ロサンゼルスオリンピック大会委員会とU.S. Olympic & Paralympic Committee(USOPC)が、同大会に出場するあらゆる種目のアメリカ代表の肖像権をまとめて管理すること(グループ・ライセンシング)を検討していることがわかった。
従来、選手の肖像権は、選手個人もしくは所属する競技団体が管理していた。たとえば、企業がある水泳選手をCMで起用したいと思った場合は、その選手と個別にエンドースメント契約を結ぶか、水泳協会とスポンサー契約を結ぶ必要があった。
しかし、今後グループ・ライセンシングが採用されれば、USOPCとスポンサー契約を結んだ企業は、あらゆるアメリカ代表選手をCM等に起用することができるようになる(その分、スポンサー価値も上がり、契約金も大きくなる)。
そして、そういったスポンサー契約の収益は、USOPCからすべてのアメリカ代表選手に分配される。
このグループ・ライセンシングは、アスリートに新たな収入源をもたらす。特に、これまでエンドースメント契約を結ぶことのなかった選手にとっては、大きな変革となるだろう。
このアイデアを支持するアスリートは、「グループ・ライセンシングは一部の人気アスリートが独占してきた契約金をあらゆる代表選手に行き渡らせる可能性がある」と言う。
一方で、すでに多くのエンドースメント契約を結んでいる選手にとっては、必ずしも朗報とは言えない。
グループ・ライセンシングが採用されたとしても、選手個人がエンドースメント契約を結ぶ権利が制限されることはないとされるが、これまでにはなかった複雑性が生まれる可能性はある(USOPCのスポンサー企業とエンドースメント契約を結ぶ企業が競合関係にある場合など)。
他にも、グループ・ライセンシング採用に当たって解決されるべき問題は山積している。
たとえば、多くの競技において、アメリカ代表が正式決定するのは大会の数週間前である。そこからすべての契約を処理するのは非常に難しい作業になるだろう。
他にも、「代表になると思われていた有名選手が代表になれなかった場合はどうするのか」、「グループ・ライセンシングは大会後も適用されるのか」といった点に対する答えはまだ出ていない。
関係者が「グループ・ライセンシングはあくまで検討段階だ」と強調するように、その実現可能性は不透明である。
参考文献: https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/08/05/Olympics/LA28-USOPC.aspx
https://www.wsj.com/articles/los-angeles-is-officially-awarded-the-2028-olympics-1505327430