ドジャース、ベンチャー企業に投資

2018年1月、ロサンゼルス・ドジャースは同チームが運営する投資プログラム「Dodgers Accelerator」の拡大を発表した。

Dodgers Acceleratorは、2015年にドジャースが広告代理店のR/GA社と共同で立ち上げたプログラムで、その内容は、スポーツ・エンターテインメント関連のベンチャー企業に活動資金を投資するというものである(12万ドルを投資し、6%ほどの株主資本を得る)。

このプログラムはこれまで15のベンチャー企業を支援し、アメリカのスポーツ界で最も成功を収めた投資プログラムの一つとなった。

今回ドジャースは、このプログラムの名称を「Global Sports Venture Studio」に改め、その内容を大幅に変更すると発表した。

まず、8月から11月までの期間限定であったプログラムを、年間を通じて運営するものにする。そして投資対象も拡大し、よりグローバルなプログラムにする。

この変更に伴い、同プログラムはドジャースの本拠地であるロサンゼルスだけでなく、ニューヨーク、ロンドンにもオフィスを構え、投資先を探す方針であるという。

このプログラムを通してドジャースは投資家としての利益(投資先のベンチャー企業が成功を収めれば、保有する株主資本の価値も上がる)を得る一方、同チームのビジネスに応用できそうな新技術に関する情報をいち早く得ることもできる。

参考文献:
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/01/08/Franchises/Dodgers.aspx
https://www.globalsportsventurestudio.com/
https://www.mlb.com/dodgers/news/dodgers-accelerator-program-hosts-demo-day/c-157045580

カブス、ゴルフ大会を主催

シカゴ・カブスは、2020年3月、PGA Tour Championsの大会を主催する。

開催地はカブスを含むMLB15球団が春季キャンプを行うアリゾナ。開催期間は春季キャンプの真っ最中だ。大会はプロ・アマ戦で、現役のプロゴルファーと引退したMLB選手が参加する予定。

今回の大会では、春季キャンプを見に来る野球ファンとゴルフを見に来るゴルフファンを同時に引き付けることで、両スポーツのファンベース拡大を狙う。

Marquee Sports & EntertainmentのAndy Blackburn氏は「ゴルフと野球、両スポーツのレジェンドをそれぞれのファンに披露するまたとない機会になる」と意気込む。

大会の運営はWestern Golf Associationが担当し、スポンサーシップ営業や広報などはカブス側が行う。また、大会に参加する元MLB選手の手配などはMLB選手会が協力する。MLB選手会のTim Slavin氏は「選手会にとって、選手とファンの距離を縮めることは非常に重要。それに加えこの大会はチャリティーという側面もある。とても説得力のあるアイデアでした」と語る。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/29/Events-and-Attractions/Cubs-golf-event.aspx

スポンサーとしての病院

ここ数年アメリカでは、医療機関がスポーツチームのスポンサーになるケースが増えている。

たとえば、スポーティング・カンザスシティは、Children’s Mercy Hospitalという小児科医院とスポンサーシップ契約を結んでおり、同医院はスタジアムのネーミングライツを保有している。

Professional Sports PartnersのJason Kohll氏は「『病院』というスポンサーカテゴリーは今注目を集めている。病院はスポーツチームとの関係をうまく活用できるからだ」と話す。

では、具体的にどのように「うまく活用」しているのだろか。

前出のChildren’s Mercy Hospitalは、スポーティング・カンザスシティが持つトレーニングセンター敷地内に自前のスポーツ医療センターを設置した。高圧酸素治療室や治療用プールなどを駆使して、選手の体のケアやトレーニングのサポートをしている。

この施設が画期的なのは、そのサービスをトップアスリートだけでなく、地元住民にも提供している点である。地元の少年アメフトチームやサッカー部の選手などがケガをした際に、この施設で治療を受けることができる。トップアスリートが使う最新医療器具を使い、場合によってはトップアスリートの横でリハビリを行うこともある。

このサービスを提供することで、Children’s Mercy Hospitalは地元住民の間に広く認知され愛される病院になることを目指しているのである。

一方でスポーティング・カンザスシティは、このサービスを通して、地域密着をアピールする狙いがある。スタジアム建設のために何千万ドルという公的資金が使用されるアメリカでは、地元住民からの支持は極めて重要である。

ダラス・カウボーイズやミネソタ・ティンバーウルブズも医療機関と提携し同様のサービスを地元住民に提供している。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/06/25/Facilities/Omaha.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/06/18/Facilities/Medicine.aspx

ロボットシェフ

カリフォルニアのベンチャー企業Miso Roboticsは、スタジアムのコンセッションで働くロボットを開発している。同社が開発したFlippyというロボットは、鉄板のバーガーをひっくり返したり、焼きあがったものをパンの上に乗せたりすることができる。

AI技術に基づき開発されたFlippyは、内蔵されたカメラで撮影された映像を分析することで自らの経験から学習することまでできる。バーガーの厚みや鉄板の温度が変わっても、バーガーをひっくり返すタイミングを逃さない。

