ヤンキース、ユニフォームスポンサーシップで巨大契約狙う

New York Yankees’ Aaron Judge, right, celebrates with Kyle Higashioka (66) as he returns to the dugout after hitting a grand slam off Pittsburgh Pirates relief pitcher Manny Banurelos during the eighth inning of a baseball game in Pittsburgh, Wednesday, July 6, 2022. (AP Photo/Gene J. Puskar) COPYRIGHT 2022 THE ASSOCIATED PRESS. ALL RIGHTS RESERVED

ニューヨーク・ヤンキースは、ユニフォームスポンサー獲得のために、代理店であるLegends Global Partnershipsに支援を依頼した。

MLBの各チームは2023年シーズンからユニフォーム袖にスポンサーロゴを掲出することが認められており、すでにサンディエゴ・パドレスがMotorola社と契約を結んでいる

MLBはこのスポンサーシップを通して、リーグ全体で年間最大4億ドル(チーム平均1300万ドル以上)の収益を見込んでいるが、ヤンキースはその平均をはるかに上回る契約を目指しているという。

具体的には、「最上級のスタジアムネーミングライツ契約並み」の複数年契約を目指していると報道されており、その場合、契約金は年間2000万ドルを超えることになりそうだ。

Legends社は2008年にヤンキースとダラス・カウボーイズのオーナーが共同で設立した代理店で、ヤンキースは現在も少数株主である。

同社は2020年にGlobal Partnerships 部門を立ち上げ、スポンサーシップ販売、不動産開発、ホスピタリティといった分野での代理業務を展開している。

同社は他のMLBチームからもユニフォームスポンサー契約の支援を依頼されたようだが、それらを全て断り、ヤンキースの契約に集中しているという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/new-york-yankees-patsch-sponsor-legends-mlb/
https://www.forbes.com/sites/timcasey/2022/07/14/new-york-yankees-working-with-legends-in-search-for-inaugural-jersey-patch-sponsor/?sh=2352aae257b5

Amazon、ヤンキースの試合をストリーミング

Amazonは、ニューヨーク・ヤンキースの公式戦21試合をPrime Video上で中継することを決定した。

なお、この中継を視聴できるのは、ヤンキースの地方放映権を持つYES Networkのテリトリー(ニューヨーク、コネチカット、ペンシルベニア、ニュージャージー)に限られる。

Amazonは2019年にYES Networkのオーナーになり、昨年すでにヤンキース戦のストリーミングを計画していた

昨年はコロナウイルスの影響で計画を保留したが、2021年レギュラーシーズンが162試合に戻ることが決まり、計画が実行されることになった。

Amazonは、NFLのThursday Night Footballの放映権を保有しており、先週、この契約を独占契約に切り替えたばかりである(契約金:年間13.2億ドル)。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/new-york-yankees-amazon-prime-video-yes-network-live-stream-mlb-2021-season

MLBチームのチケット規約に一部批判

先週木曜日、ニューヨーク・メッツとヤンキースは、チケットの払い戻しに関する方針を発表した。

これによれば、すでに中止となった試合に関しては払い戻しに応じる一方、今後の試合に関しては、たとえ中止がほぼ確定している試合(今月の試合など)であっても、現時点での払い戻しはしないことになった。

これに対し、現金を必要とするファンに寄り添っていないとの批判が集まった。

ちなみに、先週木曜日の時点で、28のMLBチームがチケットの払い戻しに関する発表をしているが、そのうち21チームは今月中のゲームの払い戻しに応じる姿勢を見せている。

また、メッツ・ヤンキースに関しては、払い戻し方法に関する情報が簡単に見つけられないとの批判も上がっている。

たとえば、メッツが発表したチケット規約(全1284単語)のなかで「払い戻し」という単語が登場するのは1175番目。かなり終盤だ。

ヤンキースも同様に、チケット規約の終盤「その他」という箇所まで読まないと払い戻し方法はわからない。

参考文献:
https://www.newsday.com/sports/baseball/mets-yankees-tickets-refund-coronavirus-1.44287840

