チーフス、アローヘッド・スタジアムをキャッシュレス化

Photo by David Eulitt/Getty Images

昨シーズンのNFLチャンピオン、カンザスシティ・チーフスが本拠地のアローヘッド・スタジアムをキャッシュレス化することがわかった。

チーフスは、NFLとも業務提携を結んでいるTappit社のモバイル支払い技術を導入し、スタジアム内のコンセッションやグッズの購買をすべてスマートフォンでできるようにする。

キャッシュレス化には、混雑解消や顧客データの獲得といったメリットがある。さらに、顧客とスタッフとの接触を減らすことで、コロナウイルスの感染リスクを減らす効果も期待される。

チーフス副社長のタイラー・エップ氏は「新シーズンに向けた準備をする上で、私たちは選手、スタッフ、そしてファンの健康と安全を保障します。Tappit社のシステムを用いたキャッシュレス化によって、我々は人と人との接触を最小限に抑え、ファンを安全にアローヘッド・スタジアムに迎えることができます」と語る。

Tappit社はNFLおよびチーフスの他に、プレミアリーグのマンチェスターシティやフォーミュラワンとも業務提携を結んでいる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/kansas-city-chiefs-arrowhead-stadium-cashless-payments-tappit

コロナ禍のスタジアム活用法②カナポリス・キャノンボーラーズの例

シカゴ・ホワイトソックス傘下のマイナーリーグ球団カナポリス・キャノンボーラーズも、コロナ禍にスタジアムを有効活用しているチームの一つだ。

キャノンボーラーズの本拠地「アトリアムヘルス・ボールパーク(Atrium Health Ballpark)」は、市が所有する公共施設である。したがって、試合のない日は住民に無料で開放されることになっている。

スタジアムの解放感や楽し気な雰囲気は、それ自体がアトラクションとなる。外出自粛によるストレスが溜まった状況ではなおさらだ。

実際、同スタジアムには毎週末1000人あまりの住民が訪れ、ランチを食べたり施設を見て回ったりしている。

キャノンボーラーズは、この機会を生かすために、コンセッションとチームストアを開き、飲食やグッズを販売している。

同チームによれば、来場者一人当たり約16ドルを消費していくそうだ。

キャノンボーラーズGMのマット・ミルワード氏は「この反応は我々の予想をはるかに超えています」と言う。

「我々は業務提携を結んでいるAppetize社とともに、接触の一切ないセルフサービスのコンセッションを運営しています。ファンは食べたいものを入力し、クレジットカードで決済し、注文した飲食をピックアップしています」

またミルワード氏曰く、同スタジアムは地元高校の卒業式や教会のイベントにも利用されるほか、キャノンボーラーズと地元映画館のコラボ企画で、巨大スクリーンを用いた映画鑑賞イベントも開催予定だという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/06/08/Facilities/New-ballparks.aspx
https://www.salisburypost.com/2020/05/15/photos-kannapolis-baseball-park-opens-to-public/

コロナウイルスをきっかけにキャッシュレス化進む?

北米スポーツ界のトレンドの一つがスタジアムのキャッシュレス化である。

四大スポーツでは、2019年にメルセデスベンツ・スタジアムとトロピカーナ・フィールドが初めてキャッシュレス化に踏み切り、その後センチュリーリンク・フィールドとビビント・スマート・ホーム・アリーナの2施設が続いた。

メルセデスベンツ・スタジアムを所有するAMB Sports & Entertainment社によれば、キャッシュレス化は管理費の削減や購買促進といった効果を生んでいるという。

それらに加えて、現在議論されているのが、「キャッシュレス化によって現金のやり取りが不要になれば、人と人の接触が減り、コロナウイルスの感染リスクも下げるのでは」という点である。

今月1日、AMB Sports & Entertainment社はネット会議を開催し、キャッシュレス化に関する情報を共有した。

このネット会議には、四大リーグ、MLS、PGAツアー、NCAA、そしてNASCARから実に900人が参加したという。ここからもキャッシュレス化に対する注目度の高さがうかがえる。

AMB Sports & Entertainment社のグレッグ・ビードルズ氏は「一番のハードルは、一気に増えるカード決済を素早く処理できるシステムを構築できるかです」と言う。

また、ニューヨークやフィラデルフィア、サンフランシスコといった大都市では、あらゆるビジネスにおいて「現金を扱わない」ということが条例によって禁止されているため、現状、キャッシュレス化はできない。

