NIL問題と最高裁の判断④

2020年12月16日、連邦最高裁判所は「アルストン訴訟」を審議することを発表した。

最高裁がカレッジスポーツの反トラスト法に関する訴訟を扱うのは1984年以来となる。

この訴訟自体はNIL問題とは関係ないが、最高裁の判決がNIL問題に及ぼす影響も否定できない。

専門家のベアード・フォゲル氏は「最高裁の判決はアマチュアスポーツに大きな影響を及ぼすでしょう。NCAAと各大学のビジネスモデル全体にもインパクトがあるはずです」は言う。

ボイシ州立大学のサム・エーリック教授は、もしNCAAの主張が認められればここまで進展してきたNIL規則改定が振り出しに戻る可能性が出ると話す。

注目の判決は今年6月に下される。

参考文献:
https://www.washingtonpost.com/politics/courts_law/supreme-courtncaa/2020/12/16/90f20dbc-3fa9-11eb-8db8-395dedaaa036_story.html
https://www.washingtonpost.com/sports/2020/12/31/ncaa-supreme-court-compensation/
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2021/02/08/Law-and-Politics/NCAA-Supreme-Court.aspx

EA Sports、カレッジフットボールのゲーム制作を再開

今週火曜日、大手ゲーム制作会社のEA Sportsは、2013年を最後に制作を休止していたカレッジフットボールのゲーム制作を再開することを明らかにした。

カレッジフットボールはEA Sportsが制作するゲームのなかでも人気の高いコンテンツであったが、2013年にNCAAおよび複数のカンファレンスがライセンス契約の更新を断り、ゲーム制作が止まっていた。

それらの団体が今回改めてEA Sportsとライセンス契約を結ぶ目途が立ち、カンファレンスの名前やロゴが使用可能になったことで、ゲーム制作が再始動した。

テレビゲームといえば、以前EA Sportsは学生アスリートの名前・肖像権を使用していたことで訴訟の対象となったが、新作ゲームには実在する学生アスリートは使用されない予定である。

一方で、NCAAは近く学生アスリートの名前・肖像権に関する規則を変更する予定である。

学生アスリートがゲーム会社と契約を結び収入を得ることが認められれば、EA Sportsが制作するカレッジフットボールゲームに実際の選手の名前や顔が登場することもあり得る。

なお、発売日などの詳細は一切未定である。

参考文献:
https://www.espn.com/college-football/story//id/30821045/school-plan-ea-sports-do-college-football https://www.espn.com/college-football/story//id/30820886/everything-need-know-return-ea-sports-college-football-video-game

SEC、ESPNと放映権契約

Jason Getz/USA TODAY Sports

カレッジスポーツで最も人気の高いカンファレンスの一つであるSoutheastern Conference (SEC)がESPNと放映権契約を結んだことが明らかになった。

ニューヨークタイムズの報道によれば、契約内容は10年総額30億ドル(約3120億円)。

単純計算で毎年3億ドル(約312億円)をSECは受け取ることになる。

これは現在放映権を保有しているCBSが払っている放映権料(毎年5500万ドル)の5倍以上である。

この契約によって、SECの放映権はすべてESPNの親会社であるディズニーが所有することになる。

そしてディズニーはSECの人気コンテンツを、ESPNだけでなく傘下に収める他のメディア(ABC、ESPN+)も使って放送していくという。

SECは1996年以来、長きに渡ってCBSと放映権契約を結んできたが、2023年の契約終了をもってこの関係に終止符を打つことになる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/sec-espn-abc-football-tv-rights-cbs

ジョージア工科大学、Legendsと業務提携

Photo Credit: Rob Felt

ジョージア工科大学体育局は、代理店のLegendsと業務提携を結んだことを発表した。報道によれば、契約は11年間で契約金は明らかになっていない。

今後Legendsは、放映権、チケット販売、寄付金管理、ホスピタリティ、顧客データ管理、そしてeコマースなど、ジョージア工科大学体育局のあらゆる収入源を一括管理することになる。

