従来のスポーツ放映権ビジネスのモデルをAmazonに当てはめようとすると理解できないことが多い。
たとえば、2018年にAmazonがプレミアリーグの試合を中継した際は、プライム会員限定であった。
一方で、NFLの試合を中継する際には、Amazonプライムだけでなく、Twitch(Amazonが保有するもう一つのネット中継プラットフォーム。主にeスポーツの中継に使われる)、そして2つのテレビ局(FoxとNFL Network)が同時に中継している。
果たして、Amazonはスポーツ放映権を独占したいのか、それとも共有したいのか。
「皆さんを混乱させてしまっているようですね」
そう言うのは、Amazonでスポーツ中継を担当するマリー・ドノヒュー氏。
「我々は、他のどのネット中継業者とも違います。放映権を何でもかんでも買おうという方針ではありません」
「Amazonプライムは会員制サービスです。会員になることで特典がもらえる。『スポーツ中継が見られる』というのも特典の一つなのです」
つまり、Amazonはスポーツ中継を通して収益を上げようとしているわけでも、マーケットシェアを競っているわけでもないのだ。
いくら人気の高いスポーツコンテンツであっても、プライム会員にとって魅力的な特典とならなければ手を出さない。それが意思決定の基準なのである。
この観点から、Amazonが結んだ契約(NFLやプレミアリーグなど)と見送った契約(PGA Tourなど)を分析してみると、ユニークな知見が得られるかもしれない。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2020/02/24/Media/Sports-media.aspx