アンダーアーマー、「カリーブランド」を創設

NBAのスター選手ステフィン・カリーとアンダーアーマーは、「カリーブランド(Curry Brand)」という新ブランドを立ち上げることを発表した。

カリーは2013年からアンダーアーマーの広告塔として活躍しており、両者の契約は年間2000万ドルで2024年まで有効となっている。

今回発表された新ブランドは、バスケットボールのシューズやアパレルだけでなく、ゴルフ用品やランニングシューズなども取り扱う予定だという。

ターゲットとなるのは若年層で、ちょうどナイキがジョーダンブランドを立ち上げて若者を惹きつけたように、カリーブランドにも同様の効果が期待されている。

その第一歩として、カリーブランドはPositive Coaching Allianceと業務提携を結び、ユーススポーツに100万ドルを投資することを発表した。

Positive Coaching Allianceは、主に低所得者層を対象に、少年少女のスポーツ参加促進や指導者育成などを行う非営利団体である。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/steph-curry-under-armour-curry-brand-nba-apparel-shoes

FedEx、ワシントン・レッドスキンズにチーム名変更要求

先週、大手物流企業のFedExは、ワシントン・レッドスキンズにチーム名の変更を求めた。

このチーム名は「ネイティブアメリカンに対して差別的である」として、10年以上に渡って論争を巻き起こしてきたが、昨今の人種差別に対する抗議運動をきっかけにして、批判の声がさらに強くなっている。

そういった批判の声は、プレッシャーとなって企業に押し寄せる。

FedExのもとには、87の株主・投資会社から「レッドスキンズがチーム名を変更しなければ、同チームとの関係は解消すべき」という趣旨の書面が届いたという。

FedExは、レッドスキンズと2億500万ドル(約220億円)のネーミングライツ契約を結んでおり、また、フェデリック・スミス会長がレッドスキンズの所有権を保有するなど、同チームにとって極めて重要なスポンサーであり、今回のチーム名変更要求には大きな意味がある。

また、もう一つの重要なスポンサーであるNikeは、すでにオンラインストアからレッドスキンズのアパレルを全て削除しており、検索欄で「レッドスキンズ」と打ち込んでも何も出てこないようになっている。

これらを踏まえて、レッドスキンズは先週3日に声明文を発表。「チーム名を慎重に再検討する」としている。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/washington-redskins-name-change-fedex-nfl-nike-pepsi-dan-snyder

NBA選手会、Opendorseと業務提携

NBA選手会およびThink450(NBA選手会のビジネス部門)はOpendorseとの業務提携を発表した。

Opendorseは、SNSを用いたアスリートブランディングを専門とする会社で、NFL選手会やPGA、ネブラスカ大学などとも契約を結んでいる。

今回の契約は、NBA選手が自らの肖像権を用いて効果的に収益を上げられるようにすることが目的で、そのためのオンラインコンテンツ作成やSNSキャンペーンの展開をOpendorseがサポートする。

たとえば、NBA選手のスポンサーやライセンシーがその選手に投稿してほしい内容をOpendorseが管理するプラットフォームに提出すると、それが選手に伝わり、ワンクリックでFacebookやTwitter、InstagramといったあらゆるSNSに自動的に投稿される。

Opendorseが選手と企業の間に入って、様々な作業を簡素化するのである。

Think450のペイン・ブラウン氏は「私たちはNBA選手がSNS上で、ひいては実社会において、素晴らしい影響力を持っていることを理解しています。これは彼らのスポンサー企業にも価値をもたらします。今回のOpendorseとの業務提携によって、NBA選手たちは同社のプラットフォームを活用し、価値観を共有する組織と協働する機会をこれまで以上に見つけることができるでしょう」と言う。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nbpa-opendorse-nba-player-social-media-posts-nil-rights