体育局長のトッド・スタンズバリー氏によれば、Legendsのシステムを活用することで、総額4億ドル(約400億円)の収入を生むことが期待できるという。

カレッジスポーツの代理店としては、Learfield IMG Collegeが業界最大手として大多数の人気校と契約を結んでいる

ジョージア工科大学も、今回の契約を結ぶまではLearfield IMG Collegeと契約していたが、今回その関係を解消することになった。

一方Legendsは、ジョージア工科大学以外にも、ノートルダム大学やサンディエゴ州立大学と(そしてプロスポーツではニューヨーク・ヤンキースやダラス・カウボーイズなどと)契約を結んでいる。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/georgia-tech-yellow-jackets-legends-multimedia-rights-ticketing-ecommerce

アンダーアーマー、シンシナティ大学との契約を破棄

Getty Images

アンダーアーマーがシンシナティ大学と結んでいた10年総額5000万ドル(約52億円)のスポンサー契約を破棄することが明らかになった。

この契約は2015年に締結されたもので、アンダーアーマーはシンシナティ大学に毎年100万ドルのスポンサー料と300万ドル相当の用具を提供することになっていた。

近年アンダーアーマーの財務状態は厳しく、様々なコストカットを試みている。

たとえば、今年6月にはUCLAとのスポンサー契約も破棄し、これに対してはUCLAが訴訟を起こしている

Baltimore Business Journalによれば、アンダーアーマーとシンシナティ大学は契約破棄に関して対立はしておらず、元々の契約に含まれていた契約破棄に関する合意に従うことになるという。

具体的には、「2021年末まで365万ドル相当の用具を提供し続ける」、「解約手数料として975万ドルを2022年4月まで支払うこと」という2点がアンダーアーマーに義務づけられるという。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/under-armour-university-of-cincinnati-college-sport-sponsorship

マーチ・マッドネス、全試合をインディアナポリスで開催か

GETTY IMAGES

NCAAが男子バスケットボールの全米トーナメント(通称「マーチ・マッドネス」)の全試合をインディアナポリスで開催することを検討していることが明らかになった。

当初の予定では全米13都市で試合を行う予定だったが、コロナウイルス感染防止のために全試合を一か所で開催する可能性が出てきた。

試合会場、練習場、宿泊施設、医療施設などをすべて一か所に集めることになるが、これはNBAがすでに前例をつくっている。

また、試合日程には変更がないので、試合中継(および放映権契約)にも深刻な影響はないだろう。

しかし、マーチ・マッドネスならではの問題もある。

たとえば、プロスポーツと違い、カレッジスポーツは選手が学生であり、授業に出席する必要がある。

現在はオンライン授業も多く提供されているが、1月から始まる新学期では対面授業を再開する大学も多い。

例年であれば、試合の合間に少しでも大学に戻って授業に参加できたが、宿泊施設から自由に出られなくなれば、トーナメント中すべての授業を欠席することになる。

学業との両立を謳っているNCAAとしては頭を悩ませるところだろう。

しかし、昨年マーチ・マッドネスを中止にしたことで莫大な損失を被ったNCAAとしては、2年連続の中止は避けたいところ。

最終的にどのような形での開催になるのか、注目である。

ちなみに、レギュラーシーズンは来週開幕する予定である。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ncaa-march-madness-2021-indianapolis-host-college-basketball-covid-19

学生アスリートの肖像権ビジネス、契約管理、そして新会社

以前の投稿で解説した通り、NCAAは学生アスリートが自らの名前や肖像権(俗にNILと呼ぶ)を活用して収益を上げることを許可した。

禁止事項を含む細かなNIL規約はNCAAが現在作成しているが、正式に解禁された暁には、各大学に何かしらの報告義務が生まれる。

つまり「A選手がB社と〇年××ドルのエンドースメント契約を結びました」といった報告が大学側からNCAAにされるということである。

仮に大学が報告を怠ればそれは罰則の対象となりかねない。しかし、全学生アスリートの契約管理は骨が折れる作業になる。

そこでUber幹部のライル・アダムス氏は、今年4月Spryという企業を立ち上げ、学生アスリートの契約を簡単に管理できるシステムを開発した。

このシステムは、各学生の契約を整理するだけでなく、NCAAの規則違反が疑われる契約を特定したり、契約内容がアスリートの価値に見合っているかを判定したり、確定申告に役立つ情報を提供したりもできるという。

