ラムズのグッズ配達サービス

Image Credits: Postmates

今週月曜日、ロサンゼルス・ラムズは、オープンしたばかりのSoFiスタジアムで最初のホームゲームを迎えた。

スタジアムで生観戦ができない地元ファンのために、ラムズはグッズの生産・流通を担当するFanaticsと配達業者のPostmatesとユニークなサービスを企画した。

それがグッズの即配達サービスである。

これはロサンゼルス市内に住むファンが対象で、利用者はPostmatesのアプリから特設オンラインストアにアクセスし、ラムズグッズを購入することができる。

そして購入完了からすぐPostmatesの配達員が自宅にそのグッズを届ける。宅配ピザのような手軽さとスピードでグッズが手元に届くのだ。

同様のサービスはFanaticsが以前スーパーボウルやワールドシリーズの際に実施しているが、その時はUberが配達を担当していた。今年7月にUberがPostmatesを26.5億ドルで買収したことに伴い、今回はPostmatesが配達することとなった。

グッズビジネスにおける携帯端末の役割は年々増している。

Sportico社の調査によれば、今月ロサンゼルス・レイカーズがNBAファイナルを制した際にはFanaticsのウェブサイトで多くのグッズが売れたが、その85%は携帯電話からの購入だったという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/la-rams-fanatics-postmates-merchandise-jersey-delivery-service-sofi-stadium

Fanatics、Vetta Brandsを買収

Photo By Steve Gooch, The Oklahoman

Fanaticsは、スポーツアパレル会社のVetta Brandsを買収した。

Vetta Brandsは、カレッジスポーツのキャップ製造大手であるTop of the Worldの親会社である。

この買収によって、Fanaticsは、Vetta Brandsが持つアパレル(特にキャップ)製造技術・施設と600を超える大学のライセンス(グッズを製作する権利)を手に入れることになる。

一方で、Top of the Worldはコロナウイルスの影響で8月から施設の稼働を止めており、200人の従業員を解雇していた。今回の買収によって、負債を返済しグッズ生産を再開することができる。

今回の買収は両社にとってメリットがあるものと言えるだろう。

Top of the Worldはオクラホマ州に巨大な倉庫を保持しており、ここが今後Fanaticsのキャップビジネスの拠点となるという。

コロナ禍にあってもFanaticsの勢いは衰えを知らない。

同社のネット販売の取引は今年に入ってから30%増加し、先月には3億5000万ドル分の資金を新たに調達している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-vetta-brands-assets-top-of-the-world-headwear-college-sports
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-valuation-funding-round-merchandise-nfl-mlb

北米スポーツ産業の動向 – PwCの調査

毎年恒例となっているPwC社による北米スポーツ業界の調査結果が発表された。以下にその主な結果をまとめる(なお、この調査は北米のプロスポーツ業界にフォーカスしている)。

1. スポーツ業界の規模
北米スポーツ産業の規模は、2018年に710億ドル(約7.7兆円)に達した。これは過去最大の数字である。北米スポーツ産業は14年連続で拡大しており、2022年には800億ドルに達する見込みである。

2. 収入源の変化
プロスポーツチームの収入源は、4つに大別される。(1) チケット収入、(2) 放映権収入、(3) スポンサー収入、そして(4) グッズ収入である。

2016年まではチケット収入が最も大きな収入源であったが、2017年に初めて放映権収入がチケット収入を上回った。2018年もその傾向は続いており、むしろその差は拡大している。この背景には、テレビ放映権料の高騰とネット中継の台頭がある。

また、スポンサー収入がチケット収入に近づいている。前年比の増加率を見ると、チケット収入の0.9%増に対し、スポンサー収入は3.1%増を記録。

スポーツギャンブルを初め、新たなスポンサーシップカテゴリーが生まれていることが関係している。

また、2017年から始まったNBAのユニフォームスポンサーもスポンサー収入拡大に貢献している。現在、MLBも同様のユニフォームスポンサーの導入を検討しており、これが実現すれば、スポンサー収入がさらに大きく押し上げられる可能性がある。

