NIL収益スポーツ別比較:女子バスケットボールが全体2位

Image Source: Opendorse

アメリカでは現在マーチ・マッドネスが佳境を迎えている。

女子の決勝は先ほど終了し、サウスカロライナ大が優勝を決めた。男子の決勝は明日行われる。

そんななか、女子バスケットボールに関する興味深い調査結果が報告された。

Opendorse社が2021年7月から2022年2月末までのNIL契約を追跡調査したところ、スポーツ別の収益比較で、女子バスケットボールが全体2位にランクインしたのである。

添付表にある通り、女子バスケットボールはNIL契約で発生した収益の18.5%を占めた。これは男子アメリカンフットボールに次ぐ数字である。

アメリカのカレッジスポーツでは、アメリカンフットボールとバスケットボールが二大スポーツで、バスケットボールに関してはマーチ・マッドネスがキラーコンテンツとして多くのスポンサー企業を惹きつけている。

マーチ・マッドネスというと男子バスケットボールのイメージが強いが、昨今は男子と女子をまとめた広告戦略が展開されており、女子バスケットボールへの注目度も年々増している。

また、男女平等の観点から女子学生アスリートを支援する企業も増えている。

以前、H&R Block社の事例を紹介したが、同社はその後も契約を増やしており、約20名の女子学生アスリートとエンドースメント契約を結んでいる。

なお、このOpendorse社の調査では他にも興味深い結果が報告されている。ご興味のある方は、同社HPをご覧ください。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-womens-basketball-college-nil-endorsement-opendorse-march-madness/
https://opendorse.com/nil-insights/

「A Fair Shot」:NIL分野における男女格差是正のための取り組み

H&R Block

今月1日、税務準備会社のH&R Blockは、女子バスケットボールの学生アスリート2名とエンドースメント契約を結んだことを明らかにした。

この契約は同社が立ち上げた「A Fair Shot」という新たな取り組みの一部として発表された。

この取り組みは、学生アスリートのNIL(名前、イメージ、肖像権)活用における男女間の格差を是正することを目的としている。

NCAAは最近規則を改訂し、学生アスリートに自らのNILを活用したビジネス(グッズ販売やエンドースメント契約など)を認めたが、H&R Blockの調査によれば、これまで学生アスリートがNIL活用によって得た報酬の67.4%が男子学生に支払われていたという。

女子学生アスリートの報酬を拡大するべく、「A Fair Shot」では、女子学生に対して総額100万ドル(約1億1500万円)のエンドースメント契約を結ぶ予定だ。

それに加えて、H&R Blockの専門である納税準備サービス(確定申告など)も契約を結んだ女子学生に提供するという。

同社のジェフ・ジョーンズ社長は「大学のNIL契約ですでに格差が広がっているのを見たとき、私たちは女子学生アスリートが公平にチャンスを得られるよう支援しなければならないと思いました」とコメント。

今回エンドースメント契約を結んだジア・クック(サウスカロライナ大)は「アスリートたちは、大学でスポーツをすることを考えるとき、財政やNILについて考え始める必要があります。H&R Blockが私に教えてくれたことは、私たちは自分たちを中小企業のように考え始める必要があるということです」と語った。

参考文献:
https://www.espn.com/womens-college-basketball/story/_/id/33399888/caitlin-clark-zia-cooke-headline-1-million-nil-initiative-targeting-inequities-women-college-athletes
https://www.hrblock.com/womens-equity-in-college-sports/

OneTeamとFanaticsが業務提携:「Compass」の機能拡大

2021年10月、カレッジスポーツ代理店大手のLearfieldが傘下に持つライセンシング会社Collegiate Licensing CompanyはOneTeam Partnersとの業務提携を発表した。

この業務提携の主な目的は、学生アスリートが自らの名前や肖像権を活用して収益を上げるために便利なプラットフォーム「Compass」を立ち上げることであった。

Compassは、学生アスリートが参加できるビジネス(トレーディングカード制作、ビデオゲーム制作、ユニフォーム販売等)を企業が提案した際に、それを学生アスリートに通知すると同時に、大学側にも学生アスリートが現在どのようなビジネス活動を行っているかを追跡する機能を提供している。

さらに、その数か月後の2022年2月、OneTeam PartnersはFanaticsとも業務提携を締結。

これに基づいて、Compassに登録した(自らの名前・肖像権の使用を許可した)学生アスリートのユニフォーム(選手の名前と背番号入り)は、Fanaticsが運営するウェブサイト・店舗で購入可能となった。