Amazonのユニークなスポーツ中継戦略③

以前の投稿でも説明した通り、2019年にAmazonは、ニューヨーク・ヤンキースの地方中継を担当するテレビ局YES Networkのオーナーグループに加わった

そして今日、Amazonは、ヤンキースの公式戦21試合をPrime Video上でネット中継すると発表した。これは初めての試みだ。

プライム会員であれば無料で視聴することが可能だが、地理的な制約がある。

具体的には、ヤンキースのマーケットであるニューヨーク州、コネチカット州、ペンシルベニア州の北東部、そしてニュージャージー州の一部でのみ観戦することができる。

番組制作はYES Networkが担当し、Amazon以外にも複数テレビ局が同時に試合を中継するという。

Prime Video独自の仕掛けもある。Amazonの「X-Ray」と呼ばれる技術を活用し、試合を見ながらスタッツや選手情報を見ることができる。

Amazonのドノヒュー氏は「私たちはプライム会員に出来るだけ様々なコンテンツを、様々なデバイスを通じて提供したいと思っています。この試みは、他のローカルテレビ局、そしてヤンキースという最も愛されているスポーツチームと協働する機会となります」とコメントした。

参考文献:
https://www.geekwire.com/2020/amazon-inks-deal-stream-new-york-yankees-baseball-games-prime-video/
https://variety.com/2020/digital/news/amazon-prime-video-21-yankees-games-1203522258/

フィールド・オブ・ドリームスでMLB公式戦

フィールド・オブ・ドリームスは最も有名な野球映画の一つである。

アイオワ州に住む農家がトウモロコシ畑を切り開き野球場をつくると、かつてシカゴ・ホワイトソックスで活躍した名選手たちの亡霊が現れるという話だ。

撮影に使用された野球場は、実際にアイオワ州ダイアーズビルに建てられたもので、映画公開から30年近く経つ今も保存されており、映画のファンが訪れる聖地となっている。

先週、MLBは、その聖地で公式戦を開催することを発表した。

日時は、2020年8月13日。映画の内容通り、ホワイトソックスがプレーする(対戦相手はニューヨーク・ヤンキース)。

試合が行われるのは、撮影に使用された球場ではなく、そのすぐ近くに建てられる臨時球場だが、元々の球場の要素を取り入れたデザインになるという。

たとえば、外野のフェンスを透明のガラス製にしてトウモロコシ畑が見えるようにする案があるという。ちなみに、球場のキャパシティはわずか8000席となる予定だ。

MLBは、これまでも本拠地以外のユニークな土地で公式戦を開催してきた。

今シーズンを例にとれば、大学野球の聖地ネブラスカ州オマハや、リトルリーグ発祥の地ペンシルバニア州ウィリアムズポート。さらには、東京、モンテレイ、ロンドンでも興行を行った。

以前の投稿でも説明した通り、こういった興行は必ずしも収益に直結しないが、「大きな話題を呼ぶ」、「野球人気の低い土地にもファンベースを拡大する」、「ファンにユニークな経験を提供する」といった狙いがある。

2020年シーズンは他にも、ウィリアムズポート、プエルトリコ、ロンドンといった土地で公式戦が予定されている。

参考文献:
https://www.mlb.com/video/field-of-dreams-to-host-mlb-game
https://newsdaily.today/white-sox-yankees-to-play-at-field-of-dreams-in-2020/

MLBのロンドン遠征②

前回の投稿で解説した通り、今回のMLBロンドン遠征は、興行自体のコスト以上のコストが発生していた。したがって、この2試合で大きな利益を上げることは難しかっただろう。

しかし、今回の興行に関しては、利益を上げることは二の次。一番の目的は、MLBの人気をイギリス(ひいてはヨーロッパ)で拡大することであった。

そのため、普段の試合では見られない演出もあった。

たとえば、ヤンキースの勝利テーマ「New York, New York」は、普段は敵地では流れない。しかし、レッドソックスがホームチームという扱いであったロンドン遠征では、それが試合後に流れ、観戦価値向上に貢献した。

MLBの発表によれば、2試合のチケットの70%はイギリスで、20%はアメリカで購入されたという。しかし、現地で観戦したファンの感覚では、イギリス人とアメリカ人の割合は50%-50%だったという。イギリスでチケットを購入した人の多くがイギリス在住のアメリカ人だったのかもしれない。

ここから「イギリスでの人気拡大を狙うならもっとイギリス人ファンを増やさなければならない」という批評もできるかもしれないが、アメリカ人が多く観戦していたことの利点もあった。

