インセンティブベースのスポンサーシップ

これまで多くのスポーツ組織のスポンサーとなってきたAnheuser-Busch InBev(ABI;バドワイザーの製造元)が、まったく新しいスポンサーシップ契約を結んでいる。

従来のスポンサー契約は、決まった期間に決まった金額が支払われる形(5年10億円など)であったが、今回ABIが導入した契約は、支払金額が固定されていない。

具体的には、チーム成績や観客動員、SNSのフォロワー数などに応じて年間最高30%のボーナスが支払われる。つまり、スポンサーシップ価値向上のためにスポーツ組織が努力するよう、スポンサー側がインセンティブを設けているのである。

この契約に関して、ABI副社長のJoao Chueiri氏は「従来のビジネスモデルは、契約金とメディア露出に重きが置かれていたが、観客動員やテレビ視聴率が低迷している今日、そのようなビジネスモデルではスポンサーシップ価値を最大化することができない。ファンエンゲージメントをいかに強めるか、そのためのビジネスモデルを構築したい。すべての契約はユニークな契約でなくてはならない」と説明した。

一つ一つのスポーツ組織は、それぞれにユニークな選手、コーチ、そしてファンを持つ。そのような多様な組織と契約を結ぶ際には、既存の契約形式をテンプレートのように使うのではなく、それぞれのスポーツ組織の特長を生かした唯一無二の契約にするべきであるという主張である。

そして、「ファンエンゲージメントをいかに強めるか」というコメントが意味しているのは、ただスポンサーのロゴを露出するだけでなく、SNSや動画を活用したキャンペーンや参加型イベントなど、ファンが実際にスポンサーと経験を共有し、関係性を構築できるような取り組みに重きを置くということである。

ABIは現在およそ90のスポーツ組織を協賛しているが、2021年までにはすべての契約になんらかのインセンティブを取り入れる方針であるという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/04/02/Marketing-and-Sponsorship/ABInBev.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/03/Marketing-and-Sponsorship/Marketing-and-Sponsorship.aspx

Amazonと鉄人レース

2018年9月、Amazonは、ハワイで毎年10月に開催されるトライアスロン大会「Ironman World Championship」の冠スポンサーになることを発表した。同大会が冠スポンサーを持つのは、2015年以来である。

Amazonは、同大会のオフィシャルスポーツ栄養小売店(Official Sports Nutrition Retailer)として、サプリメントやスポーツドリンク、エナジーバーなどの販売を行う。

同大会には、2400人の選手が参加し、全長約226kmのコースに挑む。そのためのトレーニング期間と実際のレースを合わせれば、何万という栄養補助食品が消費される。2015年のデータによれば、その売り上げは6億5000万ドルに達するという。

近年、Amazonは、NFLの「Thursday Night Football」やPremier Leagueのネット放映権を獲得するなど、スポーツビジネスに積極的である。今回のスポンサーシップは、そういったネット中継ビジネスとは異なる関わり方であり、同社が新たなスポーツビジネスモデルを構築しようとする動きと解釈できる。

参考文献:https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/10/Marketing-and-Sponsorship/Ironman.aspx