名前・背番号入りユニフォームの売上の一部は、その選手に還元されることになる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/oneteam-clc-nil-ncaa-licensing-platform-college-athletes-endorsements/
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-oneteam-ncaa-college-football-licensing-deal-nil-merchandise/

NCAAが新憲章を可決②ディビジョン1とNIL問題

前回お伝えした通り、新憲章によってNCAAの各ディビジョンは別々に運営されることとなった。

NIL問題(学生が自らの名前や肖像を活用して収益を得ること)に関しても、各ディビジョンにガイドライン作成が委ねられた。

ディビジョン2とディビジョン3ではスポーツは他の課外活動と同じように扱われる。学生アスリートが全国的な注目を浴びることも稀で、NILを通じて大きな収益を上げることもあまりないだろう。

しかし、ディビジョン1では状況が大きく異なる。すでに複数の学生がエンドースメント契約を結んでおり、なかには100万ドル(約1.1億円)近くの収益を上げている学生もいるという。

ディビジョン1は、体育局長や大学学長などによって構成される「改革委員会」を立ち上げ、今後6〜7カ月にわたって毎週ミーティングを開催することを決めた。

・所属する大学(350校)が平等に利益を受け、競技力が均衡するためにはどうするべきか。
・有望な選手が特定の大学に偏るような状況を防ぐためにはどうすればよいか。
・NILにはどのような制約が必要か。契約数や収入の上限は設けるべきか。
・NCAAのブランドを守るために禁止すべきことは何か(アルコールやギャンブル関係のエンドースメント契約は禁止すべきか)。

おそらくこういった内容についての協議を重ね、2022年8月をめどに新規則の内容を固めていくという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-new-constitution-emmert-college-sports-conferences/
https://bleacherreport.com/articles/2946352-the-biggest-and-most-notable-nil-deals-in-college-football-so-far

NCAAが新憲章を可決①独占的な役割縮小へ

1月20日、NCAAの新憲章が可決された。

これまでNCAAは、さまざまな規則を独占的に定める組織として大きな力を持っていたが、新憲章によってその役割が縮小されていくこととなった。

今後は各大学およびカンファレンスにより多くの権限が与えられる。

また、NCAAの各ディビジョン(ディビジョン1、ディビジョン2、ディビジョン3)はそれぞれが独自の規則を持ち、別々に運営されるようになる。これはNCAA運営において、大きな変更だ。

新憲章では、学生が大学から直接報酬を受け取ることは引き続き禁止されているが、学生が自らの名前、イメージ、そして肖像(いわゆる「NIL」)を活用して収益を上げることに関しては各大学の判断に委ねられることとなった。

NCAA会長のマーク・エマート氏は、今回の決定を「独立宣言」と称し、アメリカのカレッジスポーツにとって「大きな変化の瞬間」であると表現した。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-new-constitution-emmert-college-sports-conferences/

Big 12、4校の新規加盟校を承認

Photo Source: Texas Tech Athletics

カレッジスポーツ界の動きが慌ただしい。

7月29日、テキサス大とオクラホマ大がBig 12を脱退しSECに加入することが決定すると、その約1か月後、ACC、Big Ten、Pac-12が「歴史的な提携」を結んだ。

そして、先週10日、今度はBig 12が加盟校を追加する決定を下した。

今回Big 12への加入が明らかになったのは、シンシナティ大、ヒューストン大、セントラルフロリダ大、ブリガム・ヤング大(BYU)の4校。

Big 12は創設当時から人気を支えてきたテキサス大・オクラホマ大の脱退によって存続が危ぶまれていたが、委員会を設置し対策を講じ迅速な対応を取った。

Big 12コミッショナーのボブ・ボウルズビー氏によれば、BYUは2023-24年シーズンから、他の3校は2024年7月までには加盟が完了する予定だという。

なお、BYU以外の3校が現在所属しているアメリカン・アスレチック・カンファレンス(AAC)の規約では、脱退の条件として「27ヶ月前に通知すること」「1000万ドルの移籍金を支払うこと」を定めている。

これらを踏まえ、移籍の時期や移籍金の額などに関して、Big 12、AAC、各大学が最終調整を行うことになる。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story/_/id/32182361/big-12-votes-accept-adding-byu-cincinnati-houston-ucf-conference