たとえば、野球は素人だというイギリス人のMike Dunnさんは「私の席の前にも後ろにも多くのアメリカ人がいたよ」と言う。「みんな野球に詳しいから、ルールなどわからないことがあれば周りに聞けばいいという感じだったよ」。

人がスポーツファンになっていく過程では、そのスポーツのルールやファンとしての嗜みなどを他のファンから学ぶ。野球に関する知識や経験が豊富なアメリカ人ファンは、新規のイギリス人ファンにそういった情報を伝えることができるのである。

MLBは今後もヨーロッパでの興行を継続する。来年は、シカゴ・カブスとセントルイス・カージナルスがロンドンで公式戦を行い、その後はヨーロッパの他都市に遠征する可能性もあるという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/24/Events-and-Attractions/MLB-London.aspx
https://www.nytimes.com/2019/06/30/sports/yankees-red-sox-london.html

MLBのロンドン遠征①

先週末、ニューヨーク・ヤンキース対ボストン・レッドソックスの公式戦がロンドンで開催された。

土曜日の試合は5万9659人、日曜日は5万9059人の観客を動員するなど興行は大きな成功を収めたように見えるが、実際のところはどうなのだろうか。

MLBロンドン遠征の背景と成果について今日と明日、解説したい。

そもそもMLBがイギリス遠征を検討し始めたのは10年以上前のことだという。ところが、イギリスにあるスタジアムはサッカー専用スタジアムが多く、野球の試合を開催するには不向きであった。

MLBのJim Small氏はMLBの試合が開催可能な環境を見つけるために、ロンドンだけでなく、ローマ、ミュンヘン、アムステルダムといった都市を巡った。Paul Archey氏も、1999年から2015年の間にヨーロッパで30以上のスタジアムを視察したという。

今回使用されたスタジアムは、オリンピック用に建設されたもので、陸上トラックを含む大きなスペースが存在したため、なんとか野球用にアレンジすることができた。

しかし、スタジアム問題はロンドン遠征のためのハードルの一つに過ぎなかった。

なにしろ今回組まれたカードはヤンキース対レッドソックス。MLBでも屈指の好カードである。本来、本拠地で試合を主催するはずであったレッドソックスはその機会を失ったことになる。

このような場合、本拠地開催であった場合にレッドソックスが得たであろう利益を算出し、リーグが補填するのが通例である。

また、海外遠征は、選手にも負担を強いることになる。

そのため、2016年まで、MLBは海外遠征を企画する度に選手会の許可を得る必要があった。

現行の労使協定では、海外遠征は毎年行われるものとして合意されているため、遠征の度に選手会の許可を得る必要はない。その代わり、遠征に参加した選手には特別の給与が支払われることになっている(ロンドン遠征の場合は、各選手に6万ドル、計300万ドル)。

つまり、今回の興行で収支をトントンにするためには、興行自体のコストだけでなく、レッドソックスに補填する分と、選手に支払う特別給与分の収益も生み出さなければならなかったということである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/24/Events-and-Attractions/MLB-London.aspx
https://www.nytimes.com/2019/06/30/sports/yankees-red-sox-london.html

ヤンキースの「HOPE」、発足10周年

ニューヨーク・ヤンキースのHOPE WeekというPRキャンペーンが今年で発足10周年を迎える。

HOPEはHelping Others Persevere and Excelの頭文字をとったもので、地元コミュニティの発展や問題解決に尽力した個人・グループにスポットライトを当てることを目的としたキャンペーンである。

毎年5組の個人・団体が選出され、この5組には、ヤンキースの選手・コーチが直接会いに行くというサプライズをもって受賞が伝えられる。

そして、受賞者たちはHOPE Weekに開催されるヤンキースのホームゲームに招待され、そこで大勢の観客にそれぞれの取り組みを紹介され、大きな祝福を受ける。

また、地元・大手メディアに受賞者の取り組みを紹介してもらうのもHOPE Weekの重要なポイントである。

たとえばESPNは、2018年HOPE Week受賞者のCassidy Warnerちゃんに焦点を当てた映像を制作した。10歳のCassidyちゃんは、いじめを受けている自身の経験を伝える映像をソーシャルメディアに投稿し、いじめ問題に対する人々の意識を変えたとして受賞を受けた。

