
今年6月、NFLはコロナウイルス感染予防のためにスタジアムの前列6~8列を空席にすること、そして空席となった座席をスポンサーシップに活用することを許可した。
各チームは9月のシーズン開幕に間に合わせるため、急ピッチでスポンサー営業を行った。関係者によれば、100万ドル(約1億円)以上を要求するチームもあったが、ほとんどは10~50万ドル(約1050万~5250万円)ほどで販売されたという。
このスポンサーシップは各チームに新たな収入源をもたらしたが、シーズン開幕後に寄せられたのは、スポンサーからのネガティブな反応であった。
その理由はいたってシンプルで「ロゴが見えない」というもの。
たとえば、Source Communications会長のラリー・ロステイン氏は「非常にがっかりしました」と言う。「何も見えないんです。試合後にはすぐチームに連絡して『話がある』と伝えました」
しかし、実際のところ、NFLにも各チームにも試合中継の方法(カメラアングルなど)を変更する権限はない。それは放送局が決定することである。
そして放送局の最優先事項は、チームのスポンサーを満足させることではなく、質の高いエンターテインメントを提供することである。
空席だらけのスタジアムを映すことは試合中継の質を下げかねない。結果として、なるべくフィールドだけを映すようなアングルが使われるのである。
放送局の協力が得られない場合、各チームは他の解決策を見つけ出さなくてはならない。
たとえば、ユニークなキャッチコピーや拡張現実(Augmented Reality)の要素を取り入れることで注目を引くことが考えられる。