Q. 経済効果に関するニュースを目にした際に、それを正しく理解するためにはどういった情報に注目すればいいのでしょう。
A. 残念なことに、そういったニュースには、経済効果がどのように算出されたかが詳しく書かれていないことがほとんどです。
ですので、「とにかく疑ってかかれ」というのが私のアドバイスです。
先日あるジャーナリストからNFLドラフトの経済効果に関して意見を求められました。
今年のNFLドラフトを誘致したナッシュビルは、「ドラフト開催期間中(4月25-27日)に、60万人の観光客が同都市に訪れた」と発表しました。
しかし、この「60万人」という数字はあまりに大きい。ナッシュビルの都市部の人口は60-70万人です。それとほぼ同数の観光客が、NFLドラフトが開催される週末に、ナッシュビルに押し寄せたというのでしょうか。これはにわかには信じがたい。疑ってかかるべきです。
私が思うに「60万人」というのは、ドラフトが開催される3日間にイベントサイトを訪れた人を単純に足し算した数字なのではないでしょうか。
そして、3日連続で来た人は「3人」とカウントされていた。つまり、本当は20万人のところが×3で60万人となっていたのです。
さらに言えば、この20万人の多くは、もともとナッシュビル近郊に住んでいた人々だと思われます。
その場合、この住民たちは、ドラフトがなかったとしても市内で他のエンターテインメント(映画やバーなど)に出費をしていた可能性が高い。
そうなると、NFLドラフトが実際に生み出した経済効果は「観光客60万人」という報告よりもずっと小さな数字になるはずです。
このように、発表された数字を疑ってかかることで理解できることが出てきます。与えられた情報を鵜呑みにいないことで大切なのです。