詳しい金額やパーセンテージなどを知りたい方は、是非レポートをご覧ください(https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/assets/pwc-sports-outlook-2019.pdf)。

参考文献:
https://www.pwc.com/us/en/industries/tmt/library/sports-outlook-north-america.html
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Leagues-and-Governing-Bodies/MLB-patches.aspx

NFL選手会、学生アスリートの「グループ・ライセンシング」をサポート

NFL選手会は、先週月曜日、全国カレッジプレーヤー協会(NCPA)とパートナーシップ契約を結んだ。

この契約に基づき、今後、選手の名前や肖像権の価値をどのように最大化するべきか、共同で検討していくという。

また、プレスリリースでは「すべての学生アスリートが参加できるグループ・ライセンシングの仕組みも提供する」という方針も明らかにされた。

グループ・ライセンシングとは、複数の選手の肖像権をまとめて扱うことで、プロ野球チップスのような様々な選手の肖像権を使用する際によく用いられる。

アメリカのカレッジスポーツでは、アメリカンフットボールと男子バスケットボールの人気が突出しており、そこで活躍する選手は有名人のような扱いを受けるが、その他のスポーツでは、全米一位の選手も全く知られていない、ということがざらにある。

したがって、NCAAが学生アスリートのエンドースメント契約を解禁したとしても、一部の選手だけが大きな契約を勝ち取り、その他の選手は今までと全く変わらない、ということが起きかねない。

今回の契約で発表された「グループ・ライセンシング」が実現し、それがあらゆるスポーツを網羅するものであれば、学生アスリート間の収入格差を多少は抑えることができるかもしれない。

参考文献:
https://www.nflpa.com/news/ncpa-nflpa-marketing-licensing-college-athletes
https://www.cbssports.com/college-football/news/nflpa-partners-with-college-players-group-in-pursuit-of-name-image-likeness-rights-from-ncaa/
https://www.nflpa.com/players/resources

ブレーブス、「トマホーク・チョップ」を自主規制

アトランタ・ブレーブスのチーム名は、アメリカ先住民の戦士「ブラボス」に由来している。そして、チームロゴにあしらわれた斧は、戦いや力強さの象徴である。

これらに関連して、ブレーブスファンは、チームを応援する際に、斧を振り下ろす仕草を繰り返す。

この応援は「トマホーク・チョップ」と呼ばれる。「トマホーク」は斧の名前、「チョップ」は「ぶった切る」を意味する。

トマホーク・チョップは、ブレーブスの他にもフロリダ州立大学やカンザスシティ・チーフスなどのファンも行う、アメリカ国内で広く知られる文化だが、これがちょっとした論争を引き起こした。

先住民チェロキー族の血を引くライアン・ヘルスリー投手(セントルイス・カージナルス)が、「トマホーク・チョップは、先住民に対する偏見を助長する」と批判したのだ。

これを受け、ブレーブスは、トマホーク・チョップに使用されるグッズの提供を中止。また、トマホーク・チョップをする際に流れる音楽を流さないことも発表した。

アメリカには、先住民をマスコットにしたチームが複数存在するが、昨今、そういったチームが「先住民は粗暴で好戦的という偏見を助長している」と批判を集めている。

たとえば、ワシントン・レッドスキンズは、ここ数年チーム名の変更が絶えず議論されている。

今回ブレーブスは、素早い対応で事態を収束させたが、これを機に、様々なところでトマホーク・チョップに対する批判の声が上がることも考えられる。

参考文献:
https://www.nytimes.com/2019/10/09/sports/baseball/atlanta-braves-tomahawk-chop-helsley.html

Fanatics、ウォーリアーズとグッズ生産・販売契約締結

Fanaticsは、ゴールデンステート・ウォーリアーズと10年契約を結んだ。これに基づき、今後、同社はウォーリアーズのグッズ生産および販売を行う。

具体的には、以下の販売経路をFanaticsが運営することになった。
① Chase Center(現在建設中のウォーリアーズの新本拠地)に併設される「Warriors Shop」
② Chase Center内のグッズショップ
③ その他3つのローカルショップ
④ オンラインショップ

