Q. Dr. McLeodの重要な研究テーマに「労働市場(Labor Market)」があります。労働市場を研究することにどのような意味があるのでしょう。
A. これには、スポーツ産業の特異性が関係しています。
スポーツを商品としてみたとき、それを生み出すために労働者が果たしている役割は、代替することができません。
他の産業であれば、労働者を機械で補うことも可能かもしれませんが、スポーツ産業ではそれはできません。アスリートがいなければ何も売ることも買うこともできない。これは重要な点です。
スポーツ産業の歴史を見ていくと、消費者が大きな裁量所得を持つ場所で栄えてきたことがわかります。
これに基づいて、「消費者がスポーツ産業を発展させてきた」という見方も可能ですが、消費者が消費する商品はもともとアスリートがいることで成り立っています。
最近では、Players TribuneやUninterruptedといった、アスリートと消費者が直接コミュニケーションを取るメディアが生まれています。これに伴い、スポーツ産業を発展させてきた「アスリート」と「消費者」、そして「両者の交流」の重要性が再認識されていると感じます。
(補足:Players TribuneとUninterruptedは、アスリートが情報を発信するメディアで、前者は元ヤンキースのデレク・ジーター氏が、後者はレブロン・ジェームス選手立ち上げた)
Q. では、Players TribuneやUninterruptedといったメディアの台頭も、労働市場に関する問題と捉えているということでしょうか。
A. 労働市場の一部だと思います。この現象は、スポーツという商品の元々の性質を反映したものだと思います。アスリートと消費者の関係性は時に素晴らしく、時に難しいものとなります。そんなスポーツという商品の本質が、新しい技術によって浮き彫りにされたと言えます。