Q. ここまでスポーツにおける人種問題について話してもらいました。もう一つの観点として、スポーツを通した人種問題の解決というテーマがあると思いますが、その点についてはどう思いますか。
A. 現在アメリカでは人種差別に対する抗議活動が広がっていますが、そのなかで、アスリートが自分の影響力を認識し始めています。
たとえば、カイリン・ヒル選手(ミシシッピ州立大)は「ミシシッピ州が州旗を変えるまで、ミシシッピ州立大学では一切プレーしない」と宣言しました。
補足:ミシシッピ州は最近まで連合国旗を取り入れた州旗を使用していたが、今月、州旗の変更が可決された。
マーヴィン・ウィルソン選手(フロリダ州立大)は、同大学の「ドーク・キャンベル・スタジアム」の施設名変更を求める署名活動に参加しました。ドーク・キャンベルという人物に人種差別的な歴史があるという理由です。
チュバ・ハバード選手(オクラホマ州立大)は、同大学コーチのマイク・ガンディ氏が「OAN」のTシャツを着て撮った写真をSNSに投稿したとして「これは我慢できない。状況が変わらない限り、もうオクラホマ州立大には一切関わらない」と宣言しました。

OANはOne American Newsという極右メディアで、人種差別に対する抗議運動を「茶番」「テロ活動」などと批判していました。
ハバード選手のコメントは大きな反響を呼び、ガンディ氏は選手たちに謝罪しました。
上記の例は、言ってしまえば、すべて一大学生の言動です。それが各所に大きな影響を与えているのです。それはひとえに彼らがアスリートであり、彼らが多くの人の注目を集め、多くの人と特別なつながりを持っているからなのです。