2011年には、前年に起こったハイチ大地震の際にニューヨークに来た難民の学生たちがHOPE Weekを受賞した。この話はCNNで取り上げられた。

こういったメディア露出は、地域に貢献する個人・団体の認知度を高め、彼ら・彼女らの活動資金となる寄付金の拡大に貢献する。

今年は発足10周年を記念して、過去の受賞者を改めて紹介する予定だという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/17/Franchises/Yankees-HOPE.aspx

ヤンキース、YES Networkを買収

2019年3月、「ニューヨーク・ヤンキースが複数企業と共同でYES Networkを買収する」と報じられた。これはNew York Timesが行った関係者への取材で明らかになったものである。

ヤンキースによるYES Networkの買収は、2018年末にYahooニュースで取り上げられたことで日本でも話題となり、その際に本ブログでも解説した。

今回の買収では、ヤンキースを筆頭に、Amazon、Sinclair Broadcasting、そしてRedbird Capitalといった複数企業がオーナーグループを形成する。
買収金額は35億ドル程度だと見られる。

オーナーグループに参加するAmazonは、NFLの「Thursday Night Football」をAmazon Prime上でネット中継するなど、昨今スポーツ業界で存在感を強めている。

一方で、最近発表された調査結果によると、Amazon Primeの会員数は頭打ち状態にあるという。

今回のAmazonによる地方テレビ局獲得の動きは、「スポーツ放映に関する更なるノウハウの獲得」と「新たな収益源の探索」という二つの意味合いがある。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2019/03/08/business/media/amazon-yankees-yes-network.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/08/Opinion/Russo.aspx

ヤンキースとYES Network②

今回ニューヨーク・ヤンキースが買収を検討しているYES Network(正式名称:Yankee Entertainment and Sports Network)は、2002年3月に誕生した。
元々は1999年にヤンキースがニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)と合同で立ち上げたYankeeNetsという会社から生まれたテレビ局である。

ヤンキースとネッツは、両チームのビジネスを統合することで放映権収入やスタジアム建設の資金援助を拡大できると考えYankeeNetsを立ち上げ(YankeeNetsが両チームを保有する形になり)、YES Networkは両チームの地方中継の放映権を取得した。

ところが、ヤンキース側とネッツ側の経営陣はビジョンを完全に共有できておらず(ある関係者によれば「彼らは同じ言語すら話していなかった」)、YankeeNetsは2003年に解散することになった。

その際、YankeeNetsはYankee Global Enterprisesに名称が変更され、同社はヤンキースとYES Networkの親会社として存続することになった。

その後、21st Century FoxがYES Networkに投資を行い、YES Networkの出資金の80%を21st Century Foxが、残りの20%をYankee Global Enterprisesが保有する形になった。つまり、Yankee Global EnterprisesはYES Networkの親会社ではなくなったのである。

それでもYankee Global EnterprisesはYES Networkの経営に関して一定の影響力を維持していた。またYankee Global Enterprisesは、21st Century Foxとの関係にも満足しており、YES Networkを再び傘下に収めようと動くこともなかった。

ところが、その21st Century FoxがDisneyに買収され、それに伴いYES Networkも売却されることになった。Yankee Global Enterprisesにしてみれば、YES Networkが自社にとって都合の悪い企業に買収されることだけは避けたい。そこでYankee Global Enterprisesは、AmazonやSinclair Broadcast Groupといった信頼できるパートナーになりそうな企業に交渉を試みているのである。

つまり、今回Yankee Global Enterprisesが検討しているYES Networkの買収は「YES Networkを傘下に収めたい!」という積極的な買収というよりは「わけのわからんやつにYES Networkを奪われたくない」という消極的な買収と言える。

参考文献:
http://web.yesnetwork.com/about/index.jsp
http://www.fundinguniverse.com/company-histories/yankeenets-llc-history/
https://www.nytimes.com/2001/09/11/sports/sports-business-yankeenets-getting-own-cable-network.html
https://www.nytimes.com/2003/08/08/sports/sports-business-yankeenets-unravels-and-teams-may-move.html
http://www.espn.com/espn/sportsbusiness/news/story?id=1766675
https://www.forbes.com/sites/barrymbloom/2018/08/28/yankees-intend-to-buy-back-yes-network-after-fox-sale-to-disney/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/24/Media/Sports-media.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/12/Media/RSNs.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/12/24/Media/Sports-media.aspx
https://www.wsj.com/articles/yankees-in-talks-with-amazon-sinclair-to-bid-for-yes-sports-network-11545993000