ここ数年、アメリカでは「ハード・セルツァー(hard-seltzer)」というアルコール入りの炭酸飲料がブームとなっている。

ビールに比べ、アルコール度数、カロリー、そして糖質が低く、健康志向の消費者を中心に人気を拡大している。
2019年の国内売上高はすでに10億ドルに達し、前年比150~170%の成長が見込まれている。
一方で、その知名度は未だ低く、アメリカ人の約半数がその存在を知らないと見積もられている。まだ伸びしろのある産業と言えるだろう。
大手ビール会社Anheuser-Busch InBevのChelsea Phillips氏は「ハード・セルツァーは長期的な成長を期待できるでしょう。ライトビールが出てきたときと同程度のインパクトだと見ています」と言う(ちなみに、現在アメリカ国内で最も売れているビール上位3位は、Bud Light、Miller Lite、Coors Lightで、ライトビールが独占している)。
今後、ハード・セルツァーの産業規模が拡大するにつれ、その関連企業がスポーツ業界にスポンサーとして参入してくることが考えられる。
実際、先月23日、NHLはBoston Beer Companyとスポンサー契約を結び、同社が製造するTruly Hard SeltzerをNHLの「オフィシャル・ハード・セルツァー」にすることを発表している。
今後他のスポーツリーグ・チームも同様の契約を結ぶ可能性があるが、その際に問題になってくるのがビール会社との兼ね合いである。
「オフィシャル・ハード・セルツァー」という類似カテゴリーが生まれれば、「オフィシャル・ビール」の価値は下がりかねない。
実際、大手ビール会社は、ハード・セルツァーを独立したスポンサーカテゴリーにしないよう、スポーツ組織に働きかけているとの報道もある。
今後、スポーツ組織がハード・セルツァーを独自のスポンサーカテゴリーとするのか、またそれがビール会社との契約にどのような影響を与えるのか、注目である。
参考文献:
https://www.realsimple.com/food-recipes/shopping-storing/beverages/hard-seltzer
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/09/30/Marketing-and-Sponsorship/Marketing-and-Sponsorship.aspx
https://finance.yahoo.com/news/boston-beer-company-nhl-announce-130000783.html
“ハード・セルツァーは次のスポンサーカテゴリーとなるか” への 1 件のフィードバック