Flippyは、2018年にロサンゼルス・ドジャースが本拠地のドジャースタジアムに取り入れた。ドジャースタジアムは、MLBの球場の中でも最も座席数が多く(56,000人収容)、チームもリーグ屈指の人気であるため、コンセッションはとても忙しい。しかし、Flippyは疲れることなくバーガーを作り続けるので、素早く一貫したクオリティで商品を提供できる。また、こういった単純作業は従業員のけがにつながるケースが多く、そのリスクを抑える効果もある。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/03/05/Technology/Robots.aspx
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/11/05/Facilities/Dodgers.aspx

スタジアムの問題即解決

サンフランシスコ・フォーティナイナーズは、ソフトウェア会社のSAPと提携し、本拠地のリーバイス・スタジアムに新たなデータ分析システムを導入した。

このシステムは、スタジアムの入口、コンセッション、グッズショップ、駐車場で起こっている出来事をリアルタイムで記録・分析し、問題を特定する。このシステム導入によって、チームは現場で起きている問題にいち早く対応することができる。

たとえば、トイレの不具合を観客が指摘した場合、分析センターに情報が届き、スタッフが即座に問題解決にあたる。また、駐車場の空きスペースに偏りが出てきた際には、空きスペースの多いエリアに顧客を誘導することもできる。

これまでは、コンセッションに長蛇の列ができても、トイレに不具合があっても、それを即座に解決することはできなかった。観客のクレームも現場のスタッフに伝えられるだけで、その多くは「後日解決するもの」、「次回への反省」という形で保留されることがほとんどであった。

しかし、フォーティナイナーズは、ゲーム中に起こった問題を即座に解決することが観戦価値に貢献すると信じ、5年をかけてこのシステムを構築した。
「あらゆる問題は、その大小にかかわらず、観客にとって重要なものであり、解決しなくてはなりません。これまで我々は即座に対応することができませんでした。我々はチャンスを逃していたんです」と同チームのMoon Javaid氏は言う。

なお、システムをデザインしたSAP社は今後、同様のシステムをアミューズメントパークなどに導入することを検討しているという。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/22/Franchises/49ers-SAP.aspx

選挙とスポーツ

2018年11月6日、アメリカでは、中間選挙が行われた。この選挙のために多くの候補者が様々なキャンペーンを展開してきたが、その何人かはスポーツ中継を宣伝の場として活用した。

Sports Business Journalが行った調査によれば、ノースダコタ州、フロリダ州、そしてテキサス州の3州の選挙戦で、計270万ドルもの選挙資金がスポーツ中継のCMスポット購入のために使われた。

フロリダ州とテキサス州は今回の選挙で特に注目された2州で、どちらも2年前の大統領選では共和党が勝利したが、今回は民主党が健闘すると予想されていた。

この動きに対抗するため、保守派のリック・スコット氏は、自身の選挙資金の2/3以上を使いスポーツ中継中に選挙CMを流した。特にNFL中継のCMのためには、75.5万ドルを費やしたと伝えられている。民主党側が使った22.4万ドルと比べると、3倍以上である。

テキサス州の選挙戦でもNFL中継のCMスポットは人気で、共和党候補のテッド・クルーズ氏が44.5万ドルを使った(対する民主党候補のベト・オルーク氏は24.7万ドル)。

このように、スポーツ中継の中でもNFLが人気であること、そして共和党のほうが積極的であることがわかる。NFLのファンは圧倒的に白人が多く、その中には愛国心の強い退役軍人が多く含まれている。そのため、NFLファンと共和党の支持基盤が重なるケースが多く、候補者の宣伝に効果的だと考えられる。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/29/Law-and-Politics/Ad-spending.aspx

バーチャル・マラソン

2018年11月4日、世界最大のマラソン大会であるニューヨークシティ・マラソンが開催された。同大会には、毎回5万人を超えるランナーが参加するが、抽選漏れで参加できないランナーも1万人以上存在するという。主催者からすれば、1万人以上の登録費をみすみす逃していることになる。

この抽選漏れしたランナーをいかに取り込むか。これが同大会を主催するNew York Road Runners(NYRR)の長年の課題であった。

そこでNYRRは今回、抽選漏れしたランナーを対象に「バーチャル・マラソン」なるイベントを実施した。これは、ランナーがフルマラソンを走り、その記録をStravaというアプリ上で申告するという、いたってシンプルなものである。11月1日から4日の間ならば、どの時間帯でも、世界のどこからでも、バーチャル・マラソンに参加できる。

バーチャル・マラソンの参加者は、いわば「勝手に」走るだけなので、沿道の歓声や町の雰囲気、セントラル・パークでゴールテープを切ったときの達成感など本大会で得られるような経験は得られない。しかしNYRRのMichael Capiraso氏は、マラソンランナーにとって最も重要なのは、自分の記録について語ることであり、バーチャル・マラソンはその機会を提供すると言う。