今後、キャッシュレス化が浸透し、大都市に拠点をチームが本格的に導入を検討すれば、法改正を求めるロビー活動も見られるかもしれない。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/05/18/Facilities/Cashless.aspx

MLBのアリゾナ無観客試合案

今週、「MLBがアリゾナ州で無観客による公式戦開催を検討している」と報道された。

これに対してリーグ機構は決定事項ではないと発表しているが、実際のところ現実味はあるのだろうか。

USA Todayが行った取材によれば、複数の球団オーナーは「選手の年俸を大幅カットできないのなら、無観客試合というプランは決して受け入れられない」と答えたという。

無観客試合となると、チケット、駐車場、そしてコンセッションでの収益がゼロになる。これは昨年のデータでいうと、約40億ドルの損失となる。

また、全試合アリゾナ州開催となれば、地方中継の放映権収入も大幅に削られる。

さらに、取材に答えたオーナーによれば、約束された試合が開催されないということで、スタジアムのネーミングライツ契約にも影響が及ぶ可能性があるという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Daily/Issues/2020/04/08/Coronavirus-and-Sports/MLB.aspx
https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/columnist/bob-nightengale/2020/04/07/mlb-2020-arizona-plan-start-season-far-fetched/2959941001/

コロナウイルスによる経済的損失:NBAのケース

NBAは先週11日に、公式戦の中断を発表した。

再開の見通しはまだ立っていないが、このまま試合が中止扱いになった場合、どの程度の経済的損失があるのだろうか?

Sports Business Journalが行った調査によれば、今週19日までに、リーグ全体で8600万~1億8500万ドル(約92億~198億円)の損失が予測されるという。

その内訳は以下の通り。

・チケット販売の機会損失:平均100万~250万ドル(約1億~2.7億円)。チームによっては(ロサンゼルス・レイカーズなど)、300万~400万ドルの損失を被る場合も。

・その他の機会損失:飲食、駐車場、グッズ販売などの売上が一試合あたり50万~75万ドル(約5300万~8000万円)。

繰り返しになるが、これは今週19日までの数字である。

6月のNBAファイナルまでは数多くの試合が予定されていたため、経済的損失は今後も膨らんでいくことになる。

参考文献:
https://www.nba.com/article/2020/03/11/coronavirus-pandemic-causes-nba-suspend-season
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/16/Leagues-and-Governing-Bodies/NBA-revenue.aspx

メルセデスベンツ・スタジアム、キャッシュレス化で利益増

2019年3月にキャッシュレス化に踏み切ったメルセデスベンツ・スタジアム。スタジアムを所有するAMB Sports & Entertainment社によれば、初年度は大きな成功を収めたという。

同社CEOのスティーブ・キャノン氏は、今後建設されるスタジアムでは最初からキャッシュレスにすべきだと主張する。

「デメリットは一つもないと思います。現金の補充や計算がなくなり、現金を守るための施設やセキュリティも不必要になります。それらを合わせればざっと35~40万ドルほどのコストがカットできます。そして盗難のリスクもなくなります」

キャノン氏が挙げたメリットに加え、キャッシュレス化は、会計でのやり取りをスムーズにする効果も期待できる。

同社の調査によれば、混雑時にコンセッションに並ぶ時間は、従来と比べ、20~30秒短縮されているという。

待ち時間の短縮は、ファンの購買行動にも好影響を与え得る。

実際、同スタジアムで飲食のために使われる金額は、ファン一人当たり約16%増加したという。

一方で、カードを所持しないファンのために、「逆ATM(現金と引き換えにスタジアム内でのみ使えるカードを購入する機械)」をスタジアム内10か所に設置したが、実際に利用したのは来場者全体の約1.2%だったという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/03/09/Facilities/Mercedes-Benz.aspx

ジェッツの「ファン・フェイバリッツ・プライシング」

ウィニペグ・ジェッツは、飲食(ビール、ポップコーン、ピザなど)の価格を平均で30%下げることを発表した。

ジェッツはこれを「ファン・フェイバリッツ・プライシング(Fan Favorites Pricing)」と呼んでいる。

数年前にメルセデスベンツ・スタジアムで導入された「ファン・ファースト・プライシング」を連想する人もいるかもしれない。

今回の値下げ幅は小さめだが、「飲食を安くすることで観戦価値を上げる」という意図は同じである。

今回の値下げに関して、コンセッション管理会社のケビンドネリー氏は「ファンがずっと要望していたことです。他チームや他リーグを見ても同様の例はいくつもありますし、今やるべきだと思いました」と言う。

