今年2月、ドイツの連邦カルテル庁は「Rule 40はアスリートの権利を不当に制限している」という決定を下した。
これを受けて、IOCは、Rule 40の運用を各国のオリンピック委員会に委ねると発表した。「世界中のアスリートを一律に管理するのは難しいので、各国で臨機応変にやってください」ということだ。
そして、今週8日、アメリカのオリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、Rule 40に関する独自の新基準を発表した。
これによれば、アメリカ代表選手は、オリンピック期間中でも、個人スポンサーに対する御礼コメントをSNSに投稿することが許され、また、スポンサー側もアスリートを祝福するコメントを投稿することができるようになるという。
ロンドンオリンピックで抗議行動を起こしたアスリートたちの願いが叶った瞬間である。
しかし、そのようなSNSの使い方をする場合、アスリートは予めUSOPCに申告し、スポンサー企業はUSOPCが作成した誓約書に署名することが義務付けられる。
誓約書の詳細は明らかになっていないが、オフィシャルスポンサーの権利を侵害しないよう、禁止事項が細かに定められるという。
すべてを契約ベースにすることでグレーゾーンをなくす、というのはアメリカらしいと言えるかもしれない。
新ルールが適用されるのは、2020年東京オリンピック開幕の10日前から。ルール違反が見つかった場合、その選手のオリンピック出場権が剥奪される可能性もあるという。
今回の決定について、USOPCのCEOであるSarah Hirshland氏は「Rule 40を尊重し、オフィシャルスポンサーの価値も守りつつ、アスリートたちにより多くのマーケティング機会を提供する。そのようなルールをつくることを心掛けました」と語る。
今後、JOCを初め、他国のオリンピック委員会が同様の決定を下すか、注目である。
参考文献:
https://www.insidethegames.biz/articles/1076055/german-decision-scales-back-powers-of-iocs-rule-40
https://www.wsj.com/articles/u-s-olympic-leaders-relax-marketing-rules-for-athletes-11570550581