アンダーアーマー、シンシナティ大学との契約を破棄

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アンダーアーマーがシンシナティ大学と結んでいた10年総額5000万ドル(約52億円)のスポンサー契約を破棄することが明らかになった。

この契約は2015年に締結されたもので、アンダーアーマーはシンシナティ大学に毎年100万ドルのスポンサー料と300万ドル相当の用具を提供することになっていた。

近年アンダーアーマーの財務状態は厳しく、様々なコストカットを試みている。

たとえば、今年6月にはUCLAとのスポンサー契約も破棄し、これに対してはUCLAが訴訟を起こしている

Baltimore Business Journalによれば、アンダーアーマーとシンシナティ大学は契約破棄に関して対立はしておらず、元々の契約に含まれていた契約破棄に関する合意に従うことになるという。

具体的には、「2021年末まで365万ドル相当の用具を提供し続ける」、「解約手数料として975万ドルを2022年4月まで支払うこと」という2点がアンダーアーマーに義務づけられるという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/under-armour-university-of-cincinnati-college-sport-sponsorship

マーチ・マッドネス、全試合をインディアナポリスで開催か

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NCAAが男子バスケットボールの全米トーナメント(通称「マーチ・マッドネス」)の全試合をインディアナポリスで開催することを検討していることが明らかになった。

当初の予定では全米13都市で試合を行う予定だったが、コロナウイルス感染防止のために全試合を一か所で開催する可能性が出てきた。

試合会場、練習場、宿泊施設、医療施設などをすべて一か所に集めることになるが、これはNBAがすでに前例をつくっている。

また、試合日程には変更がないので、試合中継(および放映権契約)にも深刻な影響はないだろう。

しかし、マーチ・マッドネスならではの問題もある。

たとえば、プロスポーツと違い、カレッジスポーツは選手が学生であり、授業に出席する必要がある。

現在はオンライン授業も多く提供されているが、1月から始まる新学期では対面授業を再開する大学も多い。

例年であれば、試合の合間に少しでも大学に戻って授業に参加できたが、宿泊施設から自由に出られなくなれば、トーナメント中すべての授業を欠席することになる。

学業との両立を謳っているNCAAとしては頭を悩ませるところだろう。

しかし、昨年マーチ・マッドネスを中止にしたことで莫大な損失を被ったNCAAとしては、2年連続の中止は避けたいところ。

最終的にどのような形での開催になるのか、注目である。

ちなみに、レギュラーシーズンは来週開幕する予定である。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-march-madness-2021-indianapolis-host-college-basketball-covid-19

学生アスリートの肖像権ビジネス、契約管理、そして新会社

以前の投稿で解説した通り、NCAAは学生アスリートが自らの名前や肖像権(俗にNILと呼ぶ)を活用して収益を上げることを許可した。

禁止事項を含む細かなNIL規約はNCAAが現在作成しているが、正式に解禁された暁には、各大学に何かしらの報告義務が生まれる。

つまり「A選手がB社と〇年××ドルのエンドースメント契約を結びました」といった報告が大学側からNCAAにされるということである。

仮に大学が報告を怠ればそれは罰則の対象となりかねない。しかし、全学生アスリートの契約管理は骨が折れる作業になる。

そこでUber幹部のライル・アダムス氏は、今年4月Spryという企業を立ち上げ、学生アスリートの契約を簡単に管理できるシステムを開発した。

このシステムは、各学生の契約を整理するだけでなく、NCAAの規則違反が疑われる契約を特定したり、契約内容がアスリートの価値に見合っているかを判定したり、確定申告に役立つ情報を提供したりもできるという。

アメリカには約46万人の学生アスリートがおり、アダム氏はその50~60%がなんらかのビジネス契約を結ぶだろうと予測している。これは大きなビジネスチャンスである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/10/12/Colleges/Spry.aspx

Big TenとPac-12、アメフトシーズン開幕へ

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Big TenとPac-12は、カレッジスポーツのなかでもアメリカンフットボールの人気が特に高い5つのカンファレンス、通称「パワー・ファイブ」に数えられる。

パワー・ファイブに属する他の3カンファレンス(ACC、Big 12、SEC)は予定通りに2020年シーズンを開始したが、Big TenとPac-12はコロナウイルスの影響で2020年シーズンを中止すると発表していた。

しかし今月16日、Big Tenはこの決定を覆し、2020年シーズンを開幕すると発表した。さらにその8日後、Pac-12も同様の決断を下した。

この決定に関してPac-12は、コロナウイルスの検査体制が改善したこと、感染状況が変わったこと、州や郡のガイドラインが変更されたことなどが影響したと説明した。

一方で、経済的な要因も大きい。

ワシントン大学が行った調査によれば、パワー・ファイブに属するカンファレンスがアメリカンフットボールのシーズンを中止した場合に起こる経済的損失(放映権収入、チケット収入、寄付金等の合計)は40億ドル(約4200億円)に上るという。