参考文献:
https://winnipegsun.com/news/news-news/true-north-dropping-prices-for-popular-concession-items

LAVA、プロスポーツ界に浸透中

現在アメリカでは、LAVAを導入するプロスポーツチームが増加している。NFLではデンバー・ブロンコスなど、NBAではサクラメント・キングスなど、MLSではLAギャラクシーなどがLAVAを活用している。

LAVAは、スタジアム中のコンセッション情報をリアルタイムで収集・分析するソフトウェアである。

たとえば、繁盛しているコンセッションと閑散としているコンセッションを特定することでスタッフの再配置に役立てたり、不足しつつある商品を見つけることで売り切れる前に補充したり、といったことを可能にする。

LAVAが提供するデータは、試合中のプロモーションにも生かすことができる。

たとえば、試合終盤に差し掛かった段階で、多くのホットドッグが売れ残っていることがわかれば、「1個買ったら1個無料」のような割引ができる。このようなシンプルなプロモーションならば、LAVAのデータを見てから数分で実行可能だという。

ロサンゼルスFCは、最近LAVAを導入したチームの一つである。
同チームのクリスチャン・ラウ氏は「LAVAを活用することで、携帯電話からデータを獲得し、それを運営上の変更に生かすことができます。これは大きいです。より迅速な対応ができています」と言う。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/11/11/Technology/LAVA.aspx

Golden 1 Centerにレジなしショップ

来月、サクラメント・キングスの本拠地Golden 1 Centerに、Amazon Goスタイルのショップが登場する。

Amazon Goとは、昨年からAmazonが展開しているレジ会計なしのコンビニで、商品の会計は出入り口に設置されたゲートを通過する際に自動的に済まされる。

今回Golden 1 Centerに設置されるショップはAmazonではなくZippin社のシステムを使ったものだが、会計の仕組みはAmazon Goとほぼ同じ。

以前の投稿で解説した通り、昨今アメリカのスタジアムでは「より迅速な飲食の提供」がテーマになっており、スタジアムのキャッシュレス化などもその流れに沿った動きと言える。

今回導入される「レジなしショップ」は、現金(キャッシュ)だけでなくレジ会計(キャッシャー)も必要としない、最新版と言えるだろう。

Zippin社CEOのKrishna Motukuri氏は「このショップに来たキングスファンがビールを手に取って、購入し、店から出ていくまでの所要時間は30秒を切ります」と言う。

参考文献:
https://www.businessinsider.com/nba-arena-to-open-cashierless-store-amazon-zippin-2019-9?fbclid=IwAR0jp2zEdPPkb29Z1RQSewW8iI2f_vMMZcEfSOr6Z_L_zgOaloORZthdBYM

大学オリジナルビールはカレッジスポーツの次のトレンド?

ノースカロライナ州立大学のオリジナルビール「Old Tuffy」が州内1400か所で飛ぶように売れている。

「スーパーで売り切れになっているのをよく目にしますよ」。同大学マーケティング担当者のBrad Bohlander氏は言う。

今年7月、ノースカロライナ州立大学はNew Belgium Brewingと5年間のパートナー契約を結んだ。

この契約の目的は「同大学が持つ発酵研究所をさらに発展させること」とされるが、最も注目を集めたのはオリジナルビールの製造だ。

New Belgium Brewingは、ノースカロライナ州立大学のマスコットTuffyをパッケージに使用する権利を獲得し、新製品の名前も同マスコットに因んだものとした。

同社は毎年決まった金額とOld Tuffyの売り上げの一部を大学側に収めることになっている。

ノースカロライナ州立大学のように、オリジナルビールを販売する大学は現在11校あるが、そのほとんどがここ数年の間に始まったものだ。

先日の投稿で解説した通り、現在アメリカではカレッジスポーツでビールを販売する大学が増加している。

オリジナルビールの消費は、ユニークな観戦経験の一部となるとともに、その売り上げを通して大学に貢献することもできる。

ノースカロライナ州立大学のアメリカンフットボール本拠地開幕戦では、1万2265本のビールが消費されたが、その42%がOld Tuffyだったという。

カレッジスポーツ界で急速に広がるビールビジネス。その次の局面が、オリジナルビールの製造・販売なのではないかと業界関係者は見ている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/23/Colleges/Beer.aspx
https://news.ncsu.edu/2019/07/new-belgium-partnership/
https://www.newsobserver.com/sports/college/acc/nc-state/article233549307.html
https://www.newsobserver.com/living/article233537537.html