Pac-12 Networks、学生アスリートに映像提供

Pac-12が運営するテレビ局Pac-12 Networksは、学生アスリートがビジネス目的で同局の映像を使用することを許可した。

今年7月にNCAAがNIL規則を変更したことを受け、現在、多くの企業が学生アスリートとの業務提携に興味を示している。

裏を返せば、学生アスリートが積極的に企業に働きかけて、ビジネス機会を広げることも可能である。

学生アスリートがそうした「営業活動」をするにあたって、テレビ局が撮影した自身の映像が自由に使えると便利だろう。

これがPac-12 Networksの立ち上げた新プログラムの背景である。

Pac-12 Networksは、全国ネットの放送局と6つの地方放送局、そして「Pac-12 Insider」を初めとする種々のネット放送局を運営しており、これらの局が保有しているすべての映像が今後自由にアクセスできるようになる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/pac-12-networks-nil-college-athlete-licensing-programme
https://pac-12.com/article/2021/08/30/pac-12-networks-announces-launch-new-nil-licensing-program-partnership-veritone

ACC、Big Ten、Pac-12が「歴史的な提携」

先日テキサス大とオクラホマ大のSEC加入を解説したが、カレッジスポーツ界に新たな動きがあった。

カレッジスポーツ有数の人気カンファレンスであるACC、Big Ten、そしてPac-12が「歴史的な提携」を結んだことを発表したのだ。

具体的には、カンファレンスの壁を越えた交流戦の導入やポストシーズンのフォーマットなどについて言及。他にも、学生アスリートの学業サポート、男女平等、多様性などの分野での協力を確認した。

ただしこれは3カンファレンスの将来的な統合を示唆するものではない。

それぞれのカンファレンスが存続しつつ、様々な分野で密接に協力していくという合意である。

3カンファレンスには全41校が所属するが、そのなかにはクレムゾン大(ACC)、オハイオ州立大(Big Ten)、オレゴン大(Pac-12)などのアメフト名門校が多数含まれる。

それらがレギュラーシーズンで戦うとなれば、チケット、放映権、そしてスポンサーシップといった分野での収入増が期待できる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/acc-big-ten-pac-12-ncaa-conference-alliance-college-sports

ブレーブス、学生アスリートと業務提携

ATLANTA, GEORGIA – MARCH 26: A general view of The Battery Atlanta connected to Truist Park, home of the Atlanta Braves, on March 26, 2020 in Atlanta, Georgia. Major League Baseball has postponed the start of its season indefinitely due to the coronavirus (COVID-19) outbreak. (Photo by Kevin C. Cox/Getty Images)

アトランタ・ブレーブスは、レイチェル・バウマン(ジョージア大学、体操部)とジョーダン・イェーツ(ジョージア工科大学、アメフト部)と業務提携を結んだ。

今後、両選手は、ブレーブスの試合を観戦する様子をSNSに投稿する等の広報活動を行う。

先月7日にNCAAがNIL規則を変更し、学生アスリートのエンドースメント契約が解禁されると、ブレーブスはInstagramで学生アスリートに提携を呼びかけた。

応募条件は、地元の大学に通う学生アスリートであること、ブレーブスのファンであること、そしてSNSをよく使っていること。

この投稿には2000件以上のコメントが寄せられ、約500人の応募者の中から最終的にバウマン選手とイェーツ選手が選ばれた。

MLBチームがこのような契約を学生アスリートと結ぶのはこれが初。

今月初めには、フロリダ・パンサーズ(NHL)が、マイアミ大学アメフト部のデリック・キング選手との業務提携を発表している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/atlanta-braves-mlb-ncaa-nil-deals-rachel-baumann-jordan-yates-georgia-tech

ノートルダム大学が開幕戦をPeacockで独占放送:加速するストリーミングの流れ

Getty Images

カレッジフットボールの人気校ノートルダム大学が、9月11日に行われるホーム開幕戦をNBC UniversalのストリーミングサービスであるPeacockで独占放送することを発表した。

ノートルダム大の試合がテレビではなくストリーミングで独占放送されるのはこれが初めてである。

コードカッティングが進むアメリカの放送局にとって、ストリーミングサービスのコンテンツ拡充と会員獲得は喫緊の課題である。

NBCもその例外ではなく、同社は近年傘下のテレビ局をいくつも閉鎖し、Peacockに注力している

NBCは、8日に閉幕した東京オリンピックでも、一部の競技をPeacockで独占的に放送した。

ストリーミングに注力しているのは放送局だけではない。大学側も独自のプラットフォームを開設し始めている。

ノートルダム大も、今年3月に独自のストリーミングサービス「Fighting Irish TV」を開始し、独自の動画コンテンツを提供している。

今年の開幕戦はPeacockで独占的に放送されるが、これがきっかけとなり、ファンの間にストリーミングがより浸透すれば、Fighting Irish TVの登録者数の増加に繋がるかもしれない。

今回の決定にはそういった思惑もある。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/notre-dame-football-toledo-streaming-nbc-peacock