Fanaticsが運営することになったWarriors Shop(280坪)は、同社が運営するショップのなかでも最大となる。

ウォーリアーズのBrandon Schneider氏によれば、NBAチームが持つアリーナ併設型グッズショップはせいぜい110坪程度が相場。その倍以上のサイズがあるWarriors Shopは「ただグッズを売るだけでなく、ユニークな経験を提供する場にすることができる」と言う。

ウォーリアーズは、携帯アプリを使ったグッズ販売も行う予定で、ファンはアプリ上で購入したグッズを座席で受け取るか、試合後にショップで受け取るか、あるいは自宅まで郵送してもらうか選ぶことができる。

ウォーリアーズは、リーグ屈指の人気チームで、グッズ売上は過去5年間で4度リーグトップになっている。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/22/Franchises/Fanatics-Warriors.aspx

MLB、ユニフォームスポンサーの導入を検討②

MLBがユニフォームスポンサーシップを導入した場合、どれほどの追加収入が望めるのだろうか。

NBAの場合、ユニフォームスポンサーシップの料金は、平均で年間700万ドル。最も大きな契約は、ゴールデンステート・ウォーリアーズが楽天と結んだ契約で、年間2000万ドルだ。

ユニフォームスポンサーシップの価値を調査してきたVan Wagner Sports & EntertainmentのKyle Folts氏によれば、MLBのほうがNBAよりも大きな契約を望めるという。

その根拠としては
① NBA(82試合)よりもMLB(162試合)のほうが試合数が多いこと
② 野球の試合のほうが静止画が多く、スポンサーのロゴを見せられる時間が長いこと
などが挙げられる。

一方で、Folts氏は試合数が2倍だから契約金も2倍とはならない、とも指摘する。

ある調査によれば、NBAの場合、ユニフォームスポンサーシップの価値の75%はSNS等でシェアされるコンテンツに依るものだという。

言い換えれば、テレビの露出がスポンサーシップの価値に与えている影響は25%以下ということになる。

したがって、テレビ以外のメディアでの露出、そして露出以外の価値を提示することが、MLBチームがスポンサーシップ営業をするうえで重要になるだろう。

また、ユニフォームスポンサーシップ導入の可否とともに今後議論されると考えられるのが、禁止されるスポンサーシップのカテゴリーである。

NBAの場合、アルコール飲料会社、賭博業者、タバコ会社、政治的な広告、Nikeの競合などがスポンサーになることは禁止されている。MLBでも同様の業種が禁止対象になる可能性は大いにある。

また、NBAではまだ実現していないが、ファンが購入するレプリカユニフォームにもスポンサーロゴをつけるかどうかも重要なポイントとなる。

この件に関しては、また進捗があり次第お伝えします。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Leagues-and-Governing-Bodies/MLB-patches.aspx

サッカーワールドカップにおける男女の差③

先週11日、サッカー女子アメリカ代表のAlex Morgan選手は、最優秀女性アスリート賞を受賞した。

そこで彼女は「ワールドカップが終わった今、私たちは国内リーグを成長・拡大させていかなくてはなりません」と語った。

現在、アメリカのプロリーグNational Women’s Soccer League(NWSL)は、人々の興味を集めているとは言いづらい状況にある。

今シーズンの平均観客数は6,069人。9チーム中7チームは観客数を前年から落とした。

「ワールドカップの盛り上がりを国内リーグに生かさなければならない」という意見は日本でもよく聞くが、それと同じことをNWSLの各チームも考えている。

たとえば、ポートランド・ソーンズFCは、各国の代表メンバーに選ばれた同チームの選手に注目した限定グッズを販売した。

ソーンズFCにKatie Simons氏によれば、新発売のスカーフとTシャツは最も人気のグッズで、その売上はMLSのポートランド・ティンバーズの人気グッズよりも大きいという。

ワシントン・スピリッツは、今回のワールドカップだけでなく来年の東京オリンピックでの活躍も見越した戦略を立てており、同チームの目標はシーズン・チケットの売上、スポンサーシップ、そして観客動員を現在の3倍にすることだという。

