NBA、スポーツ賭博業者2社と契約延長

Photo Source: Sportradar

NBAは、スポーツ賭博業者のGenius Sports Group(GSG)とSportradarと結んでいた契約を延長した。

2社が果たしている役割は、NBAから受け取った公式試合データをアメリカ国内のカジノやブックメーカーに流通させること。試合データはその後オッズを決める際などに使用される。

他の北米プロリーグも同様の契約を結んでいるが、契約内容は異なる。

たとえばNHLは、今年8月、Sportraderと10年2.5億ドル(約261億円)の独占契約を結んだ。独占契約にすることで、NHLは契約の価値を高め、一つの契約から多額の契約金を得ることに成功した。

NBAは対照的で、20社以上のスポーツ賭博業者と業務提携を結んでいる。この戦略は「一つ一つの契約が小さくなる」、「契約の管理が大変になる」といった短所がある一方で、「公式試合データがより広域に行き渡る」、「一つの業者に頼る必要がなくなる(リスク分散)」といった長所もある。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/nba-genius-sports-sportradar-betting-data-deals-extension-wnba
https://www.sportico.com/business/sports-betting/2020/nbl-sportradar-deal-1234610724/

ニュージャージー州、スポーツ賭博の月間最高額を更新

2020年8月、ニュージャージー州内でスポーツ賭博に使われた金額が6億8800万ドル(約724億円)に達した。これは、アメリカ国内の月間最高額である。

ちなみに、それまでの最高額は2019年11月にラスベガスのあるネバダ州が記録した6億1400万ドル(約646億円)であった。

ニュージャージー州の賭博取締局によれば、賭けられた金額のうち3億2630万ドル(約344億円)がカジノや競馬場の儲けとなったという。

8月にスポーツ賭博が盛況だった背景には、NBAとNHLが公式戦を再開し、MLBが新シーズンを開幕したことがあると考えられる。

また、ニュージャージー州はネット上でスポーツ賭博をすることを許可しているため、コロナウイルスの影響が他州よりも小さかったかもしれない(州によってはカジノ内でしか賭けが許されていない)。

とはいえ、コロナウイルスの影響は無視できない。

ニュージャージー・カジノ・コントロール・コミッションのジェームズ・プローシス氏によれば、コロナウイルスの影響で、スポーツ賭博を楽しむために州外から訪れていた顧客が減少したという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/new-jersey-us-sports-betting-record-august-sportsbook-nevada-mlb-nba-nhl

MLB、豪スポーツ賭博業者と業務提携

今週、MLBはオーストラリアのスポーツ賭博業者Tabcorp Holdings (TAB)との業務提携を発表した。

オーストラリアではスポーツ賭博が合法で、テニスやゴルフの試合内容が賭けの対象となっているが、今後MLBもその対象となる。

TABはオーストラリア国内に4400のスポーツ賭博会場を保有している。今後MLBで賭けを楽しみたいファンはそういった会場に足を運ぶか、TABのウェブサイト・携帯アプリを通じて賭けをすることになる。

なおTABは、昨年、NFLやNBAとも同様の業務提携を結んでいる。

今回の業務提携に関してTABのアダム・リテンスキルド氏は「オーストラリアではアメリカのスポーツに対する需要が拡大しています。特に、TABの顧客の間ではその傾向が顕著です」と話す。

MLBのケニー・ガーシュ氏は「ロサンゼルス・ドジャースとアリゾナ・ダイアモンドバックスが2014年に開幕戦をシドニーで開催しましたが、その際にオーストラリアのスポーツファンに野球がとても馴染んでいると感じました」と言う。

「我々としては、オーストラリアでの野球人気拡大に貢献したいと思っています。TABの持っている施設や専門性を考えれば、今回の業務提携がオーストラリアにおける野球振興にとって重要な一歩となることは間違いありません」

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/mlb-tabcorp-tv-rights-betting-partnership-deal-mlb-network