今回のニューヨークシティ・マラソンでは試験的に導入され、500人のランナーがバーチャル・マラソンに参加した。通常のレース参加費は255ドルであるが、バーチャル・マラソンの参加費は100ドルである。今回は、一定数のランナーを確保するために、バーチャル・マラソンの完走者には2019年のニューヨークシティ・マラソンの参加権が与えられた。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/29/Events-and-Attractions/NYRR.aspx

Sports Studio

テレビ局がスポーツチームのドラマを撮影したいとき、あるいは、企業がスポーツチームのユニフォームをCMに使いたいとき、Sports Studio社に問い合わせることになる。

NFL、NBA、MLB、MLSといったリーグのパートナーであるSports Studio社は、様々な時代の様々なチームのユニフォームを製作・保管しており、撮影用に貸し出している。

Sports Studio社は、もともとカリフォルニア州ハリウッドに店を構えるスポーツ用品店であったが、サイドビジネスとして映画の撮影用にユニフォームを製作するようになり、80年代半ばにはユニフォームの貸し出しだけをするようになった。

80年代にヒットした「がんばれ!ベアーズ」、「ノース・ダラス40」といったスポーツ映画に出てくるユニフォームは同社が製作したものである。

現在NBCで放送されている人気ドラマシリーズ「This Is Us」にも、昔のユニフォームが登場する。1972年のNFLプレーオフで、ピッツバーグ・スティーラーズのフランコ・ハリスが見せたキャッチは、「Immaculate Reception(完璧なキャッチ)」と呼ばれ、NFL史上最も有名なプレーの1つである。

このプレーはその時代を象徴するとして「This Is Us」のあるエピソードで描かれているのだが、そのシーンを撮影するために当時のスティーラーズのユニフォームが必要であった。そして、それを可能にしたのがSports Studio社であった。「This Is Us」プロデューサーのJess Rosenthal氏は「当時をリアルに描くには、本物に近いものを使わなくてはいけない。その思いを共有する会社があることは非常にありがたい」と話す。

参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/10/08/Media/Sports-Studio.aspx

大記録に挑むオンラインゲーム

MLB Advacned Media制作の「Beat the Streak」は、1941年にヤンキースのジョー・ディマジオが打ち立てた不滅の大記録「56試合連続ヒット」に挑むオンラインゲームである。

ルールはいたって簡単。参加者は、MLB30球団の現役選手の中から、その日の試合でヒットを打ちそうな選手を1人選ぶ。もしその選手が、その日の試合で実際にヒットを打てば、1試合クリア。また次の日、選手を1人選び(前日と同じ選手でも可)、その選手がその日の試合でヒットを打てば、2試合クリア。これを繰り返し、57試合連続ヒットを達成できれば、ゲームクリアである。

このゲーム、プレーするのは無料だが、見事57試合連続ヒットをクリアすれば、なんと賞金560万ドルを獲得できる。

このゲームが登場してからこれまで17年が経過し、400万人以上がこのゲームに挑戦したが、達成者はいまだはゼロ。最長記録は、Robert Mosleyさんが2017年に記録した51試合である。

ルールが簡単で、登録費もゼロ、さらに成功すれば大金が手に入るため、MLBファンだけでなく、様々な人々の興味を引く。もともと野球に興味のなかった人も、連続ヒットを積み重ねていくうちに、MLB選手のことを学び、自分の選んだ選手を応援するようになる。そして自分の連続ヒットが途切れた時には、ジョー・ディマジオという大打者の偉大さを実感する。間口が広く、奥の深いゲームである。

参考文献:
https://www.mlb.com/news/beat-the-streak-leader-to-record-51-games/c-229995626
http://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2016/05/16/Leagues-and-Governing-Bodies/MLBAM-beat-the-streak.aspx

USLのグッズビジネス

アメリカサッカー二部リーグのUnited Soccer League(USL)は収益拡大とブランディング戦略の一環として、リーグ主導のグッズ制作・販売を始める。

これまでUSLでは、各クラブが独自にグッズビジネスを展開してきた。しかし、人材や予算の限られているUSLでは、ユニフォームやTシャツ、帽子といった基本的なグッズが、試合のときにのみ販売されるというケースが多かった。

USL社長のJake Edwards氏は「今回始めるリーグ主導のグッズビジネスでは、空港、スーパー、オンラインといったところまでグッズの流通を拡大します。また、各クラブと協同し、グッズの改良にも取り組みます。すごい可能性が広がっているはずです」と語る。

USLは早速、一部リーグのMLSのライセンシングパートナーであるThe Crystal Agencyと提携し、Select社とレプリカボール・ミニボールに関するライセンシング契約を結んだ。

USLは33クラブで構成されるが、そのうち14クラブが独立したクラブで、残りの19クラブはMLSクラブの下部クラブという位置づけである。今回のグッズビジネスに参加するのは14の独立クラブのみである。

参考文献:https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2018/09/10/Leagues-and-Governing-Bodies/USL.aspx