アルミ会社のユニークなスポンサー契約

Photo Credit: Ball Corporation

アルミニウム製品を生産するBall Corporationは、Kroenke Sports and Entertainment (KSE)を通して、国やリーグを超えた複数のプロチームと同時にスポンサー契約を結んだ。

まず、デンバー・ナゲッツ(NBA)やコロラド・アバランチ(NHL)などが利用するアリーナのネーミングライツを購入。それまでPepsi Centerとして知られていた施設名をBall Arenaに変更した。

また同アリーナでは、2022年をめどにプラスチック製のカップを廃止し、リサイクル可能なアルミ製のカップに移行するという計画を発表した。

次に、ロサンゼルス・ラムズ(NFL)とアーセナルFC(EPL)とも業務提携を締結。それぞれの本拠地でBall Corporationが製造するリサイクル可能なアルミ製品を導入することで合意した。

さらに、両チームは環境問題に関するイベントや地域貢献活動をBall Corporationと共同で展開するという。

これだけのチームが絡むスポンサー契約は非常に稀である。これはひとえに、KSEのオーナー、スタン・クロンケ氏が上記の4チームすべてを所有していることのおかげと言えるだろう。

契約金は明らかになっていないが、デンバーの契約は10年契約、他チームとの契約は5年契約であると報じられている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/10/26/Marketing-and-Sponsorship/Denver-Ball.aspx
https://www.sportspromedia.com/news/ball-corporation-kse-rams-nuggets-arsenal-pepsi-center-naming-rights-deal

メルセデスベンツ・スタジアム、洗浄・除菌のためにドローンを導入

Mercedes-Benz Stadium

メルセデスベンツ・スタジアムは、現在、アトランタ・ファルコンズ(NFL)とアトランタ・ユナイテッドFC(MLS)の試合を開催している。

10月11日の試合からは観客の来場も再開する予定で、コロナウイルスの感染対策が課題となる。

そこでメルセデスベンツ・スタジアムはLucid Drone Technologies社と提携し、ドローンを活用した座席の洗浄・除菌を始めた。

公式発表によれば、これによって座席の洗浄・除菌にかかる時間が95%削減できるという。また、手作業では届きにくいエリアの洗浄・除菌も効率よく行える。

メルセデスベンツ・スタジアムは、他にも、600個の手指消毒剤を用意するなど、感染対策を徹底している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/atlanta-falcons-mercedes-benz-stadium-drones-cleaning-fans-return

コロナ禍のスタジアム活用法②カナポリス・キャノンボーラーズの例

シカゴ・ホワイトソックス傘下のマイナーリーグ球団カナポリス・キャノンボーラーズも、コロナ禍にスタジアムを有効活用しているチームの一つだ。

キャノンボーラーズの本拠地「アトリアムヘルス・ボールパーク(Atrium Health Ballpark)」は、市が所有する公共施設である。したがって、試合のない日は住民に無料で開放されることになっている。

スタジアムの解放感や楽し気な雰囲気は、それ自体がアトラクションとなる。外出自粛によるストレスが溜まった状況ではなおさらだ。

実際、同スタジアムには毎週末1000人あまりの住民が訪れ、ランチを食べたり施設を見て回ったりしている。

キャノンボーラーズは、この機会を生かすために、コンセッションとチームストアを開き、飲食やグッズを販売している。

同チームによれば、来場者一人当たり約16ドルを消費していくそうだ。

キャノンボーラーズGMのマット・ミルワード氏は「この反応は我々の予想をはるかに超えています」と言う。

「我々は業務提携を結んでいるAppetize社とともに、接触の一切ないセルフサービスのコンセッションを運営しています。ファンは食べたいものを入力し、クレジットカードで決済し、注文した飲食をピックアップしています」

またミルワード氏曰く、同スタジアムは地元高校の卒業式や教会のイベントにも利用されるほか、キャノンボーラーズと地元映画館のコラボ企画で、巨大スクリーンを用いた映画鑑賞イベントも開催予定だという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/06/08/Facilities/New-ballparks.aspx
https://www.salisburypost.com/2020/05/15/photos-kannapolis-baseball-park-opens-to-public/

メルセデスベンツ・スタジアム、キャッシュレス化で利益増

2019年3月にキャッシュレス化に踏み切ったメルセデスベンツ・スタジアム。スタジアムを所有するAMB Sports & Entertainment社によれば、初年度は大きな成功を収めたという。