バージニア大学、ロゴを変更「奴隷制を想起させる」

今週月曜日、バージニア大学体育局は今年4月に新しくしたばかりのロゴを改めて変更することを発表した。

下記写真の右が4月から使用されていたロゴで、左が今回修正を加えられた新ロゴである。サーベルの持ち手部分に施された曲線が消えていることがわかる。

この曲線、バージニア大学構内にある「曲がりくねった壁(Serpentine Walls)」という建造物をモチーフにしたものなのだが、それが問題となった。

Serpentine Walls

実はこの壁には、奴隷や強制労働を隠す目的で建てられたという説があったのだ。

この件に関して、バージニア大学体育局長のカーラ・ウィリアムス氏は、「まったく意図したものではありませんでしたが、結果として奴隷制という歴史に苦しむ人々を我々は傷つけてしまいました。大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。

そして「この数週間、私は自分自身の教育に努めてきました。そしてこの自己教育はこれからも続けていくつもりです」とコメントした。

バージニア大学は、ロゴの差し替えを直ちに始めるとともに、すでに旧ロゴの入ったグッズを購入したファンには体育局に連絡をするよう呼び掛けている。

参考文献:
https://www.espn.com/college-sports/story/_/id/29314996/virginia-changes-logo-remove-slavery-history
https://www.wjhl.com/sports/college-sports-2/uva-changes-athletics-logo-design-linked-with-slavery/

コロナウイルス、eスポーツには好機?

コロナウイルスの影響であらゆるスポーツイベントが中止になるなか、「スポーツを生で観戦したい」というニーズは日に日に高まっている。

NFLやNBAは過去の試合を無料で見られるサービスを始めたが、過去の試合には「何が起こるかわからない」というスポーツ特有のドラマ性はない。

そんななか、「この状況はひょっとするとeスポーツにとってチャンスなのでは?」という声が上がっている。

eスポーツは、選手が直接会わなくても対戦できる。もともと、イベント会場で生観戦するよりもネット上(Twitchなど)での観戦が一般的なエンターテインメントである。

Overwatch Leagueコミッショナーのピート・ブラステリカ氏は「私はスポーツが大好きでスポーツが恋しいので、この状況を楽しんでいるとはとても言えません」と言う。「しかし、ウイルスの流行を抑え込むなかで、Overwatch LeagueやCall of Duty Leagueが人々に興奮とエンターテインメントを提供できるというのはいいことです」

とはいえ、話は単純ではない。eスポーツ団体や選手のなかには中国に拠点を置くものも多く、コロナウイルスの影響を真っ先に受けることになった。

また、いくつかのeスポーツ団体は「ネット中継中心のビジネスモデル」から「各チームがホームタウンを持ち、生観戦に重点を置くビジネスモデル」への変革に取り組んでおり、ネット中継だけを行うというのはこの変革に逆行することになる。

Overwatch Leagueのサンフランシスコ・ショックを所有するアンディ・ミラー氏は、生観戦のイベントを中止し、ネット中継に集中することは「地元のマーケットを開拓する努力に逆行する」とコメントしている。

一方で、ミラー氏によれば、Overwatch Leagueは、この機会にゲーム好きだけでなくスポーツ好きにアプローチしていく計画を進めているという。

ある調査によれば、先週、アメリカでテレビゲームをする時間は75%増え、ある韓国のeスポーツリーグは試合の視聴時間が42%増えたという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/23/Sports-and-Society/EsportsCV.aspx

ネブラスカ大学、学生アスリートのブランディングをサポート

昨年10月、NCAAが学生アスリートによるエンドースメント契約を解禁する方針を発表した。

実際に解禁されるまでには数年かかりそうだが、その日に向けてネブラスカ大学はすでに動き始めている。

今週10日、ネブラスカ大学はアスリートのブランディングを専門とするOpendorseと業務提携を結んだ。

同社は「Ready Now」というプログラムを立ち上げ、ネブラスカ大学に所属する700人弱の学生アスリートのブランディングをサポートする。

具体的には、SNSの使い方などから各学生のブランド価値を査定し、価値を損ねているような行動を注意し、価値を向上するための戦略を提示する。

同社CEOのブレイク・ローレンス氏曰く、まずは「SNSアカウントは簡単に見つかるか?」「最近の投稿で削除すべきものはないか」「どういった投稿が大きな反響を呼んだか」といったことを検証していくという。

