アストロズ、ファンが起こした訴訟に反論

ヒューストン・アストロズは、2017年のサイン盗みが明らかになって以降、批判を浴びるだけでなく、訴訟の対象にもなってきた。

たとえば、先月、元MLB選手のマイク・ボルシンガー氏は「アストロズのサイン盗みによって、自分のキャリアが不当に傷つけられた」として、同チームに3000万ドルを超える賠償金を求める裁判を起こした。

また同時期に、アストロズはファンにも訴えられている。

アストロズの熱狂的ファンでシーズンチケットを購入していたアダム・ウォラック氏は「アストロズは2017年にワールドシリーズを制覇した翌年、シーズンチケットの価格を上げた。しかしこのワールドシリーズ制覇はサイン盗みによって成し遂げられたものであった。アストロズは、ファンをだまして価格を釣り上げたのだ」と訴え、”不当に値上げされた”金額を払い戻すことと今後2年間シーズンチケットの値上げをしないことを要求した。

先週、これに対し、アストロズ側は騒動を謝罪しつつ、「原告が求めるような権利はファンにはない」と反論した。

チーム弁護士は「チケットの所有者が持つ権利は、スタジアムに入り、約束された座席に座ることだけである。その後の試合内容について意見することはできない」と主張した。

参考文献:
https://sports.yahoo.com/astros-lawyers-fire-back-at-fans-suing-team-over-signstealing-scandal-010433802.html
https://sports.yahoo.com/ex-dodgers-pitcher-files-lawsuit-against-astros-wants-them-to-forfeit-31-m-190648512.html

ドジャースファン、アストロズにブーイングするためエンゼルス戦へ

ヒューストン・アストロズのサイン盗みが取り沙汰された際、最も怒りを露にしたのが、2017年のワールドシリーズでアストロズに敗れて世界一を逃したロサンゼルス・ドジャースのファンであった。

こういった場合、アメリカのスポーツファンは、スタジアムで容赦ないブーイングを浴びせることで気を晴らすものだが、2020年シーズンにドジャースとアストロズの試合は1試合もない。

そこで、Pantone 294というドジャースのファングループが現在ある計画を進めている。

それが、同じロサンゼルスに本拠地を置くエンゼルスの試合に行ってブーイングをするというもの。

これに関して、エンゼルス側は「野球ファンはいつでも歓迎します」と受け入れる方針。

Pantone 294と連絡を取り、4月3日のエンゼルス対アストロズ戦のチケット約800枚を同グループに販売することを約束したという。

度を越えた行動は慎むようにお願いしているとはいうが、異様な雰囲気に包まれることは間違いないだろう。

参考文献:
https://www.latimes.com/sports/dodgers/story/2020-01-25/dodgers-astros-angels-cheating-anthony-rendon-pantone

ビール男がもたらした広告効果

ワシントンDC在住のジェフ・アダムスさんは一夜にして有名人になった。

アダムスさんを有名にしたのは、ワールドシリーズ第5戦。外野席で観戦していたアダムスさんに向かってボールが飛んできた。

その時、両手にビールを持っていたアダムスさんはそれを手放すことなく、胸でホームランボールを受け止めた。

この様子はテレビで全国に中継され、それを見ていたアメリカ中の人々がすぐさま「あのビールのやつは誰だ!」とSNS上で話題にした。そして次の日には、多くのテレビ番組がこの映像を取り上げた。

アダムスさんが両手に持っていたBud Lightは、この一連の出来事によって、大きな広告効果を得た。Bud Lightは「この人はヒーローだ。彼を表彰したいので、誰か彼の情報をください」とツイッターに投稿した。

その後、アダムスさんとのコンタクトに成功したBud Lightは、すぐさま彼を起用したコマーシャルを作成し、彼をヒューストンで行われたワールドシリーズ第6戦に無料招待。なんと彼のTシャツまで製作した。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/18/Media/Bud-Light.aspx

アストロズGM補佐の問題発言

現在ワールドシリーズを戦っているヒューストン・アストロズがグラウンドの外でピンチを迎えている。

事件が起こったのは、アストロズがワールドシリーズ進出を決めた試合の直後。勝利の余韻に浸る選手たちとともにロッカールームにいたブランドン・トーブマン氏(GM補佐)が女性記者に向かって、声を張り上げ、以下のような発言を繰り返したのだ。

「Thank God we got Osuna! I’m so f—— glad we got Osuna!」(オスーナ獲ってよかったわ!オスーナ獲ってマジでよかったわ!)