スポーツ賭博×スポーツ中継

ワシントンDC周辺のスポーツ中継(全国放送のない地方中継)を担当するNBCスポーツ・ワシントンは、「Predict the Game(試合を予測しよう)」というスポーツ賭博を取り入れた中継を試している。

ワシントン・ウィザーズの試合などで、試合内容に関する質問を画面上に表示し、視聴者は自らの予想を同社のホームページから提出することができる。優秀な成績を収めれば賞金がもらえる。

なお、これは「NBCスポーツ・ワシントン・プラス」という姉妹チャンネルを用いた中継で、メインのチャンネルでは通常放送を同時に提供している。

コロナウイルスによる中断前までのデータによれば、ウィザーズの試合を観戦する人の9割は通常放送を選び、残りの1割が姉妹チャンネルの放送を選んだ。

このデータだけを見れば「スポーツ賭博の需要はあまりないのでは?」とも思えるが、NBCスポーツ・ワシントン社はこのコンテンツを高く評価している。

同社のデーモン・フィリップ氏は「私たちが成果を測るときに見るのは、エンゲージメント(どれだけ視聴者を引きつけたか)です」と言う。

たとえば、今シーズン「Predict the Game」を楽しんだ視聴者は25万人以上で、プレー時間は一試合平均で1時間10分だった。

NBAの試合時間が平均で2時間強なので、試合時間の半分は「Predict the Game」を楽しむためにNBCスポーツ・ワシントンのホームページにいたことになる。

「これらは、『Predict the Game』がうまくいっていることを示しています。このコンテンツには需要があるのです」とフィリップ氏は言う。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/16/Media/Sports-media.aspx
https://www.nbcsports.com/washington/predict

スポーツ賭博は視聴率に影響を及ぼすか

アメリカ各州でスポーツ賭博が合法化されていくなかで、それを好意的に見る関係者は多い。

その理由はいくつかあるが、そのうちの一つは「お金を賭ければスポーツ観戦を楽しむ人が増えるから」というものである。

では、実際のところ、スポーツ賭博が解禁された州において、スポーツ中継の視聴率は上がったのだろうか。

ニールセン・メディア・リサーチが実施した調査によれば、そのような影響はまだ出ていないという。

影響が最も顕著に表れると考えられていたペンシルベニア州の2大都市フィラデルフィアとピッツバーグでは、NFL中継の視聴率がそれぞれ前年比1%アップと3%ダウンだった。

Fox Betのロビン・チャブラ氏は「今スポーツ賭博をしている人は、そもそもスポーツ観戦をしていた人たちですよね」と言う。

つまり、スポーツ賭博自体がまだ世に浸透していないため、「スポーツ好きがスポーツ賭博をするようになる」ということはあっても「スポーツ賭博をしたいからスポーツを見るようになる」ということはまだあまりないということだ。

「今後もっとスポーツ賭博が浸透していけば、もっと一般の人が賭けをするようになり、そういう人がスポーツをより見るようになるでしょう。今はまだそうなっていないだけです」とチャブラ氏は説明する。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/01/27/Gambling/NFL.aspx

2019年、北米スポーツ業界の動向④

昨日に引き続き、Sports Business Journalの読者アンケートの結果を紹介する。今日は、スポーツ賭博・eスポーツ編。

Q.スポーツ賭博の合法化は、あなたの州にどのような影響をもたらす?

  1. ポジティブな影響(80%)
  2. ネガティブな影響(20%)

Q.スポーツ賭博という新たなビジネスチャンスを最もものにしている賭博業者は?

  1. MGM Resorts(37%)
  2. DraftKings(26%)
  3. FanDuel(20%)
  4. William Hill(12%)
  5. Caesars(37%)

Q.スポーツ賭博を合法化する際、賭博業者がリーグからオフィシャルデータを購入することを義務付けるべき?

