Golden 1 Centerにレジなしショップ

来月、サクラメント・キングスの本拠地Golden 1 Centerに、Amazon Goスタイルのショップが登場する。

Amazon Goとは、昨年からAmazonが展開しているレジ会計なしのコンビニで、商品の会計は出入り口に設置されたゲートを通過する際に自動的に済まされる。

今回Golden 1 Centerに設置されるショップはAmazonではなくZippin社のシステムを使ったものだが、会計の仕組みはAmazon Goとほぼ同じ。

以前の投稿で解説した通り、昨今アメリカのスタジアムでは「より迅速な飲食の提供」がテーマになっており、スタジアムのキャッシュレス化などもその流れに沿った動きと言える。

今回導入される「レジなしショップ」は、現金(キャッシュ)だけでなくレジ会計(キャッシャー)も必要としない、最新版と言えるだろう。

Zippin社CEOのKrishna Motukuri氏は「このショップに来たキングスファンがビールを手に取って、購入し、店から出ていくまでの所要時間は30秒を切ります」と言う。

参考文献:
https://www.businessinsider.com/nba-arena-to-open-cashierless-store-amazon-zippin-2019-9?fbclid=IwAR0jp2zEdPPkb29Z1RQSewW8iI2f_vMMZcEfSOr6Z_L_zgOaloORZthdBYM

サブスクリプション・チケット③NBAの事例

プロリーグではMLBがいち早く取り入れたサブスクリプション・チケットは、現在、他のリーグにも浸透しつつある。

NBAでは、2018-19年シーズンに、サクラメント・キングスとミルウォーキー・バックスがサブスクリプション・チケットを導入した。

キングスのサブスクリプション・チケットは、月額49ドルで、購入者はその月に開催される全ホームゲーム(最大7試合)を観戦できる。

MLBのBallpark Passでは立ち見スペースからの観戦が一般的だが、キングスのサブスクリプション・チケット利用者には座席が割り当てられる。

具体的には、コートから離れた上層階の座席で、割り当てられた座席は試合の約4時間前に通知される。

このサブスクリプション・チケットは好評を得て、「毎月2,100人」までという販売数の上限が設けられたほどだった。なお、キングスは、2019-20年シーズンも同様のチケットを販売する予定である。

バックスも、いくつかのサブスクリプション・プランを試した。キングスと同様に試合日にチームが観客の座席を割り当てる形式や、5試合分を観客が自ら座席を選ぶ形式などが試された。

バックスのJamie Morningstar氏は「サブスクリプション・チケットが有効な場所・形は必ずあります。我々はそれを見つけるために創造力を働かせているところです」と言う。

NBAはMLBよりも試合数がはるかに少ない分、サブスクリプション・チケットのデザインには異なるアイデアが必要になるが、多くのNBAチームがその可能性を肯定的に捉えている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/06/17/In-Depth/Tickets.aspx
https://www.nba.com/kings/pass

NBAのユニフォームスポンサー③ 初年度は17チームが契約

NBA30チームの中で最初にユニフォームスポンサーシップの契約を結んだのは、フィラデルフィア・セブンティシクサーズであった。

2016年5月、セブンティシクサーズはStubHubと3年推定1500万ドルの契約を発表。これに際してStubHub社長のScott Cutler氏は以下のように述べた。 「StubHubとセブンティシクサーズはエンターテインメント界のイノベーターとしてビジョンを共有している。この度の契約は、我々が新たな扉を開け、スポーツ界を前進させる存在であり続けることをよく表している」。

これに続いたのが、サクラメント・キングス。地元サクラメントの食品会社Blue Diamondと3年1500万ドルの契約を結んだ。同社は世界に流通するアーモンドの80%を生産している。Blue Diamondのロゴはユニフォームだけでなく本拠地のコートにもつけられる。また、同社の販売するアーモンド食品はコンセッションで販売されるという。

当初は営業が難航したユニフォームスポンサーシップであったが、最終的には17チームが契約を取り付けて2017-18年シーズンを迎えた。これらの契約の平均金額は1年930万ドル。最高額はゴールデンステート・ウォリアーズが楽天と結んだ契約で3年6000万ドル(1年2000万ドル)であった。

今回のスポンサーシップ営業では、ウォリアーズの他にも複数のチームが海外企業との契約を検討した。実際、いくつかのチームは、アメリカ国外の代理店に市場調査を依頼したという。

ミネソタ・ティンバーウルブスのChris Wright氏は、2016年に行われたシンポジウムで「ティンバーウルブスが中国企業と契約を結んでも驚かないでください」と語っていた。

参考文献:
https://www.usatoday.com/story/sports/nba/sixers/2016/05/16/philadelphia-76ers-stubhub-jersey-sponsor/84434004/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/10/10/Marketing-and-Sponsorship/Kings-Blue-Diamond.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2017/10/16/In-Depth/Jersey-patches.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/09/26/Marketing-and-Sponsorship/NBA-jersey-patches.aspx

アメリカで存在感を増す「南アジアマーケット」

マーケティングで重要なプロセスにマーケット・セグメンテーションがある。巨大なマーケットをいくつかのセグメントに分けて、ターゲットとなるセグメントを特定する。これによってより効率的に消費者のニーズを満たし、売り上げを上げることができる。

ターゲットを選ぶ際にはその大きさが重要になるが、この「大きさ」は単純な人口だけではない。それがいかに拡大しているか、ある特定の地域にどれくらい固まっているか、そしてどれくらいの購買力があるか。こういった要素を総合的に分析し、その「大きさ」を判断する。

そのいい例となるのが、アメリカにおける「南アジア人」というマーケットである。

ここでいう「南アジア人」とは、バングラデシュ、ブータン、インド、モルディヴ、ネパール、パキスタン、スリランカ、そしてアフガニスタンという国々からの移民、もしくはその血を引く人々を指す。ちなみに、このマーケットの約80%を占めるのはインド系アメリカ人である。

アメリカには、およそ450万人の南アジア人が住んでいる。この人口自体はさほど大きくはないが、2000年と2013年のデータを比較すると、その人口は97%増加しており、アメリカで最も拡大しているグループである。

特筆すべきはその所得で、年収の中間値は8万ドル(およそ900万円)を超えている。これはあらゆる民族グループのなかで最高の数字である。さらに他のアジア系アメリカ人と合わせると、その購買力は2020年までに1.1兆ドルに達する見込みである。

ここで興味深いのは、この南アジア人のほとんどがスポーツチームが本拠地とする大都市に集中している点である。

たとえば、南アジア人が最も多く住んでいるニューヨーク、シカゴ、ワシントンDC、ロサンゼルス、そしてサンフランシスコには、合計で41ものプロスポーツチームがある。


この動向をスポーツチームも把握しており、各地で「南アジア・ナイト」「インド・デー」といったイベントが開催されている。たとえば、サクラメント・キングスは、2014年、地元のシク教コミュニティと協力して「Kaurs Singhs and Kings Night」というイベントを開催。試合前とハーフタイムにパンジャーブの音楽とダンスを披露した。同チームは2018年にも「Bollywood Night」というインドをテーマにしたイベントを開催している。

こういったイベントは、様々なファンにその民族について知ってもらう機会にあり、ひいては、様々な文化に対して寛容な雰囲気を醸成することにもつながる。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/12/Opinion/SouthAsians.aspx