その手始めとして、スピリッツは、同じワシントンDCに拠点を置くNFL、WNBA、MLSのチームとのクロス・プロモーションを企画している。
また、スポンサー企業のソーシャルメディアを用いたチケット販売なども行い、潜在的なファンにアプローチしている。

ノースカロライナ・カレッジは、7月21日のホームゲームを「ワールドカップおかえり試合」と名付け、チケットの値下げを含むプロモーションを行う。

参考文献:
https://www.usatoday.com/story/sports/ftw/2019/07/11/alex-morgan-joke-espys-female-athlete/39673407/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/15/Leagues-and-Governing-Bodies/NWSL.aspx

マイナーリーグ、グッズ売上過去最高

野球のマイナーリーグ(MiLB)は、2018年シーズン、リーグと傘下の160チームのグッズ売上の合計が7390万ドルに達したと発表した。

これは前年比4%増で、過去最大。MiLBのグッズ売上は、ここ9年間拡大し続けている。

この売上増に貢献したと考えられるのが、ラテン・ヒスパニック系ファンをターゲットにしたキャンペーン「Copa de la Diversion(Copa)」である。

Copaは初開催となった2018年に大きな成功を収めた。グッズ売上に関しては、大会前にリーグが設定した目標値の700%を超えたという。

下のグラフには、グッズ売上が大きいチームトップ25とそれぞれの売上が示されている。

この中ではDurham Bullsが唯一、MiLBが調査を始めた1993年以来、毎年トップ25に食い込んでいる。1993年以降に設立され、それ以降は毎年トップ25に入っているというチームは他に7チームある。

グッズ売上をレベル別に見ると、メジャーのすぐ下のレベルに当たる「AAA(トリプルA:30チーム)」が約2421万ドル、「AA(ダブルA:30チーム)」が約1519万ドル、「A(シングルA:60チーム)」が1584万ドルを記録した。

なお、上記のグラフはいずれもMiLBの発表したデータに基づいてSports Business Journalが作成したものである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/08/Research-and-Ratings/MiLB-merchandise.aspx

MiLB、「Copa」の大会規模を拡大

2019年3月、Minor League Baseball(MiLB)は2018年に立ち上げた「Copa de la Diversión(Copa)」の規模を拡大することを発表した。

Copaは、MiLBが推進するラテン・ヒスパニック系向けキャンペーンの一環として設立された大会である。

音楽や飲食など観戦経験の様々な要素がラテン・ヒスパニック系向けにアレンジされ、チーム名も親しみやすいニックネームとロゴが使用される。

たとえば、元西武ライオンズの牧田和久投手がプレーするエルパソ・チワワズは、Copa参加時のみ、マルガリータス・デ・エルパソと呼ばれる(マルガリータはカクテルの名前)。

Arkansas Travelersは、CopaではDiamantes de Arkansasと呼ばれる。

Copaは初開催となった2018年に大きな成功を収めた。
観客数は、Copa以外のMiLBの試合と比べ24%多く、グッズの売り上げは大会前にリーグが設定した目標値の700%を超えたという。

この成功を受け、MiLBは、2年目となる2019年シーズンの参加チームを昨年の33チームから72チームへ増加し、試合数も163から397に増やすことを決定した。

MiLBのKurt Hunzeker氏はCopaをより広く浸透させていくために各チームが取り組むべき課題をいくつか挙げた。

・「ヒスパニック・ナイト」のようなイベントを単発で催すのではなく、より連続性のあるイベントを企画すること

・Copa用のチーム名を決める際には「“Los”を付けておけばそれっぽくなるだろう」というような安易な決め方ではなく、ラテン・ヒスパニック文化を反映した名前を考案すること

・地元の小学校や少年野球チーム、ヒスパニック系コミュニティと密な関係を築く努力をすること

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/03/18/Leagues-and-Governing-Bodies/MiLB-Copa.aspx
http://news.sportslogos.net/2019/03/18/milb-unveils-copa-de-la-diversion-logos-part-2/