世界には主要ボクシング団体が4つあり(WBA、WBC、IBF、WBO)、それぞれの団体が世界チャンピオンを決めている。
それだけではなく、一つの団体が正規のチャンピオンベルト以外のチャンピオンベルトをこしらえているケースもある。WBCのダイアモンドベルトがその一例だ。
ダイアモンドベルトは、2009年に創設されたもので、「エリートボクサー同士の歴史的な戦いに勝った選手に敬意を表すこと」を目的としている。
たとえば、2009年、ミゲール・コットを倒し当時6個目の世界タイトルを獲得したマニー・パッキャオにダイアモンドベルトが贈呈されている。
ダイアモンドベルトは正規のチャンピオンベルトとは異なるため、防衛する必要はない。また、受け取った選手が引退すれば、それと同時に消滅することもある。
こういった特殊な性質から「ダイアモンドベルトは形だけ」「あまり意味がない」と考えるボクシングファンも多い。
さらに穿った見方をすれば、WBCは、このベルトを贈呈することで、より多くのエリートボクサーをチャンピオンとして囲い込み、加盟料を徴収しようとしていると解釈することもできる。
このような批判的な意見を持つファンたちは、それを贈呈されたボクサーが受け取りを拒否した際に「よくやった!」と感じるのである。
今回、井上選手の行動に海外ボクシングファンが注目を集めたのにはそういった背景がある。
とはいえ、井上選手が完全に受け取りを拒否したのかはあの映像からは判断できない。あの場で身に着けることを拒否しただけで、関係者が受け取ったのかもしれない。
また、井上選手があの場で受け取りを拒否した真意も明らかにされていない。
一部のファンが考えるようにダイアモンドベルトに対して批判的な考えを持っていたのかもしれないし、他に保持している正規のチャンピオンベルトと同列に扱いたくなかったのかもしれない。
あるいは、弟の拓真選手がWBCの正規王座獲得に失敗した直後に、そのWBCからダイアモンドベルトを受け取ることに違和感を覚えたのかもしれない。
参考文献:
https://talksport.com/sport/boxing/543387/what-is-wbc-diamond-belt-title-tyson-fury-dillian-whyte