近年、北米スポーツ業界で重要なテーマとなっていることの一つが「いかに観客を長くスタジアムに滞在させるか」である。
以前の投稿で、NFLの「5th Quarter」という取り組みを紹介したが(コメント欄参照)、これは観客を試合終了後もスタジアムに残ってもらうことを目的としていた。
一方、観客を試合開始前に早くスタジアムに来てもらうための施策も練られている。これから数日間の投稿で、いくつかの事例を紹介していきたい。
試合開始前に来る観客を増やすことはいくつものメリットがある。
飲食・グッズの売上拡大、入場のセキュリティ・チケット確認の迅速化、試合開始時の盛り上がりなどがその例である。
逆に試合開始直前に入場する観客が増えると、道路や駐車場に渋滞ができ、入場ゲートにも行列ができる。それによってストレスを感じた観客は、再度観戦に来る意欲を失ってしまう可能性も増える。
シアトル・シーホークスのZach Hensley氏によれば、NFLの試合を見に来る観客の65~70%が試合開始30分前以降に入場するという。この数字をいかに減少させるか、これが課題である。
試合開始前にスタジアムに来る人を増やすということは、それだけのアトラクションを用意することを意味する。
そこでしか飲めないクラフトビール、そこでしか食べられない食べ物、DJの音楽、ハイライト映像、そういったものを楽しめる空間を提供することが重要になる。
「特別な体験」を求める今日の消費者にとって、ありきたりなアトラクションはスタジアムに来る理由にならない。
参考文献:
https://www.sportsbusinessdaily.com/Journal/Issues/2019/07/08/In-Depth/Concessions.aspx