アメリカには約46万人の学生アスリートがおり、アダム氏はその50~60%がなんらかのビジネス契約を結ぶだろうと予測している。これは大きなビジネスチャンスである。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/10/12/Colleges/Spry.aspx

Big TenとPac-12、アメフトシーズン開幕へ

Getty Images

Big TenとPac-12は、カレッジスポーツのなかでもアメリカンフットボールの人気が特に高い5つのカンファレンス、通称「パワー・ファイブ」に数えられる。

パワー・ファイブに属する他の3カンファレンス(ACC、Big 12、SEC)は予定通りに2020年シーズンを開始したが、Big TenとPac-12はコロナウイルスの影響で2020年シーズンを中止すると発表していた。

しかし今月16日、Big Tenはこの決定を覆し、2020年シーズンを開幕すると発表した。さらにその8日後、Pac-12も同様の決断を下した。

この決定に関してPac-12は、コロナウイルスの検査体制が改善したこと、感染状況が変わったこと、州や郡のガイドラインが変更されたことなどが影響したと説明した。

一方で、経済的な要因も大きい。

ワシントン大学が行った調査によれば、パワー・ファイブに属するカンファレンスがアメリカンフットボールのシーズンを中止した場合に起こる経済的損失(放映権収入、チケット収入、寄付金等の合計)は40億ドル(約4200億円)に上るという。

ちなみに、かねてよりBig TenとPac-12にシーズン開幕を要求していたトランプ大統領は、Pac-12の発表後すぐに「どういたしまして」とツイートした。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/pac-12-conference-college-football-season-big-ten

Fanatics、Vetta Brandsを買収

Photo By Steve Gooch, The Oklahoman

Fanaticsは、スポーツアパレル会社のVetta Brandsを買収した。

Vetta Brandsは、カレッジスポーツのキャップ製造大手であるTop of the Worldの親会社である。

この買収によって、Fanaticsは、Vetta Brandsが持つアパレル(特にキャップ)製造技術・施設と600を超える大学のライセンス(グッズを製作する権利)を手に入れることになる。

一方で、Top of the Worldはコロナウイルスの影響で8月から施設の稼働を止めており、200人の従業員を解雇していた。今回の買収によって、負債を返済しグッズ生産を再開することができる。

今回の買収は両社にとってメリットがあるものと言えるだろう。

Top of the Worldはオクラホマ州に巨大な倉庫を保持しており、ここが今後Fanaticsのキャップビジネスの拠点となるという。

コロナ禍にあってもFanaticsの勢いは衰えを知らない。

同社のネット販売の取引は今年に入ってから30%増加し、先月には3億5000万ドル分の資金を新たに調達している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-vetta-brands-assets-top-of-the-world-headwear-college-sports
https://www.sportspromedia.com/news/fanatics-valuation-funding-round-merchandise-nfl-mlb

UCLA、アンダーアーマーを提訴

Daily Bruin

UCLAは、スポンサー契約を一方的に破棄したとしてアンダーアーマーを提訴した。

問題となっている契約は2016年に締結されたもので、15年総額2億8000ドル(約300億円)。これは当時アメリカのカレッジスポーツの歴史で最大のスポンサー契約であった。

しかし今年6月、アンダーアーマーは契約の破棄を通知。

コロナウイルスの影響で、多くのカレッジスポーツイベントが中止になり、約束されていたベネフィットが得られないことが理由だと説明した。

これに対してUCLAのマリー・オサコ氏は「アンダーアーマーが、2016年に結んだ契約から逃れるために世界的なパンデミックを利用していることを残念に思う。契約には予定通りに試合を行う義務などは記されておらず、UCLA側は責任を果たしている」と反論。

さらに、アンダーアーマーが契約を破棄した本当の理由は、同社に支払い能力がないからだと主張した。

実は、アンダーアーマーがスポンサー契約を破棄するのはこれが初めてではない。2016年にMLBと10年のスポンサー契約を結んだが、2020年の開始前に契約を破棄している。

今回の訴訟で、UCLAはアンダーアーマーに対し、2億ドルの支払いを要求している。

参考文献:
https://www.sportspromedia.com/news/ucla-under-armour-contract-termination-lawsuit
https://bleacherreport.com/articles/2897938-under-armour-reportedly-trying-to-terminate-record-280m-contract-with-ucla