ちなみに、かねてよりBig TenとPac-12にシーズン開幕を要求していたトランプ大統領は、Pac-12の発表後すぐに「どういたしまして」とツイートした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/pac-12-conference-college-football-season-big-ten

Fanatics、Vetta Brandsを買収

Photo By Steve Gooch, The Oklahoman

Fanaticsは、スポーツアパレル会社のVetta Brandsを買収した。

Vetta Brandsは、カレッジスポーツのキャップ製造大手であるTop of the Worldの親会社である。

この買収によって、Fanaticsは、Vetta Brandsが持つアパレル(特にキャップ)製造技術・施設と600を超える大学のライセンス(グッズを製作する権利)を手に入れることになる。

一方で、Top of the Worldはコロナウイルスの影響で8月から施設の稼働を止めており、200人の従業員を解雇していた。今回の買収によって、負債を返済しグッズ生産を再開することができる。

今回の買収は両社にとってメリットがあるものと言えるだろう。

Top of the Worldはオクラホマ州に巨大な倉庫を保持しており、ここが今後Fanaticsのキャップビジネスの拠点となるという。

コロナ禍にあってもFanaticsの勢いは衰えを知らない。

同社のネット販売の取引は今年に入ってから30%増加し、先月には3億5000万ドル分の資金を新たに調達している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-vetta-brands-assets-top-of-the-world-headwear-college-sports
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-valuation-funding-round-merchandise-nfl-mlb

UCLA、アンダーアーマーを提訴

Daily Bruin

UCLAは、スポンサー契約を一方的に破棄したとしてアンダーアーマーを提訴した。

問題となっている契約は2016年に締結されたもので、15年総額2億8000ドル(約300億円)。これは当時アメリカのカレッジスポーツの歴史で最大のスポンサー契約であった。

しかし今年6月、アンダーアーマーは契約の破棄を通知。

コロナウイルスの影響で、多くのカレッジスポーツイベントが中止になり、約束されていたベネフィットが得られないことが理由だと説明した。

これに対してUCLAのマリー・オサコ氏は「アンダーアーマーが、2016年に結んだ契約から逃れるために世界的なパンデミックを利用していることを残念に思う。契約には予定通りに試合を行う義務などは記されておらず、UCLA側は責任を果たしている」と反論。

さらに、アンダーアーマーが契約を破棄した本当の理由は、同社に支払い能力がないからだと主張した。

実は、アンダーアーマーがスポンサー契約を破棄するのはこれが初めてではない。2016年にMLBと10年のスポンサー契約を結んだが、2020年の開始前に契約を破棄している。

今回の訴訟で、UCLAはアンダーアーマーに対し、2億ドルの支払いを要求している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ucla-under-armour-contract-termination-lawsuit
https://bleacherreport.com/articles/2897938-under-armour-reportedly-trying-to-terminate-record-280m-contract-with-ucla

民主党議員、学生アスリートの補償に関する法案を作成中

先週、複数の民主党議員が学生アスリートに関する連邦法を作成していることがわかった。

この法案は「College Athletes Bill of Rights(大学アスリートの権利に関する法律案)」と呼ばれ、学生アスリートが「公平かつ公正な補償」を受け取れるようにすることを目的としている。

スポーツ関係のケガや病気に対する医療保険や、自由に転校する権利(現行の規則では、別の大学に移ると一定期間公式戦に出場できないことがある)、そして自らの肖像権を活用して(スポンサー契約やグッズ販売など)収益を上げる権利などが「公平かつ公正な補償」に含まれる。

肖像権を用いたビジネス権に関しては、すでにカリフォルニア州フロリダ州など複数の州がそれぞれ州法を成立させることでこれを認めているが、今回作成されているのは連邦法である。つまり、大学がある州に拘わらず、全国の学生アスリートにこの権利が保障される可能性があるということである。

さらに、この法案には、大学スポーツの運営組織(NCAA、カンファレンス、体育局など)と学生アスリートとの間で「revenue-sharing(収入分配)」を行うという内容も含まれるという。

これは重大な内容である。

ここで言う「収入分配」が具体的に何を指すのかは現時点では不明瞭だが、大学が学生に給与を支払うことを意味する可能性もある。

そうなれば、学生アスリートに与えられる報酬は飛躍的に伸びるが、タイトルナインとの兼ね合いなど複雑な問題も発生する。

なお、法案の審議は来年初めに行われる見通しである。現時点では、共和党議員からの支持は得られておらず、この法案が成立しない可能性も大きいと言う。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-college-athlete-bill-commercial-rights

Power Fiveカンファレンス、アメフト新シーズンの行方

北米カレッジスポーツには、特にアメフトが強く人気も高いカンファレンスが5つあり(ACC、Big Ten、Big 12、Pac-12、SEC)、これらをまとめてPower Fiveカンファレンスと呼ぶ。