  1. そう思う(71%)
  2. そうは思わない(29%)

Q.eスポーツチームにとってフランチャイズ制(ホームタウンを持つビジネスモデル)は好手?悪手?

  1. 好手(33%)
  2. 悪手(11%)
  3. 判断するには時期尚早(56%)

Q.eスポーツリーグを最も良く運営しているゲーム会社は?

  1. Electronic Arts(28%)
  2. Activision Blizzard(27%)
  3. Riot Games(19%)
  4. Epic Games(16%)

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/25/Reader-Survey/Best-of-rest.aspx

北米スポーツ産業の動向 – PwCの調査

毎年恒例となっているPwC社による北米スポーツ業界の調査結果が発表された。以下にその主な結果をまとめる(なお、この調査は北米のプロスポーツ業界にフォーカスしている)。

1. スポーツ業界の規模
北米スポーツ産業の規模は、2018年に710億ドル(約7.7兆円)に達した。これは過去最大の数字である。北米スポーツ産業は14年連続で拡大しており、2022年には800億ドルに達する見込みである。

2. 収入源の変化
プロスポーツチームの収入源は、4つに大別される。(1) チケット収入、(2) 放映権収入、(3) スポンサー収入、そして(4) グッズ収入である。

2016年まではチケット収入が最も大きな収入源であったが、2017年に初めて放映権収入がチケット収入を上回った。2018年もその傾向は続いており、むしろその差は拡大している。この背景には、テレビ放映権料の高騰とネット中継の台頭がある。

また、スポンサー収入がチケット収入に近づいている。前年比の増加率を見ると、チケット収入の0.9%増に対し、スポンサー収入は3.1%増を記録。

スポーツギャンブルを初め、新たなスポンサーシップカテゴリーが生まれていることが関係している。

また、2017年から始まったNBAのユニフォームスポンサーもスポンサー収入拡大に貢献している。現在、MLBも同様のユニフォームスポンサーの導入を検討しており、これが実現すれば、スポンサー収入がさらに大きく押し上げられる可能性がある。

詳しい金額やパーセンテージなどを知りたい方は、是非レポートをご覧ください(https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/assets/pwc-sports-outlook-2019.pdf)。

参考文献:
https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/library/sports-outlook-north-america.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Leagues-and-Governing-Bodies/MLB-patches.aspx

NBA、DraftKingsと業務提携

今週、NBAはDraftKingsと業務提携を結んだ。DraftKingsは、ファンタジースポーツおよびスポーツ賭博を運営する企業である。

DraftKingsが加わったことで、NBAと提携を結ぶスポーツ賭博業者は計6社となった(他の5社はBet 365、BetMGM、FanDuel、Fox Bet、William Hill)。これで国内大手のスポーツ賭博業者のほとんどがNBAと契約を結んだことになる。

たとえば、ニュージャージー州はスポーツ賭博が急成長している州だが、そこで使われる金額(約3億円)の90%がこの6社を通しているという。

この契約に基づいて、DraftKingsはNBAに一定の契約金を支払うことになる(金額は明らかになっていない)。

その見返りとして、DraftKingsは、NBAのロゴを使用することが認められ、さらにリーグが試合中に収集する様々なデータをリアルタイムで受け取ることができる。

スポーツ賭博には、試合前に賭けるものと、試合が始まってから賭けるものがある。

DraftKingsによれば、同社が行うNBAの賭博では、70%の顧客が試合が始まってからの賭けを楽しんでいるという。

DraftKingsがNBAから受け取るリアルタイム公式データは、同社が試合中に素早くオッズを変化することを可能にする。

NBAのスコット・コーフマン-ロス氏曰く、スポーツ賭博業者の多くは、当初、リーグと業務提携を結ぶことや公式データをリアルタイムで受け取ることは必要ないと考えていたが、対話を続けるなかで理解が得られてきたという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/04/Gambling/NBA-DraftKings.aspx

