前回の投稿で説明したように、ジェネレーションZは「貴重でユニークな体験をしたい」という欲求が強く、これはスポーツと親和性が高いと考えられる。
ところが、DynataがジェネレーションZを対象に行った調査によると、「スポーツ観戦は楽しい」と答えたのは全体の35%であった。
ここから、スポーツ組織がジェネレーションZのニーズを完全に満たせてはいないという現状が理解できる。
さて、ここで考えるべきは、ジェネレーションZが求める「貴重でユニークな体験」が何を意味しているのかという問題である。
数十年前、スポーツイベントと言えば、スポーツの試合だけを見せるイベントであった。
その後「観戦経験」や「経験価値」といった言葉が生まれ、「試合以外の側面も充実させることが重要である」という考えが浸透した。
今日、スポーツ観戦に行けば、様々な参加型イベントが用意され、観客は試合以外にも楽しみを見つけられるようになっている。
ところが、ジェネレーションZは、物心ついた頃からスポーツ観戦とはそういうものであった。ボールを投げたりくじ引きをしたりしてもそれが「貴重でユニークな体験」とは感じないのである。

実際、Sports Business Journalが行ったアンケート調査によれば、「スポーツ観戦において最も重要なものは?」という質問に「会場での参加型イベント」と答えたのはわずか1.78%であった。
また、「スポーツ観戦において『また来たい』と思わせる最も重要な要素は?」という質問に対して「会場付近での経験」と答えたのもわずか8%であった。
ジェネレーションZが欲する「貴重でユニークな体験」を提供するためには、従来のアイデアをテンプレートのように使うのではなく、全く新しいアイデアを生むことが必要になるだろう。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/01/In-Depth/Gen-Z.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/04/01/In-Depth/Research.aspx