NFLのプレーオフが佳境を迎えている。
先週末にカンファレンス・チャンピオンシップが行われ、あとは2月2日に開催されるスーパーボウルを残すのみとなった。
そんななか、先週の試合中継で流れたあるCMが話題となっている。
それは、2015年にフロリダ州で起こった、警察官による黒人男性射殺事件に関する映像である。
事件で犠牲となったコーリー・ジョーンズさんのいとこである元NFL選手のアンクワン・ ボールディン氏のナレーションでCMは始まり、事件の再現映像、そして事件後にNFL選手たちがとった行動などが映し出される。

これはNFLが2019年に立ち上げた「Inspire Change」というプログラムのCMである。
Inspire Changeは、社会にポジティブな変化をもたらすことが目的で、主に「教育・経済的発展」、「警察とコミュニティの関係改善」、「刑事司法の構造改革」に重きが置かれている。
NFLと社会問題と言えば、2016年にコリン・キャパニック氏が始めた抗議運動を思い出される人も多いだろう。
当時、NFLはキャパニック氏の行動を積極的に支持することを避けたため、社会問題解決に対して消極的なイメージが浸透してしまった。
このInspire Changeにはそんなイメージを払拭する狙いがある。
NFLはこのCMをスーパーボウルの中継でも流す予定だが、NFLのファンには警察に理解を示す保守的な層も多く、そういったファンはこのCMを見たときに良い思いはしないだろう。
また、今年のスーパーボウルは、大統領選に出馬しているマイケル・ブルームバーグ氏とトランプ大統領が自身の選挙CMを流すことも明らかになっている。
例年にも増して社会的・政治的なメッセージが多いスーパーボウルとなりそうだ。
参考文献:
https://adage.com/article/special-report-super-bowl/nfl-takes-police-shootings-black-men-new-ad/2228616
https://operations.nfl.com/football-ops/economic-social-impact/inspire-change/