同社CEOのスティーブ・キャノン氏は、今後建設されるスタジアムでは最初からキャッシュレスにすべきだと主張する。

「デメリットは一つもないと思います。現金の補充や計算がなくなり、現金を守るための施設やセキュリティも不必要になります。それらを合わせればざっと35~40万ドルほどのコストがカットできます。そして盗難のリスクもなくなります」

キャノン氏が挙げたメリットに加え、キャッシュレス化は、会計でのやり取りをスムーズにする効果も期待できる。

同社の調査によれば、混雑時にコンセッションに並ぶ時間は、従来と比べ、20~30秒短縮されているという。

待ち時間の短縮は、ファンの購買行動にも好影響を与え得る。

実際、同スタジアムで飲食のために使われる金額は、ファン一人当たり約16%増加したという。

一方で、カードを所持しないファンのために、「逆ATM(現金と引き換えにスタジアム内でのみ使えるカードを購入する機械)」をスタジアム内10か所に設置したが、実際に利用したのは来場者全体の約1.2%だったという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/09/Facilities/Mercedes-Benz.aspx

レンジャーズ新スタジアムほぼ完成

テキサス・レンジャーズは、今シーズンから使用する新スタジアム「グローブ・ライフ・フィールド」の建設が93%完了したと発表した。

昨年12月には屋根部分でボヤ騒ぎもあったが、3月23日のホーム開幕戦に間に合うめどがついた。

ここまで3万人分の座席設置が完了し、ビデオボードや照明のテストも今月中に完了する。

残っている作業としては、スイートルームに大量の家具を搬入すること。そして一番の大仕事が、フィールドに芝を敷くことだ。

新スタジアムのフィールドには特殊な素材の人工芝が使用されるが、その整備がまだ残っている。

ちなみに、同スタジアムのデザインを担当したHKS社は、日本ハムファイターズの新スタジアムの設計・施工も行っている。

参考文献:
https://www.star-telegram.com/sports/mlb/texas-rangers/article240000728.html
https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/rangers/2019/12/14/texas-rangers-new-stadium-globe-life-field-roof-catches-fire/2651491001/

ジェッツの「ファン・フェイバリッツ・プライシング」

ウィニペグ・ジェッツは、飲食(ビール、ポップコーン、ピザなど)の価格を平均で30%下げることを発表した。

ジェッツはこれを「ファン・フェイバリッツ・プライシング(Fan Favorites Pricing)」と呼んでいる。

数年前にメルセデスベンツ・スタジアムで導入された「ファン・ファースト・プライシング」を連想する人もいるかもしれない。

今回の値下げ幅は小さめだが、「飲食を安くすることで観戦価値を上げる」という意図は同じである。

今回の値下げに関して、コンセッション管理会社のケビンドネリー氏は「ファンがずっと要望していたことです。他チームや他リーグを見ても同様の例はいくつもありますし、今やるべきだと思いました」と言う。

参考文献:
https://winnipegsun.com/news/news-news/true-north-dropping-prices-for-popular-concession-items

Dr. McLeodインタビュー⑧メジャーリーグラグビー

Q. メジャーリーグラグビーとはどのようなリーグなのでしょうか。

A. メジャーリーグラグビーは、色々な意味でプロ・ラグビーとは一線を画したリーグです。

たとえば、プロ・ラグビーはシングルエンティティと呼ばれるリーグシステムを採用し、リーグ主導で全5チームを新設しました。

一方で、メジャーリーグラグビーは、チームを1からつくるのではなく、ほとんどのチームがすでにあったラグビーチームを活用する形で始まりました。

一番有名なところでいうと、グレンデール・ラプターズ(現コロラド・ラプターズ)があります。

グレンデールは、アメリカのなかでは歴史のあるラグビークラブで、ラグビー専用スタジアムも持っています。

また、市長が「グレンデールをラグビーの町に」ということで、ラグビーをプレーする環境整備に力を入れています。

Q. 当時すでにあったチームと言うのは、プロチームではなかったわけですよね?

A. はい、チームが所属選手に住居を提供したり、就職先を斡旋したり、といったことはありましたが、チームと選手との間に雇用関係はありませんでした。

実はラグビーというスポーツは少し特殊で、他のどのスポーツよりもプロ化することを拒んだスポーツなんですよ。

最初のプロ選手が誕生したのは1995年。野球なんて100年以上前にプロ化していますよ。

そして、ラグビーがプロ化を拒み続けたことには、非常に興味深い文化的な背景があるんです。

2019年、北米スポーツ業界の動向⑤

5日間に渡って紹介してきたSports Business Journal読者アンケートの結果、最終日です。今日はユーススポーツ・スタジアム編。

Q. 自分の子どもがスポーツをやるとしたら、いくつのスポーツをやらせたい?

  1. 1つ(24%)
  2. 2つ(41%)
  3. 3つ(26%)
  4. 4つ以上(9%)
    *昨今アメリカでも早い段階でスポーツを絞るいわゆる「専門化」が問題視されている。

