昨日の投稿で、「WBCはダイアモンドベルトを贈呈することで加盟料を徴収しようとしているかもしれない」ということを書いた。
今日は、この「加盟料」というものが一体何なのかを説明したい。
まず、ボクシングの世界戦を開催するためには、会場確保や告知、放映権の交渉など様々な準備が必要になるが、これらは全てプロモーターが行う(たとえば、井上選手がこの度契約を発表したトップランク社は大手のプロモーターだ)。
こういった興行のやり繰りに、WBCやWBAといったボクシング団体は一切関与しない。対戦カードを決めるのもファイトマネーを支払うのもプロモーターだ。
では、ボクシング団体の役割は何かと言うと、「これは世界戦です」「勝者は世界チャンピオンです」と認めること。実質的な役割はかなり限られているのだ。
一方で、興行が大きな成功を収めたとしても、その収益はプロモーターの懐に入るため、ボクシング団体に直接還元されるわけではない。
そんなボクシング団体が収益を上げる方法、それが加盟料である。
世界戦の勝者が正式に世界チャンピオンとして認められるためには、その団体に一定の金額を支払うことが義務付けられている。逆に言えば、たとえ試合に勝ったとしてもこれを払わなければ世界チャンピオンとは認められない。
実際、2015年、フロイド・メイウェザー選手が20万ドル(約2000万円)の加盟料を支払わなかったため、WBOからチャンピオンベルトを剥奪されている。
したがって、ボクシング団体が収益を拡大しようと考えたときに、一番手っ取り早い方法が、世界チャンピオンを増やし、より多くのボクサーから加盟料を徴収することになる。
WBCが「ダイアモンドベルト」のようなチャンピオンベルトを創設した裏には、そういった意図があるのではないかと一部ボクシングファンは考えているのだ。
歴史的な一戦に勝利した井上選手に、半ば勝手にダイアモンドベルトを贈呈し、「正式なチャンピオンになりたければ加盟料払ってね」と言ってきたWBC。それに対して「それは受け取らないです」と手を振った井上選手。
そういう見方をすれば、海外ボクシングファンが「井上よくやった!」と反応したのも理解できる。