
テニスは、スポーツ業界のなかでも色々な面で特殊である。そして、その特殊性ゆえに、コロナウイルスの影響も他のスポーツ組織とは異なる。
たとえば、テニス界には主要団体が3つあり(ATP、WTA、ITF)、それぞれが独自に大会を運営している。加えて、全仏オープンや全米オープンなどは独自の主催者がいる。
その結果、大会によってコロナウイルスへの対処法が異なり、関係者に混乱をもたらしている。
また、NBAやMLBは試合中止に備えて保険に加入しているが、ATPなどのテニス団体は、大会中止用の保険に加入していないことが多い。
その結果、損失の埋め合わせができず、経済的な影響が大きくなってしまっている。
選手にも特異な点がある。
まず、テニス選手は大会に合わせて世界中から集まるため、運営側は選手の管理が難しい。選手によっては入国制限がかかっている場合もある。そういった問題を個別に対応していくのは手間がかかる。
また、巨額のエンドースメント契約を結んでいるトップ選手を除けば、ほとんどの選手は大会賞金を主な収入源としている。そういった選手にとって、試合中止は収入ゼロを意味する。
チームと雇用契約を結び、固定給をもらうNBAやMLBの選手とは、試合中止の意味合いが異なるのである。