イギリス、ギャンブル広告のアスリート起用を禁止へ

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イギリス広告慣行委員会は、ギャンブル関連企業が広告(テレビ・ネットCM、印刷出版物、看板広告など)にアスリートを起用することを禁止する方針を発表した。

同時に、スポーツチームの公式ユニフォームやスタジアムを活用した広告活動も禁止された。

イギリススポーツ界において、ギャンブル関連企業は重要なスポンサーであった。

たとえば、2021年9月時点で、プレミアリーグ20クラブのうち9クラブのユニフォームスポンサーがギャンブル企業で、下位リーグの6クラブと合わせると、その合計契約金は年間1億ポンド(約150億円)を超えていた。

今回の決定は、これらのスポンサー収入源が今後なくなる(もしくは減少する)可能性を示している。

さらに、現在イギリス政府は「Gambling Act 2005」というギャンブルに関する法律の見直しを行っており、ギャンブル関連企業によるスポーツへの投資がさらに厳しく制限される可能性がある。

興味深いのは、イギリスのサッカークラブのなかにはこの流れを歓迎する動きがあることだ。

2022年3月、イングリッシュ・フットボールリーグ(プレミアリーグの下部リーグ)に所属する複数クラブが、「ギャンブル関連企業のユニフォームスポンサーシップを禁止するべき」という内容の書簡をイギリス政府に送っている。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/uk-sports-betting-gambling-advertising-ban-cap-asa/
https://www.sportspromedia.com/news/premier-league-betting-gambling-shirt-sponsorship-ban/
https://www.sportspromedia.com/news/betting-gambling-shirt-sponsorship-ban-efl-luton-bolton-forest-green-tranmere/

イギリス政府、ギャンブル業者によるスポーツスポンサーシップを禁止か

イギリス政府が、ギャンブル業者によるスポーツ組織へのスポンサーシップの禁止を検討していることが明らかになった。

イギリスには2005年に成立した「Gambling Act 2005」という法律があり、これに基づいて、多くのギャンブル業者がスポーツ組織の協賛となり、広告活動を展開してきた。

たとえば、プレミアリーグの8クラブがギャンブル業者のロゴをユニフォームの胸部分につけている。

しかし現在、イギリス政府はギャンブルに関する法律のあらゆる分野を抜本的に見直しており、その分野の一つとして「ギャンブル業者のマーケティングや広告活動」が対象になっているのである。

仮にギャンブル業者によるスポンサーシップが禁止されれば、多くのスポーツ組織がスポンサー契約の変更を余儀なくされる。

この動きに対して、イングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)は以下のような声明文を発表している。

「ギャンブル業者は毎年4000万ポンド(約55.7億円)を超えるスポンサー料をリーグ・クラブに支払っており、各クラブの収益に与える貢献度は非常に大きい。とりわけ、コロナウイルスの影響で各クラブの財務状態が厳しくなっているなか、ギャンブル業者の重要性は日増しに高まっている」

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/uk-gambling-act-law-betting-ban-sports-sponsorship-premier-league-efl
https://www.scoreandchange.com/overview-of-the-2020-2021-premier-league-sponsors/#:~:text=Kit%20sponsors%3A%2020%20clubs%2C%207%20brands&text=We%20will%20see%20Adidas%2C%20Nike,and%20ten%20in%202016%2F2017.

SeatGeek、設立10周年

スポーツチケットの販売および再販を管理するSeatGeekは、設立10周年を迎えた。

SeatGeekを有名にしたのが、同社が開発したチケット再販の検索エンジンである。

当時、StubHubやTicketmasterといった企業が独自にチケットの再販ビジネスを展開していた。SeatGeekは、そういった企業が管理する再販市場の情報を統合・分析し、消費者が最もお買い得なチケットを見つけられるシステムを提供した。

それ以来、SeatGeekは、ダラス・カウボーイズ、ニューオーリンズ・セインツ、ニューオーリンズ・ペリカンズといったチームと契約を結び、各チームのチケット販売を管理するようになった。

2016年には、MLSと契約を結び、同リーグのチケット再販システムを管理している。また、シカゴ・ファイアの本拠地のネーミングライツも保有している。

海外市場にも積極的に進出している。たとえば、昨年契約を結んだマンチェスターシティを初め、プレミアリーグの7クラブのチケットビジネスに関わっている。

さらに、イギリス、イスラエル、オランダ、イタリアといった国々に支社を開き、ヨーロッパでのビジネス拡大に力を入れている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/16/Technology/SeatGeek.aspx

プレミアリーグとスポーツ賭博

2019年5月、ロンドンに本社を置くGenius Sports Groupはプレミアリーグの公式試合データを世界中のブックメーカー(賭け屋)に流通させる独占契約を結んだ。

今後、プレミアリーグの公式試合データが必要なブックメーカーはGenius Sports Groupから購入することになる。

プレミアリーグは、世界中で最も多くの人が賭けをするスポーツコンテンツで、たった一試合に計2億ドルが賭けられたというデータもある。

特に、試合開始前ではなく、試合中に賭けを行う「イン・プレイ・ベッティング(In-play betting)」は非常に人気で、イギリスのスポーツ賭博の収益の70%を占める。それだけ多くの人が試合を見ながら賭けを楽しんでいるということだ。

イン・プレイ・ベッティングの場合、選手のコンディションやピッチ状態など、試合開始前にはわからなかった様々なデータが得られるため、ブックメーカーはそういったデータに基づいて、試合と同時進行でオッズを変更していくことになる。

プレミアリーグの場合、Football DataCoという企業が試合中にスタジアム内でデータを収集している。収集されたデータはGenius Sports Groupに共有され、そして世界中のブックメーカーに供給される。

