NFLは長きに渡って選手のケガ防止に取り組んできたが、これまでは脳震とうを初めとする頭部のケガがメインであった。たとえば、ヘルメットの改良に数億円を投入したこともある。
一方で、これまで軽視されがちだったのが、下半身のケガだ。
膝の靱帯損傷、モモ裏の肉離れ、つま先の捻挫といったケガは、NFLのトップ選手が戦線離脱する原因トップ11のうち8を占め、NFL選手が経験するケガ全体の60%にあたる。
競技レベルの低下やファン離れを防ぐためには、この状況を改善することが求められる。
ニューヨーク・ジャイアンツのレイ・ウェイス氏は、下半身のケガに関して「アメフト選手としてやっていく以上は仕方ない、と簡単に片づけてはいけない問題です」と言う。「データに基づいてケガやその治療法への理解を深めることで、選手にとってもっと安全なスポーツにすることができると私たちは信じています」。
こうした考えのもと、NFLはリーグをあげて選手の下半身ケガ予防に取り組んでいる。
たとえば、RFIDという情報発信器具を選手の靴につけ、プレースタイル、足のサイズ、起こったケガに関するデータを随時収集、分析している。
また、この取り組みを通して、選手の意識を変えていくことも期待される。
シアトル・シーホークスの用具担当エリック・ケネディ氏によれば、「足のサイズは一定」、「大人になったら足は大きくならない」、「使い慣れた靴が一番」といった迷信を信じて、スパイクの改良に乗り出さないNFL選手が多いという。
適切な用具の使用はケガ予防につながる。
ケネディ氏はナイキと協力し、各選手により合った靴を作成するように何年も取り組んでいる。