Q. 自分の子どもがタックル・フットボールをやりたいと言ったら?

  1. やらせる(32%)
  2. やらせたくない(68%)
    *タックル・フットボールは大人がプレーするアメフトに近いタックルありのスポーツ。タックルなしのフラッグ・フットボールと比べると脳震とうのリスクが高い。

Q. 新設・改修されたスタジアムのなかで一番行ってみたいのは?

  1. アレジアント・スタジアム(ラスベガス・レイダースの本拠地:26%)
  2. ソフィ・スタジアム(ロサンゼルス・チャージャーズとロサンゼルス・ラムズの本拠地:24%)
  3. グローブ・ライフ・フィールド(テキサス・レンジャーズの本拠地:20%)
  4. チェイス・センター(ゴールデンステート・ウォーリアーズの本拠地:18%)
  5. トッテナム・ホットスパー・スタジアム(ロンドンにあるサッカー専用スタジアム:10%)
    *トッテナムのスタジアムは、NFLがヨーロッパ興行をする際に使用されている。

Q. スタジアムでの観戦経験を向上させる要因を一つ挙げるとしたら?

  1. 価格(43%)
  2. スタジアム内のエンターテインメント(27%)
  3. スタジアム内のアクセス・移動しやすさ(25%)
  4. プレミア席の充実(5%)
    *メルセデス・ベンツ・スタジアムでは、飲食の価格を従来よりも低く設定する「ファン・ファースト・プライシング」によって観戦価値が向上されたと言われている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/25/Reader-Survey/Best-of-rest.aspx

SoFiのロサンゼルス新スタジアム活用法

以前の投稿で、SoFiがロサンゼルス・チャージャーズおよびラムズの新スタジアムのネーミングライツを獲得したというニュースを紹介した。

20年6億ドルとも言われるこの巨大スポンサー契約をSoFiがどのように生かすのか、その詳細が徐々に明らかになってきた。

まず、SoFiは新スタジアム内のすべてのATMを独自に設置・管理し、コンセッション等でのカード決済もすべて管理する。

SoFiは学生ローンや抵当を主要のビジネスとしているが、2020年までにはカード部門も立ち上げる予定で、その知名度向上を狙う。

また、同社が開催する人気ファイナンスセミナーも、今後は新スタジアムで開催することになる。より良質なサービスを提供し、イベントの価値向上を図る。

SoFiは2016年にSoftbankから10億ドルの投資を受けており、それ以来、惜しげもなくマーケティングにお金をつぎ込むことで知られるようになった。

たとえば、現在のマーケティング予算は毎年2億ドルだという。

今回のスポンサーシップに関してCEOのAnthony Noto氏は「この新スタジアムは『スタジアム体験』というものを再定義するようなものになります。同様に、我々のパートナーシップもこれまでになかったようなものにしたいと考えています」と語る。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/23/Marketing-and-Sponsorship/Sofi.aspx

イーグルス、スタッフ用の新アプリ導入

フィラデルフィア・イーグルスは、今シーズンから、スタッフがコミュニケーションをとるためのアプリを導入する。

試合中に問題が発生したりファンから問い合わせがあったりした場合、これまではトランシーバーでコミュニケーションをとっていたが、今後はこのアプリを活用する。

このアプリを5月のイベントで試験的に活用した際には、あるスタッフが壊れた座席を発見。その写真をアプリに投稿し、それを見た施設管理の担当者が即座に修理に向かったという。

以前、サンフランシスコ・フォーティナイナーズの取り組みを紹介したが、現在アメリカでは、「試合中に起きた問題をいち早く解決することがよりよい観戦経験につながる」という考えが浸透しており、それを実現するためのシステム構築が課題となっている。

今回のイーグルスによる新アプリ導入は、その一例と言える。

イーグルスのFrank Gumienny氏は「我々が主催するスポーツイベントでは、『どの選手がサインに応じているか』、『どこでサインをもらえるか』といった問い合わせを頂くこともあります」と言う。「遠くから何時間もかけてやってきた子どもが『○○選手に会いたい!』と言うのなら、スタッフはそれを叶えてあげなくてはいけません。」

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/09/Franchises/Eagles.aspx