオンとは認められない。

実際、2015年、フロイド・メイウェザー選手が20万ドル(約2000万円)の加盟料を支払わなかったため、WBOからチャンピオンベルトを剥奪されている。

したがって、ボクシング団体が収益を拡大しようと考えたときに、一番手っ取り早い方法が、世界チャンピオンを増やし、より多くのボクサーから加盟料を徴収することになる。

WBCが「ダイアモンドベルト」のようなチャンピオンベルトを創設した裏には、そういった意図があるのではないかと一部ボクシングファンは考えているのだ。

歴史的な一戦に勝利した井上選手に、半ば勝手にダイアモンドベルトを贈呈し、「正式なチャンピオンになりたければ加盟料払ってね」と言ってきたWBC。それに対して「それは受け取らないです」と手を振った井上選手。

そういう見方をすれば、海外ボクシングファンが「井上よくやった!」と反応したのも理解できる。

参考文献:
https://sports.yahoo.com/blogs/boxing/no-sanction-fee–no-wbo-title-for-floyd-mayweather-011247890.html

井上尚弥選手、WBCのダイアモンドベルトを拒否②

世界には主要ボクシング団体が4つあり(WBA、WBC、IBF、WBO)、それぞれの団体が世界チャンピオンを決めている。

それだけではなく、一つの団体が正規のチャンピオンベルト以外のチャンピオンベルトをこしらえているケースもある。WBCのダイアモンドベルトがその一例だ。

ダイアモンドベルトは、2009年に創設されたもので、「エリートボクサー同士の歴史的な戦いに勝った選手に敬意を表すこと」を目的としている。

たとえば、2009年、ミゲール・コットを倒し当時6個目の世界タイトルを獲得したマニー・パッキャオにダイアモンドベルトが贈呈されている。

ダイアモンドベルトは正規のチャンピオンベルトとは異なるため、防衛する必要はない。また、受け取った選手が引退すれば、それと同時に消滅することもある。

こういった特殊な性質から「ダイアモンドベルトは形だけ」「あまり意味がない」と考えるボクシングファンも多い。

さらに穿った見方をすれば、WBCは、このベルトを贈呈することで、より多くのエリートボクサーをチャンピオンとして囲い込み、加盟料を徴収しようとしていると解釈することもできる。

このような批判的な意見を持つファンたちは、それを贈呈されたボクサーが受け取りを拒否した際に「よくやった!」と感じるのである。

今回、井上選手の行動に海外ボクシングファンが注目を集めたのにはそういった背景がある。

とはいえ、井上選手が完全に受け取りを拒否したのかはあの映像からは判断できない。あの場で身に着けることを拒否しただけで、関係者が受け取ったのかもしれない。

また、井上選手があの場で受け取りを拒否した真意も明らかにされていない。

一部のファンが考えるようにダイアモンドベルトに対して批判的な考えを持っていたのかもしれないし、他に保持している正規のチャンピオンベルトと同列に扱いたくなかったのかもしれない。

あるいは、弟の拓真選手がWBCの正規王座獲得に失敗した直後に、そのWBCからダイアモンドベルトを受け取ることに違和感を覚えたのかもしれない。

参考文献:
https://talksport.com/sport/boxing/543387/what-is-wbc-diamond-belt-title-tyson-fury-dillian-whyte

井上尚弥選手、WBCのダイアモンドベルトを拒否①

先週開催されたWBSS決勝、井上尚弥選手対ノニト・ドネア選手の試合は井上選手の判定勝ちで幕を閉じた。

この試合は海外ボクシングファンの間でも大きな反響を呼び、SNSなどに投稿された称賛の声は日本のメディアでも報じられた。

一方で、海外ボクシングファンの間で話題になっていながら、日本のメディアではあまり取り上げられていないことがある。

それは判定後に、井上選手が見せたある行動についてだ。

判定の後、井上選手は、ドネア選手がそれまで保持していたWBAスーパー王者のベルトを手渡され、これを受け取った。

しかし、それに続いて大会関係者がもう一つベルトを渡そうとしたとき、井上選手は手を振り「それは受け取らない」という意思を表示したのである。

これを見た海外ボクシングファンは「井上よくやった!」「井上への尊敬が増した」といった声を上げた。

この時、井上選手が受け取りを拒否したのはWBCの「ダイアモンドベルト」と呼ばれるベルト。

井上選手もドネア選手もWBCの王者ではなかったのにも拘わらず、なぜここでWBCのベルトが出てくるのか?なぜ井上選手は受け取りを拒否したのか?そしてなぜボクシングファンはそれを称えたのか?

それには、WBCというボクシング団体が持つ特異なシステムが関係している。

つづく。

参考文献:
https://www.worldboxingnews.net/2019/11/07/naoya-inoue-wbc-reject-top-rank/

DAZNのユニークなボクシングビジネス

2019年5月18日に開催された井上尚弥対エマニュエル・ロドリゲスのWBSS準決勝は、アメリカではDAZNがネット中継した。

DAZNは、ボクシングのコンテンツが充実したネット中継プラットフォームとして知られている。

たとえば、5月4日には、カネロ・アルバレス対ダニエル・ジェイコブスのミドル級タイトルマッチを中継しており、この一戦は120万人もの人が観戦した。100万人以上がDAZNのスポーツ中継を観戦したのは、この一戦が初めてである。

アルバレスに関して、もう一つ興味深いのは、彼がDAZNと独占契約を結んでいることだ。

従来、ボクシングの試合は、試合が決定してからその試合の放映権を放送局に販売していた。

ところがアルバレスは、2018年10月、DAZNと5年11試合3億6500万ドルの契約を結んだ。この契約によって、今後5年間、彼の試合(11試合)はDAZNが独占中継することになった。

その後DAZNは、同じくミドル級のゲンナジー・ゴロフキンとも3年6試合の独占契約を締結。独自のボクシングビジネスを展開している。

世界中にファンを拡大している井上選手も今後同様の独占契約を結ぶ日がくるかもしれない。

参考文献:
https://www.fiercevideo.com/video/dazn-counts-more-than-4-million-subs-for-sports-streaming
https://www.worldboxingnews.net/2019/05/09/canelo-jacobs-dazn-numbers-success/
https://www.forbes.com/sites/peterkahn/2019/05/09/dazn-delivers-a-big-punch-for-sponsors-over-1-2-million-people-watched-canelo-vs-jacobs-stream/#3df3925e10e2
http://www.espn.com/boxing/story/_/id/25003974/canelo-alvarez-signs-5-year-11-fight-deal-worth-365-million-dazn
https://www.cbssports.com/boxing/news/ggg-signs-with-dazn-canelo-alvarez-trilogy-and-more-fights-to-make-for-gennady-golovkin/