NHLの労使協定:エスクロー制度とは?

先週金曜日、NHLのリーグ関係者と選手会は労使協定に関する交渉に臨んだ。

現行の労使協定は2022年9月まで有効だが、それを一度破棄して新たな労使協定をつくる権利がリーグと選手会の双方に与えられている。

リーグはすでにこの権利を行使しないことを明言しているが、選手会は決定を保留している(9月15日が決定の最終期限)。

リーグと選手会は今年2月からミーティングを重ね、交渉は順調だという。したがって、選手会も協定破棄の権利を行使しないと関係者は見ている。

だが仮に選手会が現行の協定を破棄するという決定を下すとすれば、その理由は「エスクロー(escrow)制度」だろう。

エスクロー制度とは、選手年俸の一部をシーズン終了まで保管しておく制度である。

たとえば、年俸1億円の選手の場合、すぐにもらえるのは9000万円で残りの1000万円はエスクローに預けられる。何事もなければシーズン終了後に1000万円は選手に支払われるが、リーグの収益が予測を下回った場合、1000万円はリーグに徴収されてしまう。

なぜこのような制度があるかと言うと、「選手年俸の総額はリーグ収益の50%を超えてはならない」という取り決めがあるからだ。

NHLはシーズン開始前にそのシーズンにどれほどの収益を上げるかを予測し、その予測に基づいて各チームは年俸を決定する。

実際の収益が予測通り(もしくは予測を上回った)なら問題ないが、それを下回った場合、選手に与えられる年俸の総額も減ってしまう。その時に、リーグと選手の取り分を50%ずつになるように調整するのがエスクロー制度なのだ。

選手としては約束された給与が与えられないのは不公平であり、また仮に全額もらえるとしてもシーズン終了まで待たなくてはいけないのは納得がいかない。したがってエスクロー制度の撤廃を希望しているのである。

ちなみに、エスクロー制度はNBAも採用している。

参考文献:
https://www.usatoday.com/story/sports/nhl/columnist/kevinallen/2019/09/05/nhl-players-optimistic-cba-labor-talks-deadline/2225405001/
https://www.usatoday.com/story/sports/nhl/2019/06/16/escrow-tops-nhl-players-list-of-concerns-ahead-of-cba-talks/39589943/
https://www.espn.com/nba/story/_/id/20715128/nba-player-salaries-take-home-pay

投稿者:

akiraasada

テキサス工科大学スポーツマネジメント学部で教員をしています。専門はスポーツマーケティング。特に、人がスポーツファンになるメカニズムを研究しています。

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