Power Fiveカンファレンスのアメフト人気は別格で、アメフト関連の収入も桁違いだ。

たとえば、テキサス工科大学の場合、昨年のアメフトのチケット収入は約9億円。

また、同校が所属するBig 12は、ESPNとアメフトの放映権料契約を結んでおり、毎年20億円以上の収入を得ている(収益は所属校に分配される)。

今年はコロナウイルスの影響で多くのカレッジスポーツイベントが中止になっているが、9月に開幕予定のアメフトが中止になるとすれば、その影響は比ではない。数十億円規模の損失になる。

そんななか、今週、Power Fiveカンファレンスがアメフト新シーズンに関する方針を発表した。

まずBig TenとPac-12は、2020年シーズンの延期を発表した。現時点では、2021年春以降に開催する予定である。医療関係者のアドバイスに基づいた決定と説明した。

つぎにACCとSECは、2020年シーズンを開催すると発表した。医療関係者から常にアドバイスをもらいながら、柔軟に対応していくとした。

最後にBig 12だけは未だに新シーズンに関する方針を発表していない。基本的には開催する方向で準備をしている。

仮にBig 12が2020年シーズンの開催をあきらめた場合、Power Fiveカンファレンスの過半数が延期をするという形になり、それが原因でACCとSECが再度延期を検討する可能性もある。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story//id/29640578/big-ten-pac-12-postpone-fall-college-football-need-know https://www.espn.com/college-football/story//id/29641285/acc-sec-say-football-plans-remain-unchanged

Dr. Turickインタビュー⑥アスリートの影響力

Q. プロ選手に関してはいかがでしょう。

A. プロ選手も積極的に政治的なメッセージを発信していますよね。

たとえば、WNBAのマヤ・ムーア選手は世界最高のバスケットボール選手の一人ですが、今はバスケットボールではなく、社会問題に取り組むべきだとしてリーグ戦不参加を表明しています。

Q. プロ選手にとってスポーツは仕事であり、所属チームに対する責任もありますよね。その責任よりも、社会問題を解決する責任感を優先するわけですか。

A. その通りです。どんなトップ選手であっても、マイノリティであれば、マイノリティとしての扱いを受けた経験があります。同じ境遇の家族や友人がどのような思いをしているかを理解しています。彼ら・彼女らが感じる責任感はそうした実体験に根差しているのです。

そして有名人としてのステータスを確立したトップ選手は、多くのメディアや人々から注目を集めることができます。同じことを言っていても、一般人であれば無視されることも、彼ら・彼女らが言えば人々は耳を傾けるわけです。それなら自分には声を上げる責任があるだろう。そう感じるわけです。

象徴的な例があります(これはまたカレッジスポーツになってしまいますが)。

数年前、ミズーリ大学では学生が学長の辞職を求めて抗議活動を行いました。大学構内で人種差別的な事件が多発したにも拘わらず、何の対処もしなかったからです。しかし、数か月に及ぶ抗議活動を受けても、学長は辞職を否定し続けました。

そこで、同大学のフットボールチームが動きました。練習・試合の不参加を表明したのです。するとどうでしょう。2日もしないうちに学長は辞職を発表したのです。

何か月にも渡る学生の抗議運動を意にも介さなかった学長が、フットボールチームが動いた途端すぐに辞職した。これがアスリートの影響力です。

Dr. Turickインタビュー⑤声を上げるアスリート

Q. ここまでスポーツにおける人種問題について話してもらいました。もう一つの観点として、スポーツを通した人種問題の解決というテーマがあると思いますが、その点についてはどう思いますか。

A. 現在アメリカでは人種差別に対する抗議活動が広がっていますが、そのなかで、アスリートが自分の影響力を認識し始めています。

たとえば、カイリン・ヒル選手(ミシシッピ州立大)は「ミシシッピ州が州旗を変えるまで、ミシシッピ州立大学では一切プレーしない」と宣言しました。

補足:ミシシッピ州は最近まで連合国旗を取り入れた州旗を使用していたが、今月、州旗の変更が可決された。

マーヴィン・ウィルソン選手(フロリダ州立大)は、同大学の「ドーク・キャンベル・スタジアム」の施設名変更を求める署名活動に参加しました。ドーク・キャンベルという人物に人種差別的な歴史があるという理由です。

チュバ・ハバード選手(オクラホマ州立大)は、同大学コーチのマイク・ガンディ氏が「OAN」のTシャツを着て撮った写真をSNSに投稿したとして「これは我慢できない。状況が変わらない限り、もうオクラホマ州立大には一切関わらない」と宣言しました。

OANはOne American Newsという極右メディアで、人種差別に対する抗議運動を「茶番」「テロ活動」などと批判していました。

ハバード選手のコメントは大きな反響を呼び、ガンディ氏は選手たちに謝罪しました。

上記の例は、言ってしまえば、すべて一大学生の言動です。それが各所に大きな影響を与えているのです。それはひとえに彼らがアスリートであり、彼らが多くの人の注目を集め、多くの人と特別なつながりを持っているからなのです。