NFL、スポーツ賭博への関与強める

2019年8月、NFLはSportraderと複数年の独占契約を結んだ。これによって、SportraderはNFLの公式データをギャンブル業者に供給する唯一の仲介者となる。

具体的な流れは以下の通り。

まず、Sportraderは、NFL選手の肩パットにセンサーを入れるなどしてプレー毎のデータを収集する。

そして、そのデータをリアルタイムで世界中のギャンブル業者に提供する。

Sportraderから公式データを受け取ったギャンブル業者は「どちらのチームが勝つか」というざっくりとした賭けだけでなく、「次のプレーで5ヤード進むか?」「次のプレーにおけるこの選手のトップスピードは?」といった細かな賭けも行うことができる(リーグ・仲介者・ギャンブル業者の関係に関しては以前の投稿を参照)。

NFLとSportraderは以前からすでに協力関係にあったが、これまでSportraderがNFLのデータを提供していたのはメディアに限られていた。今後、それにギャンブル業者が加わる。

この契約で、SportraderはNFLに巨額の契約金を払ったと見られるが(契約の詳細は明らかになっていない)、NFLが獲得するのは契約金だけではない。

Sportraderは、ギャンブル市場の動向を常に監視し、不穏な動きがあればすぐにNFLに報告する役割も担う。

NFLは、他のスポーツリーグに比べて賭博ビジネスに慎重であったが、これは八百長の可能性を懸念してのことであった。Sportraderとの契約は、八百長対策の意味合いもあるのである。

参考文献:
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-12/nfl-takes-first-major-gambling-step-with-sportradar-data-deal
https://www.legalsportsreport.com/35135/nfl-betting-deal-with-sportradar-questions-and-answers/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/19/Gambling/NFL-Sportradar.aspx

イリノイ州、スポーツ賭博を合法化

2019年6月、イリノイ州でスポーツ賭博が合法化された(スポーツ賭博に関するこれまでの動向は過去の投稿参照)。

同州の最大都市シカゴには、四大スポーツリーグすべてのチームが本拠地を置くため、多くの人々が同州でスポーツ賭博を楽しむことが予想される。

今回成立した新法の主な内容は以下の通り。
・許可されたのは、オンライン、カジノ、レース場、そしてリグレー・フィールドのようなプロスポーツチームのスタジアム・アリーナにおける賭博。
・プロスポーツのスタジアム・アリーナ(の運営者)は、スポーツ賭博のライセンスを申請でき、施設内および施設外5ブロック圏内で賭博運営が可能。
・スポーツ賭博業者は、ライセンス取得のために料金1000万ドルを支払わなければならない。
・試合開始後の賭博には(オッズを決定するために)、リーグから購入した公式データの使用が義務付けられる。
・学生スポーツは賭博対象外。

ここからいくつか重要な内容をピックアップする。

まず、スタジアム・アリーナ内での賭博が許可されたため、イリノイ州のプロチームは、本拠地施設内で賭博ができるような環境を整えるだろう。これは各チームに新たな収益源と観戦経験向上の機会を与えることになる。

次に、リーグから公式データを購入することを義務付けることは珍しく、イリノイ州が2例目となった(もう一つはテネシー州)。

公式データの購入義務化は、賭博ビジネスの自由度を制限する一方、スポーツリーグにとっては大きな収益源を確保できることを意味する。

この点に関して、大手スポーツ賭博業者MGM ResortsのScott Butera氏は「我々にとって『いい法律』とは、自由競争を確保していて、賭博運営の料金や税金が納得のいく金額であるものです。イリノイ州の法律は、カジノのような伝統的な賭博業者にとって明らかに有利につくられていると言わざるを得ません。また、賭博運営に必要な料金もとても高額です」と話す。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/10/Gambling/Illinois.aspx
https://www.espn.com/chalk/story/_/id/26880600/illinois-legislature-passes-sports-betting-bill