ローレンス氏は「企業がスポンサーするアスリートを選ぶとき、10年前であれば、そのアスリートの代理人との関係やマーケティング担当者の勘に頼っていましたが、今は違います。まずは、ネット上でどれくらい影響力を持っているかを必ず分析します。今後、学生アスリートがエンドースメント契約を結ぶことになってもその点は同じだと予測しています」と言う。

ネブラスカ大学バスケットボール部のフレッド・ホイバーグ氏は、選手やコーチ、スタッフとして20年近くNBAに携わってきた。

ホイバーグ氏は「NBAがここまで人気になった一つの要因は、各選手が個々のブランドを確立したことにあると思います」と言う。

「今回のプログラムはネブラスカ大学の学生アスリートにとって素晴らしいリソースになるでしょう。自分のブランド価値を理解する。それが早ければ早いほどその後のキャリアに繋がります」。

参考文献:
https://www.forbes.com/sites/kristidosh/2020/03/10/nebraska-first-to-launch-program-to-help-student-athletes-maximize-the-value-of-their-individual-brands/#7b93b4da6303

バド・ライト、現役NFL選手と初のエンドースメント契約

カンザスシティ・チーフスのエリック・フィッシャー選手は、1月、ある理由でNFLから罰金を科された。

その理由というのが、「タッチダウンの喜びを表すために、ファンの持っていたビールを奪って浴びた」というもの。これが「非スポーツマン行為」と見なされた。

フィッシャー選手はこれにより1.4万ドルを払うことになったが、それが数か月後に思わぬ形で“実を結んだ”。

今週、バド・ライトはフィッシャー選手を含むNFLの3選手とエンドースメント契約を結んだことを発表した。

バド・ライトそしてその製造元のアンハイザー・ブッシュが現役のNFL選手とエンドースメント契約を結ぶのはこれが初となる。

NFLは2019年5月にアルコール飲料のエンドースメント契約に関する規約を変更しており、今回の契約が実現した(それ以前は、現役のNFL選手がビールの広告に出演することは禁止されていた)。

ちなみに、今回契約を結んだ他の2選手は、フィッシャー選手と同様の行動で処分を受けたマーカス・ピータース選手と、ビールを一気飲みする動画が話題となったゴールデン・テイト選手。

どちらも「ビール男」として知られる選手だ。

参考文献:
https://www.cbssports.com/nfl/news/marcus-peters-eric-fisher-sign-bud-light-endorsement-deals-after-beer-chugging-celebrations-last-season/
https://finance.yahoo.com/news/bud-light-signs-3-nfl-234631785.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAB56_CbM6mqjmzHOrpmClx4a2pRYKILapCPb4MtmzCoxmfJIvDdmcamBpYdfGsQKFO3nqgoRpxfmHnA3KOX4o5dUEV37t6R0XUWZMfewTT55SSKk7n5aqFbdhI3P0NKIYIPbLkt_lV7AWoBrbQLKBf3M_iL1oxcNJNvmuy7pvHA6

Amazonのユニークなスポーツ中継戦略①

スポーツのネット中継が広く浸透していくなかで、関係者の注目を集め続けているのが、Amazonである。

Amazonは、2018年からNFLの試合をAmazon Primeで中継している他、2021年からはUEFAチャンピオンズ・リーグの試合をドイツで、全仏オープンをフランスで中継することになっている。

Amazonの時価総額は1兆ドル。一方、スポーツ放送局最大手のESPNを保有するDisneyの時価総額が2550億ドル。

Amazonがその気になれば、スポーツ放送業界を大きく変えることも可能だろう。

スポーツリーグ・チームとしても、Amazonと提携することにはいくつもの利点がある。

まずは、同社が世界中に1億人以上のプライム会員を抱えており、その多くがテレビから離れつつある若い世代であること。Amazonがネット中継をすることでファン拡大の機会が生まれる。

もう一つは、Amazonが放映権の買い手となることで、放送局間の競争が激化すること。その結果、放映権料が高騰する可能性がある。

では、実際のところ、Amazonはスポーツ中継に本腰を入れているのか?これがいまいちわからないのだ。

ここ数ヶ月だけを見ても、PGA Tourのネット放映権など、いくつかの人気コンテンツにAmazonは手を出さなかった。

一体Amazonはスポーツ中継ビジネスをどのように捉えているのだろうか。

つづく。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/02/24/Media/Sports-media.aspx