一方、Genius Sports Groupが供給する公式データを使わなくても、オッズを決定することは可能である。

つい最近までスポーツ賭博が違法であったアメリカの場合、イン・プレイ・ベッティングはまだあまり浸透していない。そのため、公式試合データをGenius Sports Groupから購入するメリットがそこまでない。実際、多くのアメリカのブックメーカーは公式データの購入を見送っている。

これに関してGenius Sports Groupは、時間がたてばアメリカでも公式データを購入するブックメーカーが増えると考えている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/05/13/Gambling/EPL-Genius.aspx
http://news.geniussports.com/genius-sports-group-secures-landmark-betting-data-agreement-with-football-dataco/

チェルシーFCの反ユダヤ主義撲滅運動

チェルシーFCは、2018年1月から「Say No To Antisemitism(反ユダヤ主義にノーと言おう)」というキャンペーンを実施している。

2017年9月、チェルシーFC対トッテナムの試合で、チェルシーFCのサポーターが反ユダヤ的なチャントを合唱するという事件が起きた。これは多くのユダヤ系サポーターを抱えるトッテナムに対して向けられたものである。

残念ながら、サポーターがこのような人種差別的なメッセージを選手や他の観客に向ける事件は珍しくない。そのような場合、クラブはそのサポーターをスタジアムから追放するのが通例である。

ところが、クラブオーナーをはじめユダヤ系スタッフが多く働くチェルシーFCは異なるアプローチをとった。それが「Say No To Antisemitism」キャンペーンの導入である。このキャンペーンでは、人種差別的な行動を見せたサポーターに様々な教育プログラムを提供する。

チェルシーFCチェアマンのBruce Buck氏はこう語る。
「我々は従来、人種差別的な行動をしたサポーターに対して最大3年の追放という罰則を与えてきました。しかし、スタジアムから追放されただけでは人は決して変わりません。サポーターが自分の行った過ちに気付き、行動を改める機会を与える。それが今回始めたキャンペーンの意図です」。

一方で「Say No To Antisemitism」は、人種差別的な行動を見せたサポーターだけに向けられたものではない。これは人種差別に関する社会的関心を集め、多くの人に教育プログラムを提供することを目的としている。

実際、チェルシーFCは、選手やコーチ、スタッフ、そしてサポーターグループ向けに「ホロコースト経験者の講演会」や「アウシュヴィッツ強制収容所の見学ツアー」といった教育プログラムを提供している。

参考文献:
https://www.chelseafc.com/en/foundation/say-no-to-antisemitism
https://www.thesun.co.uk/sport/football/7465363/chelsea-racist-fans-auschwitz/

NFL、ロンドンの乱

2018年4月、ジャクソンビル・ジャガーズのオーナーShahid Khan氏は、8億ドルをかけてイングランドのサッカー協会からウェンブリースタジアムを買収した。

ロンドンにある同スタジアムは、プレミアリーグのどのチームも本拠地としては使用しておらず、代表チームの試合等が不定期に開催されている。

ジャガーズは2013年から毎年ロンドンで公式戦を開催しており、これを今後2020年まで続けるめどが立っている。

NFLは近年、ヨーロッパへの進出を積極的に行ってきた。特にロンドンでは、2007年から毎年公式戦を開催しており、これまで開催された21試合のうち、18試合はウェンブリースタジアムでの開催であった。

今回、ジャガーズが同スタジアムを買収したことで、NFLはロンドン遠征をより容易にできる。かと思いきや、NFLは個別でトッテナムFCと交渉。同チームがロンドン近郊に建てる新スタジアムの建設に2000億ドル投資する見返りとして、今後10年NFLの公式戦を同スタジアムで開催することで合意した。

この一連の動きをめぐっては、NFLとジャガーズの間に意見の対立があり、これが非常に興味深い。

まず、ジャガーズのHussain Naqi氏は「NFLはプレミアリーグの本拠地を使用すべきではない」と主張する。「プレミアリーグのファンは部族的で、トッテナムFC以外のクラブのサポーターが、NFLの試合を見るためにトッテナムFCの本拠地に行くことには抵抗があるはずだ」と主張する。

しかしNFLはこれに真っ向から反論する。NFLのMark Waller氏曰く、NFLは2015年にこのリスクについて調査済みであり、「ロンドンのNFLファンは、NFLを見るためにプレミアリーグの本拠地に行くことに何の抵抗もない」と言う。

最も、この意見の相違は表面的なもので、両者の対立の根本的な理由は、別にあるという見方もある。

ジャガーズはNFLの中でも成功しているチームとは言い難いが、先述した通り、ロンドンでの興行には最も積極的であり、同チームの収益の12%はロンドン遠征から生まれている。今回ジャガーズがウェンブリースタジアムを買収したのは、将来的なロンドンへの移転を検討しているからだという声もある。

ひょっとするとジャガーズは、NFLが10年以上かけて徐々に拡大してきたロンドンのファンベースを自チームのファンとして取り込み、さらには、NFLが長年使用してきたウェンブリースタジアムも買収することで、今後のNFLのロンドン興行にも一枚噛もうという魂胆だったのかもしれない。そして、NFLのトッテナムFCとの合意は、それに対抗する姿勢を表明したものなのかもしれない。

実際、Waller氏は「ジャガーズが仮にロンドンに移転しようとしても、NFLはトッテナムFCのスタジアムでの公式戦開催を中止するつもりはない」と断言している。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/03/In-Depth/London.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/07/16/Leagues-and-Governing-Bodies/Wembley.aspx