オスーナというのは今シーズンセーブ王に輝いたアストロズの守護神、ロベルト・オスーナ投手のこと。これだけを見ると何が問題なのか疑問に思うかもしれないが、問題はオスーナ投手の過去に関係している。

オスーナ投手は、2018年、元交際相手の女性に暴力を振るい逮捕された。MLBは75試合の出場停止処分を科し、当時所属していたトロント・ブルージェイズは彼を放出しようと試みた。

ブルージェイズは不利な条件の契約にも乗る姿勢を見せたが、ファンからの批判を恐れた多くのチームは、オスーナ投手の獲得に乗り出さなかった。

そこで手を挙げたのがアストロズだった。

アストロズは、オスーナ投手獲得に際して、同チームがDV問題を軽視しているわけではないというメッセージを発信するため、DV被害者の避難所等に20万ドル以上の寄付をし、本拠地の女子トイレに緊急時の連絡先を貼りだした。

このようなチーム努力にも拘わらず、今回のトーブマン氏の発言は、アストロズがオスーナ投手が行った過去の過ちを軽視しているかのような印象を与えてしまった。

トーブマン氏のあまりの異常な行動に、その場に居合わせたスタッフは謝罪したというが、トーブマン氏およびアストロズへの批判は続いている。

参考文献:
https://www.si.com/mlb/2019/10/22/houston-astros-roberto-osuna-suspension
https://www.washingtonpost.com/sports/2019/10/22/astros-respond-sports-illustrated-report-alleging-executives-clubhouse-blowup/
https://www.washingtonpost.com/sports/2019/10/23/astros-gm-says-we-may-never-know-intent-executives-inappropriate-outburst/

チケットビジネスの動向③ セカンダリー・マーケット

セカンダリー・マーケット(二次市場)とは、すでに購入されたチケットを再び売買する市場を指し、アメリカではTicket MasterやStubHub、SeatGeekといった企業がその運営を担っている。

もともとセカンダリー・マーケットは、スポーツリーグ・チームから完全に独立して運営されていた。しかし、あまりに多くの消費者がそこでチケットを購入するため、スポーツリーグ・チームがセカンダリー・マーケットの運営会社と業務提携を結ぶケースが増えている。

契約内容は様々だが、一般的には、売上の数%と顧客データがリーグ・チームに提供される。

象徴的なケースがある。2017年のワールドシリーズで戦ったロサンゼルス・ドジャースとヒューストン・アストロズは全く異なるチケット戦略を持っていた。

ドジャースは放任主義。セカンダリー・マーケットに介入せず、相当数いたダフ屋も黙認していた。一方、アストロズは、Eventellectというチケット会社と業務提携を結び、セカンダリー・マーケットを管理していた。

2017年ワールドシリーズのチケットは、セカンダリー・マーケット上で1100~1300ドルまで高騰した。その結果、ドジャースのホームゲームで、ダフ屋の儲けは計1500万ドルにも達したと伝えられている。しかし、そのうち1銭もドジャースには還元されない。

一方、アストロズのホームゲームに関しては、Eventellect社がセカンダリー・マーケットを管理していたため、その売り上げの一部がアストロズに共有されたと見られる。

そのワールドシリーズから数か月後の2018年2月、ドジャースは放任主義から方針転換。Eventellect社との業務提携を発表した。

拡大を続けるセカンダリー・マーケット。収入増加と顧客情報獲得のために、自らセカンダリー・マーケットを設立・運営するチームも現れている。

ボストン・レッドソックスは、Red Sox Replayを創設し2016年からサービスを提供している。Red Sox Replayでは、チケットの売り手がチケット価格を設定できるが、売り上げの10%が手数料としてレッドソックスに徴収される(シーズンチケット所有者の手数料は5%)。一方で、利用者はレッドソックスが管理するセカンダリー・マーケットで、より信頼性の高いサービスを受けることができる。2016年シーズンは、85,000以上のチケットがRed Sox Replayで売買された。

参考文献:
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/10/30/Events-and-Attractions/World-Series.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/02/12/Franchises/Dodgers-Eventellect.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/11/21/Franchises/Red-Sox-Replay.aspx