マスコット「イメチェン」の裏に大人の事情

フィラデルフィア・フィリーズのマスコット「フィリー・ファナティック」はアメリカで最も有名なマスコットの一つである。2018年には、ドアラ・つば九郎との共演も果たしており、日本での知名度も高い。

そんなファナティックのデザインが今シーズンわずかに変わった。

写真の右が従来、左が今シーズンのデザインである。わかりにくいが、目の周りが少し派手になり、靴下や靴の色が変わった。

これだけ見ると平和なニュースのように見えるが、この裏にはちょっとした大人の事情がある。

ファナティックは1970年代にボニー・エリクソン氏とウェイド・ハリソン氏が作り上げたキャラクターで、1984年にフィリーズがその著作権を買い取ったことで、チームマスコットとなった。

しかしアメリカでは、著作権の譲渡から35年後に契約の再交渉をする機会が認められており、現在、エリクソン・ハリソン両氏がフィリーズにより高額の譲渡金を請求しているのである。

この件が明らかになったのは2018年。両氏がフィリーズに「契約金払わないと著作権取り上げるよ」と通知。それに対し、フィリーズは「ファナティックがここまで人気になったのは我々のおかげ」と反論。ファナティックの権利を保持するための訴訟を起こした。

しかし現在のところ問題が解決する気配はなく、このままいけば6月15日に契約が切れ、フィリーズはファナティックの著作権を失う。

そうなる前にファナティックのデザインを変えることで「これはもう別のキャラクターです」と言える状況をつくっておきたい。それがデザイン変更の隠れた意図なのである。

エリクソン氏は今回のデザイン変更に関して「契約の再交渉に応じようとしないフィリーズにはがっかりです。今回『新しいファナティック』とやらが発表されましたが、あれは我々の知的財産権そしてフィリーズファンに対する侮辱です」と怒りを露にしている。

参考文献:
https://www.cbssports.com/mlb/news/phillie-phanatic-makeover-is-an-affront-to-fans-everywhere-says-mascots-creators/
https://www.nbcsports.com/philadelphia/phillies/phillies-biggest-october-battle-involves-phanatic
https://www.mcall.com/sports/ironpigs-phillies/mc-spt-phillies-phanatic-redesign-creator-20200225-s4thhl7fnngwfftxibnblvvxfm-story.html

歴史的なスタジアムとネーミングライツ①

アメリカには、歴史的に重要な意味合いを持つスタジアム・アリーナがあり、それらには企業名がついていない。

しかし、ここ数年、そういったスタジアムの名称を変更する権利(ネーミングライツ)を企業に販売する動きが顕著になっている。

こうしたスタジアムの場合、一般的な認知度が高く、市民の愛着も強い。したがって、ネーミングライツの価値も高くなる。

しかし、経済的な価値だけを求めて契約を結ぶのは危険である。スタジアムに強い愛着を持つ市民の反発を招きかねないからだ。

失敗例がある。

1923年の設立以来、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムという名で親しまれていたスタジアムは、2017年にユナイテッド・エアラインズ・メモリアル・コロシアムと名前を変えた。

この契約によって、同スタジアムを所有する南カリフォルニア大学はユナイテッド・エアラインズから16年間で6900万ドルを受け取る権利を手に入れた。

ところが、この名称変更に反発が起こった。

同スタジアムの名称は、第一次世界大戦で犠牲になった兵士を追悼する意味があり(英語のメモリアル[memorial]には「追悼、慰霊」といった意味がある)、それを企業名に変更することは受け入れがたいというのだ。

この反発の結果、南カリフォルニア大学とユナイテッド・エアラインズの契約内容は変更され、スタジアム名は元の状態に戻った。

そして、ユナイテッド・エアラインズはスタジアム全体ではなく、選手がプレーするフィールドのネーミングライツを保有することとなった。

このように、歴史的なスタジアムのネーミングライツを販売する際には、通常よりも気を遣う必要がある。

では、具体的にはどのような契約にすればいいのか。明日は、現在進行している案件について紹介します。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/02/17/Facilities/Naming-rights.aspx