MLBには「明文化されていないルール(unwritten rule)」と呼ばれる暗黙の了解が数多く存在する。
そんな暗黙の了解に逆らう選手として今注目を集めている野球選手がいる。シカゴ・ホワイトソックスのティム・アンダーソンだ。
25歳のアンダーソンを一躍有名にしたのが、ホームランを打った後にバットを投げる、いわゆる「バット投げ(bat flip)」である。
日本のプロ野球ではかつて中村紀洋選手のバット投げが有名になったが、MLBでは相手チームに対する侮辱行為と受け取られるため控えるのが暗黙の了解となっている。
ところがアンダーソンはお構いなしにバットを放り投げる。
2019年4月のロイヤルズ戦では、アンダーソンがバット投げをした次の打席で報復のデッドボールを食らい乱闘が起こった。
試合後アンダーソンは、野球界はつまらない慣習が多く、それが野球そのものをつまらなくしていると主張した。そして「ファンの注目を集めるために、私は何か違うことを毎日やっていくつもりだ」と語った。
さらに今月、アンダーソンはエンドースメント契約を結んでいるアディダスのCMに出演し、改めて自らの立場を表明した。このCMが更なる注目を集めている。
CMのなかでアンダーソンは野球に対する情熱や試合の楽しさなどを語ったあと、バットを放り投げ、こう言う。
「野球の試合はつまらない。俺が変えるから見とけ(The game’s boring. Watch me change it)」
現役のアスリートが自分のプレーするスポーツを「つまらない」と言ってしまうのは前代未聞。果たして暗黙の了解に逆らうアンダーソンは野球界にどのような変化をもたらすのか。
参考文献:
https://www.chicagotribune.com/sports/white-sox/ct-spt-white-sox-tim-anderson-adidas-baseball-boring-20190523-story.html
https://www.valdostadailytimes.com/sports/national_sports/the-game-s-boring-watch-me-change-it-tim-anderson/article_91d2a9f3-3961-56b4-bc2d-b374e8e3aec0.html